この家の前の持ち主がやってきた。

夕方、晩ごはんを準備していると、キッチンから見える裏庭に車が止まって、40代くらいの女性が車から降りて伸びをしているのが見えた。

「あれ、娘さんかも・・・」

娘さんと言うのは、この家の前の持ち主の末娘さんのことで、僕たちの家の裏の空き地を持っている女性。

しばらくすると玄関の呼び鈴が鳴ったので出てみると、そこにはその娘さんと前の持ち主の70代のお婆さんが立っていた。

「明日は1日なので、お墓にお花を持って行くので花を取りに来ました」

僕は、2人を連れて庭を案内しながら、植え直したブーゲンビレアやバラや宿根草を見せた。

「こんなに綺麗にお花を咲かせてくださってありがとうございます」

娘さんは花々に感動したようで、何度もお礼を言った。

「あそこにあった白い蔓の植物は切ってしまったのですか?あれはいい匂いがしたのだけど・・・」

「あ、マダガスカルジャスミンですね・・・あれは蔓がそこらじゅう絡みついていたので思い切って伐採しました」

ふたりは庭を懐かしそうに眺めては、目を輝かせていた。

今までにお婆さんがこの家にきたのは3回くらい。旦那さんや3人の子どもたちと暮らした日々を、今でも大切に思っているのがわかる。

「またいつでもお花を取りに来てくださいね」

そう言って2人を見送ったのだった。

食費。

宮古島で暮らすようになってから、僕たちは家計簿をざっくりとつけている。こんなことをするのは人生で初めてのこと。

それは、リフォームでどれくらいかかっているか、公共料金、税金、保険、年金がどれくらいか、ガソリン代がどれくらいかなどつぶさにわかるからだ。

ある日、世の中のふたり分の食費の平均額を調べたら・・・67,000円くらいだった。

この額を見てふたりで愕然としたのは言うまでもない。

目標はまず8万円。いや、やっぱり10万円かな…。

5月からまたやりくりしてみようと思う。

宮古島のクリーニング屋さん。

冬物のセーターをクリーニングに出したいと思っていたのだけど、町中を走る限りあんまりクリーニング屋さんが見当たらない。

ないわけではないのだけど、ここで大丈夫かな?と思うような古びたクリーニング屋かとても小さな商店だったりするのだ。

そこで、大型スーパーの横に併設されているクリーニング店に行ってみた。

「これは普通の毛なのでいいのですが、このセーターはカシミアなのでデラックスでお願いします」

「そう言うものはうちにはないんです。セーターはセーターで全部一緒だから」

驚いたことに、2軒回ったクリーニング屋さんにはどちらにもデラックスなどのクリーニングはなくて、他のセーターと一律の洗い方しかなかった。

考えてみたら、そもそも宮古島でセーターをクリーニングに出す人なんてあまりいないのだろう。僕とKの2人分で、何枚ものセーターとマフラーまで何本も持っていった僕を見て、お店の人の方が驚いたに違いない。

当たり前だけど東京の常識は全ての常識ではなく、宮古島には宮古島の常識があるのだと思ったのだった。

宮古島の皮膚科。

指にいぼが出来ていて、しばらく放っておいたのだけど、時間があるので皮膚科にかかることにした。

宮古島にはいわゆる町の「皮膚科病院」は2つくらいしかなくて、あとは大きな病院にある皮膚科になる。

そこで一番家のそばの皮膚科に行ったら、待ち時間が1時間と言われて諦めて帰ってきた。

また次の日に町中にある皮膚科にオープン15分前に行ったら、すでに列を作って待っている人がいて、しょうがなくその列に並ぶことにした。

先生がとてもいい感じの女性で安心したのだけど、結局診察までは1時間くらいかかってしまった。

予約のできる歯医者などはいいけど、この島で病院に行く時には、しっかり曜日や時間帯の混み具合を調べた方が良さそうだ。

大型宅配便問題。

コンランショップで大きめのソファを買って送ろうと思ったところ、宮古島には配送することはできないと言われた。

これはコンランショップに限ったことではなくて、たいていの大型家具を買って送ろうとするとネットショッピングでも配達不可地域という返事が来てしまうことが多い。

「家具なんて全て宮古島で揃えればいいじゃん」という人もいたのだけど、宮古島にはお洒落な家具屋さんもないし、自分達の欲しい家具を一揃え揃えたら、お金がいくらあっても足りない。

