大島紬。

奄美大島の「大島紬」は、イランのペルシャ絨毯・フランスのゴブラン織りと並ぶ世界三大織物だというをご存知だろうか?

大島紬とは、約1,300年の歴史を誇る日本の伝統的工芸品で、奄美大島を本場生産地(発祥の地)とする絹織物。

僕たちは今回、「大島紬村」というところでその大島紬が作られる工程を見学したのだけど、泥で何十回も染め絞りを入れた絹を、複雑な模様をデザインして決めてから丁寧に織っていく工程をつぶさに見ていると、一反が安くても30万円するというのも頷ける。

何十回とシャリンバイで染める。

シャリンバイから色を煮出す。
ルリカケスも見られる工房の庭
織物のデザインを決めてから、どこにどの色を染めるかを決める。
仕上がりを想定して色を入れる。
龍郷柄

黒のように漆黒ではなく、泥を使った微妙な色調は、繊細で奥行きがある。本当は、お揃いの着物を仕立てたいと思うけど、それほどのお金は持っていないので、今回は記念にコースターだけ買って帰った。

こんな小さなコースターでも、使いながらあの奄美大島の大島紬の工程を思い出すのだ。

⭐️大島紬村http://www.tumugi.co.jp/index.html

田中一村。

奄美大島で僕の知っていることといえば、日本画家の「田中一村」のことくらいだった。

田中一村は、僕がまだ美術学校の学生だった頃、NHKの特集で知った画家。東京芸術大学に入学するも2ヶ月あまりで中退、その後、添付の白い花で一度青龍展に入選するも、その後は一度も中央画壇に入線することはなかった。50歳で奄美大島に移住し、紬工場で染色工として働きながら絵を描き、貧しくも自分の描きたい島の植物や動物を描き続けた孤高の画家。

白い花


田中一村との不思議な再会は、実は今年の夏に訪れた宮古島で、田中一村の絵がレストランの表に飾られていたのだ。その絵につられて入ったレストランはとても美味しく、大将は一村の絵に憧れて奄美大島など各地を巡り、宮古島に辿りついたということだった。

奄美大島には、「田中一村田中一村記念美術館」があり、「田中一村の終の住処」も名瀬に移築されて展示されている。

奄美大島の建築様式を取り入れた美術館

田中一村田中一村の終の住処

田中一村の作品を纏って見られるのは、おそらくこの記念美術館だけだろう。奄美大島の湿度の高い気候の中で取り入れた高床式の建築物は美しく、水の上に浮かんでいる。

学生時代の作品から、南画、世間から忘れられて貧しい暮らしの中で描き続けた作品は、50歳を過ぎて奄美大島に移住したことで、新しい展開を見せ始める。

最後まで独身を貫いたのは、どうしてだったのだろう?ゲイだったのだろうか?などと夢想しながら、充実した時間を味わった。奄美大島に行くことがあったら、接待に訪れて欲しい素晴らしい美術館。

⭐️田中一村記念美術館http://amamipark.com/isson/

アニメ化30周年記念企画ちびまる子ちゃん展

ちびまる子ちゃんが好きな僕とKは、日曜日に松屋銀座で行われている『アニメ化30周年記念企画ちびまる子ちゃん展』を見に行った。
場内ものすごい人だったのだけど、今は亡き、さくらももこさんが描いた原画や、直筆の文字などを見ながら、キャラクターの一人ひとりをどうやって性格づけたのだろう・・・?などと考えながら、ゆっくりと展示を見ることができた。
実際にさくらももこさんの生い立ちの中でいた人物が誰であるとか、子どもたちの顔の大きさや身長など、細かく設定されていることに感心した。
改めて、さくらももこさんは、この時代に生きた天才のひとりだったのだと思ったのだ。
⭐️アニメ化30周年記念企画ちびまる子ちゃん展http://www.matsuya.com/m_ginza/exhib_gal/details/20190808_chibimaruko_8es.html

太陽の塔

先週末の大阪万博が決定する時に、偶然大阪の万博記念公園近くで撮影をしていたのだけど、寒さがきつくハードな撮影だった。
行ったことがある人は何とも思わないもしれないけど、思いがけず一番感動したのは、『太陽の塔』を見れたことだった。
岡本太郎の作品は、今は閉鎖されている渋谷のこどもの国や、渋谷駅の2階の壁面などで身近に見ることは出来たけど、実際に見る『太陽の塔』は、写真や映像では伝わらない力がみなぎっていた。
生前、過激なパフォーマンスでテレビを賑わしていた岡本太郎だけど、天才と呼ばれたアーティストとしての強さが確かにあったのだと思うことが出来た。

