母の宮古島。その3

今日は天気予報が大きく外れて朝から濃霧に包まれた後驚くほどの晴天になった。

父と母には「シースカイ博愛」というボートにのって海中をみることができる船を予約しておいたので、朝8時30分に乗り場受付まで送り届ける。受付にはやぎがいて、海とやぎがお互いに好奇心に溢れて近づこうと試みる。

9時から45分間のボートは海の中の熱帯魚を見られたようで2人ともとても喜んでいた。

その後、お土産屋さんに行き、疲れたようだったので一旦ホテルに送り届ける。家で昼ゴロゴロのんびりしていると母から電話で、「とっても天気がいいからどこかに出かけたい」とのこと。予定を早めてドライブに連れ出す。

来間島の竜宮展望台に行き、宮古島の絶景を堪能する。真っ青な海を見ながら母は、「外国見たいねえ・・・」と目を細めている。


その後、「ユーピアファーム」に行き、美しいブーゲンビレアを見たり、ヒスイカズラのあおい花に驚き、マンゴーを食べておいしさに感動する母。最後には「あたらす市場」で島の食べ物を物珍しそうに眺めていた。

ヒスイカズラ

夕食は平良の町中まで出掛けて「さんご家」で晩ごはんを食べる。食べたことのない宮古島の料理を母は楽しそうに食べながら、父は顔を顰めながら、心に残る楽しい食事になった。

父も母もKに対してとても気軽に話しかけてくれる。特に母は、Kにたくさん食べさせようとしょっちゅうKに料理をよそってくれる。

親子4人で宮古島で食卓を囲むことも、もしかしたらこれが最後かもしれないと噛み締めた。

母の宮古島。その2

僕が東京に行っていた3月17日の朝に母から電話があった。

「昨日の地震が怖かったから、また何かあるかわからないから宮古島二いくのやめようかと思うの・・・」

「え?お母さん、地震があったのは東北であって沖縄じゃないよ!それに、チケットもホテルもとっちゃったから今更キャンセルできないよ」

「あら・・・そうなの・・・」

東京でも大きな揺れを感じた地震があったせいか、少し弱気な母であったが、宮古島に来たら島の雰囲気がとても気に入ったようだった。

2日目の宮古島は雨だったのと84歳のお父さんが疲れているだろうと、午後から車で少しドライブすることにした。「島の駅みやこ」に立ち寄って野菜などを見た後は、砂山ビーチの方にある「雪塩ミュージアム」へ。

今回、母が地震で怖くなったから行くのをやめようかと言い出した時に、少し強引にだめだと言ったのは、これが最後の宮古島旅行になるかもしれないと思ったからだった。

お父さんは84歳で、あまり歩いていないため少し歩くと息を切らせているし、母だっていつ弱ってしまうかわからない。健康で歩けるうちに少し強引でも宮古島を見て欲しかったのだ。

その後、ホテルに送り届けてから夕方は「ひろちゃん食堂」で早めの夕食にする。お父さんは日本そばを食べながらホッとしたような顔をしている。母は宮古そばが気に入ったようで、また宮古そばを食べながら美味しい問いって喜んでいる。

母が宮古島に来ることができて、本当によかった。

僕はソーミンチャンプルー

Kはカツ丼

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母の宮古島。その1

ある日、母から電話があった。「一度宮古島に行こうと思うの…どんな生活なのか見ておこうと思って…」

「お母さん、まだまだリフォームしてる最中だから、もう少し落ち着いてから遊びに来て」

するとまた数日後に、「今見てみたら宮古島のツアーがあったから3月末に行こうかしら。とにかく見たら安心するから。2泊3日1人7万円で安いのよ」

「それならこっちで飛行機とホテル手配するからちょっと待ってて」

千葉市に住む母と父は、80歳と84歳。あちこち旅行に行っているけど飛行機は久しぶりのようだ。

千葉から羽田空港に出るのはちょっと時間もかかるので、成田空港からのジェットスターを予約した。

予約をしておきながら、両親をLCCに乗せるなんて大丈夫だろうか…と思い、先日東京に行った際に千葉に行き、成田空港の第3ターミナルへの行き方やチェックインの仕方を教えたのだ。

両親ともガラケーでメールも使わないのでジェットスターのチケット情報やバーコードの入ったメールは送れない。

それらをコンビニでプリントアウトして、成田空港の地図をプリントアウトして、第2ターミナルから第3ターミナルは650m離れているからバスに乗るか歩くこと、着いたらジェットスターの人に声をかけてそのプリントを見せてチェックインをしてもらうことを念入りに言い聞かす。

ジェットスターの搭乗時間は朝7時半頃で、朝イチの電車に乗った父と母は、空港に着いたら電話すると言っていたのに6時過ぎても電話がないので僕からの電話は繋がらずしばらくして母からかかってきた。

「お父さんが機械を通るところで引っかかっちゃって、結局コルセットだったみたいだけど丸裸みたいにされちゃったの…」そう言いながら母は半分裸の父を見て笑っていた。

「教えたように、フードコートでちゃんと食事したの?」

「いや、急いで中に入った方がいいって言われて今入っちゃったのよ…中に何かあるでしょう?」

「第3ターミナルは中に入ったら何にもないよ…まだまだ時間あるのに…」

「いいわよ。何か適当に買って食べるから」

下地島空港に迎えに行き出口で待っていると、やがて2人の老人が姿を表した。すぐにこちらにやってくるかと思ったらドアの向こうのベンチに座って服を脱いで着替えはじめた。千葉は寒かったけど宮古島の暖かさに驚いたみたい。

