OCTAVIA

カキ

イカスミのパスタ

キングサーモン

カストロ地区の人気レストラン『Frances』の姉妹店である『OCTAVIA』は、ロウワー・パシフィックハイツ地区にあり、両店ともミシュランの一つ星を獲得している。
店内はモダンで、気持ち良い空気が流れ、かしこまり過ぎていない雰囲気。そこここで人々の会話が耳障りよく聞こえてくる。
料理は、イタリアンの要素が入ったアメリカン。素材をそのまま生かす料理は、和食にも通じるところがある。
アラカルトで頼みやすく、量もあまりかサイズほど多くはないので、食べながら追加することもできる。
サービスも気持ちよく、サンフランシスコにしては素晴らしいコストパフォーマンスだといえよう。
⭐️OCTAVIAhttp://www.octavia-sf.com/

サンフランシスコの光と影。

サンフランシスコのホテルやレストランは、総じて高い。ニューヨークでも東京から比べたら高いと思うのだけど、更に高い感じなのだ。
気軽に朝ごはんを外で食べても、2人で6千円くらいは軽くいってしまう。
サンフランシスコでは、ノブヒルと呼ばれる丘の上の高級住宅地にあるホテルに宿泊していたのだけど、ノブヒルやロシアンヒルと呼ばれる丘の上を歩いていると、町の景色が美しく風光明媚という言葉が浮かんで来る。
丘の下には町が広がり、遠く青い海を見渡すことができる。
でも、丘を下りて繁華街であるダウンタウンに向かうと、道の至るところにホームレスがいるのに驚かされる。
更にほんの少し下ってマーケットストリートを越えると、上半身裸だったり、薬漬けでラリっているような人々がたむろしていたりするのだ。
このホームレスの数は、数年前に行ったオレゴン州のポートランドと比べても尋常じゃないことがわかる。
いくつかの記事を調べたところ、シリコンバレーに勤務する高給取りの人々も、通勤圏内であるサンフランシスコに住む人が多いようで、それにより、サンフランシスコ自体の土地の値段、家賃、生活に必要な金額が上がり続け、元々サンフランシスコで暮らしていた人が住めなくなっている現象が起きているということ。(年収2000万円あっても、サンフランシスコでは暮らしていけないと言われている)
また、若者のホームレスのかなりの割合(48%という数値も)は、LGBTだったりするようだ。
シリコンバレーに勤める人や、会社の社長は、自分たちこそがサンフランシスコに住む権利があるのだとおおっぴらに主張していて、低所得者との格差は開き続けているようだ。
美しいサンフランシスコには、数日滞在の旅行者ではなかなかわからない現実問題を抱えているのだった。

サウサリートへ。

イタリアの港町のように美しいサウサリート

フェリービルディングは、週3回ファーマーズマーケットがやっていたり、ビルにはお洒落な雑貨屋さんやレストラン、カフェが詰まっていてサンフランシスコに行ったら必ず訪れるべき観光名所。
そのフェリービルディングのあるPier 1からフェリーでおよそ30分のところに、SAUSALITE(サウサリート)というヨットの停泊する町がある。位置的には、サンフランシスコの町の北側にあるゴールデンゲートブリッジを渡った先にある。
フェリーがサウサリートに近づくと、まるでイタリアの港町に来たような気分になるのは、サンフランシスコよりも気候が暖かく、空が透き通るように澄んでいたから。
小さな町は、海岸に沿ってレストランやカフェ、お土産屋さんが並び、サンフランシスコの都市の喧騒はどこにも感じられない。
イタリアンに入ってワインを飲みながら、パスタを食べる。太陽の光を浴びながらのんびりしているだけで、イタリアや南仏で過ごす夏休みのような気分になれた。
この町で驚くことは、町のどこを切り取ってもとても綺麗だということ。
都市から30分のところにこんな町を作っている彼らの民度の高さに改めて驚かされたのだ。

