犬を育てる難しさ。

海が来て、1ヶ月と2週間くらいが過ぎた。

ソファーをかじったり掘ったりするので布をかけてしのいでいる

子犬の頃のしつけが大切だとわかっていても、犬は人間のように言葉がわかるわけではなく、コミュニケーションが違うから思ったようには動かないし言うことを聞いてくれない。

普段はおとなしい海も、散歩に行けないもどかしさと溢れるエネルギーを発散させることができない不満から、時々手が追えないくらい走り回ったり、甘噛みがひどい時がある。

そんな時に何度もやめさせようとしたのだけど、海のように強気な犬は逆に抑え込まれると反発するようなところもあり、難しさを感じ落ち込むこともあった。子犬相手に怒り過ぎて自己嫌悪になり眠れない夜もあった。

でも、犬のいいところは、人間のように過去のことをいつまでも恨んでいたりしないことだ。朝起きるとまたやさしい海に戻っていて、僕自身ももう一度今度は違う方法でやってみようと思えるのだ。

犬は素直だ。その時、今、自分のしたいことに忠実に生きている。

こんなに小さな海から学ぶことが日々あって、僕もKも毎日毎日悩みながら、海と向かい合っている。

海を連れてお買い物。

海を連れて湯河原のスーパーに買い物に行く。

こんな時に海は、クレートに入れて買い物の間は車で待たせておく。海はクレートに入ることを嫌がるのだけど、待って入れば必ず僕たちが帰ってくることを少しずつ学んでもらうためだ。

犬を連れて入れるお店はやっぱり限られていて、僕たちの行き先も犬を中心に考えるようになった。

先週末に行って気に入った「RICE BALL」に顔を出すと、お店のママが温かく迎えてくれた。

目がどこにあるかわからない海

海にどんどん触ってくれて、海も大喜びで応えている。海は家族以外の人間に、まだあまり触ってもらっていないので若干警戒感もあるのだけど、ここのママさんたちはそんなもの御構い無しに触ってくれるのでありがたい。

海を連れて小雨がほんの少し残る熱海の海辺を散歩してみる。

オムツを履いてカフェには入るようにしている

あいにくの天気で他の犬はほとんどいないけど、Kと一緒になって初めて海辺を全速力で走っていた。

初めて海辺を走る海と楽しそうに一緒になって走るKを見ながら、雨の中大笑いしたのだった。

千葉の母の家へ。

10月に会って以来しばらく会えずにいた母に会いに、Kと海と車に乗って千葉に向かった。

母は今年80歳になるのでコロナのことを考えて会わないようにしていたのだけど、母が海を見たいと言うのと海の社会化も重要と考えて千葉行きを決断した。

静岡県の熱海から、東京を飛び越えて千葉県千葉市まで行くには4時間くらいかかるかと思っていたら、なんと1時間40分で到着できた。

海は、母にはすぐに懐いたようで、髪の毛を噛もうとしたり、じゃれかかって行っていたが、父には吠えてばかりいて時々唸り声をあげたりしていた。

父は、犬好きと言っていたのだけど実は潔癖症のようで、犬に舐められたりするのが苦手のようですぐに手を洗うようなタイプのようだ。犬に触りたそうだったのでおやつをあげてほしいとお願いしたのだけど、手渡しであげるのを嫌がり、投げてあげたりからかったりしていたのが海には好きになれなかったのかもしれない。

母は僕とKのためにたくさん食事をこしらえてくれていた。Kはニコニコしながら食べていたが、母もKのことを名前で呼びながらどんどん料理を進めていた。最初はゲイのことを受け入れられなかったであろう父も、だんだんKに慣れてきたようで普通に会話していた。

僕と僕の恋人のKと父母と一緒に食事をしているなんて、数年前であれば考えもしなかった光景だ。

先日他界された郁さんたちのことで改めて思ったのだけど、僕にもしものことが起こった時に、僕の父母とKが面識がなかったら、いくらKがパートナーだと言っても受け入れることも信じることも難しいと思うのだ。

パートナーと揃って、実家の父母と食事をしているだけなのに、こんなことができるまで本当に時間がかかってしまった。

これもみんな、勇気を出してカミングアウトをしたからこそ見える景色なのだろう。

3人でお散歩。

東京に編集作業のため出かけていたのだけど、作業が思いの外早く終わったので、Kが帰ってくる前に僕が東京から帰って来た。

5時間くらい一人でお留守番をしていた海は、トイレシートを噛みちぎっていたけど、うんちまみれということはなく、ほんの少し足で踏んでしまっているようだった。帰って来た僕は海を連れてお風呂に向かい、ついでに丁寧に全身のシャンプーをした。

