Bridge13周年パーティー

早いもので、新宿2丁目の「Bridge」が、13周年を迎えた。今年はコロナの影響もあり、今週1週間が周年ウイークで、平日もパーティーをやるというので、僕たちは木曜日に出かけた。

久しぶりのBridgeは、懐かしい顔ぶれも集まっていた。

今年に入って、ほとんど顔を出せずにいたけど、これからもずっとずっと僕たちの温かなHOMEであって欲しいと思った。

それにしても熱海に引っ越したら、それこそ2丁目とはお別れだな・・・。まさか14歳から遊んでいた2丁目に、自分が行かなくなる日が来るなんて思いもしなかったな・・・。

自分でも未だに信じられずにいる。

時々、Kを思う時に。

時々、ふとKのことを思う時に、急に泣きたくなることがある。

それは、Kのやさしさや素直な心を思い出すから。

今まで過ごした色々な場面を思い出して、愛おしくなるから。

仕事が忙しく僕が疲れているのを感じると、僕のことを心から心配してくれる。

そんな姿を見ると、こんな人が僕のそばにいてくれるなんて奇跡のようなことだと思うのだ。

今日も急に泣きたくなって、早く帰ってKに会いたいと思った。

荷造り。

自動車を買った直後から、Kが急に引越しモードに目覚めた。

僕は連日の疲れから、家に帰って来てもヘトヘトでいるのだけど、Kは俄然張り切って、一人で黙々と荷造りをしている。

僕の家の荷物の量は、なんでも4人家族よりも多いようで、特に、食器類と本がちょっとした量なのだそうだ。

Kは週末に、重くて面倒な本棚を2つも空にしてくれて、尚且つ持ち前の几帳面さから、本棚のどこに入っていた本なのか、分類までダンボールに書いていてくれる。

前回、一人でやった引越しは、気が遠くなるほど大変だったけど、今回の引越しは、Kのおかげでスイスイとはかどっていきそうだ。

レスリーの撮影に。

写真家のレスリー・キーが、「OUT IN JAPAN」のプロジェクトで出会ったジョシュアと恋人になり、その後アメリカで籍を入れて、日本でも渋谷区のパートナーシップ制度に登録をした。

そして、間も無く結婚パーティーを開くことになり、僕とKも招待にあずかり、二人の写真を撮影していただくというありがたい機会に恵まれた。

スタジオに15時に入ったのだけど、その後メイクをして羽織袴に着替えてのインタビューと撮影が終わったのは、18時半だった。

日本で同性婚がなかなか認められないことや、問題などをじっくりと話し合った。

写真はいつかどこかで公開されると思うけど、顔を思いっきりメイクしているので、Kなんてまるで歌舞伎役者のようだし、僕たち二人で頬を寄せ合ったりしているので、見ている方が恥ずかしくなる写真だった。

それでも、レスリーとジョシュアが結婚パーティーをやるということ、そしてそこに参加して一緒にお祝いすることができるということ自体が、僕たち二人にとってもとても嬉しいことに感じられた。

Cが家に遊びに来た。

僕には、かれこれ12年以上の付き合いにある仲の良い46歳くらいの女の子がいて、僕が熱海に引っ越す前にと、家に遊びに来た。

Kもよく知っている子で、Kが東京に来て一時期は一緒に南青山のマダムの英会話に一緒に行っていたので、Kのことをどこか弟のように思っているところがある。

夕方まで僕も仕事が忙しかったので、今回はKの作る「たこ焼き」にして、久しぶりに楽しい一夜だった。

Cは、僕が前に付き合っていた恋人と別れた39歳の時に、僕が独り身になってとても不安で辛かった時にいつもそばで寄り添ってくれた子だ。大晦日もお正月も二人で一緒に過ごしたし、正月にCの友人が入院している病院にお見舞いに行ったりもした。

Cは僕が弱っていた当時、僕に慰めの言葉をかけてくれたというよりも、ただひたすら一緒にいてくれた。

そのやさしさを、僕はこれから先も一生忘れることはないだろう。

二人で新居を探すということ。

Kと僕は、九州と東京という遠距離恋愛を3年少し続けたのち、Kが九州での仕事を辞めて東京に出てきて、東京の僕の家に一緒に暮らすようになった。

気づいたらそれから5年が経ち、今度は東京ではなく静岡県の熱海市に二人で引っ越そうとしている。

引越す家を探すことから始まり、引越し業者さんに見積もりをとったり、インターネットのプロバイダをどうするかとか、一緒に冷蔵庫を買いに行ったり、今は車探しもしながら、今後は犬もどこかのブリーダーから引き取ろうと考えているところ。

新しい家に引っ越して新しい生活を始めることは、色々と面倒なこともたくさんあるけど、そんな面倒なこともひっくるめて、僕たちはこの引越しの準備をワクワクしながら楽しんでいる。

