いただきます。ごちそうさま。

先日、伊勢に行った帰り道、新幹線に乗っていると、斜め前の通路側の女の子に目が止まった。
年は20代後半くらいだろうか、3人席の通路側で、リュックにいっぱいものを詰めたまま、棚に上げられず膝元にリュックを置いて窮屈そうに座っていた。
しばらくすると、リュックからお弁当を取り出して広げはじめた。
お弁当は大きめの1段で、蓋を取ると炊き込みご飯がほとんどで、その端っこにわずかばかりの胡麻和えが入っていた。
そこで女の子は、ふと両手をきちんと合わせて、小さな声で、
「いただきます…」と言ったのだ。
正確に言うと、いただきますのあとに、何か言葉をほんの少し添えていた。
僕はその姿を見た時に、「なんて素敵な人なんだろう・・・」と思ったのだ。
それから気持ち良いくらいに2号くらいはありそうなご飯を、胡麻和えだけで食べてゆき、最後もやはり丁寧に「ごちそうさまでした…」と何か他の言葉を祈るように呟いた
「いただきます」と「ごちそうさま」と言う言葉の、なんと美しいことだろうか。
人前で声に出していうことはなんだか恥ずかしいように感じていた自分がなんだか恥ずかしいような気がした。
それから僕は、きちんと「いただきます」と「ごちそうさま」を言える人になりたいと毎日過ごしている。

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