一陽来復

これを吉方位に向けて貼るらしい

この人の列…

注意書き

『一陽来復』とは、冬が終わり、春が来ること。悪いことが続いた後に、幸運に向かうこと。
江戸時代からこの『一陽来復』のお札を授けることで知られている『穴八幡』に行ってきた。
数年前の冬至を過ぎた頃にタクシーに乗ったら、女性の運転手さんが話しかけて来た。「先日、新宿の外れの弁天様ですかね?の方を通ったら、ものすごい人で、なんでも、そこのお札を貰うとその年は苦労しないで過ごせるらしいんですよ。夜明け前から人が押しかけてるんです…」
「お客さんも行かれたらどうですか?」
その時は、笑って聞き流していたのだけど、先日その時の会話をなぜだかふと思い出してネットで調べたのだけど、てっきり『抜け弁天』だと思っていたら、抜け弁天ではお札などの情報が見つからなかった。
その後、またしばらく忘れていたのだけど、弁天というのは運転手さんの思い違いかもと思い、新宿の外れの縁起のよさそうなお札を調べたら、『穴八幡』の『一陽来復』に行き着いた。
そして、なぜだか朝起きたら、「今日こそ『穴八幡』に行く日かもしれない。」と思い出して、映画を観た後に、わざわざ早稲田まで足を運んだ。
穴八幡に着くと、ものすごい人の列が出来ていたので、わけも分からずまずは並んでみた。流れは早くすぐに順番が来て、『一陽来復』をいただくことが出来たのだけど、本来は先にお参りをした方がいいらしい。
参道の途中に、禿げで太った石像があって、なんだかそれも温かくかわいかったので、お参りして撫ぜて来た。
『一陽来復』は、冬至の時が最も混むらしいが、大晦日、節分と、三回新年の始まりがあり、24時丁度に、その年の吉方位に向かって高いところに貼るとのこと。
節分を境に春に向かうように、新しい年も沢山の笑いで溢れますようにと願ったのでした。

LAZY

一番好きな、うにのグラタン

ホワイトアスパラガスのレモン風味

牡蠣のオーブン焼き

銀座にある『LAZY』に、久しぶりに顔を出した。
友人のやっている『LAZY』は、もう、20年以上昔から通っているお店。今は銀座一丁目にあるのだけど、前は六本木の星条旗通りのそばにあったし、その前は六本木の芋洗坂にあった。
食べものは、しいてジャンルをつけるとすると、創作イタリアンといったところだろうか。チーズやグラタンなどのオリジナル料理も美味しいので、女性を連れて行くと喜ばれる。
オーナーは50代後半から60になったかもしれない(ごめんなさい)髭のあるハンサムなIさんで、いつ行ってもホッとするやさしい人だ。
昔は日本人とつきあっていたのだけど、ここ10年以上は台湾人のUとつきあって一緒に暮らしている。この日は偶然Uも店に来ていて、久しぶりに会えて楽しい夜になった。
20年以上も前から行っているので、「なんか、随分体格良くなったんじゃない?」なんてIさんにからかわれてしまった。
夜遅くまでやっている食べもの屋さんで、いつでも気軽に寄れて、僕がゲイだと言うことも知っていて、会社の人と行くとそれに気づいて気を遣ってくれる。
Iさんは、僕が連れて行く男を一目見ただけで、それが恋人なのか、友達なのか、はたまたこれからエッチな関係になりそうなのか見抜いてしまう。
僕たちゲイが、周りを気にし過ぎずに普通に会話が出来るレストランがあるなんて、ありがたいことだ。
★LAZYhttp://s.tabelog.com/tokyo/A1301/A130101/13029353/

