草喰 なかひがし

秋を閉じ込めたお料理

琵琶湖の固有種であるもろこ

なかひがしのメインディッシュ

世界で一番好きなレストランを挙げろと言われたら、僕は迷わず『草喰 なかひがし』を挙げる。
『草喰 なかひがし』には、もうかれこれ20年くらいになるだろうか、恐らく10回くらいは行っているだろう。
女将さんが次男と上京した時は、一緒にお寿司を食べたし、その次男坊がイタリアの田舎町の星付きレストランで働いていた時は、食べに伺ったこともある。
京都の銀閣寺道に佇む小さな一軒家は、京都のこの場所でしか味わえないお料理を、その季節を閉じ込めるように供される。
驚くことは、この小さなお店に、アラン・デュカスやフェラン・アドリアなど世界の名だたるシェフたちがこぞって食べに来ることだろう。
食事がほぼ全て出された頃に、
「これが手前どものメインディッシュでございます」
と言って出される炊きたての白米と炭火で焼かれためざしは、この東京での飽食の時代に、『本当のおいしさとはなんだろう?』というシンプルな問いを投げかけてくる。
大原の山に生えた草や葉や実を、大将は毎日取ってくる。
自然のくれたすべての恵みを味わい尽くすように、丁寧に作られたお料理をいただきながら、大将や女将さんと笑いながらお話をして、
「ああ、この店がやっぱり一番好きなんだなあ…」と思って、銀閣寺道でおふたりに手を振った。
★草喰 なかひがし
075-752-3500
京都府京都市左京区浄土寺石橋町32-3
http://tabelog.com/kyoto/A2601/A260302/26001800/

恐るべし、永観堂。

京都は、それこそ町中のいたるところに紅葉の名所がある。そんな中で、限られた時間でいったいどこに行くか。
もともと決めていたのは、嵯峨野の『二尊院』と『常寂光寺』。この二つも素晴らしかったのだけど、もう一箇所、ここぞというところにも行きたい…。
今年のJR東海の「そうだ 京都 いこう」キャンペーンは、『北野天満宮』が使われていた。タクシーに乗って北野天満宮の紅葉はどうかと聞くと、運転手さんは、「今年の北野天満宮は、あまりよくないみたいですね〜」との返事が返ってきた。
ホテルのコンシェルジェに問い合わせると、「妙心寺」もいいみたいですが、「紅葉の永観堂という言葉が古今集にあるほど、永観堂はおすすめでございます」という返事がかえってきた。
最後の日にKと二人、東山のたもとの永観堂へ。中に入る時に、拝観料にまずは驚かされた。だって、1000円なのだ。
「ひとり千円は、高過ぎるね…」と文句を言いながら、中へ入ると…
あまりの紅葉の群れを目の前にして言葉を失った…。
見渡す限り、どこもかしこも紅葉なのだ。
いったい昔の人は、この光景を計算して作ったのだろうか…、緑っぽい紅葉から、真っ赤な紅葉まで様々な色彩が縦横無尽に織り成す光景に、しばし言葉を失った。
この時期に、『永観堂』の紅葉を見られる幸福。
それを思うと、千円など高くはないと思ったのです。

保津川下り。

よくしゃべる船頭さん

トロッコ列車

おでんや焼きイカを舟の上で食べられる

京都で丸々1日あるので、L&Jカップルと4人でどこに行こうかと、ずっと前から思い悩んでいた。
京都には、桜の名所と同じように、紅葉の名所が町中の至る所にあるからだ。
せっかくシンガポールから京都に来たのだから、「ああ、やっぱり京都と言うのは別格だなあ…」というくらいの感想を持ってシンガポールに帰って欲しいじゃないですか。
そこで、散々悩んだ挙句、レンタカーを借りて嵯峨野に行くことに決めた。嵯峨野には電車でも行けるのだけど、彼らの王様体質とその後の行動を考えて車での移動にした。
タクシーの運転手さんからは、絶対に10時半までに入ってくださいと言われていた。嵯峨野へ向かう道が、ところどころ土日は規制が入るらしいのだ。
JR嵐山嵯峨野駅のそばに車を止めて、今度はトロッコ列車の長蛇の列を横目に亀岡まで向う。亀岡駅からは歩いて10分くらいで船の乗り場が見えてくる。
用紙を記入してひとり4100円払って少し待つと、番号が呼ばれて舟へ。亀岡から嵐山まで、およそ2時間をかけて川を下ることが出来るのだ。
四人掛けの二列目の席に座り、いざ、出発すると、船頭さんがところどころで面白おかしく解説をしてくれる。
急流では歓声が上がり、遠くの山々を臨みながら、愛宕山の解説が入る。
舟は川底の石に時々あたりながら、岩岩に囲まれた細い流れの中を舵を切ってすり抜けて行く。
山々は、例年よりはよくない紅葉とはいえ、晴れ渡る空に黄色や赤の紅葉が鮮明に燃えているように見えて美しい。
途中、猿が水遊びをしているところでは、LもJも歓声を上げた。
渡月橋の船着き場に着く前には、おでんや焼きイカを舟の上で買って食べられるサービスもあって、彼らも堪能してくれたようだ。
その後、竹下通りかと見紛う人をかき分けて、常寂光寺、二尊院へ行き、美しい京都ならではの紅葉を目に焼き付けた。
冬は寒いので屋根やカバーをつけるらしいが、保津川下りは春から秋が最高に楽しめると思う。
★保津川下りhttp://www.hozugawakudari.jp

