キャプテン・フィリップス

つまみ三種

すだち蕎麦

あまりにも黒豆ばかり見ているので、「黒豆おばさん!」とKが僕のことを呼び始めた。
お節料理の最後の仕上げをしつつ、足りない食材を買うために、今日は伊勢丹は物凄いことになるのがわかっているから、あえて銀座三越にしてみたら、すんなり買い物が出来た。
帰ってまた、黒豆を煮て、白花豆もついでに煮始めたら、Kは、「また豆!」と驚いた。「何よりも豆が一番たいせつなんでしょう!」と来たので、見逃していた『キャプテン・フィリップス』を観に…。
大好きなトム・ハンクス主演の映画は、実話に基づいている。
アフリカのソマリア沖の貨物船が海賊に乗っ取られ、船長が人質に取られてしまう事件。
映画は単純なストーリーだし、全体を貫く緊迫感はアポロ13を思わせ手に汗を握らせる。
アメリカ人が好きそうな映画だなあと思いながら、最後にはボロボロ泣けて泣けて堪らなかった…。
夜はいつもの家のそばの『勢揃坂 ぎん清http://sobaginsei.com/』へ。白子のバター焼きや出し巻き卵をつまみながら、美味しい日本酒にすだち蕎麦をいただいた。
Kとふたり、今年も美味しいもの、沢山食べたね…なんて話しながら、温かい大晦日を過ごしました。
★キャプテン・フィリップスhttp://www.captainphillips.jp/mobile/#photos

セッションズ

今日は家で黒豆を煮ていた。
僕の家にはテレビが無いので、Kはやることもなく大型犬のようにソファでのんびりしていたのだけど、「黒豆って何時間くらい煮るの?」の質問に、僕は、「5時間味を含ませた後、8時間くらい煮るんだよ」の言葉に唖然とするので、大型犬を引き連れて新宿へ散歩に出かけた。
ずっと観ようと思っていた映画、『セッションズ』を観た。
3歳の時にポリオを患い、ずっと身体が麻痺したまま、人工的な肺の機能を持つ金属のカプセルの中で、人生のほとんどを過ごさなければならない男の話。
顔以外、身体の筋肉を動かすことが出来ない主人公が、ほとんど諦めていたセックスに興味を抱き、なんとか一人の大人の男としての実感を味わいたいと願う。
実話に基づいた身体が麻痺している男性の話は、単純に「かわいそう…」などと言っていられない現実があり、ひとりの人間としての尊厳を感じさせる生き方に、次第に引き込まれて行った。
こういう映画を見ることによって、自分とは違う境遇の人を想像したり、考えさせられたりする。映画というものが改めて奥深く幅広いものだと思わずにいられない。
ヘレン・ハントはこの映画で、全裸になり渾身の演技でアカデミー賞にノミネートされた。
★セッションズ http://eiga.com/movie/79140/

また、Kがやって来る。

今日は大量に出汁をひき、お節料理の下ごしらえを始めた。
年末年始を東京で一緒に過ごすために間も無くKがやってくる。
東京で誰かとともに過ごす正月も久しぶりなので、今年は15品くらいお節料理を作るつもりだ。
Kが東京にくる時は、いつも羽田空港まで迎えに行っている。
お金もかかるし、何気に遠いから面倒くさいなあと思うのも確かだけど、飛行機を降りて、出口で僕を見つけた時のうれしそうな顔を見ると、迎えに来てよかったと思う。
1年3ヶ月が過ぎた僕たちは、遠距離という問題はあるものの、お互いをたいせつに思いやりながら、なんとかやってくることが出来た。
改めて、なんでこのとぼけたKとつきあって来れたのだろうかと、こないだ京都でよくよく考えたのだけど、Kは、考えつく限り、とても普通の男の子だからなのかもしれない。
普通の男の子だから、夜も5秒くらいで寝てしまう。僕がちょっと仕事のことなんかで神経質になっていたとしても、横で何食わぬ顔しながら、自分はマイペースでゲームをやっていたりする。
そんな本当に普通の男の子だから、一緒にいると不思議と安心出来るのかもしれない…。
時々、Kの顔を思い出すことがある。そんな時、つきあい始めの頃よりも、ずっとKのことをたいせつに思っている自分に気づいて、ちょっとうれしくなる。
もうすぐモノレールが、羽田空港に着きます。

