OUT IN JAPAN 第3弾ムービー。

始まってから今年で7年目を迎えるプロジェクト「OUT IN JAPAN」のムービーが完成した。

「OUT IN JAPAN」とは、LGBTQカミングアウト・フォト・プロジェクトであり、セクシュアルマイノリティが一人ひとり顔写真とともに実名・年齢・職業そして、カミングアウトにまつわるストーリーをHPに載せている。

このプロジェクトを手がけた時は、僕はまだゲイの世界のことしかほとんど知らなかったのだけど、2000人を超える多様なセクシュアリティの人々に会ってきたことで、自分とは違うセクシュアリティの人たちがこんなにもたくさんいるのだとわかったし、それぞれの悩みや苦労もたくさん知ることができた。

そして、僕にとっては一生涯忘れられない宝物のような経験となった。

ムービーの中には、僕もKもどこかに写っているので、ぜひご覧ください!https://youtu.be/Ga7KjZbDHJI

襖の切り絵。

日本家屋に住むのは子どもの時以来なので、木と紙で丁寧に作られた空間に感心することが多い。

木材の材質の違いや、木のそのままの表面の質感を活かした作りは人にやさしく、格子で美しく区切られたグラフィカルな模様に、紙の柔らかな質感とそこを通り抜ける光のやさしさを感じることができる。

でも、都会のマンション暮らしに慣れた僕には所作がまだなっていなかったようで、引っ越した当日にベッドを動かした時に襖に穴を開けてしまった。その後も海を追っかけている時だったかにもう一つ穴を開けてしまい、障子にも2箇所くらい穴が開いている状態だった。

襖も障子も畳もよくできたもので、張替えにはそれほどお金がかからないことがわかったのだけど、張り替えるにしても1年後くらいにしようかと思いそのままにしていた。

Kは僕と違って几帳面な性格なので、実はこの穴がずっと気になっていたようで、先日襖や障子の穴を取り繕う紙を買ったようだった。

しばらくしてテーブルでその紙をハサミで切っているところを見たのだけど、うまくできたかな?と思って見に行くと、ぱっと見穴が気にならないようにふさがれていた。

でも、その穴を塞いでいる紙は正方形や長方形ではなく、一つは海の形を切り抜いたものと、もう一つは僕とKの写真を切り抜いた形になっていた。

海のカタチ

僕とK

今までKが絵を描いているところも見たことなかったのだけど、思わぬKの遊び心にほっこりとした。

およそお金のある家の暮らしとは大違いな僕たちの家らしい襖が出来上がったのだった。

10年ごとの人生。

人生の周期は、9年ごとだとか、12年ごとだとか、さまざまな意見があるけれども、52歳の僕がざっと自分の人生を振り返った時に、だいたい10年ごとにそれぞれの課題なりテーマがあったような気がする。

物心ついてから10歳までは、親の愛情とともに、父母のうまくいかない関係性に翻弄された最も辛い時代。

中学生から成人するまでは、自分がゲイであることの受け入れ難さに思い悩んだ時代。

大学の卒業から30歳になる頃、恋愛の失敗を沢山積み重ねて、最後にはじめて年上の恋人が出来た。

30代は、自分が世界で一番幸せだと思える恋愛をして、世界中を旅行した。その後その恋愛は崩壊し、39歳ですべてを失った。

40代は、死に物狂いで恋人を探し求め、やがてKに出会い、そこから人生にゆっくりと軸が出来はじめた。

そして50代。住み慣れた東京を離れ熱海へ。

都会暮らしで享受出来る生活が必要だとずっと思っていたのに。それほど必要ではなかったということがわかった。もしかしたら、この歳になり必要ではなくなったのかもしれない。

時々こんな風に自分の来し方を振り返ることがある。

自分の人生なんて特に何のストーリーもないように思える時に、思い起こしてみる。

人に自慢できるようなものは何もないけど、そこには自分だけが知っている毎日が確かにあったのだ。

第3回マリフォー国会。

「結婚の自由をすべての人に」訴訟、原告や弁護士が国会議員の方々と交流する「マリフォー国会」が開催された。

僕たちは日頃、裁判所でたたかっているのだけど、司法だけでは道は突破できそうにないのも事実なのだ。そこで、立法府に働きかけて、法制化を急ぎ行って欲しいと訴える活動もしている。