KANO 1931海の向こうの甲子園

幼少の頃の記憶をたどってみたのだけど、どうやら僕は人生において野球をまともにやったことがないようだ・・・
小学校でも中学校でも野球の授業はなかったし、ルールもわからない。高校も野球部の子は好きだったけど、野球にはまったく興味がなかった。(つまり、生まれながらの1000%ゲイなのだろう…)
野球にまつわることにまったく興味がないので、タクシーの運転手さんがプロ野球の話をしかけてくると困ってしまうし、野球に関する映画も観ない。(一度、ブラピの『マネーゲーム』を観に行ったのだけど、野球に対する興味のなさから退屈して途中で映画館を出てしまった)
前置きが長くなってしまったが、そんな僕でさえ、映画『KANO 1931海の向こうの甲子園』は、3時間という長尺を感じさせないほど引き込まれ、魅了された。
映画は、日本が台湾を統治していた時代、かつて名門の松山商業の監督までした近藤(永瀬正敏)が、奥さん(坂井真紀)や子どもと台湾に赴任して、日本人、台湾人、原住民からなる弱小チームを、甲子園出場までに育て上げたという実話に基づく話。
映画は野球部の成長とともに、日本人の八田與一が台湾の南の嘉南平野一帯16000kmにアジアで一番大きな水路(嘉南大圳)を完成させた背景とともに進められてゆく。そしてそれは、当時の台湾と日本の関係を知り、考えさせられる構造となっている。
台湾映画らしい、青春を鮮やかに切り取っていく映像が甘酸っぱくて美しい。
そして、これでもか、これでもかと、情に訴えかけてくるアジア特有の湿気にいつのまにかはまってしまい、気がつけば頬に涙が伝い、一緒になって嘉農を応援している自分がいた(野球のルールもわからないのに・・・)。
今年に入って10本の映画を劇場で観た中でも、観た後に大きな幸福感に包まれるであろう1本。永瀬正敏は、つくづくいい俳優になったなぁと、改めて思わせてくれた。
★KANO 1931海の向こうの甲子園http://kano1931.com

パレードへようこそ

イギリスのゲイパレードがらみの映画がこの春上映されるというので、弟のようなFから試写会に行こうと言われ、予備知識もないまま出かけたら、ここ数年で最も心動かされた素晴らしいゲイ映画だったのです。
時代は1984年のサッチャー政権。長引く不況の中、サッチャーは20カ所の炭坑を閉鎖することに決め、炭坑は長期のストライキに入っていた。
ロンドンで暮らすゲイのコミュニティは、自分たちセクシャルマイノリティと同じように、巨大なサッチャー政権に痛めつけられている炭坑夫や家族たちのために立ち上がり、『LGSM(lesbians and gays support the miners)』というメッセージを立ち上げ、募金を集め始める。そして、集まった募金を炭坑に届けると、保守的なウエールズの村の人たちとの交流がはじまる・・・。
リトルダンサーを見ている人たちには想像できるだろうけど、その時代の保守的な炭坑夫たちのありようと、ゲイのありようはおよそ相容れないものだ。炭坑の村で暮らす人にとって、ゲイやレズビアンはきっと異星人のような者だろう。物語は、様々な登場人物の立場や性格を描き出しつつ、今までのゲイ映画では見られなかった炭坑夫たちとの交流の中で、次第に大きなテーマを映し出してゆく。
この映画は、実話をもとに作られている。ちょうどAIDSが流行りはじめていて、同性愛者への偏見が世界中に蔓延している時に、イギリスでは奇跡のような出来事が起こっていたのだ。
カルチャークラブ、フランキーゴウズトゥハリウッド、ザ・スミス・・・80年代に一斉を風靡したイギリス音楽のオンパレードは、彼らもゲイであるためより一層力強いメッセージとなって響き渡る。
そして、ビル・ナイ、イメルダ・スタウントンなど、素晴らしい俳優たちが脇をがっちり固めている。
観終わった後に、何とも言えない温かい感動に包まれるだろう。(ぜひ、感想をお聞かせください)
※4月上旬シネスイッチ銀座にて公開予定。
★パレードへようこそhttp://www.cetera.co.jp/pride/