CRUISING THE CASTRO WALKING TOURS

ハーヴェイ・ミルクの足跡が色濃く残る町

アメリカではじめてカーテンを外して営業したゲイバー

幼稚園には大切な6つの言葉が書いてある

サンフランシスコにおけるLGBTコミュニティや活動のメッカであるCastro St.(カストロストリート)のウォーキングツアーに参加した。
『40歳を過ぎても僕には、他人に誇れるものは何もない』
ハーヴェイ・ミルクが恋人のスコットと出会い、LGBTや弱者のために政治活動に立ち上がったのが40歳。
2度のサンフランシスコ市議会落選を経たのち、3度目の1977年に当選したハーヴェイ・ミルクは、11ヶ月という短さで同僚のダン・ホワイトに射殺されてしまう。
ツアーは、カストロストリートがどうしてLGBTコミュニティの場になっていったか、ミルクがどんな風に活動していたかその足跡を2時間かけて辿っていくもの。
当時はまだ、ゲイであることが精神病と考えられ、電気ショックを頭に与えられていた時代、ゲイは自らをひた隠しにしながら生きるしかなかった。
軍隊や刑務所に入っても、ピンクトライアングル(ピンク色の三角形のマーク)で色分けされ、蔑まれていたのだ。
ハーヴェイ・ミルクは、アメリカではじめてサンフランシスコ市議会に当選したオープンリーゲイである。
彼の信念は、ゲイやLGBTだけではなく、黒人、アジア人、障害者、老人、あらゆる弱者へ希望をもたらすことだった。
ハーヴェイ・ミルクはカストロ地区に幼稚園を作り、今でも子どもたちへその思いを残している。その幼稚園では、最も大切な言葉を習うのだそうだ。
PEACE
EQUALITY
DIVERSITY
JUSTICE
FREEDOM
ACCEPTANCE
平易でありながら、生きていく上でなんて大切な言葉なのだろうか。
ハーヴェイ・ミルクに思いを馳せながら歩く2時間は、静かに心が温かくなるような素晴らしい経験だった。
★CRUISING THE CASTRO WALKING TOURShttp://www.cruisinthecastro.com

サンフランシスコへ。

不安になる広いリビング

アルカトラズ島

ゴールデンゲートブリッジを巡るツアー

朝の便でサンフランシスコへ。
ニューヨークからサンフランシスコへのフライトは、6時間強。でも、3時間の時差があるため朝9時の便に乗っても着いたら12時半なのだ。ちょっと得した感じ。
飛行機が到着したのは、ぴったり12:22だった。
「僕の誕生日と同じだ!
祝福されてるな
サンフランシスコに」
ホテルにチェックインすると、スイートルームが用意されていた。予約した金額の10倍くらい払わされるのかも…と不安になって聞いてみると、アップグレードしてくれたらしい。
坂の上のCalifornia stにある『Scarlet Huntington San Franciscohttp://www.thescarlethotels.com/huntington-hotel-san-francisco/mobile/』は、クラシックではなくところどころデザインされたヨーロッパの香りを感じるホテル。
部屋に荷物を置くと、そのままフィッシャーマンズワーフへ。
ゴールデンゲートブリッジを回る1時間の遊覧船は、日本語のガイドが入った親切なツアー。サンフランシスコの歴史やアルカトラズ島の歴史を聞けて興味深い。
サンフランシスコでは、3日間とも素敵なレストランを予約してあるので、そらは後でまとめてあげますね。

