鹿児島、最終日。

3.ガストロバックを使ったサラダ

5.スペイン産豚肉

6.熱いエスプレッソのデザート

最終日のランチは、食通の間で一番評価の高いレストラン、『カイノヤhttp://www.cainoya.com/07.htm』へ。今回は、この店が一番の目玉だった。
この店の評価が高いのは、新しい料理へのあくなき挑戦にあるのだと思う。料理は、単なるイタリアンではなく、新しい創作イタリアンとでも言おうか…
先ず、すべてのお客さんが、12:30に揃って料理をスタートさせる。16席くらいの店内は、12時くらいから次第に埋まってくる。一番はじめに着いた僕たちに、先ず、レモングラスのようなハーブティーが背の高いワイングラスで出される。
今回は、料理に合わせてワインを5種類出してもらうようにお願いした。
1.枕崎の鰹と酒盗のピザ。
➕国賓に出すようなプロセッコ。
鰹がパサパサしていないのは、一度出汁で鰹に味を含ませているから。
2.ビシソワーズ(胡椒のムースとバターのジェラート添え)。
➕トレンティーノアルトアディジェの白。
バターのジェラートはほんのり甘く、胡椒のムースと混ぜることで、味に立体感が出る。
3.サラダ(ガストロバックを使った)
➕サルデニアのロゼ
ガストロバックと言うのは、食材に圧力をかけて、水分を細胞の隅々にまで浸透させる機械のこと。フォアグラなどの血抜きにも使われているとか。今回は、野菜に特殊な水が染み通っていた。
4.トマトのスパゲティ
➕キャンティクラシコ1994年物
トマトは、恐らく、パッキーノに近い小粒のトマトのソース。20年くらい経たキャンティは、香りからして贅沢だ。これがグラスで飲めるとは!
5.スペイン産豚肉の蒸し焼き
➕アリアニコ
皮はしっかりと焦げ目がつきながら、中はしっとりの豚肉。脂身とともにピンク色の肉をいただくと、口の中で奥行きが出る。
6.新しいティラミス
一番上にマロン、冷たいバニラに、マスカルポーネに、熱々のエスプレッソが注がれる。熱さと冷たさ。甘さと苦さ。様々な質感がミックスして、不思議なハーモニーを生んでいた。
★総論
ミシュランの星がつくような店だ。料理も斬新で、ワインも、サービスも素晴らしい。伝統的なイタリアンの美味しさも残しつつ、新しい料理に挑戦する姿勢が素晴らしい。鹿児島を訪れる時には、外せない店。
余談になるが、何週間か前に伺った宮崎の素晴らしい寿司屋『一心鮨』の大将たちと仲が良いようで、ガストロバックを使った新しい料理を、一心鮨でも始めるようだ。素敵な店は、素敵な店と繋がっているんですね。また、来たいなあ…
その後、桜島にフェリーで渡ってみた。鹿児島には、桜島が守り神のようにあるのだと思う。今度は、ゆっくり鹿児島に来たいなあ。

鹿児島3。

しろくま

黒豚と黒牛のしゃぶしゃぶ

豚トロ ラーメン

鹿児島に来たら、『しろくま』でしょっ?と言うことで、『天文館むじゃきhttp://www.mujyaki.co.jp/』へ。あまりの量に、僕は残してしまうが、Kは嬉しそうに完食。
夜は、やっぱり黒豚だよな。と言うことで、『華蓮http://s.tabelog.com/kagoshima/A4601/A460101/46000109/』へ。銀座にもお店が出来たらしいけど、JAがやってるせいか、値段も老舗の『あぢもり』などに比べて手頃だ。店内も綺麗だし、サービスも過剰で無く居心地がよい。
その後、また、『K’s Bar』へ。昨日入れた焼酎のボトルを空けるつもりで帰ろうとしたら、マスターがお土産だと言って、こっそりと三岳のボトルを僕に手渡すので、困ってまた一本焼酎を入れてしまった。
地方に来て、ゲイバーに行くと、ゲイと言うだけで、とても優しくしてくれることがある。『K’s Bar』は、一昨年に続いて二回目だけど、マスターが本当に親切で、この店がお客が絶えないのがわかる気がする。しこたま飲んで、Kも酔っ払ってカラオケを唄っていた。
血液型の話になって、つきあっているくせに、僕たちはお互いの血液型のことを知らなかったことに気づく。KがB型と言うことがわかり、「人にB型なんて、言わない方がいいよ。」と言ってあげた(笑)。きちんとしてるので、A型だと勝手に思っていたが、あのどこか抜けた天然ぶりは、B型の仕業だったのかと、変に納得した。
帰りに、『豚とろ ラーメンhttp://s.tabelog.com/kagoshima/A4601/A460101/46000030/』へ。昨日とは打って変わって、豚肉と脂こってりのラーメン。しつこいけど、鹿児島一と言われるのも頷ける。
ラーメンなんて、全く食べなかった僕が、Kといると、食べる機会がやたら多くなった気がする。帰って太っていたら、間違い無くこの、『豚とろ ラーメン』のせいだ!

