大晦日。

6時にイロドリに行き、そのまま友人たちと飲みながら、食べながらの大晦日だった。
毎年恒例になってきているのだけど、Fのお父さんが蕎麦を打ってくれて、蕎麦作りをやりたい人は、お父さんに教えてもらいながら蕎麦を一緒に作るのだ。
この作りたてのお蕎麦の美味しいことといったら…ぜひみなさんに食べて欲しいと思ってしまう。
ゲイがいたり、ビアンがいたり、トランスがいたり、近所の家族連れがいたり、どんなセクシュアリティであっても色々な人たちが垣根なく集まるイロドリにいると、心の底から素敵なお店だなあと思う。
途中、中抜けして二丁目のブリッジに顔を出す。これも毎年楽しみにしていることで、ここ最近はブリッジで紅白をみんなと一緒にワイワイ見ることになっている。
生きていると、思いがけずつらいことが起こる時もある。
今年は、10年間ともに生きた、たいせつな昔の恋人を失ったことを知らされた。
途中、バランスを崩しながらもなんとか大晦日を迎えることが出来たのは、友人やファミリーのような仲間たちがいてくれたからなのだ。
ありがとう。

フリージア。

29日に慌てて大阪から帰ってきて、正月飾りも正月花も飾っていなかったので、慌てて買いに行った。
本来ならば正月飾りは、28日までに飾るのがよいとされている。そして、29日に飾ることは避けられているようだ。
正月花は、南天を三本買い、玄関に飾る水仙を買いたかったのだけど、水仙が売り切れていたので、フリージアを買ってきた。
「涙顔 見せたくなくて スミレひまわりフリージア…」のフリージアだ。(なんて不思議な歌詞なのだろう…)
家を入った時に、人が一番気になるのは、玄関の散らかり具合ではなく、その家の匂いであるという。
普段はイタリアのディフューザーを使っているのだけど、正月はフリージアの香りにしてみた。
廊下に出ると、なんとも言えない爽やかな自然の香りが広がる。
花器は、昨年の誕生日にKTにいただいたもの。
(ありがとう)

2015年の旅。

今年もいろいろな町へ旅をした。
いつか、水戸黄門になりたい僕としては、かなり楽しい1年だったように思う。
新年明けの大阪旅行から始まって、年末の大阪で終わったのはちょっと意外だった。
福岡 6回
大阪 5回
八日市 3回
宮島2回
大分 2回
京都 2回
金沢 1回
沖縄 1回
天草 1回
ニューヨーク 1回
トロント1回
ポートランド 1回
コペンハーゲン 1回
旅をして、見たこともない景色を見て、その土地の料理に出会い、人に出会う。
これほど楽しいことがあるだろうか。
来年も、日本中、そして、世界を駆け回りたいと思う。
今年、お話できたすべての方々に感謝している。
ありがとうございました。
新しい年にも、みなさんの笑顔が溢れますように。

Xの新しい恋。

鰤カマ

牛肉の塩炒め

鶏肉

Xは、僕と同じ47歳。
僕とよく旅行にも行くし一緒にいるので、初めての店ではカップルと思われることもあるくらい(40代専ではないのでありえないのだけど)。前の恋愛の酷い別れから、14年間くらいずっとひとりで生きて来た。
僕の記憶にある限り、昔は台湾などの旅先での関係を何度か繰り返していたが、そんな恋も長続きするものではなく、いつも仕事が忙しいと言って恋愛には近づかないようにしていた。
今年の初め頃、Xは珍しく30代の日本人を好きになったのだけど、その恋は儚く終わり、その後はまたいつもの仕事一筋の毎日に戻っていた。
それが、先日、仕事で大阪に行った際に、30歳の若い子と知り合って、LINEで連絡を取り合っていることを聞かされた。
写真を見せてもらうと、かわいい感じの子だったので、大阪と東京という距離はあるものの、僕は応援していた。だって、この年になって誰かといい感じの関係になるのは、そうそうなくなってくるから。
年の瀬も押し迫った頃、Xが、大阪に行こうかな…と言い出した。
「ただしちゃんも大阪に行かない?」
僕は、九州旅行があった予定を変更して、帰りに大阪に飛んだ。
Xは、先に大阪入りをしていて、ユニバーサルスタジオにその子と一緒に行きデートをした後、晩ご飯の席で僕と一緒になるということに。お店は、若い子が選んでくれた堂山にあるゲイの居酒屋さん『にしやま』。
『にしやま』は、関西風の味付けで、鰤のカマ焼き、牛肉の塩炒めなど、どれを食べてもとても美味しい。
ふたりは17歳も年が離れているのに、その若い子はなんだか年上の扱いに慣れているように見える。それは、お母さんが43歳の時の子どもだったりして、家族が皆年が離れていたり、ずっと年上が好きだったからだろうか。
久しぶりに訪れたXの幸福そうな顔を見て、僕までうれしくなった。
先のことは、誰にもわからない。でも、わからなくても、Xには、目の前にあるその人に向かって行って欲しいと思う。
仲良く手をつなぐふたりの姿を見ながら、そう思った。
★にしやま
06-6360-2480
大阪府大阪市北区堂山町10-11 H&Iビル 2F
http://tabelog.com/osaka/A2701/A270101/27076502/

