我が家の紅葉。

我が家の前には、55段の階段があり、右左に折れ曲がって続いている。

そして家の前には栗、クヌギ、どんぐりなどの大木があって、大きなもみじも二本天を仰ぐように枝を広げ、樹々の向こうには山々が連なっている。

家のもみじ

この家に決めた理由は、その樹々に囲まれて暮らす窓からの景色が美しかったから。

緑色だったもみじの葉っぱは、今や錦繍のように複雑な色で染まってきている。

最終の新幹線。

日曜日、午前中はKと一緒に湯河原まで買い物に行きランチを食べ、午後からは東京で撮影があり、撮影が目黒で終わったのは22時を超えていた。

東京に泊まるならば、どこかホテルを取れば今ならGO TOキャンペーンで安く泊まることができる。迷うところだけど僕は一目散に品川駅を目指し、最終の新幹線に乗った。

Kは医療の仕事をしていて朝が早いので、「先に寝ていていいからね。タクシーで帰るから」と伝えてレモンサワーを飲みながら、ほんの35分くらいで熱海駅に着いた。

最終の新幹線は人もまばら

熱海駅の改札を降りると、Kが車で迎えに来てくれていた。

僕「寝てればよかったのに・・・」

K「いつも一緒です」

寒い中、わざわざ車で迎えに来てくれたことがありがたく、とても嬉しかった。

クレール

熱海を代表するフレンチというか、洋食家さんの一つにあげられる「クレール」は、何度か電話をしたけど満席が多かった。

今回タイミングがよく入れてわかったのは、座席数がとても少ないということ。これならこのコロナの影響で席数も減っていることを考えたら入れなかった理由がわかった。

お料理は、フッレンチというか、フレンチとイタリアンの要素を取り入れた洋食かな?なんというか、漁場のレストランというのが一番しっくりくると思う。

魚介類中心の食材は、真鶴や伊豆のお魚を取り入れていて、ワインも手頃な値段で味わえる。

真鶴産のイカのリング揚げやアジフライは、魚の鮮度がいいのかイカは柔らかく、アジは味がとても濃い。

ガーリックトースト

スズキのガーリックワイン蒸し
アジフライ
真鶴産イカのリング揚げ

生ハムと玉ねぎのサラダ

本日のお魚のガーリックワイン蒸しは、南仏や南イタリアを思い出す、まさしく漁場の味わい。

地元のおじさんおばさんが集うかわいいお店。

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坂と階段の町。

熱海は、山の斜面に家々が立っていて、平地という部分がとても少なく、海辺の平地部分はほとんどが埋立地だ。

僕の住む山側も同じで、基本的には山の斜面に家を建てて暮らしている。

今日は朝、下のコンビにまで散歩がてら歩いて行って、帰りは急な階段をよっこらしょっと上がってきた。

この階段、一つ上がるのに、だいたい100段近く段数があって、それを2段上がっていく。そして僕の家でさらに55段の階段。

近所に見たことのない不思議な花が咲いていた。

山を降りるまでに階段が全部で250段くらいある。

はじめは、「なんでこんな階段ばかりのところに住んだんだろう?」と、息を切らせながら思っていたのだけど、今はそんな階段の上り下りも日常になり、息は切れるし途中で立ち止まって休息を挟みながらもなんとか登っている。

今日はそのあと、急に東京に行くことになり、慌ててまた山を下り、来宮駅で電車を待っていたところ、急に予定がキャンセルになり町をふらついてまた家に帰ることに。往復2回も山を降りて登ったのは初めてて、登った後に脚がガクガクになってしまった。

