母の小包。

午後になって母から電話があり、野菜を送ったとのこと。千葉県からの宅配便は、その日のうちの届くので最近は驚いてしまう。

小包の中には、ミョウガとピーマン、ナス、その上には手作りのマスクがいくつも入っていた。

不思議な柄ばかりのマスク

先日、Kを連れて母の家に遊びに行った時に、母からもらった手製のマスクをしていたので、母は嬉しかったのかもしれない。目が老眼でなかなか見えにくいだろうに、ざっくりと縫ってこんなにマスクを作ってくれたのだ。

K「お母さん、こんなにたくさんマスク作ったんだね・・・」

僕「つけきれないくらいあるね」

お金では買えないものを、母はいつも届けてくれる。

8周年、ありがとう。

10月12日で、Kと付き合い出してから8周年を迎え、9年目に突入した。

僕たちは、Kがまだ大分県に住んでいた時にネットで知り合い、8年前に初めて大分で会ったのだった。当時、27歳だったKは、今年の12月に36歳になる。

今日は僕も仕事が慌ただしく、ご飯を用意する時間もなかったので、高島屋でシャンパンとチーズとケーキも買って、冷凍庫から牛肉を解凍して食べた。

世界で800本しかない、手作業で作られたシャンパン


正直、つきあい初めは、まさか僕とKが8年間も続くなんて思ってもみなかった。遠距離恋愛だったし、将来のことはまるで霧の中だったのだ。

それが、今ではKは東京に出てきて一緒に暮らしているし、「同性婚訴訟」の原告にもなっているし、今度は熱海に引っ越すというのだから、つくづく人生、先のことはどうなるかわからないものだと思う。

シャンパンを飲みながら、大して贅沢もさせてあげられないけど、こんな二人の小さな暮らしを8年間も無事におくることができたのだと、改めて感謝した。

熱海、山の家。2

山の中に住むことにしたのは、窓からの景色が美しかったから。

大きな紅葉が悠々と生い茂り、夏に初めて訪れた日に、クヌギの木には、雌雄のクワガタが仲良く並んでいたのも不思議な縁を感じたのだ。

綺麗に刈り取られた雑草。(すぐに生い茂るに違いないけど)

家までのアプローチは、階段が50段くらいある。

でも、実際に住むとなると、きっと虫もすごいだろうし、獣だっているに違いない。

今のマンションでは、せいぜいネズミやハクビシンを気にして生活していればよかったのだけど、これからは、猿やイノシシ、鹿を気にしないといけないみたいだ。先日熱海にいた時に、町中に放送が入り、「伊豆山で黒い熊らしきものが出たので、山には近づかないように」と言っていたが、住む以上、近づかないわけにもいくまい。

伊豆半島には、圧倒的に鹿の数が多く、イノシシ、猿、その他の動物の数が続いて、人間の数なんてほんのわずかなのだそうだ。それを思うと、人間が我が物顔で生活しているのは、動物にとって見たらなんて事のない自分たちの王国に、人間が時折ちらほら現れる程度にしか写っていないのかもしれない。

これから毎日の山の暮らしの中で、季節を思う存分に体験できるだろう。

熱海、山の家。

今月末の引越しを前に、契約も含めてもう一度熱海に行くことにした。

熱海では、海の見える家を何軒も見たのだけど、結局住む家は、山のなかの家にした。この家に決めるまで、僕はとても迷ってしまって、途中、Kが「もう引越しやめようよ」という出すくらい、なかなか踏ん切りがつかない状態の時があった。

それは、ずっと海を眺めながら暮らしたいと思っていたのに、「山の物件でいいのだろうか?」と感じていたから。自分の中で山なのか海なのか、行きつ戻りつしながら考えていたのだけど、このままだと引越しもできなくなりそうに思い、思い切って踏み出すことにした。

引越しって、めちゃくちゃお金もかかるし、体力のいることだ。一度盛り上がっていたやる気がしぼんでしまったら、来年の春だってその気持ちが奮い起せるかどうか、わからないではないか。

この茂みの上に家がある。この山の雑草を入る前に清掃してもらうことに。

今回、最後の確認に不動産屋さんと物件を訪れた時に、今まで見ていなかった和室の窓を開けて、左側を覗くと、なんと遠くに海がほんの少し見えたのだ。

僕は地図からすると、もしこの家が高かったら、海が見えるだろうと踏んでいた。でも、あいにく周りは大きなクヌギや紅葉が多い茂る山の中、それに僕たちの住む家は平家なのだ。完全に海のことも忘れていたところ、秋になって木々の葉っぱが落ち始めたからか、遠く海がちょっこりと顔を出した。

それはまるで、これから引っ越してくる僕たちへの、神様の贈り物のように思えたのだった。

ラプアンカンクリのポケットショール。

長年愛用しているリネンを買っている「ラプアンカンクリ」で、ポケットショールを買った。

大きなヘリンボーン柄と、シックな色合いに虜になってしまったのだ。

送られて来た色違いの2つのショールを開けると、
「これ、どうやって着るの?」とKが呟く。

「肩からかけたり、膝にかけたり、でっかいマフラーみたいにしたり、どうやってもいいじゃん。大きすぎず小さすぎず、便利だよ」

「へー」

早速寒くなって来たので、晩ご飯を食べながら、膝にかけてみた。ショールは暖かく、それでいて軽いので手軽だ。

膝にナプキンのようにかけて、向かい合って座っているKに残りの部分をかけると、嬉しそうに僕のショールの下に足を入れて来た。

二人で一緒に入るショールの下は、とっても暖かかった。

⭐️https://lapuankankurit.jp/discover/always-by-myside-pocketshawl/

WASABI

犬を飼おうとKと決めてから、犬の出ているYoutubeを追いかけて見ている。

その中で、僕たちのお気に入りは、「WASABI」というトイプードル犬の出ているもの。

そのWASABIは実は保護犬なのだけど、とてもやさしい里親家族にもらわれて、一つ一つ経験して少しずつ大きくなっていくYoutubeは、見ているこっちが癒されるのだ。

