我が家には磯ヒヨドリが住み着いている。
この家の内見をした日から、何度か見学に来た日、こっそりと家を見に来た日もいつも磯ヒヨドリが家の庭の中を飛んでいた。
ここに住みはじめてからもいつも磯ヒヨドリがいて、朝は美しい鳴き声を聴かせてくれて、時々見える深い青い色に親近感さえ覚えていた。
普段は木の戸を3枚ざっくりと閉めるだけで隙間だらけだった倉庫も、台風に備えてぴっちりと隙間なくドアを閉めてしまった。
その後夕方に庭を見ていたら、磯ヒヨドリが2羽倉庫の向かいの2階の上に上がってずっと倉庫を見つめている姿が見えた。
K「あの磯ヒヨドリ、もしかしたら倉庫の中に巣があるのかもしれないね。さっき倉庫の戸をぴっちり閉めてしまったから入らなくなって困っているのかな?」
僕は庭に出て倉庫の戸を確認しに行った。台風の風や雨を気にすると、倉庫の戸は隙間なく閉めた方がいいけど、磯ヒヨドリが巣に戻れずに雨晒しになるのは耐えられない。
閉めた戸の隙間に下に落ちていた石を無理やり組み込み、なんとか隙間を作ってみる。6センチくらい空いた隙間から磯ヒヨドリが入ることが出来るのかわからないけれども、これで無事に巣に戻って欲しいと思う。
僕たちはこの家で、Kと海と3人で暮らしているつもりでいたけれど、この家の周りで一緒に暮らしている鳥たちも、ヤモリたちも、みんなが安全にこの台風を乗り切ってくれることを今は願うばかりだ。