MY FAIR LADY

『MY FAIR LADY』は、随分迷った末に直前にチケットを取った作品。ニューヨークのミュージカルは昔は100ドル以下でいくらでも観れたのだけど、今ではだいたい一本2万円以上するのだ。
久しぶりのリンカーンセンター。ここでは昔、『回転木馬』、『南太平洋』、『WAR HORSE』、『王様と私』…と観たのだけど、そのどれもが素晴らしい演出で記憶に残っている。
『MY FAIR LADY』は、ミュージカルではジュリー・アンドリュースが主役のイライザを務めたけれども、映画ではオードリー・ヘップバーン。この年のオスカーは、メリーポピンズでジュリー・アンドリュースが主演女優賞を持っていったというのを、先日BridgeのMから聞いてびっくりしたのだ。
お話自体は、プリティ・ウーマンの原型で労働者階級の花売りの娘が、どんどん上流階級の女性のように変わってゆくお話なのだけど、時間が経てもこれほど人々の心に残り続けているのは、音楽が素晴らしいからではないかと思う。
I Could Have Danced All Night
On the Street Where You Live
挙げ出したらきりがないけど、名曲ぞろいで、たとえ曲を知らなかったとしても、ミュージカルを観た帰り道には、自然に口ずさむことが出来るような曲ばかり。イライザ役の歌声が本当に素晴らしい。
リンカーンセンターは、特有の奥行きがあり円形を効果的に使った美術には驚かされた。舞台が回転しながら次のシーンが自然に現れたり、人がやって来たり巧妙なのだ。
今回、ここには書かないけど、ラストシーンに驚きが隠されていた。こんなに憎い演出が出来るのも、ミュージカルが今の時代に生きているからなのだろう。
ニューヨークに行くことがあるならば、『Carousel』と合わせて是非観たい作品。

Carousel

PRIDE月間なので、レインボー

3年ぶりくらいのブロードウェイ。
最初のミュージカルは、『carousel』。およそ24年前くらいにニューヨークを訪れた時にはリンカーンセンターで上演され、その回転木馬とぴったりと合った会場と素晴らしい演出に、僕にとっては生涯忘れられないミュージカルとなった。
今回は、『Imperial Theater』。ミュージカルの劇場らしくこじんまりとしていて、座席は最前列のど真ん中。いつもながら、素晴らしい座席を一緒に取ってくれるBridgeのMに感謝。
映画の『回転木馬』をご覧になった方にはわかるかもしれないが、この作品自体、男女の恋愛、性欲、親子の愛情、お金への欲望、善と悪など、人生に対する深い洞察によって脚本が出来上がっている。
なによりも『リチャード・ロジャース』による素晴らしい曲と、素晴らしい歌声、躍動的なダンスに酔いしれることが出来る。
ストーリーはわかっているのに、後半は自分でも驚くくらいに涙が止まらなくて、海亀の産卵のように涙が頬をつたった。
⭐️『サウンド・オブ・ミュージック』、『王様と私』、『南太平洋』(2008年度トニー賞最優秀リバイバルミュージカル賞受賞)などの生みの親、作曲家リチャード・ロジャースと脚本家オスカー・ハマースタイン二世のゴールデン・コンビ。彼らが最も愛した作品と言われる『回転木馬(Carousel )』は1993年リバイバル上演され、翌1994年のトニー賞では、最優秀リバイバルミュージカル賞など5つの部門で賞を獲得。

サトウアキコさんの切り絵。

4月に福岡に行った時に、かわいいイラストのカードを買い求めた。
イラストに見えたけど、『サトウアキコ』さんという福岡在住の切り絵作家さんだという。
温かみのある色調と、独特の線の選び、ちょっと海外の作家さんかな?と思うような動物たちにふと目が止まり、残っていたハガキを全部買い求めた。
いつかお仕事をご一緒できるかもしれない。

メリーポピンズ(ミュージカル)