鹿児島2。

壺中楽

昼は、南九州一と評判の、『天神房 丸新http://s.tabelog.com/kagoshima/A4601/A460101/46000046/』へ。コースを、日本酒とのんびりいただいた。
蕎麦豆腐、湯葉から始まって、蕎麦味噌焼き、カモロース、お吸い物、天ぷら、鴨焼き…どれをとっても、きちんとした東京の蕎麦屋に引けを取らない味。モダンな内装も居心地がよい。
食事の後は、有名な雑貨屋さん兼セレクトショップでもある『OWL http://owl-ovo.blogspot.jp/?m=1』へ。ここは、ちょっと東京にない品揃えの店。ドイツの鳥の羽のペンダントに惹かれた。
その後、九州一とも言われているギャラリー『壺中楽http://www.ushio-studio.com/news/2011kagoshima.html』へ。鹿児島市内の外れの竹林の中にあり、静けさに包まれているギャラリーは、丁度、急須の展覧会をやっていた。オーナーの女性と沢山話をして、こんな場所で素敵なギャラリーを実現されていることに驚いた。
つづく

鹿児島へ。

がらんつ。

湯豆腐一人前。

のり一のラーメン大。450円

二年ぶりに、鹿児島に来た。
先ずは、司馬遼太郎も愛した『湯どうふ ごん兵衛http://s.tabelog.com/kagoshima/A4601/A460101/46003724/?lid=header_restaurant_detail_review_list』へ。
コの字形のカウンターを囲むような店内は、長い歴史を感じさせる物で溢れている。この店で、みんなに愛された『ごん』という柴犬の写真も飾ってある。
湯豆腐一人前を頼み、先ずは串焼きをお願いする。
きびなご、がらんつ(飛び魚の子ども)、黒豚、椎茸、下足、牛タン…どれも、本当に美味しい。
お酒は、焼酎と頼むと、お湯割が並々とコップにつがれる。それも200円。
湯豆腐は、一人前でも、2丁くらいあるだろうか?うずら、春菊、銀杏、オクラ、もやし、ハマグリ…13種類の具材がたっぷり入っている。
この店が、いつまでも人を惹きつけてやまないのは、この湯豆腐のタレの味にあるのだと思う。自家製ポン酢は、全く甘さが無く、キリッとした柑橘の酸味が際立っている。そこに、柚子胡椒を好みで入れる。
仕上げは、軽く素麺を。店の人も、カウンターのお客さんも、あれを食べた方がいい。これが美味いなどと、本当に温かいお店だ。こうして僕にとって、鹿児島に来たら、必ず立ち寄りたい店となった。
その後、Ken’s Barへ。
鹿児島のゲイバーは、夜の出だしが遅いようで、23時頃になってようやく席が埋まってゆく。僕と同じ年のケンさんは、世話焼きのお人好しだ。
一昨年来たのも憶えていてくれて、レストランや、らーめん屋、行くべき所、マッサージ屋まで、紙に書いて教えてくれる。そういえば、前回はここで、ラーメンを取ってくれたっけ…ゲイバーでラーメンを食べさせられたのは、あれがはじめてだった。
飲み終わって、仕上げに、そばの老舗ラーメン屋『のり一http://s.tabelog.com/kagoshima/A4601/A460101/46000007/』へ。ここのラーメンは、鶏の塩味のスープで、麺もここでしか食べたことのない柔らかい麺。ラーメンというより、柔らかい素麺みたいだけど、店の外まで人が並んでいた。
カウンターでは、隣のお客さんがどんどん料理をすすめてくるし、タクシーに乗れば、どの運転手さんも沢山話しかけてくる。人懐こい町、鹿児島。来てよかったな〜♪