千ひろ

八寸

お造り

鯛の骨蒸し

京都では有名な三つ星店『千花』の次男である大将は、『千ひろ』というお店を祇園の北側でやっている。
『千ひろ』は、京都にしては珍しく魚料理にこだわり、あまりこねくり回すことのない素材の良さを生かした料理である。鯛やイカ、マグロなど、どれもとてもいい状態で出てくるミシュラン二つ星店。
写真で見る限りはとてもシンプルな料理なので、最初はどうなのだろう…と思っていたのだけど、どの魚も素朴な味つけでとても美味しかった。
割烹料理は、八寸を見たらわかると言われるが、この店の八寸は、酒飲みには堪えられない品々。筋子、自家製からすみ、豆腐の味噌漬け、銀杏、百合根…
また、料理にフルーツを合わせるのも変わっている。穴子にラフランスを合わせたり、ブドウに湯葉を合わせたり、変わった組み合わせはコースの中でアクセントになっている。
鱈の白子のフライのタルタルソース、鯛の骨蒸し、琵琶湖のモロコのフライなど、京都らしい素晴らしい料理を堪能した。
大将もとても温和で話しやすいので、初めての祇園のお店という人でも、ゆっくり楽しむことが出来ると思う。
★割烹 千ひろ
075-561-6790
京都府京都市東山区祇園町北側279-8
http://tabelog.com/kyoto/A2601/A260301/26000272/

京洛肉料理 いっしん

シンガポールからL&Jカップルが来日して、京都へ。
前回、桜の時期に京都に4人で来たのだけど、それが楽しかったのか、紅葉の時期にも行きたいというので、彼らにとっては2回目の京都となった。
今年の京都の紅葉自体は、残念ながら夏が早く終わり、暖かい秋が長く続き、ここ数日やっと寒くなったようで、紅葉する前に葉が落ちたりしていてあまり美しい状態ではないようだ。
『京洛肉料理いっしん』は、お肉に特化した割烹料理屋さん。始まりから終わりまで、お料理はお肉で貫いている。
みすじ、たん、テールなど、様々に形を変え、調理方法を変えて出てくる料理は、肉好きには堪らない。
ミシュランの二つ星と言うことなので、外国人にも日本の肉料理は好まれるのだろう。
最後のお茶漬けに至るまで、お肉だったのはさすが。
★京洛肉料理 いっしん
075-531-5311
京都府京都市東山区縄手通新橋東入ル祇園新橋元吉町51
http://tabelog.com/kyoto/A2601/A260301/26003825/

東。

とん平焼き

こうねというホルモン

お好み焼きのうどん入り

東と書いて、「あずま」。
もともと外苑西通り沿いの南青山三丁目にあった『ほ』というお店が改装してオープンした。
『ほ』には、会社の部会でよく訪れていたので、このお店を東ちずるさんがやっているということは知らなかったのだけど、今回はちずるさんのお店オープンということで、神ニファミリーで押しかけたのだ。
お料理は、広島お好み焼きがメインで、なぜだかネパール料理もほんの少しあるようだ。
牡蠣のバター焼きやハラミやホルモンを鉄板焼きでいただきながら、みんなでワイワイお酒を飲んだ。
とん平焼きというものに僕は馴染みがなかったのだけど、お好み焼きのように小麦粉ではなく、卵でふんわりと調理してあって美味しかった。
広島お好み焼きは、中に入れる麺を焼きそばかうどんか選べて、なおかつチーズなんかも入れられる。チーズが意外に甘いソースと相まって、なかなか美味しいお好み焼きだった。
カウンターで気軽に飲むのもよし、大人数でテーブルを囲むもよし、使い勝手のいいカジュアルなお好み焼き屋さんが青山に出来たことはとてもうれしい。
★東
東京都港区南青山3-2-3
ダイアンクレストビル 1F
☎︎ 03-3408-7207