僕がこの映画を観たのは今から7年前くらいだろうか。いつものようにBridgeのMと一緒にロンドンに行くことになり、ミュージカルの『メリーポピンズ』を観ることになって、その予習のために慌てて映画を観たのだった。
映画ももちろん最高なのだけど、ロンドンで観たミュージカルは本当に素晴らしく、最後にメリーポピンズが帰ってしまうところでは、胸がジーンとしてその演出も含めて完全にノックアウトさせられたのだった。
そして先日、Mから連絡があり、「いま日本でやってるミュージカルのメリーポピンズが素晴らしいよ!ロンドンと同じで、欠点を探すのが難しいくらいよくできてる!」と言うのだ。
調べると、渋谷のシアターオーブで5月7日までとあり、慌てて3日のチケットを手に入れ、メリーポピンズなんて知らないであろうKを引き連れて観に行った。
メリーポピンズは、バンクス家で働くことになった乳母なのだけど、彼女の子ども達への接し方や教育方針が独特で、何度見ても笑ってしまう。今まで教わってきた既成概念やこうであるという思い込みは木っ端微塵に吹っ飛び、常識や枠を超えていく自由な生き方を教えてくれる。
調べてみると、映画のメリーポピンズは1964年に制作されたそうだ。映画のジュリー・アンドリュースのチャーミングで不思議なキャラクターは、50年経った今も全く色あせることなく斬新であるし、きっとこれから50年経ったって、ミュージカルを上演されたりしているんじゃないかな・・・と思わせてくれる素晴らしい作品だった。

エンジェルズ イン アメリカ

もはや20年くらい前だろうか、東京ではじめて行われた公演にも行った懐かしい芝居『エンジェルズ イン アメリカ』。
今回はBridgeのMにすすめられて、英国ナショナル・シアターが厳選した世界で観られるべき傑作舞台を、こだわりのカメラワークで収録し各国の映画館で上映するプロジェクト『ナショナルシアターライブ』を観に行った。
『エンジェルズ イン アメリカ』は、エイズが死の病とされていた80年代のゲイを真っ向から描いた映画。
あの時代特有のエイズの絶望的な恐ろしさや、同性愛者が罪深いために死の病が流行したようにささやかれていた不条理な世界観、そしてそんな世界の中で生きる人々が見事に脚本で描かれている。
俳優陣が本当に素晴らしい。アンドリュー・ガーフィールドが、とにかく凄まじいゲイを演じているし、久しぶりに観たネイサン・レインも、相変わらずの怪物ぶり。
とにかく長い芝居なのだけど、演出が素晴らしく、とてもわかりやすい舞台美術と装置の展開なので、4時間近い時間を全く感じさせない。
素晴らしい演出だったのだけど、僕にとっては何もかもがわかりやすすぎて、勝手に僕の中に抱いていた『エンジェルズ イン アメリカ』の複雑さや壮大さが感じられず大満足といったものではなかった。
改めて素晴らしい脚本だと思ったので、またいつか他の演出の『エンジェルズインアメリカ』を見てみたいと思ったのだ。
⭐︎エンジェルズ イン アメリカhttps://www.ntlive.jp/angelsinamerica

欲望という名の電車

『欲望という名の電車』は、1947年にブロードウェーで初演されたテネシー・ウイリアムズによる戯曲。ゲイの必須演劇のひとつと言っても過言ではないだろう。今回、大竹しのぶさんが主演のブランチ役で出演するということで東急文化村のシアター・コクーンに観に行った。
広大な敷地を持つフランス系アメリカ人の名家の出であるブランチが、ニューオーリンズに住む妹の家に突然転がり込んでくるという話。
僕自身は観たことはないのだけど、日本では文学座の杉村春子さん主演が有名で、杉村春子さんはブランチ役を今までに600回演じたという。
没落してゆく名家、それにしがみつこうとする人間の姿。粗野で野蛮な原始的な人間の魅力、そして、『欲望』というとらえどころがなく恐ろしい生き物。ゲイやレイプ、少年愛や狂気を含んだ内容は過激であるとも言われるけど、芝居は静かに人間の本質に迫ってゆく。
フィリップ・ブリーンの卓越した演出にうならされる3時間。舞台美術も衣装も本当に素晴らしい。そしてブランチの宝石のようなセリフの数々・・・。
大竹しのぶさんはちょっとおさえ気味の演技で、北村一輝さんはスタンローの荒っぽい演技がはまっていた。でも今回、ステラという妹役の鈴木杏さんがとてもよかった。それと、ミッチ役の藤岡正明さんも素晴らしい。
映画とは違った演劇という生の空間でしか味わえない不思議な興奮を、久しぶりに堪能した夜だった。
⭐️欲望という名の電車http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/17_desire/