今回は第3回のマリフォー国会で、今までは野党の議員さんがほとんどだったのだけど、今回は自民党議員も5名くらいいらっしゃってお話しを聞いてくださった。

札幌の判決が追い風となって、少しずつ世の中の流れも変わって来ていると感じられた。

アイスの抽選応募。

Kは甘いものが大好きなので、ほぼ毎日晩ごはんの後にデザートを食べる。

僕自身はお酒があれば良いのであまり甘いものには興味がないのだけど、僕が食べないとKも食べないのでKに付き合って食べるようにしている。

デザートの中には、時々アイスの「モナカ」もあって、二人で半分にして食べるのだけど、そのモナカの袋には抽選に応募できるマークがついているようで、時々Kがそのビニールの袋を捨てる前に丁寧にハサミでマークを切り抜いているのを見かけていた。

今日、晩ごはんが終わってアイスのモナカを食べたら、ハガキを持ち出して来て一生懸命住所や差出人の名前を書き出した。

僕が、「何を書いてるの?」と見ると、「応募するの」とのこと。僕の名前でキャンペーンに応募しようとしていたようで、ここに海の絵を書いてくれというのだ。マジックの真っ黒ののらくろのような犬の絵を書いて、応募ハガキに遊び心を加えた。

「何が当たるの?」と聞くと「すき焼き用の牛肉」とのこと。

4枚くらいのハガキに応募事項を書いて、切り抜いていたマークを一生懸命貼っているKを見ながら、かわいいなあと思ったのだ。

東京から、友人カップルが遊びにきた。

水曜日、札幌の判決もあったので、僕とKは仕事を休み、家で過ごしていた。

そこに偶然合うかのように、東京から友人のゲイカップルが犬二匹と一緒に箱根に旅行に来ている帰りに、熱海の我が家に遊びに来た。

友人たちは我が家の階段を見上げて驚いていた…というか、呆れていた。

「この階段上がるの?」

ミニチュア・シュナウザーの二匹はとてもおとなしいのだけど、海が黒くて大きいせいか怖かったようで、少し警戒していた。海は二匹のシュナウザーと遊びたくてしょうがなくて、ずっとそばに行きたがっていた。

友人カップルとKと海やシュナウザーを連れて近所を散歩する。熱海の中でも山の上にある町並みは、まるで世界が終わってしまったのように静かだ。

札幌訴訟の判決が出た日で、あまりゆっくりすることはできなかったのだけど、また今度ゆっくりと熱海を訪れて欲しい。

熱海には、連れていきたい場所がたくさんあるのだ。

沢山のお土産をいただいた。プードルの小瓶に入ったアンティークの香水瓶がとてもかわいい。

札幌訴訟判決 その2。

今回の判決が出る数日前に、僕はもう一度札幌における本人尋問後のYou tubeをたどって見た。

札幌はもともと東京と違って、裁判官がとても真摯で聞く耳を持っているとのことだったから、本人尋問ではどうだったのかと。

すると、裁判長が原告に尋ねたそうだ。

「性的指向というものは、本当に自分では変えられないんですか?」

僕は、この質問が裁判所の本人尋問で起きたことで、とてもいい証拠になったと思っている。敢えてそれを尋ねてくれた裁判長にも、はじめからその狙いがあったのかもしれないとさえ思うのだ。

これは、僕も一番はじめの意見陳述から主張してきたことだ。

「性的指向は自分の意思でも、他人の力によってでも変えることはできない。その性的指向が理由で平等の権利や社会保障が与えられないことは、明らかな不平等である」

札幌の裁判官は、一人一人の原告の話にきちんと耳を傾けてくれていたのだ。

東京の裁判官もどうか、僕たち原告の話に耳を傾けてほしい。そしてご自分の良心に従って判決を出してほしいのだ。

札幌訴訟判決 その1。

「結婚の自由をすべての人に」訴訟、札幌の判決が昼頃に出た。

判決は、CALL4の中のその他を押して下の方にある【札幌】で判決全文と判決要旨を読むことができる。https://www.call4.jp/search.php?type=material&run=true&items_id_PAL[]=match+comp&items_id=I0000031

