出会った頃のふたりの写真。

寝る前に、昔の写真を眺めていた。
iPhoneには、ある数日の旅行や同じ場所の写真を集めて、勝手にコマ送りのビデオのようにしてくれる機能がある。
僕とKは、2012年の10月に出会ったのだけど、何気なくその頃の写真を眺めていたら、27歳だったKはあまりにも若くて、ふたりが幸せそうに笑っていた。
そんな写真を一つひとつ見ているうちに涙が出てきて、ベッドの隣でアニメを見ているKに見せたのだ。
「Kちゃん、見て見て!この写真。僕たちこんなに若いよ」
「ただしくん、どうしたの?泣いてるの?」
「昔の写真見てたら、あんまり幸せそうだから、なんか涙が出てきちゃって…」
「ただしくん、お酒飲み過ぎたんだよ。きっと。早く寝てあげて!」
昔の写真を一つひとつ眺めながら、僕は知らぬ間に眠りに落ちていった。

饂飩ト酒 maru-gin

おでん

ピーマンの氷水浸け

クラテッロ

原宿よりも渋谷に近い明治通り沿いに、ずっと前から気になっていたお店があって、うどん酒場なるものに行ってみた。
『饂飩ト酒 maru-gin』は、飲食店の入ったビルの上にあって、窓からは明治通りの欅が見える気持ちのいい空間だ。カウンターも座敷もあって、キッチンがオープンで見渡せるのも気持ちいい。
料理の種類は多くないものの、一つ一つ美味しい食材を使ったシンプルな料理が並び、どれを食べても美味しくてお酒が進む。
おでんはあるし、アボカドもあるし、生ハム(クラテッロ)なんかもある。ピーマンを2・3日氷水に浸けたぱりぱりピーマンがとても美味しかった。
お店の人も感じがいいし、軽く飲みながらつまんで、最後にはうどんでしめるというスタイルは、僕やKは大好きなスタイル。
ぜひまた来たいな。
⭐️

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テルアビブ・オン・ファイア

Kがたまたま代休を取ったようで、夜に1本映画を見に行くことができた。
『テルアビブ・オン・ファイア』は、ヴェネツイ映画祭の作品賞を受賞したようで、平日だというのに映画館は結構人が入っていた。
イスラエルに住むパレスチナ人のサラームが、毎日検問を通り、パレスチナのテレビドラマ「テルアビブ・オン・ファイア」の制作現場でイスラエルの言葉の指導をして働いている。ある日、検問を通ろうとしたところ、ひょんなことから司令官に呼ばれて、司令官はパレスチナのドラマ『テルアビブ・オン・ファイア』のストーリーに口を挟み始める・・・。
これから先も永遠に解決することのないであろうイスラエルとパレスチナの問題を、まるっきりコメディにしてしまっているところが面白い。ルクセンブルク・フランス・イスラエル・ベルギーで製作したというのことも興味深い。
作りは安っぽいけど、この映画、イスラエルやパレスチナでは、どんな風に受け止められるんだろう?と思った。
いつか行ってみたいな。テルアビブ。
⭐️テルアビブ・オン・ファイアhttp://www.at-e.co.jp/film/telavivonfire/

博多もつ鍋やま笠

鳥皮

もつ鍋みそ味

鍋の後のチーズ雑炊

東京でもこのところ急に寒くなってきたので、普段はあまり食べることのないもつ鍋を食べようかと、近場で探したところあまりいい店が見つからず、結局神楽坂のお店に行ってみた。
『博多もつ鍋やま笠』は、調理人がもともと福岡で有名なもつ鍋店『やま中』で腕をふるっていた人だそうで、もつ鍋はまるで博多で食べるもつ鍋のようだった。
それ以外には、『鳥皮』がおすすめのようで、福岡でも鳥皮店は並んだりするくらい人気なのでこれも頼み、お酒を飲みながら、「まるで博多にいるみたいだねー」と言い合った。
お店を仕切っている男性が、お客さんの回転を良くしたいようで、それが態度に現れているのでちょっと残念な感じだが、サービスは気にせずもつ鍋を食べるならばよいお店。
もつ鍋を食べてたら、無性に博多に行きたくなった。
⭐️