三兄弟というか、三姉妹というか…。

タコとマッシュルームのオイル

フォアグラハンバーグのクリームソース

年賀状を出しに行き、お節料理の用意をしようと買い物に出たら、僕の妹的存在で会社の後輩GからLINEが入り、晩御飯を食べようということに。
新宿御苑前のハンバーグ ウイルは、とてもコストパフォーマンスが高いお店だ。
豚肉のハンバーグにこだわり、フォアグラハンバーグや、柚子胡椒ソースなんてのもある。何よりも、夜のご飯でも3000円以内でセットが食べられるなんて、ありがたい。
ハンバーグを食べながら、『お肉さえあれば幸せなK』を連れて来てあげたら目を輝かせそうだな…なんて思った。
軽く食事のつもりが、がっちり食べて飲んでしまい、その後、弟的存在FのやっているバーMへ。
3人兄弟で、ワイワイと来年のいろいろな計画を話しながら、また、ワクワクするような楽しいことが沢山起こりそうだなあと、うれしい酒を飲みました。
★Hamberg Will http://s.tabelog.com/tokyo/A1304/A130402/13041176/

舟町 一期。

イベリコ豚のローストとフグの唐揚げ。

しめ鯖、鰤、鯛の昆布締め、金目鯛。

海老しんじょうサンド揚げ。

四谷三丁目は、コスパの高い飲食店の激戦区だと思う。僕も、いくつか行きつけのお店があるのだけど、久しぶりに新しい店に行ってみたくて、『舟町 一期』へ。
こちらの世界でモテそうな、がっちり系というか…ぽっちゃり系というか…大将が一人で切り盛りしている。アルバイトの女の子があまりわからずにサービスをしている。
寡黙で、ひたすら作り続けている料理は、流石にフグの免許も持っているらしく、工夫を凝らした新しい和食だ。
前菜は、イベリコ豚のローストと、フグの唐揚げ。お造りは、鯖の酢締め、鰤、鯛の昆布締め、金目鯛。牡蠣のチーズ明太。海老しんじょうのサクサク揚げ。その後に豚バラ肉のしゃぶしゃぶ。いなにわうどん。デザート。
コースで5000円以内で食べられるというのは、とてもありがたいことだと思う。
そして、「美味しい!」とか、「これは何が入っているのですか?」とか、いちいち僕が言う言葉に、ニコッと笑って答えてくれる。
ガチポ専なら、コロっといってしまいそうな素敵な笑顔だ。
今度はぜひ、アラカルトで色々頼んでみたいと思わせる、町の小さなお店だった。
★舟町 一期 http://s.tabelog.com/tokyo/A1309/A130903/13151989/

カレーうどん。

時々、冬の寒い日なんかに、無性にカレーうどんが食べたくなる。
それも、古奈屋のようなクリームカレーではなくて、蕎麦屋さんのような出汁の効いたカレーうどん。
あまり、外でカレーうどんは食べないのだけど、こないだ京都の錦小路で小腹が空いて、冨美屋に入ってカレーうどんを頼んだら、僕の作るカレーうどんと味が似ていたのでうれしかった。
うれしいことに、時々レシピを聞かれるので、これからは材料もまとめておくようにしますね。
〈カレーうどん 1人分〉
冷凍うどん1つ
油揚げ1/4〜1/2
玉ねぎ1/4くらい
出汁300ml
カレー粉小さじ2〜大さじ1
塩2つまみ
醤油大さじ1
みりん大さじ1
水溶き片栗粉(片栗粉大さじ1水大さじ1)
九条ねぎか細ねぎ
七味唐辛子
1.出汁に醤油、みりん、塩、カレー粉を入れて火にかける。
2.玉ねぎと油揚げを食べやすい大きさに切り、鍋に入れる。(豚肉や牛肉の薄切りを加えてもよい)
3.玉ねぎに火が通ったら、水溶き片栗粉を加えて混ぜる。
4.うどんを茹でて、器に上げて、カレーを上からかけて、青ねぎを散らす。七味唐辛子を添える。

寒川神社へ。

来年は、五黄土星は八方塞がりの年のようで、寒川神社に八方除けに来た。
五年前の厄年の時に、父を亡くし、10年来つきあって来た人と別れ、大変な年だったのを思い出し、除けられるものならば事前にお祓いをしていただこうと思い、寒川神社へ。
本来、お祓いは、その年が始まる前(節分まで)に行くのがよいようだ。
ここは、昔から知る人ぞ知る厄除けで有名な神社で、パワースポットとしても知られている。
厄年だとか、お祓いなんて、気のせいかもしれないと思う。
でも、昔から実家には、神棚があってお参りさせられていたし、理由はないのだけど、神道をどこかで緩やかに信じている自分がいる。
お祓いをすませ、心が少し軽くなった。
それだけでも、来てよかったと思いながら、帰路についた。
★寒川神社 http://samukawajinjya.jp/index.html

