君の名前で僕を呼んで

ずっと長い間この映画を観るのを楽しみにしていた。
『君の名前で僕を呼んで』は、まさに、映画でしか実現できない美しい情景、揺れ動く繊細な感情、そして、人生を長く歩き続けた人間のみが知る叡智を映し出した素晴らしい作品だった。
北イタリアの避暑地で両親と過ごすエリオは17歳。お父さんは大学教授をやっていて、イタリアで彫刻や遺跡などの調査をしている。その家に、アメリカ人で24歳のオリヴァーが研究アシスタントとして6週間滞在することになる・・・。
この映画は、『ゲイ映画』というふれこみが強かったせいか、シネマカリテでは観客がほとんど女性かもしくは少数の文科系ゲイしかいなかったのだけど、実は単なるゲイ映画ではなくて、繊細で今にも壊れそうな17歳の初恋を、北イタリアという信じられないような美しい町の光の中で描き出した作品だ。
人間が何千年と繰り返している、恋をした時の歓喜と苦悩を、美しくも儚く照らし出す。
脚色(脚色とは、原作がすでにあった上で脚本化したもの)は、『日の名残り』や『眺めのいい部屋』、そして『モーリス』のジェームズ・アイヴォリー。若い人は観たことはないかもしれないけど、これらのどの作品も素晴らしいので、機会があれば観ることをお勧めする。
ゲイの映画として有名な『モーリス』は、恵比寿ガーデンシネマで特別上映しているので、僕も時間を見つけて久しぶりに見に行くつもり。
⭐️君の名前で僕を呼んでhttp://cmbyn-movie.jp

4番目のバラが、咲きはじめました。マダム・アルディ

マダム・アルディ

マダム・アルフレッド・キャリエールとローブリッターと白万重(クレマチス)

「バラの話ばかり、もういい加減にして欲しい」と思っている人もいるかもしれないけど、家の8本あるバラの4番目のバラが咲きはじめた。
名前は『マダム、アルディ』。
1832年フランスで作られた純白と評されるバラ。『もっとも美しいオールドローズ』などと形容され、オールドローズ愛好家の中でも一番好きなバラにあげる人が多い。
ティッシュをくしゃくしゃとしたようなオールドローズらしい花びらと、中心のグリーンアイがのぞくのが特徴。
マットな葉も美しく、枝も柔軟で扱いやすい。清々しいレモンにかすかに甘いハチミツの香り、オールドローズとしての完璧な美しさを持っているバラ。たとえ一季咲きであったとしても、決して手放したくはないバラだと言える。
このバラが咲きはじめる頃、僕の家のベランダは少しずつクライマックスに向かってゆく。

新宿二丁目の醍醐味。

Kが金曜日の夕方に大分に帰ってしまい、久しぶりにひとりで新宿二丁目に飲みに行こうと『ぺんぺん草』に行った。
次から次へと懐かしい友人たちが現れて、昔沢山の人で溢れかえっていた頃のぺんぺん草にいるようでとても居心地のいい時間を過ごしていた。
ふと気づくと僕の隣には、はじめて会った69歳のNさんが座っていて、マスターとも随分昔からの知り合いのよう。
なぜか話題はミュージカルになり、昔見た『カルーセル』がミュージカルの中で一番好きだと僕が言うと、Nさんもリンカーンセンターでやったその舞台を観ていて、マスターも観ていて盛り上がった。
それから立て続けにミュージカルの話が出て、今やっているミュージカルでは、『マイフェアレディ』がとてもよかったと言うのだ。
それに、今度の6月のニューヨークで観ることになっている『カルーセル』のことも。今度はリンカーンセンターではなく、それゆえの趣向を凝らした演出もあると言う。
僕が驚いたのは、Nさんは僕が観て来たミュージカルはほぼ全て観ていたし、いちいちその時代が何年だったかまで覚えていること。
日本にこんなにミュージカルを観ている人が、『Bridge』のマスター以外にいたなんて信じられなかったのだ。
楽しい話で盛り上がっていたのだけど、そろそろ帰ろうかと思った時に、Nさんからお酒をご馳走になり、結局ぺんぺん草でいったい何杯飲んだのか記憶がなくなるくらいお酒を飲んだようだ。
改めて思ったことは、新宿二丁目の魅力は、69歳と49歳の僕でも、仕事が何をされているかわからなくても、気軽に話ができるというところ。
年齢や職業など関係なく、お互いに興味のある話題で盛り上がることが出来るということ。
新宿二丁目では、魔法のような夜が時々あるのです。