WASABIは、元々ペットショップに売られていたであろうトイプードルなのだけど、身体が普通のトイプードルに比べて大きいためか売れ残り、4ヶ月で捨てられたのだそうだ。

この話自体、怒りがこみ上げてくるのだけど、この国で犬を捨てる人たちが絶えない状態は、動物の命を守るために、法律で決めなくてはいけない段階にあるのだと思う。

かわいくて癒されると同時に、保護犬のことを改めて考えさせられる素晴らしいYoutube。

⭐️WASABIhttps://www.youtube.com/watch?v=ZRssLgYLcmA&vl=ja

怒るK。

夏からずっと進めてきたCMの企画が、金曜日にほぼ決済がおり、一段落していたのだ。これでやっと、ゆっくりと眠れると。

それなのに、それなのに・・・火曜日夕方に呼び出されて、3本のうち2本がひっくり返ってボツになってしまった。

僕はさすがに、3回もひっくり返されて意気消沈し、怒りやら吐き気やらで、「これからどうしようか・・・」と考えていた。

でもそれを、Kにはあまり知られないように、なんとか自分の中に止めようとしていたのだけど、晩ごはんの時にKはすぐにわかったようで、起こりはじめた。

「ただしくん、もうこの仕事やめてあげて」

「しょうがないよ。こういう仕事なんだから。企画が決まるまでもう一度頑張るよ」

「もうこんな無茶なこと言う会社、ほんとやだ。クリエイティブもやめればいいじゃん。もっとゆっくりした部署にいけば」

「大丈夫だよ。もう一回頑張るよ」

必死になって僕を守ろうとして怒っているKを見ながら、自分がしっかりしなくてはダメだと思ったのだ。

僕が傷つくと、家族も同じように傷つくものだ。

そんな姿を見て、もう一度立ち上がろうと思った夜だった。

Kの面接。

熱海への移住が決まり、Kは早速仕事探しをはじめていたみたいで、三島にある病院に面接に向かった。

病院側は、通常勤務の社員を求めているようだけど、今までいくつかの病院での勤務を経験したKは、再就職を慎重に選ぶようになったようだ。

夜勤があったり、早朝から夜遅くまでの勤務であったり、休みのないブラック病院を避けるようになっていた。

面接から帰ってきたKにどうだったかと手応えを聞くと、「うん。向こうは通常勤務を求めているみたいだった」「それでどう言ったの?」

「朝は、8時殻みたいだけど、熱海から遠いので9時半からならいけると答えたの。夕方は少し遅くなってもいいと」

「そんなこと言って大丈夫なの?病院ってみんな朝早いじゃん」

「でも、8時に行くには、7時すぎには出なきゃいけないし、それが毎日だときついよ」

「そうだね・・・そしたら国立だし難しいかもね」

そんな話をしていたら、程なく内定の通知が届いた。

「よかったね。ブラック病院じゃなければいいけど」

「嫌ならすぐにやめたらいいよ」

どうやら、自分の好きなように条件を出して、受け入れてもらえそうだ。

僕たちの移住計画も、少しずつ進みはじめている。

失くした財布。

9月19日(土)に、Kが渋谷で財布を失くし、探したけど見つからず警察に届け出たことをここに書いた。

その時に、クレジットカードを止めて、銀行を止めて、その後少しして出てくる気配がないので保険証を再発行して、運転免許証も再発行した。

警察によると今の日本では、失くした財布は60パーセントくらいの確率でしか見つからないようだ。どうやら残りの40パーセントに入ってしまったみたい。

そんな話をしながら、「人の財布を見つけて、お金は抜いて、そのまま財布は捨てちゃったのかな?・・・どういう育ち方してるんだろうね・・・」と僕は時々怒っていたのだ。

そして、そんなことさえ忘れていた今日、17日も経って急にバス会社から電話があり、見つかったのだ。

早稲田のバス停まで取りに行くと、傷一つついていない水色の財布が見つかった。

現金2千円も、カード類も、保険証も免許証も全てそのまま入っていて、バス停によると、「今日見つかりました」とのこと。

僕は勝手に、「あああ、もう今の日本は昔の日本と違って失くした財布は見つからないんだ・・・」と思っていたのだけど、そんなことはなく、まだまだこの国では人の善意は、しっかりと残っているということを教えてもらったのだった。

フェアウェル

オークワフィナは「クレイジー・リッチ」でぶっ飛んだ友達役をやって印象に残っていた女優。この映画によってアジア系で初めて、ゴールデングローブ賞の主演女優賞を獲得した。

制作は、このところヒットを飛ばしまくっているスタジオ「A24」。わずか4館の上映から始まり、それが全米トップ10入りするまでに拡大したという話題作。

オークワフィナ演じるビリーは、NYで暮らす中国系移民。親戚や祖母は中国で暮らしており、大好きだった祖母に癌が見つかり、余命わずかだという宣告を祖母本人には知らせずに、家族が祖母にとって幸せな時間を過ごさせてあげようと画策する。

この映画の興味深い点は、全て白昼の元にさらけ出して、本人に余命を伝えることを良しとする欧米の考え方と、本人には知らせずに、気遣いながら楽しい時間を過ごさせてあげようとする、どちらかというと家族の思いを優先するアジア的な考え方を対比させながら、観ている我々に考えさせるところ。

笑いながら、じっくりと考えさせられた素晴らしい作品だった。

⭐️フェアウェルhttp://farewell-movie.com