シャンプーの後は海は少し興奮していたのだけど、しばらくして落ち着いたので白菜の鍋を作っていると、ちょうどKが家に帰って来た。Kは、海が荒らしていなかったか心配していたようだけど、それほど散らかってなかったと知るとホッとしたようだった。

ご飯を食べて、暗い近所を懐中電灯を持って散歩に出かけた。

海は3回目のワクチンが終わっていないため、本当はまだあまり外を歩かせてはいけないのだけど、家の周りの歩道の上ならば良いだろうと、少しずつ散歩をし始めたところなのだ。

首輪とリードがついているのに、走りたくてたまらない海は時々ダッシュして走ろうとする。それをKが静止しようと声をかける。その回数も、少しずつ減って来て、僕やKの顔を時々振り返りながら歩くようになって来た。

3人でゆっくりと歩く散歩ははじめてなのだけど、こうして3人が一緒にいるだけで海が幸せそうに喜んでいるのがわかる。

そんな海やKを見ながら、僕もささやかな幸せを感じていた。

床屋。

12月に一度髪を切って以来、ずっと美容院に行けず、帯状疱疹になってしまったので若い女性に会うのを控えていたこともあり、髪の毛はぼうぼうに伸びまくってしまっていた。

どうにも始末に負えなくなってしまったので、熱海で美容院を探していたところ、Kがネットから床屋さんを探して来てくれたので、予約をして行くことにした。

考えてみたら、中学生の途中から美容院に行くようになってしまったので、床屋さんに行くのは中学生以来。昔は床屋が当たり前だったのに、いつのまにか美容院になったのは、きっと色気付いて原宿の美容院に通い始めたのがきっかけだろう。

熱海の町中にある床屋さんは、40代始めの男性が一人でやっていて、話し好き、女好きなノンケ。なんで女好きかというと、今時カレンダーが水着を着た女の子のカレンダーなのだ。こういうカレンダーを見るたびに、これが男だったらどんなにワクワクするだろう?と思うのだ。

今回行った床屋さんは、サービスのつもりかずっと話しをしていたが、美容院や床屋であまりたくさん話をするのは面倒臭い気がする。人によっては話をしたくてたまらない人もいるとは思うが、僕は話したいことpがあれば話す。それもほどほどくらいがよくて、あとは放っておいて欲しいタイプだ。

何十年ぶりかに、床屋さんで顔を剃ってもらったのだけど、これが最高に気持ちよかった。

綺麗に正確に顔を剃りあげて行く手際の良さに感動した。

熱海に引っ越したのをいいことに、これからお気に入りの床屋さんを探すつもり。

大分からの小包。

Kの実家から小包が届いた。

中を開けると、みかんとひじき、干し椎茸、天草、海藻、いりこなどたくさんの種類の干物が入っていた。

僕がひじきが好きで、大分の国東のひじきが柔らかく美味しいといつも話していたので、Kがお母さんに話したのだろう。

ひじきや天草は、お父さんが採りに行ったようで、寒いのに申し訳ないような気持ちになった。

いりこは随分立派なものなので、買ったんじゃないかと心配になってKに聞くと、いりこも安いみたいだから心配いらないとLINEが来た。

まだ会ったことのないKのお母さんとお父さんとは、こうやって時々送られてくる小包でつながっている。

いつかお会いできる日が来たら、温かい小包のお礼を言いたい。

郁さんの逝去。

「結婚の自由をすべての人に」訴訟で、一緒に原告として戦っている郁(佐藤郁夫)さんが逝去された。

1月5日に脳出血で倒れ、搬送されて入院されていたのだけど、昨日亡くなったことを同じ原告からのLINEで知らされた。

あまりにも急なことで、僕自身受け入れることができず放心状態になってしまったのだけど、パートナーの「よしさん」のことを思うと言葉もなくやりきれない。

僕は時々よしさんにLINEを打っては、その後の経過を訪ねていたのだけど、特に病院からは連絡はなかったようで、Kと二人案じていたのだ。

「病院では、ちゃんと家族として扱われているのだろうか?」
「意識が戻ったら、よしさんは面会できるのだろうか?」
「コロナの影響でなかなか会えないかもしれない」

そんな思いも虚しく、突然逝去の知らせが来たのだ。

郁さんは生前、裁判所の意見陳述において、こう述べられていた。

「「私はHIV以外にも病気を抱えており、寿命はあと10年あるかどうかだろうと覚悟しています。 死ぬまでの間に、パートナーと法律的にきちんと結婚し、本当の意味での夫夫(ふうふ)になれれば、これに過ぎる喜びはありません。天国に逝くのは私の方が先だろうと思っていますが、最期の時は、お互いに夫夫となったパートナーの手を握って、『ありがとう。幸せだった。』と感謝をして天国に向かいたいのです。」