ルイボスティー

1リットルのお湯にひとつ投げ込むだけ

ルイボスティーをご存知だろうか?
随分前に飲んだことがあって、ちょっと変わった味が、僕は結構好きだった。
先日、ルイボスティーに関する記事を目にしたら、読み進むうちに、もはやルイボスティーを飲まずにはいられなくなり、その場でアマゾンで買い求めた。(以下はルイボスティーの説明をわかりやすくまとめたもの)
空気中の酵素が身体の中に入ると「活性酵素」になる。白血球が作り出した「活性酵素」は、身体に入ったウイルスや細菌を本来は錆びつかせる役目。
ストレスやタバコ、食品添加物などにより活性酵素の数が増え、増えすぎた活性酵素は、今度は健康な細胞を攻撃しはじめる。
これにより「老化」が進んだり、ガンや脳卒中などの生活習慣病になる。(今では、生活習慣病の90%が活性酸素が原因と言われている)
ルイボスティーには、SOD(スーパーオキサイドディスムターゼ)が多く含まれている。
SODは、この活性酵素が健康な細胞を酸化しようとする攻撃を封じ込め、酸化から身体を守る働きがある。(SODは体内でも作られるけれども、40歳を過ぎると生産量が落ちる)
ルイボスティーは、お茶ではないのでカフェインは含まれておらず、マメ科の植物。そのため、妊婦や赤ちゃんでも飲めるといいことだらけ。
ね。
ルイボスティー飲みたくなってきたでしょ?
それに、気のせいかもしれないのだけど、ルイボスティーを飲み始めてから毎朝、朝立ちしていたのだ。(いらぬ情報)
本当に気のせいかもしれないけど。笑

3番目のバラが、咲きはじめました。アルバ・セミプレナ

古くからバラは、赤いバラと白いバラが存在していたようだ。
赤いバラの代表格は、ガリカ系と言われるオールドローズで、赤と言っても真紅ではなく、濃いピンク味を帯びた色。香りが強く、野趣があり、ロサガリカ・ヴェルシコロールという紅白の混じったバラは、僕の最も好きなオールドローズのひとつ。
白いバラの代表格とされるのがアルバ系と言われるオールドローズで、青みを帯びた葉といい、香り高い花といい、古くから伝わるバラ本来の原種が持つ魅力を最大限に兼ね備えたバラといえよう。
その中でもこの『アルバ・セミプレナ』は、一重よりも少し花びらの多い二重のような花で花芯がのぞき、強く清々しい香り、まるで野ばらのような美しさを持っている。
品種改良されたバラにはない葉や萼、蕾から花へ変わってゆく姿の美しさは、いつまで見ていても飽きることがない。
昔一緒に仕事をしていた写真会社の女性Yさんに、どのバラが好きかと聞くとこの『アルバ・セミプレナ』の名前を挙げたのを思い出す。このバラに似て、純粋で美しい人だった。
ボッティ・チェッリのヴィーナスの誕生に出てくる白バラは、この『アルバ・セミプレナ』だと伝えられている。
そんな話を知るたびに、オールドローズへの思いは強くなるのだ。

蚊を探して。

夜中にふと目覚めて寝返りをうつと、珍しく目が覚めていたKが僕が起きたのを確かめるように顔を覗き込んだ。
K「ただしくん、電器つけていい?」
僕「どうしたの?」
K「蚊がいるの…」
それからKは電器をつけて、メガネをかけて壁や天井を目を凝らして探しはじめた。
しばらくするとKは急に飛び上がって、音を立てて壁を叩いた。
K「捕まえた!」
そして、すぐに電器を消すと、5分もしないでいびきをかいて寝はじめた。僕は、明るさに目が慣れてしまったため今更眠れず、Kのいびきをしばらく聞き続けた。
翌日、また蚊がいたようでKに夜中に起こされたのだけど、その日は蚊をしとめることが出来ず、Kは悔しそうにベッドに戻った。
そして朝になって僕が起きて、キッチンでご飯を作りはじめても、一向に寝室から出てこないのだ。
ご飯が出来上がってどうしたのかと寝室を覗きに行くと、Kは、親の仇でも取るかのように真剣な表情で、まだひたすら蚊を探していたのだ。
その真剣な表情を見て、僕は大笑いした。
僕「蚊なんて、1日あったらどこかに飛んで行っちゃうから、今晩はもう大丈夫だよ!」
そんな僕の言葉は聞こえないように、真剣な表情でKはいつまでも蚊を探し続けていた。

