クリサンセマム・ムルチコーレ

春を感じるような陽気に誘われて歩いていると、黄色い花が目に飛び込んできた。
キク科のクリサンセマムに見えるけど、よりマンガのように丸みを帯びた花びらは、クリサンセマム・ムルチコーレというらしい。
太陽のような暖かな黄色を見ると、元気が湧いてくる。
そう思って、一株150円のムルチコーレを6株大人買いして、先週植えたピンクのゼラニュームの隣に植えるつもり。
鮮やかなピンクと黄色の配色は、予期しなかったものだけど、たまにはド派手なベランダもいいかもしれない。

なくしもの。

家に帰って、何の気なしにいつもカード類をしまってある場所を見ると、そこにカード類一式がなかった。
「あれ?昨日見た時はちゃんとあったのだけど・・・」
それから部屋の収納スペースを探しはじめたのだけどどこにも見当たらず、ニューヨークから来ている友人との食事会のため一旦外出した。
「誰かが家に忍び込んで、カード類だけ持って行ったんだろうか?」
翌朝ふと思い出し(その日のうちに探さないところもすごい)、もう一度ありそうな場所を見てみるけど見つからない。Kも手伝ってくれて収納の中のありそうな場所に落ちていないか洋服を出して隈なく探しても見つからない。
ぼんやりと何がなくなったのか考えてみると、使っていない銀行のカード類が一式と、使っていないクレジットカードがひとつあったので、念のためストップをしてもらったところ、何も使われた形跡はなく一安心した。
最後に見た覚えがあるのは、ベッドの上でカード類をざっと目を通したのだった。その後、所定の場所にカード類を置いて、慌ててでかけたのだ・・・。
そして、シャワーを浴びながら大変なことに気づいた。
僕「ぎゃあああああ!!! 会社のクレジットカードが入ってた!!!」
K「どうしたの?ただしくん???」
シャワーから出て慌ててカードを停止しようと、VISAに電話をかけて、「家でカードが昨日から行方不明なのですけど、何かあると嫌なので一度カードを止めて、再発行していただきたいと思うのですが・・・」
そこまで話した時にKが叫んだ。「ただしくん!あった!あったよ!ベッドの下!!!」
僕がきちんと置いたと思っていたカード類は、ベッドの上に置きっぱなしになっていたのかもしれない。夜寝る時に布団やデュヴェカバー、毛布をかけて、朝になる頃にはベッドの下に紛れ込んでいたのだろう・・・。
こう見えて・・・
財布をはじめ、パスポートやチケットなどのたいせつなものは、今までなくしたことがない。
なくしたことはないのだけど・・・今回のように一時的になくしてしまったことは何度かあるのだ。
●ニューヨークの空港でチェックインしようとパスポートをカバンから出そうとしたらなかった。
(カウンター前でトランクの荷物をすべて出して黒人の太っちょのお姉さんと一緒に探したらミュージカルのPLAYBILLの中にはさまっていた)
●ソウル空港でチェックインしようとしたら、今日はパスポートを見ていなかったことに気づいた。
(ホテルのセイフティボックスに置きっぱなしだった。ホテルに電話して一式をカウンターに持って来てもらい、次の便を手配した)
●ニューヨークでBROADWAY BARESを見ようと、友人4人で入ろうとする時にチケットがなかった。
(レストランから劇場までを友人たちと何度も往復して道路を探していたら、よくよく探したら自分のポケットに入っていた)
ほんとうにおおざっぱで適当な性格なので、几帳面な人からしたらきっと信じられない人間の部類に入るだろう。
Kはそれでも、「ただしくん、あってよかったね!」と言って喜んでいた。

ヒヨドリの襲来。

after

before

鳥除けの風船

家に帰って来て、ベランダの花を覗きに行ったら、先週末に植えたばかりの青い『ネモフィラ』の花が、どこもかしこも跡形もなくちょんぎられていた。
唖然としてベランダに出てみると、鳥が食い散らかしたのであろう青い花びらが、あちらこちらに散っているのを見つけた。
冬から春になろうとするこの時期、樹木も草花も少ないためか、ベランダの草花が狙われることがよくある。うちの周りの害鳥といえば、恐らくヒヨドリだろう。
病院にいるKにLINEを送ると、「かわいそう。ただしくん・・・」という返事が返って来た。
鳥の食べるものがないのはかわいそうだと思う。でも、新宿御苑や明治神宮にでも行ってくれたら、早咲きの桜や梅でもあるだろうに・・・。何もわざわざ植えた花を食い尽くさなくてもいいではないか。
Kは帰ってくるなり、鳥除けの風船をしまってあった戸棚から取り出してきて猛然と膨らませはじめた。(写真の鳥除けの風船は、大きな目玉が着いているのだけど、これが効き目があるのかは知らない)
その顔は、「なんとしてでも自分の恋人のお花を守らなければ・・・」という決意に満ちているようだった。

ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ

久しぶりに土曜日に2丁目のBridgeに飲みに行ってm「明日どんな映画見ようかな・・・」とMに相談したら、「ただしは『ビッグ・シック』が好きだと思うよ」というので、楽しみに見に行った映画。
なんだか、昔のウディ・アレンの映画を思わせるようなどこにでもいるようなふたり。違っているのは、ひとりがパキスタン人でひとりが白人だということ。
恋愛もの?と思って見ていると、ところどころで吹き出して大声で笑ってしまう。今年度アカデミー賞の脚本賞にノミネートされているというだけあって、先が読めないストーリー展開。
パキスタン系移民の男性クメイルと、ある日クメイルが出ているコメディクラブで出会ったエミリーのラブコメは、自分とは違う民族の人たちとの共存が求められる今の時代を、とてもよく描いている作品だった。
お見合い結婚しか許さない厳格なパキスタン人の家庭で育った主人公と、典型的な白人家庭で育ったエミリー。実話だからこそありえた不思議な出会いを、見事に脚本化した素晴らしい作品。
デートでも、友人とでも、観終わった後に間違いなくハッピーになれる作品。
⭐️ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめhttp://gaga.ne.jp/bigsick/index.html

里芋のポタージュ

蕗の薹入りコロッケ

シラスのご飯とみそ汁

カナダから台湾人の友人が東京マラソンに出場するためにやって来た。
ゴール地点の東京駅に近い新橋にホテルをとってというので、新橋で一緒に晩ご飯を食べることに。会社から近い新橋は、たくさんの飲食店がひしめき合っていいるけど、最近はあまり新橋で飲み会をする機会さえなく、おまけに土曜の新橋はほとんど人が見当たらないほど閑散としていた。
『美の(よしの)』は、新橋の烏森口から8分くらい歩いた場所にひっそりとあり、お店を開けると数人の店員さんが大人しく立っていた。(元気の溢れるお店ではない)
はじめにお通しのようなご飯と菜花にほんの少し塩辛のようなものが乗ったものと、自家製豆腐が供される。
その後もお酒を飲んでいるとこちらのペースに合わせて、お造りが出て来たり、鰆の塩焼きが出て来たり。里芋のポタージュに蕗の薹入りコロッケ、シラスのご飯にみそ汁。
お料理に凝った素材も使っていないし、高級素材も見当たらないけど、こんな普通の和食を3800円という安価で食べられるなんて、東京の和食店にしては有り難い存在だろう。
禁煙であることもうれしいし、同僚との食事会やデートにも使えるお店。
⭐️美の
03-5733-1853
東京都港区新橋5-9-5 NTビル 1F
https://tabelog.com/tokyo/A1301/A130103/13034313/

田亀源五郎『弟の夫』の世界展

先日もここに書いたのだけど、来週の月曜日から神宮前2丁目の『irodori』の2階において、『田亀源五郎「弟の夫」の世界展』が開催される。
その展示のお手伝いをさせていただいて、ようやく形が見えてきたところ。
田亀源五郎さんの使われている筆記用具や、パソコンでの作業の手順、ネームや原画などをじっくりと見ることができる。
僕は、『弟の夫』自体は読んでいないのだけど、田亀源五郎さんといえば、僕たちの世代からするとゲイのエロアートの大御所。
ご本人は、僕がお会いしている限りいつも穏やかで、とてもやさしい方だ。黙っていると怖い雰囲気なのかもしれないけど、僕が思いつく限り、いつも笑っていらっしゃる。
今まではゲイの世界だけの愉しみだったような田亀源五郎さんの世界だけど、NHKのドラマ化によってより広く自然な形でゲイの存在が世の中に広まるのかと思うとうれしい。
お時間のある方は、ぜひご覧になってください!
⭐︎田亀源五郎『弟の夫』の世界展
● 開催期間:2月26日(月)〜3月24日(土)16時〜20時(日曜定休 ※1階が飲食店となっている都合上、予約状況により開催時間が若干前後する可能性がございますので御了承ください。)
● 場所:irodori/カラフルステーション2階 東京都渋谷区神宮前2-14-17
● 入場料:300円