郁さんは最後に、よしさんの手を握っていられたのだろうか?

僕とKはいつまでも郁さんとよしさんのことを話し続けた。

あたみ桜。

熱海では、梅は12月から咲き始めて、1月から桜が咲き始める。1月から咲く桜は、「あたみ桜」と言って、その昔イタリアに行った桜が改良されて戻ってきたらしい。

この時期通常ならば、梅園とあたみ桜を目当ての観光客で賑わうようだけど、今年はコロナの影響で観光客がほとんど町を歩いていない。

あたみ桜は、色もソメイヨシノよりは濃くて、昭和の町「熱海」にはぴったりな感じがする。ソメイヨシノや他の桜のように、一斉に開花して満開を迎えて2週間で散ってしまうような咲き方ではなく、大きくは2段階くらいで咲くようで、咲いていてもかなり蕾が多い状態が続いている。

海を連れて家の近所を散歩していたら、あたみ桜が咲いていた。あたみ桜は、糸川沿いに連なって沢山植わっているのだけど、気をつけて見ていると町の中に所々植わっているようで、思いがけずこの時期に「あ、桜が咲いてる!」と早い春を発見したような気持ちになった。

RICE BALL

海と一緒に行けるカフェやレストランが熱海にないかと調べたところ、いくつかあったので安心していた。その中で今日訪れた「RICE BALL」というカフェは、これぞ『熱海の母』的なママがいて、最高なお店だったのだ。

「RICE BALL」は、熱海の旧市街(来宮の下)海沿いの道に面している。道の外にいくつも席が並んでいるけど、ワンちゃんは店の中まで入れるというのだ。電話をして混み具合を聞くと、今なら全然空いているとのこと。すかさず「ワンちゃんもいますか?」と聞き返されて、いますと答える。

寒い風が吹いていたので店の一番奥に座ると、犬用にお水とおやつも出してくれる。僕たちが入って注文すると、少ししたらどんどんお客さんが犬連れで入ってきた。

お店は、60代くらいの化粧の濃いママと、もう一人はナチュラルな肝っ玉かあさん系の女性。二人とも気さくで、犬が大好きな様子が伝わってくる。

店でおとなしく座っている海

海をはじめ犬たちは、それぞれ他の犬の様子を伺ったり、遠くても反応しあっているのがわかる。お客さん同士も犬を飼っているという共通点からか、和やかに話が始まる。

帰り際、ママが出てきて海を抱っこした。海はまだ他の人に抱かれるのに緊張している様子で、それでもママはお構い無し。海は大型犬なので、3ヶ月と言っても大きな犬に見えるので、通常誰も怖がって触ってくれない。僕たちは、海を触ってくれるママさんがいて喜んだのだ。

昭和の飾らない下町情緒があって、きっぷのいいママがいるお店。この店なら毎週末だって訪れたい。

⭐️RICE BALLhttp://www.riceboll.info

愛犬の駅。

伊東の隣の伊豆高原に、「愛犬の駅」という犬を連れて入れるカフェレストランがあるというので、海を連れてお出かけした。

広いドッグランがあって、犬に関するグッズがあって、その上飲み物も食事もできる。


犬用の水飲み用器やオムツなんかも完備してあり、人間と犬が一緒にくつろげる空間だった。

海にとってはドッグランデビューはまだまだ先だけど、こんな風に他の犬を見ながら、人間と一緒にくつろげるというのは、なかなか珍しかったようで、緊張しながらも他のいぬに興味津々で見つめていた。

他の犬に無駄に吠えることもなく、人間の食事を羨ましがることもなく、おとなしくしている海は、僕からしても手のかからないよくできた犬だと思う。

こうやって少しずつ、他の犬や人間と一緒にいることができるように、社会化の訓練を重ねているところ。

⭐️愛犬の駅https://www.welovedogs.jp/station/