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左の人差し指を切って思うこと。

フレンチラムのラックをオーブンで調理して、肋骨ごと切り分けようとしたところ、肋骨に若干刃が当たり、少し力んだ隙に、左の人差し指をわずかに包丁で切ってしまった。
「いてー!」
叫んだ僕に驚いて、Kが来て、絆創膏を指に巻いてくれた。
左手があまり使えないとなるととても不便で、残りのカットも食べた後の水洗いもKがやってくれた。
左手のことなんて、普段は気にすることもないのだけど、いざ使えなくなると、そのありがたさを思い知る。
絆創膏を巻くだけでも、巻いてくれる人がいるというだけで、ありがたいものだ。
こんな時、Kは病院勤務なので、普通の人よりも慣れていて丁寧な気がする。
僕はここぞと言わんばかりに、Kに甘えてみるのだ。そんなことも、昔子どもの頃に怪我をした時に、母に甘えてやっていたような気がする。
傷ついたり怪我をした時に、家族のやさしさはいつも以上に温かく感じるものだ。

心打ちひしがれた日に。

仕事がうまくいかなくて、久しぶりに心が打ちひしがれて帰宅した。
誰が悪いわけでもなく、自分の至らなさが原因。50歳にもなって、何も学んでいない自分に恥ずかしくなる。
晩ごはんを作る気力もなかったので、デパ地下で唐揚げを買ってきて、野菜だけ切ったり茹でたり用意してKの帰りを待つ。
仕事場の引越しがあるようで、Kは忙しく、日曜日も遅くまで働きに出ていた。
今日もいつもよりも3時間も遅く、帰るという連絡が入り、雨が降る道を見下ろしながら、早く帰ってこないかな?と思っていた。
小さな子どもの頃、学校で嫌なことがあると、家に帰ってきて母親を見るとほっとしていたように、帰ってきたKの顔を見たら、ほっとした。
50歳にもなって、情けないと思うけど、家族って、こういう温かさなのだ。
Kにとって僕は、灯りのような人になれているだろうか。

やんばる2号店

厚揚げ

島菜ちゃんぷるー

イカスミソーメン

新宿のアルタの裏に、ずーっと昔から沖縄料理やがあって、知ってはいたのだけど、中に入って食べたいとは思ったことはなかった。
それは、お店が、ラーメン屋さんのようなありようで、沖縄そばが専門だと思っていたから。
いつかその場所を通った時に、実はその沖縄そば屋さんの横にもう一つお店があって、そこのメニューを見たら、沖縄料理が色々食べられそうなお店だったので、気軽に入ってみた。
雨の中、お店は満席で、少し待ってから2階の席に。隣は沖縄から働きに来ている若者ふたり。店員さんも沖縄の人がいる。
いくつか料理を頼むと、すぐにやって来た。厚揚げはホカホカに熱く美味しく、島菜のちゃんぷるーは、程よい塩気でとても美味しい。二ガナの白和えは、東京で二ガナが食べられることに驚き、ポーク卵を食べながら、ここは沖縄なんじゃないかと錯覚するくらい。
大好きなイカスミのソーメンを食べながら飲む酒は美味しく、ふたりで飲んで食べて5000円くらいというリーズナブルな値段もいいし、新宿で沖縄料理の新たな行きつけができました。
⭐️