山を降りてバスを待つのにも慣れてきた。一つのバスを逃したら、次は30分後だったりするのだけど、それさえもこれがこの町の日常なんだと受け入れることができる。

今まで暮らしていた渋谷区の外苑前近辺の暮らしとは全く違った不便な暮らしに、少しずつ慣れ始めているところ。

町内会の清掃。

熱海に引っ越してきてから、右隣と右斜め前、そして右隣の隣にも挨拶に行った。彼らはだいたい60代から70代。

左側には山がありその向こうに一軒家があるけど、そこは高齢のおばあさんが痴呆症とのことで何度行っても人のいる気配はないので諦めた。

熱海の町も日本の多くの町が抱える問題と同じで、高齢化が進んでいる。

家の呼び鈴が鳴ったので誰かと思って出ると、お隣のおじさんだった。

「こんにちは。先日お話しした町内会の清掃の件なんですが、年に2回くらいみんなでやってるんですよ。もし可能ならご参加願えないかと思って・・・」

「あ、もちろんいいですよ。またその時期になったら教えていただけますか?」

「よかった!ここはもう僕たちのような老人ばっかりだから、若い人が来てくれてみんな喜んでるんですよ。ほんと良かった」

清掃の件はKが階段の下で道路を掃いている時におじさんに誘われていたようですぐに承知したのだけど、Kが意外とご近所さんと挨拶をしたり立ち話をしているので少し驚いている。

ご近所のおじさんおばさんは、僕とKのことをどう思っているのだろうか?とも思う。清掃をしてお話しする機会があったら、何も包み隠さずに僕たちの関係を言ってしまおうと思っている。

そこまで詮索してくる人がいるかはわからないけど、僕たちはもう、このままで生きて行くのだ。

熱海の住民は、ゲイカップルのことをどう思うのだろうか?

水仙の花。

庭というか我が家の斜面には、大木がいくつもあるのだけど、その脇に日本水仙が植わっていたようで、早くも咲き始めた。

この辺りは夜になるとイノシシが出て庭を荒らすらしいのだけど、不思議なことにイノシシは水仙は食べないのだ。

それは、水仙には毒があるから。

イノシシは水仙に毒があることを本能的にわかっているのだろう。

時々日本でも、水仙の葉っぱをニラと間違えて食べてしまって大変な食中毒になってしまうことがあるけど、綺麗な水仙には葉っぱにも花にも根っこにも全てにおいて毒素があるので、決して口にしてはいけない。

咲き始めた水仙を摘んで来て、玄関とリビングに飾ってみた。

水仙は、芳しい香りを漂わせて、寒くなり始めた熱海にも、すぐ先に春が待っていることを教えてくれる。

たとえ毒素があろうとも、身近に水仙が咲く暮らしは、質素でありながら豊かに感じる。

雨風本舗

熱海の駅前の商店街を抜ける途中に、「雨風本舗」がある。

有名な行列店「熱海プリン」のそばで、「雨風本舗」も時々列を作って並んでいることがある。

昼前に通りかかるとたまたま誰もいなかったので入ってみると、店主一人でサクサク出された塩ラーメンは、塩気が強いもののとても美味しかった。

熱海に暮らし始めて、約1ヶ月が過ぎたのだけど、こうやって町のラーメン屋さんやらレストランを食べ歩くことがとても楽しい。

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虫や獣との生活。

熱海の山に住むということは、自然の中に住む贅沢を享受するということ。それと当時に虫や獣とともに暮らすということでもあった。

この家を見に来た時に驚いたことは、蜘蛛の大きさだった。まるでスパイダーマンに出て来そうな大きな蜘蛛がそこら中に巣を作っていたのだ。

暮らし初めてわかったことは、日本家屋のそこかしこの隙間から、様々な虫が家の中に入ってくること。

一番多いのは、ヤスデで、ヤスデを見かけるのは毎日のこと。ヤスデはおとなしく、嫌なことはその臭いくらい。ゲジゲジは大きくて気持ち悪いけど、人間に悪いことはしないというのも学んだ。時々、ムカデを見ることがあって、これは人間に害があるので用心しなければならない。(虫の写真は、とても気持ち悪いのでここでは割愛しておきますね)

庭には夜になるとイノシシが出てくるようで、近所の庭はイノシシに荒らされて、植えたばかりの球根や植物を食べられてしまうと言っていた。一度夜に帰って来た時に、草陰で獣が動く音がしてちょっと怖かったこともあった。

翌朝見たら、植えたばかりの山椒の苗木の根元を掘り返していた。僕が新しく植えた木が、獣にはわかるのだろう。

都会での暮らしとは全く違う山の中の暮らしは、こうした不便なことやちょっと怖い虫や獣との共生があるのだけど、今のところそうした何もかもひっくるめて、毎日が楽しい驚きに満ちているのだ。

WE ARE THE LOVE

写真家のレスリー・キーさんが、ジョシュアさんと結婚披露宴を開催した。その名も『WE ARE THE LOVE』。「いいふうふの日」にちなんでアメリカンクラブで行われたパーティーには、各界からおよそ170名の方々が参加して、4時間以上にも及ぶ宴になった。このパーティーの様子は生放送で世界に中継されていた。

