一人暮らしゲイの入院。

夜中にふとスマホを見ると、ゲイの61歳の会社の先輩Fから着信が2件入っていた。
何かあったのだろうか?と朝起きて連絡すると、どうやら腰のヘルニアで動けなくなり入院したらしい。
会社から電話をすると、足が動かなくなり転倒してから、どんどん動けなくなり病院に行った経緯を話してくれた。
1週間くらいは入院しているというので、そのうちに見舞いにいこうと思いながら、病院が武蔵小杉という僕にとっては地の果てにあるので、内心行くのを面倒に感じていた。
Fとショートメッセージでやりとりしている限り、相変わらず元気だったけど、月曜に手術が決まり、その前に様子を見に行こうと夕方病院へ。
個室のドアをノックし中に入ると、アバクロのスウェットを着たFは、世界共通の初老ゲイに見えた。
僕の顔を見るとうれしそうに、下の喫茶店に行こうと車椅子に乗り喫茶店に向かった。
Fは、病気の過程をまた1から丁寧に僕に話しはじめて、月曜日に三箇所の背骨の脇の神経に近い部分を切開して手術するところまで話した。
F「手術するのって、生まれて初めてだから、ちょっと心配なんだよね…切開したら、癌が見つかったりするんじゃないか…って」
僕「病気は、癌ではないのだから、今までの検査で癌が見つかってなかったらそこにはないと思うよ」
F「手術の時に麻酔をするので、親族がついていないといけないのだけど、親戚は岡山で弟も仕事があるから来てもらえなくて、しようがなく同じ部署のT(Fと同じ世代)に頼んだんだ。そしたらTもいいよって…」
僕「誰もいなかったら僕に言ってくれたら、付き添いするからね」
F「ありがとう」
色々Fと話してわかったことは、僕以外にお見舞いに人はあまり来ていないだろうということ。何人かにメールしたり電話をしたようだけど、みんなそれぞれ忙しいとか、病院が遠いからまた後で行くとか、そんな連絡が来ているようだった。
一人で暮らしているゲイには、こんな時に頼れる人が少ないのだと思う。親族とのつきあい自体に距離を置いている人も多いし、仕事場や友人など周りにいる人以外に頼れる人はいないのだろう。
お見舞いに行けてよかったことは、Fがとても不安だったことがわかったこと。そして、少しは勇気づけることができたこと。
帰りの電車に揺られながら、「怖かったり、不安な時は、いつでも電話してね」とFにメールを打ったのだった。

自家製ポン酢。

Kの田舎の大分に住む先輩からカボスが届き、追いかけるようにしてKの実家からもカボスが届いた。
いくらカボスが好きだとはいえ、すべてのカボスを期限内に食べ尽くすことは難しそうなので、思い切っていくつかを黙々と絞ってみた。
ボウルに網をのせ、その上に思う存分カボスを絞る。カボスはすだちに比べて大きいので、その分果汁もたっぷり取れる。
その果汁を二つに分けて、一つは冷凍庫に。もう一つは自家製のポン酢を作ってみた。
<自家製ポン酢の作り方>
1:1:1でカボスと醤油と出汁を合わせる。
※薄口醤油の場合は、塩分が高いので、醤油の量を少し減らしてもいい。
※冷蔵庫に一週間以内で使い切ること。
自家製のポン酢は香り高く、酸味もきつくなく、ほのかに自然な甘みが感じられ、飲んだ後に口の中に何も残らない。
大根の千切りや茗荷、シソの葉、水菜などあり合わせの野菜を合わせてかけてみる。すると、いくらでも食べられそうな美味しさではないか。
ほうれん草を茹でて、自家製ポン酢をかけてみる。これもすっきりとしたお浸しが速攻で完成した。
「あああ、なんで今までこれを作らなかったんだろう・・・?」
後悔するほど、自家製のポン酢は美味しかったのだ。

search /サーチ

100%PCの画面だけで構成されたという映画『search /サーチ』は、今年のサンダンス国際映画祭で観客賞を受賞した評判の映画。
内容をまったく知らずに映画館に行き、知らず知らずのうちにサスペンスにのめり込み、先のわからないストーリー展開に翻弄された。
instagram、Facebook、Twitter、tumblr・・・様々なSNSの中に広がる闇を彷徨う物語。
ぜひ内容は何も見ずに見に行っていただきたい。見終わった時に、「よくできた映画だなあ・・・」としみじみ思えると思う。
映画には、まだまだ新しい可能性が隠されているのだと思える素晴らしい作品。
⭐️search /サーチhttp://www.search-movie.jp/