家を探して。2

内覧した家に、点数をつけて楽しんでいた。

家を探す決心をしてから、ほぼ毎日いくつかの不動産サイトを覗き、近くの不動産屋さんを通ると顔を出し、2ヶ月くらいが過ぎただろうか。
どの家も、いい部分はあるけど、ダメな部分もあって、当たり前なのだけど、完璧な家には出会えなかった。
そして、様々な条件を見に行くうちに、自分にとって家には何が重要なのかを何度も何度も考えた。
駅からの距離、築年数、広さ、日当たり、ベランダ、南向き、窓が多いこと…
気がつくと、10軒もの家を見に行っていて、その中でも、ここなら住んでもいいかな…と思える家が一軒だけ見つかって、不動産屋さんにお願いした。
すると、数人の方がすでに見に行っているので、入れるかわかりませんよと言われ、すっかり諦めて別の物件探しをしていたら、しばらくして不動産屋さんから連絡があり、そこの物件で借りて欲しいと言われたとのこと。
その物件は、敷金礼金が4ヶ月2ヶ月で、今時それはきついなあ…と思い、
「敷金礼金が1ヶ月1ヶ月ならば借ります」
と、東京の人らしからぬ交渉をしてあったのだ。
正直、こんなに早く決まるとも思っていなかったので、自分自身、本当にあそこでいいのかなあ…とぼんやりと今は思っているのだけど、実はこの物件、朝起きた時に、宇宙に向かって、
「もしも宇宙に、僕の願いが叶うという法則があるならば、それをハッキリとした形で、今日中に見せてください。でないと、もう宇宙のことは信じません」
などと、頼んで出かけたのだった。
するとその日に昼頃一度帰宅すると、ポストに見たこともない不動産屋さんのチラシが入っていて、そのままその不動産屋さんを訪ねて行って、その日のうちに物件を紹介されて、そのまま見に行った物件だったのだ。
ドアを開けると、日差しのいい匂いがして、
「あ、もしかして、ここに住むのかもしれないな…」と思ったのだった。
こんなこと、あっていいのかわからないけれども、なんだか、宇宙が僕にニンマリと笑いかけているように思えたのだ。

野菜炒め。

お気づきかもしれないが、僕にとって、中華料理というもののプレゼンスは物凄く低い。そして、タイ料理などアジアの料理も全般的にもとても低い。(どこで食べてもみんな同じ味がしませんか?)
なぜならば、ほとんどと言っていいくらい、中華料理やアジアの料理には、化学調味料がたっぷり入っているからだ。(ナンプラーにはすでに化学調味料がたっぷり入っていたりする)
あの食べ終わった後の変な味が残るのが嫌なので、外ではほとんど中華料理を食べることはないのだけど、時々、余った野菜で野菜炒めを作ることがある。
野菜を食べたいなあ…という日は、帰りがけに、もやしとニラと豚肉を買って帰る。この3つさえ外さなければ、他にどんな野菜を入れても、野菜炒めらしくなるから不思議だ。
★カンタン野菜炒め
〈材料〉
豚肉200gくらい
もやし一袋
ニラ1束
玉ねぎ半分
※その他、小松菜、白菜、青梗菜、空芯菜、豆苗、しめじなど好きな野菜を適当に。
にんにく1かけ
生姜1かけ
下味用(塩・胡椒・酒小さじ2)
◎黄金の調味料(醤油:酒:オイスターソースを大さじ1:1:1)
※お店の味にしたければ、これに鶏ガラスープの素(化学調味料不使用)を小さじ1加える。
グレープシードオイルかサラダ油、ごま油
〈作り方〉
1.豚肉を食べやすい大きさに切り、塩胡椒と酒をまぶし、下味をつけておく。
2.野菜を切る。にんにく、生姜は千切りに。玉ねぎは薄くスライス。ニラは4センチに切って、茎と葉を分けておく。もやしは余裕があればひげ根を取る。小松菜、白菜など、食べやすい大きさに。野菜ごとにバットなどに分けておくこと。黄金の調味料を混ぜ合わせておく。
3.熱くした中華鍋にグレープシードオイルかサラダ油大さじ1を入れ、馴染ませて捨てる。そこへもう一度油を大さじ1入れて、もやしをさっくり炒めて取り出す。
4.ここからは、一気に行く。
油を大さじ1を足して、豚肉を炒める。全体がピンク色になったら、にんにく、生姜を入れ、火の通りにくい野菜から入れていく。(玉ねぎ→小松菜→しめじ→ニラの茎)。
5.ニラの葉を入れ、黄金の調味料を入れたら、もやしを戻し入れ、最後にごま油を小さじ1ふりまわす。熱いうちに!