久しぶりに晴れた宮古島で、まずは「古謝そば屋」に連れて行きソーキそばや宮古そばを食べる。初めて食べる沖縄そばを口に運びながら母は、「お肉もとっても美味しいし、スープが美味しいわね!」とても喜んでいる。

「本当に美味しいわ。このうどん」

「お母さん、これは沖縄そばで、うどんもじゃないよ」

「あら、これ、そば粉じゃないでしょう?どう見てもうどんじゃない」

その後、せっかく晴れているからと「与那覇前浜」に連れて行き、美しい白砂のビーチと青い海を眺める。

日差しが強く、サングラスを忘れた事を後悔する母。

家に連れてきて、久しぶりに海やKに会うと喜んで興奮した海がひっきりなしに母にじゃれついた。

リフォーム中の室内を見ながら大工さんに挨拶をして、ゆっくりとリビングに座って寛ぎながら、母はホッとしたようで、「本当にいいおうちね…ここで何にもしないでのんびりと暮らせたらいいわね…」とKに話しかけた。

「今は本当に僕たち何にもしていないんですよ…」と笑っているK。

ずっと曇りや雨の予報だったのに、母の来島に合わせて奇跡的に神様が太陽を呼び出してくれたような、天気に恵まれた美しい一日だった。

⭐️古謝そば屋
0980-72-8304
沖縄県宮古島市平良字下里1517-1
https://tabelog.com/okinawa/A4705/A470503/47000106/

ロサ・ガリカ・ヴェルシコロール(ロサ・ムンディ)

熱海から宮古島まで運んできて植え付けてから、3番目に庭で咲いたバラは僕の最も好きなバラの1つである「ロサ・ムンディ」。このバラは1581年より前に作出されたとされている。

薬用に使用されていた「ロサ・ガリカ・オフィキナリス」のヴェルシコロール(バーシカラー)絞りで、1年に1度この花が沢山咲く季節はあたり一体がとても華やかな雰囲気に包まれる。

うっとりする香りと、現代のバラにはない凛とした気品に溢れている。

スーヴェニール・ド・ラ・マルメゾン

我が家から持ってきた2番目に咲いたバラは、「スーヴェニール・ド・ラ・マルメゾン。

ナポレオン一世ジョセフィーヌ妃にちなんで付けられた名前「マルメゾンの思い出」。マルメゾンとは、19世紀、ジョセフィーヌが多くの植物を収集しバラの庭園を築いた城の名前。

1843年に作られたこのバラを、180年近く経った宮古島で見ることができてとてもうれしく思う。

気品と爽やかな香り。それでいて返り咲くというオールドローズの中では珍しいバラ。

どちらかが体調の悪い時に。

僕は、コロナのワクチン接種から4日経ってもずっと37.4度くらいの熱が続いている。

そんな中Kが昨夜から喉が痛いと言い出して、今朝から熱が上がり始めて一日中ベッドで横になっていたのだけど、夜には38.7度になっていた。

汗をたくさんかくので時々着替えさせながら、夜中も起きて額に手を当てて見守り続けた。

海は、ベッドに横になったきりのKを心配しているようで、時々そばに行っては顔を舐めている。その姿を見ていると、犬には生まれた時からやさしさが内臓されているのだと思う。

ふたりで暮らしていると、体調の波はあまり重ならないので、どちらかが体調を崩した時に、体調の良い方が看病することができる。

それは、とても心強いチームメイトがそばにぴたりとついてくれているような安心感。

カップルはともに先を見ながら、ふたりのチームで大海原を泳いでいるようなものだ。

うちのカオナシ。

Kがある日言うのだ。

「海、カオナシに似てる…」

「カオナシ?何それ?」

「千と千尋の…」


「あ!似てる似てる!」

海が、ずっと何かに似てると思っていたら、カオナシだったみたい。

それ以降時々海のことを、「カオナシさん」と呼んでいる。

ワクチンの副反応。

3回目のワクチンをやっと打つことができた。1回目ファイザー・2回目ファイザー・3回目モデルナ。

若い人ほど副反応が大きいという噂が気になり、自分のワクチン後の経過を見ていたのだけど、注射を打った腕の痛みが数日続き、37.4度くらいの微熱が3日経っても治る気配がない。

Kは38.9度の熱を出し一日中寝たきりだったのに比べると、僕のはほとんど無反応に近いと思う。

53歳と37歳とを比べなくてもいいのだけど、まだまだ自分は若いと思い込みたいのだ。

年齢にしがみつく姿は、ゲイらしいとも言える。

バラが咲いた。

宮古島に引っ越してきた時に、熱海からわざわざ切って掘り上げて運んだバラを2月に植え付けた。

その後、うまく根付いてくれたようで、ポツポツとバラが咲き始めた。

東京ではバラは4月末のゴールデンウィークの頃に咲くので、1ヶ月以上早いことになる。

今年は思い切り短く切って移植をしたのでそれほど花はつかないけれども、暑い夏を何とか乗り越えさせてあげたいと思う。

宮古島でオールドローズって、咲かすことができるのだろうか?

イギリスやフランスのような冷涼な気候とは違いすぎるので、これからどんな園芸生活になるのか楽しみでもある。

とぅんからや

友人ファミリーは先に帰り、Gだけ残ったのでGを連れて「とぅんからや」へ。
「とぅんからや」は、シギラリゾートのそばにあるカフェ兼雑貨屋さんで、絶好の海の眺めを見ながらのんびりと過ごすことができる。

ご飯を目当てにやってきたのだけど、売り切れになっていてホットドッグとサンドイッチを頬張る。


海はおやつをつまみながら珍しくおとなしく座ってくれていた。

天気があいにく曇り空だったけど、宮古島らしいのんびりとした時間を過ごすことができた。

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