Kのハッピーバースデー。

27日はKの31歳の誕生日だった。
お昼までのんびりと福岡で過ごした後、ソニックに乗って大分へ向かう。
久しぶりに訪れた大分駅は、新しく生まれ変わり、ユナイテッドアローズやビームスなどが入り急に煌びやかになっていた。
駅からすぐの『トキハ』という老舗百貨店に行き、今日の鴨鍋のための野菜を買い、電話で予約しておいたKのためのバースデーケーキを受け取った。
ケーキ屋さんで、「ケーキに入れるお名前は?」と聞かれ、「かつゆきくんでお願いします」と答えながら、なんだか恥ずかしさを感じていたのだけど、お店側からしたら、かつゆきくんは大人のゲイのパートナーとはわからなくて、子どもだと思うだろうと思い直した。(たとえゲイのパートナーとバレてもそれはそれで面白いのだけど)
ケーキを頼んであったのを知ったKは、思わず顔が輝いた。
「ケーキ、頼んでくれてたの!」
ブルゴーニュの赤とシャンパーニュを買って、Kの家へ。思えば、昨年末もこうやって『鴨鍋』をふたりで食べたのだった。
「お豆腐、柔らかくて美味しいねー。さすが、京都の豆腐」
「鴨は、低温でしゃぶしゃぶくらいが柔らかくて美味しいねー」
「春菊うまい!」
「このつみれ、コクがあるねー」
ふたりで家で食べる鍋はやっぱり温かくて、こうしてまた、ふたりで誕生日を祝える幸せを噛み締めた。
ケーキにロウソクを立てて、ハッピーバースデーを歌う。
Kに願い事をさせて火を吹き消させると、恥ずかしがりながらも、子どものようにうれしそうだった。

温かな食卓。

時間をかけて取られたスープ

沢山のお野菜

福岡に来ると、必ず立ち寄るバー『七男鳥』で、前々からNさんと食事をしようと話していたのだけど、今回やっと食事をすることができた。
僕は、「お店はどこでもいいですよー」と言っていたのだけど、僕が食にうるさいと思われているせいか、結局Nさんのご自宅で『水炊き』をご馳走になることに。福岡在住のNさんの友人たちも加わり、6人で囲む食卓は、楽しい一時になった。
ナマコやお刺身が綺麗に盛り付けられ、筑前煮も並んだ。やがて水炊きになると、たっぷりと鳥のスープが入った大鍋が出てきた。
Nさん曰く、鳥のスープを取るのに随分時間をかけたらしい。濃厚でいい香りがする。
鶏肉は、味が浸みており、味わい深い。口頭ネギをかけて柚子胡椒でいただく。
お野菜もたらふく食べて、〆には美味しい雑炊をいただいた。
食事の後には、Nさん自家製のカラスミが出てきた。売られているカラスミよりも柔らかく、塩のみで浸かっているためか、あっさりとしていて食べやすい。
間も無く東京に引っ越してくるKが話をすると、みんなはどうなるかわからない我々の新しい暮らしを応援してくれていた。
九州の人は、温かい。
ありがとうNさん。
美味しいお料理、ごちそうさまでした!

酒陶 築地

アワビとウニと肝添えチーズがけ

うずらと上総牛

キノコとのどぐろの炊き込み御飯

福岡には、お気に入りの料理屋さんがいくつかあって、『酒陶 築地』もお気に入りのお店のひとつ。
昔は、薬院のはずれにひっそりとあったお店は、この10月に白金に移転していた。
表の道からはお店があるのかわからないような細いアプローチを抜けると、整然としたカウンターが広がる店内に入る。カウンターは、椅子に比べて少し高いのだけど、物がなくスッキリとしている。ご夫婦は、相変わらず温かくもてなしてくださり、今日はクリスマスなのでコース料理にしてみた。
料理は、11品。
牡蠣の金時人参ソース、アコウのお刺身、渡り蟹の茶碗蒸し、ふぐと焼き茄子、鰆と牛蒡、低温調理のアワビとウニと肝添えチーズがけ、車海老のお椀、アラとビーツの煮物、オコゼの天ぷら、ウズラと上総牛、キノコとのどぐろの炊き込み御飯。
クラシックな京都の割烹料理などとは違って、驚きのある食材の組み合わせや調理法が取り入れてある。
たとえば、ふぐに焼き茄子を合わせたり、アワビとウニに、更にチーズを合わせたり、アラにビーツを合わせるなんて、他の店では見たことがない。イタリアの常識からすると、海のものにはチーズは合わないとされているからだけど、そんな常識を気にすることなく、常に新しい独自の料理を追求されている。
日本酒の品揃えも豊富で、出来立ての生酒が数種類扱っているのも魅力的だ。
ゆるい音楽が流れ、次はどんな料理が出てくるのだろう?と、見たこともない料理に期待をする時間も楽しいものだ。
また必ず訪れたいと思う、福岡にしかない名店。
★酒陶 築地
092-531-6386
http://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400104/40019154/
福岡市中央区白金2-15-46