「外苑前日記の方ですか?」

大好きな福岡でのOUT IN JAPANの撮影が終わって、『七男鳥』に顔を出した。
席に着くといきなり、帰りがけのお客さんが近づいて来て、
「あのー、外苑前日記を書いている方ですか?」
と聞かれ、面が割れているのかとびっくりして、
「そうですけど、あれ?なんで僕が書いているって知ってるんですか?」と聞き返すと、
「マスターから教えてもらいました。七男鳥のことがいきなり出てきたので知ったんです。僕の彼がいつも読んでいて、楽しみにしてるみたいです!」
といううれしいお言葉をいただいた。
この、個人的な日記を読んでくれている人は、おそらくこの世界でふたりくらいだと思いながらいつも書いているのだけど、
この日記の目的は、まずはボケ防止。
というのは冗談ですが、改めて日々のささやかな暮らしをふりかえった時に、幸福だった日も、辛かった日でさえも、その後に新しい道に繋がっていることがわかり、感謝の気持ちが湧いてくるからだろう。
僕以外に、誰かがこの日記を時々見ながら、
「世の中にはこんな1000%ゲイの人もいるんだなあ…」などと、思ってくれたらありがたいです。
声をかけていただき、ありがとうございました。
今度、一緒に『七男鳥』で飲みましょう!

『とり田』と『磯ぎよし』。

とり田の水炊き

一人分でも食べられる。

磯ぎよしの鯖南蛮

Kが日曜日早朝から仕事だったため、土曜日の撮影の途中に福岡から大分へ帰ってしまい、日曜日の午前中は一人で迎えた。
パレードまでのランチは何にしようかと散々迷った挙句、ホテルのすぐ横に水炊きの店『とり田』があったので、一人で水炊きが食べられるかと電話をすると、大丈夫とのことで行ってきた。
『とり田』は、はじめに薬院に店が出来て3年くらい経つだろうか。伝統的な福岡の水炊きとは一線を画す独自の水炊き店だ。
伝統的な水炊きの店『水月』や『長野』は、あらかじめ茹でてもはやパサパサになったような鶏肉が鍋に入って出てくるのに対して、『とり田』は、冷めたスープの中に、生の鶏肉が入って出てくる。
『とり田』では、鶏肉は熱が通って間もない肉の弾力が残るうちが一番美味しいと考えているようだ。
丸鶏をじっくり煮込んだものを独自の手法で細かく濾したスープは濃厚。またここの黄金ポン酢は、醤油の色が薄く、琥珀色をしていて味もスッキリしている。
リバレインの横に出来た中洲川端店は大きく、ゆっくりと落ち着いて水炊きを楽しむことが出来る。
★とり田 博多本店
092-272-0920
福岡県福岡市博多区下川端町10-5 博多麹屋番ビル 1F
http://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400102/40037654/
夜は、飛行機までの時間があったので、パレードの後にみんなで『磯ぎよし』へ。
『磯ぎよし』は、手頃な値段で赤むつや鰤カマなどが食べられる、福岡らしい元気なお店だ。
刺身の特上盛り合わせは、サザエや生きたトコブシ、鰤、クジラ、イカ、鯖…どれも申し分なく美味しい。
赤むつや鰤カマは、塩焼きでお願いして、ナマコとコノワタわ頼み日本酒へ。
居酒屋さんらしい明太だし巻きや、キビナゴの唐揚げ、鯖南蛮でみんなは歓声を上げた。
東京の居酒屋で食べる魚は、やはり鮮度の面で、全く福岡の魚にはかなわないと、一同揃って納得してくれた。
★磯ぎよし 下川端店
092-281-6780
福岡県福岡市博多区下川端1-333
http://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400102/40025209/