仲良し3人組。

ローストビーフやフォアグラもある八寸

スッポン

ご飯がずば抜けて美味しい。

ゲイの僕とI、そしてストレートの女性Cの仲良し3人組で食事をするのは、気がついたら半年ぶりくらい。
昔は毎週のように会っていた気がするけど、今ではふたりともお店をしているのでなかなか3人で会うことが出来なくなってしまった。
渋谷の神泉にあるカウンターのみの和食店で、3人揃って久しぶりに食事をした。
Iは、自分がゲイだと気づいてからはじめてつきあった男性に会うために、九州に行って、楽しい時間を過ごし帰ってきたという話をする。
はじめてつきあった男に今でも会えるというIの話に感心してしまう。はじめてつきあったばかりか、その後付き合ってきた8人くらいの男性すべてと今でも連絡を取り合っているというから驚きだ。僕の場合、つきあった男はKとその前にもう一人しかいないし、その一人であるNはもう他界してしまった。
今までさまざまな人に出会って来たけど、この広い地球上で何らかの関係を持ったということは、それだけで奇跡のようなことなのだろう。その人から僕は学ぶことがあったのだと思う。
Iが61歳、相手の方が60代後半。いつ何があるかわからないし、思い立った時に会いに行けてよかったと思う。旅行に行く前にIに僕が、「冥土の土産に一発やってきたら?」と言うと、「やるわけないじゃん!」と笑っていたのだが、実際はどうだったのか、真相は闇の中だ。
Cは40代はじめなのだけど、最近お寿司の学校に通い始めたと言う。毎週土曜日、朝から夕方までみっちり勉強するお寿司の学校は、全部で40回もあるというから驚きだ。
Cは、「あたし、オランダに移住しようと思って・・・それでお寿司の勉強と和菓子の勉強はじめたの」と言う。お寿司だけでなく和菓子も習い始めたというのだ。
昔から栗の渋皮煮なんかを作っては、僕にくれていたCを思うと、お寿司も和菓子も頑張って卒業しそうだけど、改めて友人が新しいことをはじめたその勇気に驚いたのだ。
Cが言う。「王子(僕のこと)も今度、ミュージカルの歌でも習えばいいじゃん。それで3人でミュージカルの発表会するの!」
歌には自信がないからそんなことはやらないけど、新しいことを始める気持ちって、いくつになっても忘れたくないなあと思ったのだ。
⭐️しんせん 割烹 佐乃家
(10000円で和食のコース料理が食べられる)
03-6277-5526
東京都渋谷区神泉町2-9 シャルム神泉 B1F
https://tabelog.com/tokyo/A1303/A130301/13203305/

たこ焼きパーティー。

アメリカ産の松茸1000円も入れた。

家で学生のように、たこ焼きパーティーをした。
あくまでもたこ焼きがメインで、関西風のサイドメニューをそえて。
ゲストは、女の子ふたり。
たこ焼きを食べながら、「美味しい!!」と歓声があがる。
前にもここでご紹介した、フィスラーのたこ焼き器なのだけど、ほんとうにあっつあつで中はふっくらトロリと仕上がるのだ。
『たこ焼きパーティー』
生湯葉刺身
きゅうりの昆布茶和え
アメーラトマト
大根とカイワレと獅子唐と茗荷のサラダ
ほうれんそう胡麻和え
壬生菜の煮びたし
万願寺とうがらしのたいたん
たこ焼き
おでん
いろいろキノコの炊き込みごはん
お吸物
家に人を呼ぶのは、食材を仕込んだり、掃除をしたり、面倒なことだらけだけど、友人たちが喜んでくれる顔が見れると、やってよかったなあと思う。いつもお料理を作り過ぎてしまうんだけど、足りないよりは多いくらいのほうが楽しめる。
今度はイタリアかスペインパーティーにしようかな・・・。

おでん

土曜日に友人たちが遊びに来るというので、おでんを仕込んだ。
朝からたっぷりのお水に昆布を浸けておき、夜に帰ってじっくりと時間をかけて引いた出汁に、たっぷりのかつお節を入れてしばし煮出す。おでんは火入れに時間がかかるため、蒸発する水分を考えて出汁は少くても2リットル、出来れば3リットルくらい取っておいた方が良い。
買ってきた生の牛スジを一度茹でこぼし、圧力鍋で下茹でをして、大根を剥いて下茹でして、茹で卵を作って、鶏肉の手羽元を湯通しする。出汁を引いたら味をつけて、下処理したこれらを弱火で煮込み、冷ますまでを前の日にやっておくと味がじっくりとしみ込み随分ラクなのだ。
<僕のおでんのつゆ>
濃い目の昆布鰹出汁2リットル(煮干をプラスしても良い)
薄口醤油50ml
塩小さじ2とプラス小さじ1/2〜1くらい(少しずつ味をみながら足す)
酒大さじ1
(好みによって砂糖少々)
僕は、醬油が濃い目に色づいたおでんよりも、つゆに透明感が残り、醤油は香りづけ程度に入れて、基本的には塩で味をつけるおでんが好きだ。明日の準備をしながら、友人たちが喜んで食べてくれるだろうか・・・と考えるのもしあわせな時間。