OUT IN JAPAN 渋谷ストリート写真展

渋谷の公園通りを中心にタワーレコード前の通りや東京ハンズの前の通りで、『OUT IN JAPAN 渋谷ストリート写真展』がはじまった。
237名のLGBTのポートレートがバナーとなって、渋谷の街のいたるところにレインボーの旗印とともに掲げてある。
5月6日(日)の東京レインボープライドのパレード当日まで飾ってありますので、渋谷にお立ち寄りの際はぜひ見てみてください。
⭐️OUT IN JAPAN 渋谷ストリート写真展https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000016.000019571.html

2番目のバラが、咲きはじめました。ローブリッター

この春、2番目に咲き始めたバラは、『ローブリッター』。
1935年にドイツで作られたバラで、ピンク色のカップ状の花がコロンコロンといくつも連なって咲く。
ほとんどのオールドローズは春のみの一季咲きなのだけど、このローブリッターも一季咲き。それでも花数が多く、1ヶ月くらいはゆうに咲いている。
香りは、爽やかでほんの少し甘く、洗面所などに生けてふと鼻を近づけると、朝からちょっと優雅な気分になれる。
この独特な花の形をティーカップ咲きというのだけど、一度にたくさん連なって咲く姿は、少女が並んでいるようでなんともかわいらしい。
今年もたくさんの蕾を持って、これから楽しませてくれそうです。

さよなら、僕のマンハッタン

映画『(500)日のサマー』を観たことはあるだろうか?
純粋ではち切れそうな恋のはじまりと失恋のせつなさを見事に描いた作品なのだけど、その監督であるマーク・ウエブの作品ということで、かなり期待して観に行った映画。
アッパーウエストとロウアーイーストを対峙させて描きつつ、主題歌にはサイモンとガーファンクルの誰もが知る曲『the only living boy in new york』を使い、ニューヨークらしい世界観で表現されている…。
それにしても・・・なんかちょっとストーリー展開がご都合主義というか…。
ニューヨーク好きにはいいかもしれないけど、『(500)日のサマー』を期待して行ったらがっくりさせられる。
20代はじめの青年の、甘酸っぱい成長を描いた作品であり、主人公役のカラム・ターナーがこれから映画界でぐいぐい出てきそうな存在感が光っている。高校時代から虜になっているジェフ・ブリッジスの年をとって尚セクシーな男らしさに釘付けになる。
⭐︎さよなら、僕のマンハッタンhttp://www.longride.jp/olb-movie/

レディ・プレイヤー1

スピルバーグの大作『レディ・プレイヤー1』は、昔懐かしい『バックトゥザフューチャー』をはじめて見た時を思い出すような、ワクワクするような映画だった。
僕は、インベーダーゲーム世代なのだけど、インベーダーゲームが日本で流行った小学校低学年の頃から、厳格な父にゲーム禁止を言い渡されていたので、一度もやることはなかった。
そのせいか、パソコンやスマホが身体の一部のようになり、ゲームが生活に入り込んでいるような友人たちが増えても、全く興味を持つことができず、どちらかというと目の前の世界への興味が強かったのだ。
『レディ・プレイヤー1』は、今から27年後の地球上の話。ゴーグルをつけるだけで入り込めるヴァーチャルリアリティ(VR)の世界(OASIS)の中で、人々は実際の地球上の生活以上にイキイキと生きている。
Appleのさらに上を行くような発明であるOASISが世界を変えていったのち、創設者の遺言をもとに、巨万の富を巡って繰り広げられる冒険劇。
27年後というちょっと想像出来そうな近未来を描いているところが共感しやすいのもあるのだろうけど、2時間20分に及ぶ物語は全く飽きさせることはなく、最後まで前のめりになって楽しめた素晴らしいエンタテインメント作品。
オタクでなくても楽しめる、日本映画やアニメーションに対する愛情に満ち溢れた作品。
⭐︎レディ・プレイヤー1http://wwws.warnerbros.co.jp/readyplayerone/