ぺんぺんのひろしさん。

昔はよく、ひろしさんと食事をしたのだけど、この頃は、芝居の後、年末に一回一緒に食事をしている。
食事をしながら話すことは、今年の芝居の話から、昔の芝居の話、来年の芝居の話、そして、もう会えなくなってしまった人の話…。
これから年をとって行く時に、認知症にならずにすむにはどうしたらいいか?とか、人に迷惑をかけない死に方はないか?とか…
僕がひろしさんに、「心配しなくて大丈夫だよ。ひろしさんが亡くなったら、新宿二丁目で鳥葬してあげるから!」と言うと、
するとひろしさんは、「カラスの餌にするのなんてやめて!あんたんとこに幽霊になって出ていくからね!」
僕は、「だって二丁目に捨てるゴミはないって言うじゃん!」
僕がひろしさんと前から約束していることは、ひろしさんが亡くなったら、僕の所にハッキリわかる形で出て来てくれるということ。幽霊が本当にいるかどうか、実証してくれる約束になっているのだ。
普通の食事屋さんで、そんな話をしながら、沢山笑った夜でした。
こんな食事が、また来年も出来ますように…。

素晴らしき哉、人生!

クリスマスイブというと、きっと、「恋人と過ごさないと淋しい…」と感じている人も多いのかもしれない。
クリスマスイブに恋人と過ごさなければいけないなんて、コマーシャルが作り上げた幻想に過ぎないのではないだろうか?
僕は独りの時に、おでんを作って食べたりしていた。「ふんっ!」て感じで。笑
たとえ一人で過ごすことになったとしても、満ち足りた気分でいることが出来れば、不必要に惨めな気分になど陥らずにすむはずだ。
昨日まで京都でKと過ごしていたので、僕は今年のクリスマスイブは、東京で一人で家で過ごした。
特別に七面鳥を焼くこともなく、冷蔵庫に常備してある鴨のコンフィを食べながら、ワインを飲みながら。
Kは、クリスマスイブなど一言も口にせず、ジムに行っていたし、僕は、愛する映画『素晴らしき哉、人生!http://movie.walkerplus.com/mv4803/』を観て過ごした。
あらすじはここに書かないけれども、この映画を観たら、100%幸福になれると思う。『人生とはなんて素晴らしいんだろう!』と感じさせてくれるポジティブな映画だ。(あらすじなど決して見ないで観てみてください)
僕がクリスマスで改めて思うのは、家族や友人たちへの感謝の気持ちだろう。
それをしみじみと感じられたら、たとえその夜は一人であったとしても、幸福なクリスマスになるに違いない。
みなさんに、Merry Christmas!!!

神社と寺へ。

銀閣寺

もみじだらけの二尊院

西行の歌

京都には、1600を越える神社や寺があるらしい。
そんなことを知ると、足繁く京都に通ったとしても、今世では行き尽くすことは出来ないと思い知る。
今回訪れた所は、銀閣寺、法然院、車折神社、清涼寺、二尊院、常寂光院…
銀閣寺は、立体的な庭を歩きながら、いつも宇宙のことを考えてしまう。
法然院は、独りで訪れたいような静かな場所だ。
車折神社は、今回はじめて訪れたのだけど、芸能の神様ということで祈願をさせていただいた…笑
嵐山の二尊院と常寂光院は、何度か来ているけれども、もみじだらけなので、紅葉を見にまたいつか必ず訪れたいと思う。
それにしても、無宗教の僕が、なんで神社や寺に行くのだろうか?
僕なりに考えると…
45歳にもなりながら、未だに煩悩に溢れ、なかなか成長出来ず、間違いを冒し、親不孝で、人の役にも立てない人間が、何か自分よりも大きなものの存在を感じたいからなのかもしれない。
宇宙や神様のようなとてつもない力を感じることだけではなく、たとえば、西行のような人が遺したものに触れると、僕と同じ時間しか与えられていないにも関わらず、どんな生き方をしたのだろうか…と、畏れを思い知る。
手を合わせて、目を閉じて、心の中で問いかける。今の僕は、きちんと生きているのだろうかと…
※「右手は、人間にとって都合のいいことを考える心。左手は厳しい現実や、くよくよする心。どちらも人間の中にあるものですが、どちらかに偏ってはいけないのです。このふたつの手を合わせて、自分の都合をすべて仏様の前に出す。良いことも悪いことも両方を含めたみんなが世の中なのだと受け止めること。つまりこれが拝観という行為なのです」蓮華寺 副住職の言葉。