Kのお母さんからのLINE。

家で晩ごはんを作っている時に、Kから帰り道に電話がかかってきた。
K「父さんとお母さんが1月に従兄弟の結婚式に出席するためにハワイに行くんだけど、アメリカに入国する時に、検査で薬が見つかったら大変だから、英語の健康診断書を持って行ったほうがいいよね?って聞いて来たんだけど、どう思う?」
僕「今まで色々旅行してるけど、持っている薬で聞かれたり取り上げられたことはないよ。心配だったら、薬ごとに、なんの薬か訳して紙に買いて一緒に薬に入れておけばいいんじゃない?」
K「そうだよね・・・」
僕「お母さん、なんて言ってるの?代理店に言われたのかね?ちょっとメール見せてみて」
僕は、送られてきたLINEのやり取りを見ながら、ゲラゲラ笑ってしまったのだった。
お母さんのLINE、点がとっても多いのと、小さな『っ』が打ってなかったり、打ち間違いもあってなんだか見ていてほのぼのとして来る。
僕が「点が多いね・・・」と言うと、Kはお母さんをバカにされたと思って、「かわいそう・・・お母さん・・・」と言った。
でも考えてみれば、67歳くらいのお母さんなんだから、メールを打てるだけでもすごいのかもしれない。僕の母なんて77歳でメールさえ使えないのだから。
帰ってきたKと、またLINEのやり取りを見ながら、僕たちは大笑いしたのだった。

シンガポールからCが来日。

お通し

炭火焼き鯖

松茸ごはん

渋谷駅を出てマークシティの通路を歩いていると、ふと見覚えのあるある顔を見つけた。
「Hi! I know you,,,(多分、ペナンで会ったと思うんだけど・・・)」
「Oh! Hi! (仕事で東京に来ていて木曜日までいるから、水曜日に会いましょう!)」
Cは、インドネシア出身でアメリカ育ち、今ではシンガポールに暮らしている。仕事の都合でアメリカや日本を行き来しているようで、日本に来るのもこれが6回目くらいのようだ。年齢は40歳くらいだろうか。
それにしても驚いたのは、9月に行ったペナン旅行で出会った友人と、これだけ広い東京の町中で偶然すれ違うなんて???
四谷駅そばの先日行って美味しかった日本料理店『炭火魚 旬彩料理坂本』は、この日もどれも美味しく、焼きあげた芳ばしい鯖と、香り高い今年初めての松茸ごはんをいただいた。
世界を股にかけて仕事をしているCは東京に家を買いたいようで、家の値段を僕に聞いては、思いめぐらせているようだった。
Cは日本料理店で、昼間の新宿2丁目で買ってきたグッズを見せようとうれしそうに僕たちの目の前のテーブルに広げそうになったのだけど、袋の中を覗くとコックリングとかコンドームとかTENGAだったので、慌ててそれを制止した。
食事の後は、Bridgeに飲みに行き、なんだかまだ物足りなさそうだったので、イーグル東京ブルーに行き、それでも持て余しているようなので、Boiler room にCを一人だけ投げこんで、僕たちは帰路についた。きっと楽しい夜になったに違いない。
⭐️炭火魚 旬彩料理 坂本https://tabelog.com/tokyo/A1309/A130902/13131899/

ご長寿早押しクイズ。

布団に入って、いつものように寝ようとしていたら、隣でスマホを見ているKが大笑いしたのだ。
「Kちゃん、どうしたの?」
「ご長寿クイズ見てるの・・・知ってる?」
そう言って、昔懐かしい『ご長寿早押しクイズ』を布団の中でふたりで見始めた。
そしたら、あまりの珍回答に、僕まで大笑いして、ふたりして声を出して笑った。
ふたりで布団の中で大笑いしながら、こんな日がずっと続きますようにと思ったのだ。
⭐️ご長寿早押しクイズhttps://youtu.be/UqSOCaVv8DE

三谷龍二さんの器。

あああ。

三谷龍二さんの手作りの木の器が好きで、もう15年から物によっては20年以上愛用している。
朝ごはんの準備をしている時にKが叫んだ。
「あーーーーー!」
驚いてキッチンに行くと、三谷さんの汁椀が落ちて割れてしまった後だった。
K「あああ・・・割れちゃった・・・」
僕「形あるものは壊れる時が来るんだよね・・・本当にこの器、好きだったんだけど・・・割れちゃったらもうどうにもならないよね・・・」
大好きでよく使って、洗ってはしまい、使っては洗いを繰り返していたから、手が滑ってしまうこともある。それだけ好きで使ったということで、諦めもつくよね・・・。
今までほんとうに、ありがとう。
そう思いながら、まだ捨てられずにいるのだ。