KANO 1931海の向こうの甲子園

幼少の頃の記憶をたどってみたのだけど、どうやら僕は人生において野球をまともにやったことがないようだ・・・
小学校でも中学校でも野球の授業はなかったし、ルールもわからない。高校も野球部の子は好きだったけど、野球にはまったく興味がなかった。(つまり、生まれながらの1000%ゲイなのだろう…)
野球にまつわることにまったく興味がないので、タクシーの運転手さんがプロ野球の話をしかけてくると困ってしまうし、野球に関する映画も観ない。(一度、ブラピの『マネーゲーム』を観に行ったのだけど、野球に対する興味のなさから退屈して途中で映画館を出てしまった)
前置きが長くなってしまったが、そんな僕でさえ、映画『KANO 1931海の向こうの甲子園』は、3時間という長尺を感じさせないほど引き込まれ、魅了された。
映画は、日本が台湾を統治していた時代、かつて名門の松山商業の監督までした近藤(永瀬正敏)が、奥さん(坂井真紀)や子どもと台湾に赴任して、日本人、台湾人、原住民からなる弱小チームを、甲子園出場までに育て上げたという実話に基づく話。
映画は野球部の成長とともに、日本人の八田與一が台湾の南の嘉南平野一帯16000kmにアジアで一番大きな水路(嘉南大圳)を完成させた背景とともに進められてゆく。そしてそれは、当時の台湾と日本の関係を知り、考えさせられる構造となっている。
台湾映画らしい、青春を鮮やかに切り取っていく映像が甘酸っぱくて美しい。
そして、これでもか、これでもかと、情に訴えかけてくるアジア特有の湿気にいつのまにかはまってしまい、気がつけば頬に涙が伝い、一緒になって嘉農を応援している自分がいた(野球のルールもわからないのに・・・)。
今年に入って10本の映画を劇場で観た中でも、観た後に大きな幸福感に包まれるであろう1本。永瀬正敏は、つくづくいい俳優になったなぁと、改めて思わせてくれた。
★KANO 1931海の向こうの甲子園http://kano1931.com

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