もうひとつの世界

2010年に観た160本くらいの映画の中で、最も好きだった映画が明日から公開される。イタリア映画祭で上映されたジュゼッペ・ピッチョーニ監督『もうひとつの世界』。
修道女のカテリーナと、クリーニング店を経営しているエルネストという二人が、偶然知り合い、それぞれの世界が少しずつ変わってゆくという話。
本当に地味な作品だけど、この作品を観ただけで、イタリア映画がいかに才能あふれる布陣で映画作りが行われているかが分かると思う。
イタリアの至宝マルゲリータ・ブイ(生きている女優の中で、ジーナ・ローランズに次いで僕が好きな女優)と、シルヴィオ・オルランドという名優が主演をつとめている。
両俳優の卓越した演技力と、繊細な演出によって丁寧に作り上げられたこの作品は、見終わった後に、いつまでも心に残る宝もののような映画だ。
人間の不完全さを描きながら、いくつになっても人間は変わることができるのだと思わせてくれる。
同時に公開される他の作品、『ハートの問題』は、観た後にさわやかな感動に浸れる。『最後のキス』はまだ観ていないので、観に行くつもりです。
★VIVA!イタリアhttp://www.vivaitaly-cinema.com/

COURRIER JAPON

友人が編集に関わっているのを知りながら、実はクーリエ・ジャポンのことを、ずっと知らなかった。
正直、自分にはまったく関係のない雑誌だと思っていた。
『意識が高く、やる気満々の人たちが読む雑誌』
それが、僕のクーリエ・ジャポンに対する印象。
Face BookやTwitterを欠かさずチェックしていて、キャリアアップや、転職や、株や、投資や、貯蓄や、英会話に興味がある人が読む雑誌だと思っていた。
実際に買ってみて、そのイメージは、それほど違っていなかったと思ったけど、特集によっては、とても興味深い内容が含まれている雑誌だということも分かった。
25日に発売された最新号は、
『世界を変える』仕事、始めてみませんか?
震災以後の日本で、誰もが自分の仕事のあり方をもう一度見つめ直したのではないだろうか?アメリカではそれがリーマンショック後だったかもしれないけど、ただ、お金を稼ぐという働き方から、何か自分の仕事が、実際に社会の役に立つようなことができないだろうかと。
僕は、入社して10年目くらいから、半年ごとの自分の仕事の目標に、『人のためになる仕事をする』ということを掲げている。大それたことでなくても、根底にその気持ちがあるのと無いのでは、実際の仕事も違って来ると信じているからだ。なかなか形になって行かない毎日なのだけれども・・・。
僕の会社でも業界でも、高学歴だったりエリートと呼ばれる人たちが、『収入』ではなくて、『社会貢献』を第一の就職や転職の選択肢にする人たちが増えていると聞く。
今回の特集は、様々なバックグラウンドの人たちが取り上げられていて、中には友人のMも実名で出ていて凄いなあと感心しながら読むことが出来た。
そして、今回何よりも心動かされたのは、25日にバーで飲んでいたら、妹のような後輩のGから送られて来た、定期購読者に向けられたクーリエ・ジャポン編集長からの手紙だった。そこには、編集に関わる友人Yのことが書かれていた。
いつも、その変わった髪型(昔はマッシュルームカットだった)をからかってばかりいたのだけど、そんなYが、実際に仕事場で、こうして頑張っていたことを知って感動したのと、ちょっと誇らしい気持ちになった。
さて、今日から僕も、『世界を(ちょっとだけ)変える仕事』、はじめましょうか。