離島でも大型家具を送ることは不可能ではなくて、クロネコヤマトの大型家具を送れる宅配便があるのだけど、大きさにもよるが一つ運ぶのに2万円以上取られることになる。

家具なんて執着する必要もないと言う考え方もあるけど、僕にとって家の家具は、一緒に年を重ねていく大切な宝物なのだ。

結局引っ越しで100万円かけて家中の家具を全て運んだのだけど、運んでおいてよかったと心の底から思ったのだ。

アンマー

沖縄県民の一番愛する歌をいつかラジオで特集していた。

一番はどんな曲になるのだろう?と思いながら、僕は、Beginの「島人の宝」かTHE BOOMの「島唄」かなと思っていたのだけど、結局一番は、かりゆし58の曲「アンマー」だった。

このアンマー。僕は今までそんなにきちんと聞いたことはなかったのだけど、改めて聞くとじんわりと泣けてくるような素晴らしい曲だった。

普遍的な母親像がしっかりと焼き付けられている。

 

https://youtu.be/4_OKI91h3tw

スコール。

宮古島では、朝はピーカンに晴れていたのに9時頃にいきなりスコールが降りはじめて、1時間くらいしたらまた止んで、太陽が顔を出して・・・なんてことがよくある。

今日も朝からよく晴れていたのでシーツを洗って外に干していたら、いきなりスコールが降ってきてシーツを慌てて取り込んだ。

そうしたら昼前にまた太陽がギンギラギンに顔を出した。

今の僕は、東京とは全然違うこんなスコールを楽しいとさえ思う。

島だからなのか、天気予報がほとんど当てにならないというのも島に暮らしはじめて知ったこと。

自分の視覚や嗅覚や肌感覚で天気を察知した方がよほど当たるようなのだ。

リフォームの行方。

2月は我々の暮らす母家のリフォームを行い、3月からは宿の部屋のリフォームが行われている。

リフォームが進んでいく中、玄関の場所を変更したり、収納庫の場所を変更したりしながらも、大体4割くらいまで工事は終わっただろうか。

先日、宮古島で宿をやられているオーナーに偶然お会いして、リフォームの進み具合などを聞かれた。

「遅々としていていつになったらオープンできるかわかりません・・・」と答えたのだけど、それで心配になったのか、オーナーが突然家にバイクでやってきて、家の進み具合を見に来たのだ。


「随分大々的にリフォームしてるんですね?それでお二人は昼間は何をやってるんですか?」

「特に何もしてないんです・・・やらなきゃいけないことがまだまだあって、雑務をこなしている感じですかね・・・」

本当は、ホームページも作らないといけないのに中身ができていないので作れないし、外壁の塗装も始めないといけない。保健所にも行って許可取りをしないといけないし・・・やることは沢山あるのに、なかなか身体が追いついていないのだ。

焦る気持ちもあるけど、僕たちなりに少しずつ目の前のできることをこなしていこう。そう思いながら、今日もふたりで庭の雑草取りなんかをしている。

カビとのつき合い方。

宮古島で暮らすことは、カビとつきあっていくことでもある。

移住者が一様に言うのは、湿気が多意季節にはカビ対策が欠かせないとのこと。

人によっては洋服ダンスの中に除湿機を入れたり、一日中除湿をかけていたりするのだそうだ。

僕たちの家は風通しがいいため比較的カビは少ない方かもしれないものの、皮のバッグにカビが生えたり、畳にカビが生えたり、革靴にカビが生えたりするのを時々発見する。

宮古島の今は東京の5月頃の気持ちのいい陽気なのだけど、これから梅雨を控えていていかにこの湿気やカビとつきあっていくか、色々対策を考えなければと思っているところ。

蚊との戦い。その2

夜寝ていると、昼間にいつの間にか部屋に入り込んだであろう蚊の羽音で起こされる。

先日ホームセンターに行った時に、蚊除けの薬剤やら線香を探したのだけど、ペットにも安心という物が見つからなかった。

そこで諦めて帰ってきたのだけど、それから毎日夜中に起こされては、何も買わずに帰ってきたことを後悔し、それでもまた夜になるとそんなことも忘れてベッドに入り、夜中に起こされるというのを繰り返している。

有名な蚊取り線香は、実は人間には有害であるのをご存知だろうか?蚊が死んでしまうということは、それだけのものが中身に入っているのだ。人間にも無害な訳はないだろう。

赤ちゃんやペットにも安心な蚊除けは、本物の除虫菊を使用した線香があり、それを注文したもののまだ配送されてきていないし、昔懐かしい蚊帳を買ってみたものの、それも宮古島のため配送に時間がかかっている。

夜中にKとふたり電気をつけては蚊退治をして、朝になりぼーっと目覚める毎日。線香と蚊帳が届く日を心待ちにしている。