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アナと雪の女王2

『アナと雪の女王2』の公開を、きっと僕よりもKは楽しみにしていたことだろう。
公開初日の金曜日は劇場はすでに夜の上映回は混み合っていて、結局土曜日に観に行ったのだけど、吹替え版も含めてTOHOシネマズ新宿はいくつものスクリーンで上映していたのだけど座席は満席だった。
前回作の『アナと雪の女王』を観た時に、どうしてお姉さんだけが不思議な力を持っているのだろう?なんでアナにはなんの力もないのだろう?
そんなことを思っていたのだけど、そういう不思議に思っていた点が、一つ一つ明かになっていくストーリーに、子どものように引き込まれてしまった。
ディズニー映画を見る時はいつも、自分が小さな頃にワクワクしながらお伽話の世界を想像したあの頃の気持ちが戻ってくる。
今回の作品も様々な評価が別れるところであろうけれども、僕はこういうお話を考え、アニメーションを作り、形にしていった人たちが本当にすごいと思うのだ。
世界中の子どもたちがこの映画を見たあとで、各々エルサになりきってコスプレしたりしている姿は、この映画の凄さを表していると思う。
⭐️アナと雪の女王2https://www.disney.co.jp/movie/anayuki2.html

衣替えとカミングアウト。

毎年、10月の頭にやっていた気がする衣替えを、今頃重い腰を上げてやり始めた。やり始めたというのは、恥ずかしながらまだ完了していないのだ。
この頃の東京は、春が短く、すぐ梅雨から夏になり、夏が長く、秋が短く、急に冬がやってくる気がする。
つい最近まで暑かったのに、ここ数日、急に気温が下がり始め、やっとセーターやマフラーを出さねば…と思い至ったのだ。
うちの衣替えは、狭い収納の上下を入れ替える感じなのだけど、この衣替えがあるお陰で、その都度着なくなった洋服を見直す機会を得ている気がする。
そして、その度に、収納の一番奥にある袋や箱を一旦すべて表に出して、半年くらい目にしていなかったものは、いったい何が入っていたかと中を開けて曝け出してみるのだ。
そしてその時にいつも思うことは、「これがカミングアウトなのだな」ということ。
押入れの奥深くに誰にも見られないようにそっとしまっていたものを、白昼の元に曝け出すこと。
みんなにカミングアウトを勧めるつもりはさらさらない。人によってそれは、死ぬほど難しいことだったり、カミングアウトをした相手に抱えきれない困難や苦しみをもたらす場合もあるだらうから。
僕でさえ、知っていたにせよ、きちんと母に言葉で伝えたのは、Kとつきあいはじめて、昨年、同性婚訴訟に出ることを決めた時なのだ。
僕の場合は、振り返ってみると、カミングアウトをして、やっと本当の意味で、自分のことを心から赦し、受け入れることが出来たのだと思う。
それまではなんと言っても心のどこかで、自分のことを恥ずかしい存在であると卑下していたのだと思うのだ。

ボジョレー・ヌーヴォー2019

今年は仕事が忙しく、おまけに同性婚訴訟などという面倒なことに首を突っ込んだため、公私ともに息もつかないほど慌ただしい一年だったように思う。
夕方会社で気がつけば、ボジョレー・ヌーヴォーの解禁日で、帰り道にボジョレーを買って帰るとKにLINEをして、7時頃青山の紀伊國屋に寄ることが出来た。
今年のボジョレー・ヌーヴォーは写真の2つで、1つは紀伊國屋オリジナルの無農薬のワイン。もう一つは有名な、ルイ・ジャドのもので、確か去年も飲んだような気がする。
晩ごはんは冷凍庫からランプ肉を出してあるので、あとはルッコラとオリーブとチーズとパンと生ハムを買って、タクシーで慌てて家にたどり着いた。
サラダを作って生ハムを並べ、ランプを焼いたら、簡単にディナーが出来上がった。
今年の葡萄の若々しい味わいを楽しみながら、今年もこうしてふたりでボジョレー・ヌーヴォーを飲めることに感謝した。
それにしても、こんな食事が、僕は一番好きだなと感じたのだ。
簡単で、それでいて、いつまでもワインとともに味わっていたいような、飽きの来ない素材そのものの味わいを楽しめる料理。
来年もまた、ボジョレー・ヌーヴォーをふたりで楽しく飲めますように。