インポッシブル

2004年に起きたスマトラ島沖地震で被災した、家族の実話が元になった映画『インポッシブル』。
幸せなクリスマスを過ごすためにやって来たタイのリゾート地で、突然の津波によって家族がバラバラに引き裂かれ、離れ離れになるという話。
正直、震災の時の映像で、僕も相当滅入ったので、津波の映像を観ることを躊躇していた。津波の恐ろしさは、どんな映像を駆使しても描き出すことは出来ないと思ったのと、わざわざあの無力感に襲われた日々を追体験したくはなかったから。
それでも、先日Bridgeで飲んでいたら、『インポッシブル』の話になって、観た人が皆、良いと言っていたので、重い腰を上げて観て来た。
映画としては、やはり予告編の通りの映画だ。だけど、アカデミー主演女優賞にノミネートされた、ナオミ・ワッツが素晴らしい。彼女を観るためだけにでも、観てよかったと思った。
この映画を観て、泣かない人はいないと思う。
どんな人にも、愛する人がいる。
誰もひとりでは生きていけないのだから。
観終わった後に、きっと、愛する人をぎゅっと抱きしめたくなるに違いない。
★インポッシブル http://gacchi.jp/movies/impossible/sp/index.html

冷奴。

豆腐が好きだ。
そして、納豆も好きだ。
どちらも毎日食べたいと思うほど。
湯葉も、油揚げも好きだ。
自分がどれだけ大豆に頼って生きているのかと思う。
家に帰って、豆腐があるとほっとする。
日本酒を注ぎ、一口飲んでから、
先ずは水切りして、
今日はどうやって食べようかと考えるのは至福の時。
先日、「ちりめん山椒をのせてオリーブオイルをかける」
食べ方を載せたら、反響があったのでうれしかった。
今日は、小皿にじゃこを入れて、塩をふたつまみ、
そこに、胡麻油を少したらし和えてから、
冷奴に乗せる。千切りした大葉を天盛りに。
(ミョウガやネギでもいい)
醤油ではなく、「ごま油(オリーブオイル)に塩」
という組み合わせは、豆腐本来の旨味を
じんわりと伝えてくれる。
(後半、醤油をほんの一たらし加えても美味しい)
もし、香菜が好きだったら、
パクチーをみじん切りにして、
これにも塩をパラリと胡麻油をほんの少し加え、
和えると堪らなく美味しい。
暑く湿気の多い今のような季節に、
先ずはさっぱりとした冷奴はいかがだろうか?

くちなし。

花屋で、くちなしを一輪いただいた。
水上げが悪いので、日持ちしませんが、一日だけでも楽しんでくださいと。
家に帰ってコップにさすと、そこはかとなく甘い香りが漂ってくる。
象牙色の肉厚の花弁は、仄かに純白を含み、自然の物とは思えない、美しい秩序を持って開いている。
梅雨のほんのひととき、濃密な香りを忘れないようにと、思いきり香りを吸い込んでみた。

しわ

『老い』を描いたスペインのアニメーション映画『しわ』を観た。
エミリオは、銀行の支店長を務めた生真面目な男。次第に痴呆が進み、息子夫婦からも疎んじられ、老人養護施設に入ることになる。
同室のミゲルは、身寄りもなく、呆けていく隣人たちから、小銭を騙し取り、のんきに暮らしている。
オウムのように同じ言葉を繰り返す男。いつも、家に帰ろうと電話を探しているお婆さん。自分はオリエントエクスプレスに乗っていると信じているお婆さん。沢山の子どもや孫がいながら、誰も面会に来ないお婆さん。アルツハイマーが進む夫に付き添いながら、共に過ごす老夫婦…
誰もが、それぞれに『老いの問題』の真っ只中にいる毎日の中で、エミリオもまた、アルツハイマーが進んでゆく…
このところ、『愛 アムール』をはじめ、『老いの問題』を真っ向から捉えた映画がいくつか公開されるようになって来た。
『しわ』の凄いところは、アルツハイマーが進むエミリオの意識が、次第に幼少期の記憶と現実とがごちゃ混ぜになっていったり、ある単語を完全に忘れてしまったりすることが、ごく自然に描かれていること。観ている我々が実際にアルツハイマーになった時の気持ちを想像出来るところだろう。
老いてゆくことで、揺らぎだすプライド、自分が思っていることが正しいのか、自分がおかしいのか、もはやわからなくなってゆく不安を描きだすことに成功している。
誰もが目を背けたくなる『老い』を、アニメーションという技法によって、観る人に共感させ、考えさせることができる作品に仕上げている。
最後に、変わってゆく人物の描き方が見事。
★しわ http://www.ghibli-museum.jp/shiwa/