僕とKもこのパーティーに呼ばれていて、90秒間のスピーチをしたのだけど、緊張のあまり内容が一回頭の中から全部ぶっ飛んでしまい焦ったのだけど、なんとか無事に最後まで終えた。Kに言わせると、内容はあっていたけど、練習していた原稿とは全然違っていたらしい。笑

小室哲哉さんがオープニングとエンディングをピアノで引き、様々なミュージシャンの歌や演奏が華やかに舞台を飾った。中でも面白かったのが、久しぶりにみた「杏里」さん。

杏里が歌うことがわかったKは僕に、「キャッツアイ歌うのかな?」と真顔で聞くのだ。僕は思わず吹き出してしまい、「キャッツアイなんて結婚式で歌わないよ・・・」と言いながら、でも杏里の歌って、「悲しみが止まらない」とか、「オリビアを聴きながら」とか、暗く悲しい歌ばっかりだなあ・・・と思っていたところ、最後になんと「悲しみが止まらない」を歌い始めたのでびっくりした。

LiLiCoさんとジョン・カビラさんの司会も良かったし、平原綾香さんの歌もうまかったし、宮本笑里さんのヴァイオリンも素晴らしかったし、河瀬直美監督のスピーチも良かった。

僕がこのパーティーに出席して思ったことは、結婚したいと思う人が異性であれ同性であれ、自分たちの結婚式を二人で一緒にワクワクしながら計画できる、そんな世の中になって欲しいということ。心に残る素晴らしいパーティーだった。

早見優さんの歌

杏里さんの歌

<以下、僕のスピーチを載せておきますね>

(アートディレクターの)ただしです。そして私のパートナーのKです。レスリーさん、ジョシュアさん、ご結婚おめでとうございます!私がレスリーさんと出会ったのは、5年前に「OUT IN JAPAN」というLGBTQのカミングアウトプロジェクトを一緒に立ち上げた時でした。

レスリーさんと一緒に日本各地を撮影で回りながら、自分に誇りを持ってカメラ前に立つ一人ひとりに、私自身が励まされ勇気をもらいました。

私とKは、「結婚の自由をすべてのひとに」訴訟という、同性同士であっても結婚できる権利を求める裁判の原告でもあります。

この国では、未だに同性同士による結婚が認められていないため、大切なパートナーの命に関わるような時にそばにいることができなかったり、亡くなった時に相続ができなかったり、一緒に子どもを育てていても家族になれなかったりという現状があります。私たちは今の社会の現状を、なんとか変えていきたいと思いながら裁判に臨んでいます。

今回、レスリーさんとジョシュアさんは、こんなに素敵な会場を選んだり、家族や友人、知人を招待したり、歌やダンスをゲストにお願いしたり、きっとワクワクしながら二人で一緒に計画したのだと思います。

私が今思うことは、結婚したいと思う人が異性であろうが同性であろうが、レスリーさんとジョシュアさんのように、二人で一緒にワクワクしながら結婚式やパーティーを計画できる、そんな世の中になってほしいということです。

今日は二人の幸せな笑顔を見ながら、私たちもどんどん後に続いていけたらいいなあと思いました。レスリーさん、ジョシュアさん。これからもっともっとお二人で幸せになってください。

ありがとうございました。

犬の名前。

犬と一緒に暮らしたいということは、Kと何度も話し合ってきた。熱海に引っ越したのは、一軒家で犬を飼いたかったことと、海のそばで暮らしたかったことが大きな理由だ。そして今回、念願が叶ってスタンダードプードルのオスを譲り受けることになった。

12月に迎え入れることになった犬の名前を決めたいと思うのに、なかなかしっくりくる名前がなくて、Kと二人色々な案を出し合ってきた。

K「ネロは?」
僕「イタリア語の黒はネロだけど、ちょっと呼びづらいかな?」
僕「クオーレは?」
K「なにそれ?」
僕「イタリア語の心って意味」
K「言いにくい」
僕「ソーレは?太陽」
K「バレーボールのサーブみたい」
K「海は?海が好きだから」
僕「海?うみ?・・・いいかも。呼びやすいし」

ということで、命名「海」。

もうすぐ加わる新しい家族のために、早く家を片付けなければ・・・。