こうして新居への引越し準備をしていて気づいたことだけど、僕たちゲイやLGBTQの人たちはこういう楽しみさえも、なかなか味わえずに暮らしているのではないかということ。

男女であれば当たり前の、新居を探すことや一緒に暮らすための準備なんかを、僕たちはあらかじめ自分の人生には想定していなかったり、実際にそういうことになったとしても、大家さんや不動産屋さんや車屋さんいも言えずにやり過ごしているのではないかと思ったのだ。

僕たちが、ゲイやLGBTQであるというだけで、男女であれば当たり前にある楽しみを、初めからないものとして生きていたなんて、とても勿体無いことだと思ったのだ。

Kからの贈り物。

朝、出かけようとしてカバンの中を確認したら、Kの手紙と小さな紙包みが入っていた。

中を開けてみると、僕の財布と同じ色の小さな小銭入れが。

僕がずっと小銭入れを使わず、布製の小さな袋に小銭を入れて持ち歩いているのを、Kはずっと気になっていたらしい。

8周年だったのに僕からは特に何もプレゼントは買わなかったのに、こっそりとプレゼントをカバンに入れておくなんて。こういうところがかわいいところなんだよなあ・・・と改めてありがたく思った。

朝、仕事で憂鬱な気分でいたのだけど、小さなプレゼントのおかげで元気になれた。

今の仕事がたとえうまく進まなくったって、僕には大切なKという宝物があるのだ。

ラプアンカンクリのポケットショール。

長年愛用しているリネンを買っている「ラプアンカンクリ」で、ポケットショールを買った。

大きなヘリンボーン柄と、シックな色合いに虜になってしまったのだ。

送られて来た色違いの2つのショールを開けると、
「これ、どうやって着るの?」とKが呟く。

「肩からかけたり、膝にかけたり、でっかいマフラーみたいにしたり、どうやってもいいじゃん。大きすぎず小さすぎず、便利だよ」

「へー」

早速寒くなって来たので、晩ご飯を食べながら、膝にかけてみた。ショールは暖かく、それでいて軽いので手軽だ。

膝にナプキンのようにかけて、向かい合って座っているKに残りの部分をかけると、嬉しそうに僕のショールの下に足を入れて来た。

二人で一緒に入るショールの下は、とっても暖かかった。

⭐️https://lapuankankurit.jp/discover/always-by-myside-pocketshawl/

怒るK。

夏からずっと進めてきたCMの企画が、金曜日にほぼ決済がおり、一段落していたのだ。これでやっと、ゆっくりと眠れると。

それなのに、それなのに・・・火曜日夕方に呼び出されて、3本のうち2本がひっくり返ってボツになってしまった。

僕はさすがに、3回もひっくり返されて意気消沈し、怒りやら吐き気やらで、「これからどうしようか・・・」と考えていた。

でもそれを、Kにはあまり知られないように、なんとか自分の中に止めようとしていたのだけど、晩ごはんの時にKはすぐにわかったようで、起こりはじめた。

「ただしくん、もうこの仕事やめてあげて」

「しょうがないよ。こういう仕事なんだから。企画が決まるまでもう一度頑張るよ」

「もうこんな無茶なこと言う会社、ほんとやだ。クリエイティブもやめればいいじゃん。もっとゆっくりした部署にいけば」

「大丈夫だよ。もう一回頑張るよ」

必死になって僕を守ろうとして怒っているKを見ながら、自分がしっかりしなくてはダメだと思ったのだ。

僕が傷つくと、家族も同じように傷つくものだ。

そんな姿を見て、もう一度立ち上がろうと思った夜だった。

Kの面接。

熱海への移住が決まり、Kは早速仕事探しをはじめていたみたいで、三島にある病院に面接に向かった。

病院側は、通常勤務の社員を求めているようだけど、今までいくつかの病院での勤務を経験したKは、再就職を慎重に選ぶようになったようだ。

夜勤があったり、早朝から夜遅くまでの勤務であったり、休みのないブラック病院を避けるようになっていた。

面接から帰ってきたKにどうだったかと手応えを聞くと、「うん。向こうは通常勤務を求めているみたいだった」「それでどう言ったの?」

「朝は、8時殻みたいだけど、熱海から遠いので9時半からならいけると答えたの。夕方は少し遅くなってもいいと」

「そんなこと言って大丈夫なの?病院ってみんな朝早いじゃん」

「でも、8時に行くには、7時すぎには出なきゃいけないし、それが毎日だときついよ」

「そうだね・・・そしたら国立だし難しいかもね」

そんな話をしていたら、程なく内定の通知が届いた。

「よかったね。ブラック病院じゃなければいいけど」

「嫌ならすぐにやめたらいいよ」

どうやら、自分の好きなように条件を出して、受け入れてもらえそうだ。

僕たちの移住計画も、少しずつ進みはじめている。