Cooperstownへ。その2

HYDE HALLからの眺め

2日目は、町にあるギャラリーを覗いた後に、Cooperstownにある湖へ。
「晴れたから湖に行こう」と言われ、向かった先にあったのは、鮮やかな緑に囲まれた青い湖だった。
驚いたことに彼らは、ボートを所有していて、すぐにボートに乗って湖に繰り出した。
大きな湖の遥か彼方にお城のような建物が見える。聞くとそれは、シンデレラ城のような湖のシンボルであって、機能は何もないとのこと。
特に目的もないままそのお城のような建物を目指し、ゆっくりと湖を走った後にランチへ。
E &Rカップルとストレートカップル、そして僕たち6人での食事は昨夜の楽しい雰囲気をそのまま引き継ぎ、豊かな時間へとなってゆく。
途中、Cooperstownの町中や、HYDE HOLLという湖を一望出来る館に立ち寄ったりしながら、マンハッタンへ戻るAlbanyへ。
Cooperstownでの滞在中に何度も思ったことは、彼らの暮らしが、僕たちの東京での暮らしとは、あまりにも違っているということ。
美しい山々に囲まれたCooperstownの暮らしは、まるで天国いるかのように色鮮やかで現実感がなく、今、東京と繋がっているこの世界にあるなんて信じられないのだ。
僕たちは、自分たちの東京での暮らししか出来ないように感じているのだけど、実は自分たち次第で、この世界のどこにだって住むことは出来るのだろう。
Cooperstownのような自然に囲まれた暮らしも、僕たちは選択することができるのだ。

Cooperstownへ。

離れとブランコ

野生のうさぎ

敷地には、林が広がっている

今回のニューヨーク旅行では、E &Rアメリカ人の友人ゲイカップルの家を訪れることが、実は大きな目的でもあった。
僕が大学生の頃に、彼らが日本に住んでいた頃には時々友人宅のパーティーで会っていたのだけど、僕が会社に入ってニューヨークに遊びに来ていた時には何度か会っていた。
その後疎遠になっていたのだが、20年ぶりくらいに彼らの家を訪ねることにしたのだ。
20年前くらいに訪れた時は、彼らはまだ、チェルシーに住んでいた。同じアパートには写真家のアニー・リーヴォビッツがいるような瀟洒なマンションには、壁中に沢山の本が並んでいて、広々としたリビングに沢山の部屋があるような素敵な家だった。
今回訪れた彼らの家は、そのチェルシーのマンションから7年前に移り住んだもので、ニューヨーク州の州都であるAlbanyまでAmtrakで2時間半、そこに彼らの車が迎えに来てくれて更に1時間半かかるCooperstownという湖のそばの町だった。
Albanyから車に乗ると、景色はどんどん田舎になって行って、ついに遠くの山や畑しか見当たらなくなってきた。細くなってきた道では、時々鹿が飛び出して来るので車のスピードを緩めなくてはならない。
車を降りると、まるで森林の中にいるような匂いがした。家は周りを林に囲まれていて、R に庭を案内してもらいながら驚いたのは、その敷地の広大さだった。
母屋の他に、離れがあり、その他にも陶器を作る工房があったり、畑やガーデンがたっぷりとあり、その先には見えないくらいの森林のような敷地が遠く広がっている。
我々の到着を待ちわびるかのように、彼らの友人のストレートカップルも現れた。それからワインを飲みながら楽しい食事がはじまり、食べて飲んで散々笑った後に場所を移動して、ストレートカップルのバンジョーとアコーディオン演奏が始まった。
美味しい食事と友人たちに囲まれてワインを飲みながら、バンジョーの音に耳を傾ける。
僕が今まで想像もしなかったような豊かな時間が、そこでは流れていたのだった。

THE 49th NEW YORK PRIDE

前が溢れそうな人

2019年は50周年

ニューヨークプライドを見るのは、これで6回目くらいだろうか。
今年はKに見せたいという思いもあり、ニューヨーク行きを決めたのだった。
昔は、マンハッタンの背骨でもある5th Aveからゆっくりと下がってくるのが常だったルートが、今年は16th ×7Aveから下へ行き、5thを上がってくるルートになっていた。
そのせいかフロート間の距離が空き、全体的に昔のような盛り上がりは感じられなかったが、政治的なグループがしっかりと主張しているのがニューヨークのゲイプライドらしいところ。
一番笑えたのが…
『MAKE
AMERICA
GAY
AGAIN』
と書かれたた大きなレインボーフラッグを持って歩いている人たち。
『MAKE
AMERICA
GREAT
AGAIN』
を掲げるトランプが見たら、頭から湯気を出して怒りそうではないか。
来年50周年を迎えるNY PRIDE、来年はワールドプライドということもあり、これまででも最大のパレードになるに違いない。
そこで歩くことを、今からみんなで楽しみにしているのだ。