Mとランチ。

3種類のカレー

スペシャルのタンドール

隣の会社に勤めているゲイのMは33歳。27歳くらいの時から知っている妹のような存在だ。久しぶりに「部署も変わって時間も出来たので、ランチに行きましょうよ。」ということでランチに。
銀座の外れにある『カイバル』は、タンドール料理が美味しいインド料理屋さん。夜は夜でカレー以外の料理が美味しいのでワインと合わせてゆっくりインド料理を堪能出来る。
一通り近況や世間話が終わると、Mは僕の行っているジムの話を色々聞き始めた。
「そもそも、なんでただしさんがジムなんかに行こうと思ったの?」
僕「20代半ば過ぎるくらいから、何もしていないと人間は筋肉が年に8%くらいずつ減っていくんだよ。自分の父親が70歳で亡くなった時に、とても小さくなってしまっていて、いつかそんな時が来るとしても、自分はまだあんな風になりたくはないなぁと思ったんだ…」
僕「それに、いくつになっても、普通にスーツとかきれいに着ていたいなあと思って…
誰かにモテたい…とかではなくて、自分できれいにしていたいなぁ…って言う感じかな…」
それを聞いてMは笑い出した。
M「…自分が綺麗でいたい…」
僕「そもそも、なんで俺にジムのことなんか聞くの?もっと体育会系のゲイに聞けばいいじゃん!」
M「いや、体育会系のオカマの話を聞いても役に立たないから、文化系オカマ代表に聞いておきたくて…」と言って大笑いしていた。
僕が出会った20代の頃のMは生意気で、痩せていたし身体のことなんか気にすることなどなかったに違いない。
それが33歳ともなると、自分の身体も20代の頃とは様子が違ってきたことを、認めざるを得ないのだろう。
数ヶ月後に、成果を出した身体になってまた会おう!と言ってわかれたのでした。
★カイバルhttp://dhabaindia.com/khyber/

手を伸ばせば。

僕の部屋は、マンションの4階なのだけど、廊下から下を覗くと、外に面した駐車場が見える。
夜に帰ってきて歩きながら下を見たら、3つ下くらいの会社の元後輩W夫婦が歩いていた。(彼は随分前に会社を辞めて、学校の先生になってしまった)
かつては表参道の一等地に広い土地を所有していた後輩の一族は、お父様の事業の失敗の後その土地を追われ、3年前くらいに僕と同じこの古いマンションに転がり込んできた。
引っ越して来た時は、偶然マンションで出くわすなり、「事業が失敗してここに引っ越す羽目になっちゃいました・・・」とバツが悪そうに僕に言ったのだけど、「ここは東京で一番いいところだよ」と僕は笑って答えたのを覚えている。
その後、なかなか会うこともなかったので珍しいと思い何気なくふたりを見ていた。(もちろん彼らは、僕が上から見ていることなど知らない)
すると、少し前を行く彼が、後ろも見ずに左手を後方に差し出した。
ちょっとしたら奥さんはそれに気づいて、少し早歩きして右手を伸ばして旦那さんの左手に手を差し出した。
この広い世界において、手を伸ばせば、その手をつないでくれる人がいるということは、それだけでなんと幸福なことだろうか。
家も財産も何もかも失ったであろうWは、たいせつな宝ものだけは手放さなかったのだ。

ビッグ・アイズ

ティム・バートン監督による今作品は、エイミー・アダムスがゴールデン・グローブ賞を取り、クリストフ・ヴァルツも出ているというのでちょっと楽しみに観に行った。
ティム・バートンなので、てっきり今回もファンタジーなのかと思っていたら、『ビッグ・アイズ』は、実在のアーティストの話だった。
映画自体は、大きな瞳を持つ人物画の作者にまつわる話なのだけど、クリストフ演じる旦那さんとエイミー演じる奥さんのふたりが、人間の欲望の深さと、弱さや脆さを見事に演じている。
そしてこれは、『嘘』をテーマにした作品だ。『嘘』は、何度も何度も貫き通すことによつて、人間はそれが本当のことだと思い込んでしまうのかもしれない。
見ている方は、じんわりと手に汗握るようななんとも言えない2時間弱だった。
★ビッグ・アイズhttp://bigeyes.gaga.ne.jp

外苑前散歩。

CIBONEで買ったフランスの積木

EMILIAでタヤリンの黒トリュフがけ

昨日晩ごはんを食べたE&RカップルとGと一緒に、『EMILIAhttp://www.ciao-emilia.com』でランチをした。EとRは、ラザニアやコンフィを美味しそうに食べていた。
神宮前二丁目近辺に住みたいと考え始めたふたりに、外苑前近辺の良さを知ってもらおうと、僕の好きな店を数件散策しながら歩き回った。
いつもお花を買っている『FUGAhttp://www.fuga-tokyo.com』は、表参道界隈のショップやレストランの花を一気に引き受けているお花屋さん。デイスプレイの美しさにふたりは驚き、写真を何枚も撮っていた。
隣の『ワタリウム』は、僕が学生の頃にアルバイトをしていた現代美術館であり、雑貨や本やカフェを併設している。海外のものだけでなく、日本の美しいものも置いてあり、ふたりは喜んでお土産に買っていた。
その後、ベルコモンズから向かいに移転した『CIBONEhttp://www.cibone.com』に立ち寄り、青山の開放的な雰囲気を味わってもらった。
CIBONEでは、僕が旅行の本を一冊買い、写真の積木を買い求めた。この積木は、有名建築家が参加しているフランスの積木で、子供用でありながら、大人も一緒に楽しめるかわいいデザイン。
家に帰って積木をテーブルに広げ、のんびりと旅行の本を読む静かな土曜日を久しぶりに過ごした。