この裁判は、北海道・東京・名古屋・関西・九州と全国で2019年2月14日に始まった訴訟。僕とKはこの裁判の東京原告であり、札幌が一番最初に判決が出たということだ。

結果は、憲法14条一項「法の下の平等」において、憲法違反であるという判決が下された。ここで要旨を抜粋すると、

「明治民法以来、婚姻という制度が維持されてきたこと、いまだ多くのカップルが婚姻していることなどの各事情に照らすと、婚姻することにより、婚姻によって生じる法的効果を享受することは、重要な法的利益であると解することができる。

そして、異性愛者と同性愛者の差異は、性的指向が異なるのみであって、かつ、性的指向は、人の意思によって選択、変更できないことに照らせば、異性愛者と同性愛者との間で、婚姻によって生じる法的効果を享受する利益の価値に差異があるとする理由はなく、そのような法的利益は、異性愛者であっても、同性愛者であっても、等しく享有し得るものと解するのが相当である」

裁判長は、14条に違反しているという判決を述べるときに、涙ながらに判決を読まれたそうだ。それをニュースで聞いて、僕はKと泣いた。

この判決は裁判長にとっても、ものすごい勇気のいることだったに違いない。だって圧倒的な力を持つ国に反旗を翻したのだから。

MR. GAY JAPANと法務省に。

昨年から「MR.GAYJAPAN」が同性婚への賛同を呼びかけていたところ、27000を超える賛同が集まったので、その署名を国に提出するとともに法務省の方と質疑応答ができるというので、同性婚訴訟の原告として一緒に参議院議員会館へ打ち合わせに行った。

尾辻かな子議員も同席してくださり、法務省の副参事の方とお話しした。

MR.GAY JAPANは、いくつもあらかじめ質問を用意していて、それぞれファイナリストの方が読み上げたのだけど、法務省の答えはほぼ同じで、「この国の家族のあり方の根幹に関わることなので、慎重に検討していきたい」の一点張りだった。

そこで僕からは質問ではなく、伝えたいことをお話しさせてもらった。

「家族のあり方の根幹に関わるとおっしゃいますが、これは、人の生命の根幹に関わる問題なのです」

婚姻が認められないために、どういった不都合があるか。年をとっていたり病気を抱えて不安に生きているセクシュアルマイノリティがどれだけたくさんいるか。いかに我々が二流市民のように扱われているか。悩み苦しんでいる若者がいかにたくさんいるか。1日でも早く平等の権利を実現してほしいと、そんな話をさせていただいた。(ハフポストとBUZZFEEDで記事になっています)

裁判でも戦い、政治家にも進んで会いに行き、法務省の人にもこうしてお話しすることができた。どんな手段を使っても、何があっても負けるわけにはいかないのだ。

海の体重。

このところ、歯の抜け替わりのせいか、海がご飯をあまり食べず、心配している。

海の兄弟姉妹とはLINEで繋がっているため、他の犬たちがどれくらい大きくなったのかがわかるのだけど、ある日それを見ると、海が2キロくらい小さいことがわかった。

2キロというと、牛乳2本分か・・・そう思うと、あまりご飯を食べていない海が心配になり、どんな手を使ってでもたくさん食べさせて大きくしたいと思う。

本来ならば、ご飯を出して15分くらいで残すならば、ご飯は下げてしまって、決して与えないのだけど、未だ成長期の犬にはやはりご飯を食べさせたいと思うのだ。

そんなことでやきもきしている僕に、Kが言った。

「よそはよそ。うちはうち。でしょ?」

「あ・・・それ、うちの母親の言葉」

「うん、前にただしくんそう言ってたよね?」

「でも、大きくなって欲しいでしょ?」

「いいよ、あんまり気にしなくても。海のペースで」

小さな頃、僕がよく他の友達の家と自分の家を比較してよその家を羨ましがっている時に、母がよく言った言葉だ。

「よそはよそ。うちはうち」

16歳も年下なのに、Kに諭されたのだった。