MY FAIR LADY

『MY FAIR LADY』は、随分迷った末に直前にチケットを取った作品。ニューヨークのミュージカルは昔は100ドル以下でいくらでも観れたのだけど、今ではだいたい一本2万円以上するのだ。
久しぶりのリンカーンセンター。ここでは昔、『回転木馬』、『南太平洋』、『WAR HORSE』、『王様と私』…と観たのだけど、そのどれもが素晴らしい演出で記憶に残っている。
『MY FAIR LADY』は、ミュージカルではジュリー・アンドリュースが主役のイライザを務めたけれども、映画ではオードリー・ヘップバーン。この年のオスカーは、メリーポピンズでジュリー・アンドリュースが主演女優賞を持っていったというのを、先日BridgeのMから聞いてびっくりしたのだ。
お話自体は、プリティ・ウーマンの原型で労働者階級の花売りの娘が、どんどん上流階級の女性のように変わってゆくお話なのだけど、時間が経てもこれほど人々の心に残り続けているのは、音楽が素晴らしいからではないかと思う。
I Could Have Danced All Night
On the Street Where You Live
挙げ出したらきりがないけど、名曲ぞろいで、たとえ曲を知らなかったとしても、ミュージカルを観た帰り道には、自然に口ずさむことが出来るような曲ばかり。イライザ役の歌声が本当に素晴らしい。
リンカーンセンターは、特有の奥行きがあり円形を効果的に使った美術には驚かされた。舞台が回転しながら次のシーンが自然に現れたり、人がやって来たり巧妙なのだ。
今回、ここには書かないけど、ラストシーンに驚きが隠されていた。こんなに憎い演出が出来るのも、ミュージカルが今の時代に生きているからなのだろう。
ニューヨークに行くことがあるならば、『Carousel』と合わせて是非観たい作品。

THE BOY IN THE BAND

マット・ボマー

心待ちにしていた『THE BOY IN THE BAND』。劇場は昨夜の回転木馬の斜め向かい。お客さんはかなりゲイが多い気がする。
美術は、2階建てで、赤いビロードの豪華なソファに金属質の家具、上の寝室と洗面所や浴室、トイレのドアがガラス張りになっていて観客席からもよく見えるようになっていた。
物語の設定だと、32歳前後のゲイが集まる一夜のお話なのだけど、今回のゲイのオールキャストは、40代後半までいるようだ。
それでも、9人のゲイたちの一人ひとりのキャラクターをきちんと忠実に再現しようとしている演出がわかる。
マイケルはキチンと禿げ上がって来ているし、ドナルドは、マット・ボマーでハンサムだけど何かキチンと地に足がついたような見える。
エモリーは小さくて不細工に見えるような配役にしているし、バーナードはかなり黒い肌をしている。
アランは魅力的で性欲が滲み出るゲイで、ハンクは白髪混じりだけど大柄でハンサムだ。
カウボーイは、鼻が短く若く見えて、このために身体を鍛えたのだろうか?胸の谷間が強調されていて、ハロルドは、ユダヤ人顔でアバタをメイクで強調している。
アランは、ちょっと年上に見えるけど、ストレートっぽい雰囲気を醸し出している。
9人のゲイの誰もが主役のように思える素晴らしい脚本で舞台にぐいぐい引き込まれる。
アランとハンクのコンビが素晴らしく、ドナルドのシャワーを浴びるシーンの腹筋も魅力的に輝いている。
ハロルドは、怖さを強調しない演出のせいか、逆にセリフの怖さを感じるし、マイケルはきっと一番難しい役だと思うのに、このゲイを総括したような滅茶苦茶なキャラクターをうまく作り出している…。
一部と二部に分けずに、一気に行ってしまう夢のような2時間に浸りながら、もっとずっとこの芝居を観ていたいと思った。
3ヶ月限定の、オールゲイキャストの公演を観ることが出来て、本当に幸運だったな。