THIS IS ME

先日、グレイテスト・ショーマンのことをここに書いた。
映画としてはベタであるけど、音楽が素晴らしいので観る価値のある映画であると。
実はあれから、映画を思い出しながら毎日毎日この映画のサントラを聴いている。
どの曲もそれぞれ素晴らしく覚えやすいメロディなのだけど、中でも『This is me』という曲が売れて来ていることもあり頭の中を回っている。
映画の中では、ヒゲモジャモジャだけど、豊満で巨乳な人が唄うのだけど、僕はてっきり、ヒゲモジャの男性がトランスという設定で歌っているのだと思っていたら実はKeala Settleという女性がヒゲをつけて歌っていたから。
この曲の、まるでセクシュアルマイノリティを代弁するかのような歌詞が好きなのだ。
⭐︎This is mehttps://youtu.be/CjxugyZCfuw

ありふれた花。

鮮やかに咲き続けるセラニウム

昔は、イングリッシュガーデンに憧れて、凝った花や植物ばかり集めては、栽培していた。斑入りの葉っぱの美しいホスタや、難しい名前のオールドローズ、とても珍しいハーブなんかを。
もちろん今でも、珍しい植物や難しい植物を育てることは園芸の一つの醍醐味だと思ってはいる。
でも今までとは違って、この頃は大衆的な花や食物も好きになってきたようだ。
夏にはここにも買いた『ヒャクニチソウ』の野趣あふれる色彩に惚れ惚れするし、最近だと丈夫で花期が長く病気知らずで、おまけに驚くほど彩度の高い花を咲かせるゼラニウムが好きだ。
ゼラニウムは春先の寒い時期から、春を通して次々と鮮やかな花を咲かせ続けてくれるので、僕はベランダの淵にいくつもゼラニウムを並べて、遠く道行く人にも見えるように飾っている。
朝起きた時にちょっと元気がなかったとしても、鮮やかなピンク色の花びらを見ると、不思議と元気がもらえるものだ。
それに、ゼラニウムの花を見ていると、昔よく訪れたイタリアの田舎の町を思い出す。
ありふれた花であってもいい。鮮やかに毎日を謳歌しているゼラニウムを、今はとても愛しく思うのだ。

いただきます。ごちそうさま。

先日、伊勢に行った帰り道、新幹線に乗っていると、斜め前の通路側の女の子に目が止まった。
年は20代後半くらいだろうか、3人席の通路側で、リュックにいっぱいものを詰めたまま、棚に上げられず膝元にリュックを置いて窮屈そうに座っていた。
しばらくすると、リュックからお弁当を取り出して広げはじめた。
お弁当は大きめの1段で、蓋を取ると炊き込みご飯がほとんどで、その端っこにわずかばかりの胡麻和えが入っていた。
そこで女の子は、ふと両手をきちんと合わせて、小さな声で、
「いただきます…」と言ったのだ。
正確に言うと、いただきますのあとに、何か言葉をほんの少し添えていた。
僕はその姿を見た時に、「なんて素敵な人なんだろう・・・」と思ったのだ。
それから気持ち良いくらいに2号くらいはありそうなご飯を、胡麻和えだけで食べてゆき、最後もやはり丁寧に「ごちそうさまでした…」と何か他の言葉を祈るように呟いた
「いただきます」と「ごちそうさま」と言う言葉の、なんと美しいことだろうか。
人前で声に出していうことはなんだか恥ずかしいように感じていた自分がなんだか恥ずかしいような気がした。
それから僕は、きちんと「いただきます」と「ごちそうさま」を言える人になりたいと毎日過ごしている。

河久

京都のレストラン『河久』のことは、前にもここに書いたことがあったと思う。
『河久』は、京料理と洋食のミックスしたような料理を味わえるお店で、木屋町の御池通を下がったところにあり、夏場は床を楽しむこともできる。
僕が昔つきあっていた人に連れて行ってもらってからかれこれ20年くらい通い続けているだろうか・・・それくらいこのお店の料理が好きなのだ。
京都に日帰りの出張だった今日も、帰り際に『河久』に電話をしてお弁当をお願いして、Kの文とふたつをピックアップして持ち帰ったのだ。
ここのお弁当の何がそんなに好きなのか、自分でじっくりと分析してみると、ひとつ一つのお料理が、なんの飾りもせずにとても丁寧に作られていること。何度食べても飽きない味であること。そして、甘くないところ。
京料理ばかり続くと、和食は飽きてしまうようなことがあるのだけど、途中に『河久』のお料理を挟むと、また復活出来るような気がする。
今日も家に帰ってふたり、「おいしいね」「おいしいね」と言って、お弁当をいただいた。
⭐️河久https://kawahisa.com