台湾から、カップルが来た。

Eは42歳、Rは35歳、台湾人のゲイカップルだ。
昨年の台北パレードの時に、ホテルの予約からパーティーのオーガナイズまですべて引き受けてくれたEは実業家で、間も無くリタイアすることを考えている。
Rは、台北のパン屋さんでパンを焼いていたのだけど、今回、お菓子作りを学ぶために代官山のル・コルドンブルーに1月から入学した。
Rの通うル・コルドンブルーの勉強は、かなり厳しいらしい。定期的に試験があるので、それに合格しなければ次のステップに行けないとのこと。
Rは、シャイで笑うと目がなくなってしまう愛くるしい顔をしている。身体はがっちり筋肉質。それでいてとても素直な性格で、僕が年上のせいかとてもなついてくれている。
Rが日本に来て一人で暮らし始めてから、学校のことや暮らしに不備はないかなどLINEでやりとりしていたのだけど、1月の週末は僕があっちこっち行ってなかなか会う機会がなく、今回Eの来日に合わせてやっとイロドリでご飯を食べることができた。
EはシャイなRの性格を気遣って、Rが席を立った後に僕に、「Rはシャイだから、自分から連絡しないんだよ。ただしを煩わしてはいけないと思っているんだ」と、東京生活を心配するお母さんのように言ってくる。RはRで、ストイックな性格でもあるので、学校が終わると、真っすぐに家に帰って来ていたという。
Eは、Rの学校がある間、毎月東京に様子を見に来るようだ。学校が終了してから先のことは決めていないけど、Eはリタイアをしたら東京でしばらく暮らしたいと言う。そのために、東京で家を買おうと思っているところ。
いつかRのお店を開けたらいいなぁという話になった。
「この神宮前二丁目界隈に引っ越して来たらいいのに。イロドリのそばでお店もやればいいじゃん!」と、横から僕の妹のGが口を挟んだ。
「そして、みんなで一緒に暮らせる場所を作ろうよ!」
国境も越えて、友人たちが少しずつこの町に集まって来る。僕たちにとって暮らしやすい町を、この神宮前に作れたらいいなぁ…とぼんやりと夢見た夜でした。

da Luca

近所を散歩していたら、神宮前三丁目の交差点の角にイタリア語の看板を見つけた。昔から民族ものの店グランピエや、老舗イタリアンのタベルナアッズーラが入っている古いマンションの角。
好奇心に駆られて数段のステップを上がってみると、キリストのような顔のイタリア人らしきおじさんがいたので、店内に入ってみた。
16畳くらいの狭い店内に、イタリアのオリーブオイルやトマトの瓶詰めなどが可愛らしく並んでいる。
日本語が書いてあったので、当然キリストは日本語を喋るのかと思い話しかけたら、英語とイタリア語で返事が返って来た。
グローサリーは奥さんが商品を買い付けているらしい。オリーブオイルはウンブリア州のもので、ほとんどのものはbioなのだそうだ。
狭い店内は、間も無く左側はエスプレッソやカプチーノを出すスペースになり、奥の左側は漫画家の中村さんのオフィス、奥の右側もどなたかのスペース…つまり、何人かが集まって借りたスペースのようだった。
商品のことを僕が英語で訪ねるたびに、キリストはニコニコしながらイタリア語で返して来た。食材や簡単なイタリア語はわかるのだけど、なんだか不思議なコミュニケーションに笑ってしまった。
オリンピックが影響しているのか、神宮前二丁目三丁目界隈は、ふと気づくと新しいお店が次々とオープンしている。
キリスト…じゃなかったルカの小さなお店も、これからこの町に彩りを添えてくれそうです。
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