ハッピーバースデー。

レバー…極うま。

実は、22日に47歳になってしまった。
47歳というのは、どちらかというと50歳に近いので密かにショックを受けている。
引っ越しの疲れと、OUT IN JAPANの撮影の疲れもあったので会社を休み、引っ越しの片づけをひとりで黙々と行った。
そこへしばらくすると、XからLINEが入る。
「今日は何時でもいいので、引っ越しが一段落して時間ができたら、一緒にごはんを食べましょう!」
僕が誕生日を大袈裟にお祝いされるのが苦手なことを知っているXは、気を利かせてなんとかふたりでゆっくりごはんを食べられたらいいと考えてくれていたようだ。
なぜなら、断っても断ってもしつこいくらいに何度もお誘いのLINEが来たから…。
夕方になって疲れたところで、Xと二丁目の『松の屋』でごはんを食べることにした。
ルミエールの斜め向かいにある『松の屋』は、実は二丁目の隠れた名店で行きつけの店。焼き鳥をはじめ、お料理が美味しい(店内にはフィギュアが溢れかえっているので一瞬不安になるのだけど、味は間違いない)。しずほさんというとてもやさしい女性がやっている。
4100円くらいの鳥の鍋のコースにして、気軽に日本のワインなんかを飲みながら、Xと楽しく食事をした。
鍋に行くまでに、かなりの量の鶏肉料理が出てくる。僕たちが常連だからか、レバーまでサービスしてくれる。
雑炊まで食べて満足で帰ろうとジャケットを着ると、ハッピーバースデーの曲が店内に流れて、中からしずほさんがケーキを持って出てきた…。
「こういうのがとにかく一番苦手なんだけどなあ…」
そんなことを思いながら、久しぶりに願いを込めて蝋燭の灯を消した。
どうやらあらかじめXが、僕が誕生日だということをしずほさんに言っていたようで、ケーキを仕込んでおいてくれたみたい。いつもは甘いものに口をつけない僕も、この日は有難くいただいた。
47歳の誕生日は、静かで温かい誕生日だった。
ありがとう。X!
★松の屋
03-3351-3115
東京都新宿区新宿2-15-13 ナカエビルⅢ 1F
http://tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13012043/

Kのカミングアウト。その2

思いきって、家族全員が揃う家族会で、いきなりカミングアウトをするというKの計画を、取り敢えず阻止して、まずはお姉さんやお兄さんから攻略するのはどうだろう?と提案したのが先週。
そしてその週末の土曜日、Kは、あらかじめ話があると言っておいて、離れて暮らすお姉さんとお兄さんの家を訪れた。
数時間Kから連絡が途絶えて、どうなったかなあ…と引っ越しの準備をしながら、僕も気を揉んでいた。
そこへ、ひょっこりKから連絡が入った。
K「お姉ちゃんとお兄ちゃん、大丈夫だったよ!」
僕「よかった!!」
K「驚いていたけど、他人に迷惑かずに、生きてれば大丈夫と言われた」
僕「やさしいね」
そしてその翌日、Kはあらかじめ話があると言っておきながら、お父さんとお母さんのいる実家を訪れた。
K「やっぱり、ショックみたい。
仕事を辞めることも心配している…。
ただしくん、会いたいと言ったら、お母さんたちに会ってくれる?」
僕「もちろん会うよ…なんだか緊張するけどね…」
そして数日後、お兄さんから連絡がありKが呼ばれた。
K「僕のいないところで家族で会議をしたみたい。
お父さんもお母さんも、泣いてたって…。
ゲイと言うことよりも、仕事を辞めることが心配みたい」
K「路頭に迷わせることだけはしないでくれと、その人に伝えてくれって…」
僕「路頭に迷うって…そんな悲しいこと言うなんて、お母さんかわいそう…」
お父さんとお母さんのリアクションは、僕の想像の範疇だった。大分の宮崎よりの田舎町で暮らすお父さんとお母さんにとって、ゲイがなんであるのかもわからないに違いない。
これから時間をかけて、ゆっくりとご両親を説得していくほかに、道はないのだろう。
それにしても、僕と会うまでは、完全にクローゼットだったKの勇気を、今更ながら、誇らしく感じたのでありました。

ぺんぺん草のひろしさん。

引っ越しの時に、血眼で最後の力を振り絞ってCDを仕分けしていたら、突然ぺんぺん草のひろしさんのジャケットが出てきた。
本当に驚いたのだけど、なんだかちょっと笑ってしまった。
ひろしさんは、劇団ぺんぺんのお芝居が終わって3日くらいしたらバリ島に飛んでしまった。
いつもは1月から2月にかけて海外で過ごしていたのに、今年は12月の頭からバリ島へ。
今ごろ何してるんだろう?
時々、あの店のくだらない話が懐かしくなる。
今日はぺんぺん草に行きたいな…と思っても、2月まではひろしさんには会えないのだ。
寂しいので、このCDを聴いてます。