GALLERY QUAN

もう20年以上の付き合いになる友人Hともうひとりの友人Kが、一緒に銀座のアップルの裏にアンティークジュエリーのお店をオープンさせるので、そのロゴや名刺などを頼まれて作った。
今日はそのギャラリーのプレオープンで、親しい友人たちを集めてワインを飲みながら、忘年会も兼ねて久しぶりに騒いだ。
昔からHは、アンティークの店で細細と働いていたのだけど、松屋銀座にショップが入ってからは、伊勢丹などにも時々出店するようになり、少しずつうまく商売も拡大して来たようだった。
そして今回、小さいながらも銀座の一等地に自分たちのお店を構えるまでになって、本当に運もいいと思うし、彼らの努力の賜物だと思う。
20年前は、一番ひ弱に見えたHが、今日は銀座のオーナーになったのかと思って、少し大きく立派に見えたし、何よりも幸福そうだった。
costume jewelry という、本物の宝石を使わない40年代から70年代のアクセサリーは、本物を使わないがゆえに大胆なデザインであったり、少し買いやすい値段だったりするらしい。
シャネルなどが有名だけど、ジャクリーヌ・ケネディなども好んでこのcostume jewelry を身につけていたというだけあって、大胆でありながら繊細なデザインだったり、じっくり見ると不思議な魅力に満ちている。
気軽に入れるお店なので、銀座に行くことがあれば、覗いてみてください。煉瓦亭の並び、Swissという洋食屋さんの2階です。

ゼラニウム。

華やかなポインセチアたち(クリスマスは私たちが主役なの…と言った態度に腹が立つ)の陰に隠れて、凡庸な真っ赤なゼラニウムを安価で見つけたので、5つ手に入れた。
イギリスなどの珍しい植物を好む園芸家には敬遠されがちなゼラニウムは、匂いこそないものの、花期が長く、寒い時期に温かさを感じさせてくれる花だ。
イタリアやスペインに行くと、窓辺に沢山のアイビーゼラニウムが飾ってあったりするのは、日光を好み、手がほとんどかからないからだろう(大雑把なラテンの人たちが好みそうな花だ)。
ゼラニウムの鮮やかな暖色の赤は、まるで、疑いようのない母親の愛情のようだ。
5つ買い求めたのは、ベランダの左右いっぱいに飾って、賑やかにしたいからなのだが、もしかしたら遠くの人にも見えるかもしれないと思ったから。
この時期、ニューヨークなどに行くと、たとえ貧しい地域であっても、町の家々からささやかな電飾が飾ってあって、外から見る人まで温かい気持ちになることがある。
たとえ貧しくても、豊かな心を持つ人は、幸せに違いない。

修理して使う喜び。

サイドテーブルの天板の裏

震災で折れてしまった脚

時々気がついて、壊れてしまったものを修理してもらう。
今回は、フードセーバー(食品をビニールの中に空気を抜いて保存出来る器具)が吸い取りが悪くなったのと、卓上カセットコンロの足が一つ取れてしまったので、それぞれ修理に送った。
週末に、家にある他に修理すべきものを考えてみたら、靴の底を替えたいと思っている靴が3足あったり、破れたGパンが2本あったり(下半身が太くなったので)、そういえば、一番上の収納に何年も上げたままになっていたサイドテーブルが、震災の時に足が取れたまま使わずに収納してあるのを見つけた。
日頃は忙しさで忘れたまま使わずにいるものが、こんな風に意外と家の中に溜まっているのがわかった。
今日、フードセーバーの修理担当の方から丁寧な電話をいただいた。「器具の中の、空気を吸い取る管の中に水分が入ってしまっていたので、それを取り除いておきました」とのこと。修理代も3000円と安く、また今までと同じように使うことが出来るのがとてもうれしく感じられた。
端っこが欠けてしまった和食器に、金が接いであるのをご覧になったことはあるだろうか?先日金沢に言った時に、思いがけずそんな食器に出くわした。
昔は、欠けてしまった食器など価値のないものだと思っていたのだけど、今の僕は、欠けてしまったものでさえも、また金で接いでまで使っているという持ち主の愛情を感じられて、それを美しいものだと感じることが出来る。
生きていれば傷もつく。
遅かれ早かれものは壊れ、使えなくなり、いつの日かこの世界から消えてなくなるのだ。
使っていたものが壊れて、それを修理に出して戻って来ると、思いのほかうれしい。
それは、これからも丁寧に使ってゆけるというものに対する愛情であり、もしかしたら物からの愛情さえも感じることが出来るからなのかもしれない。

七五三出汁。

牛の切り落としですき焼き風。

親子丼を東京で食べると、驚くほど甘く、醤油の味が濃く、途中で食べられないと思うことが僕は多い。(これはきっと、蕎麦の麺つゆをそのまま使っているからなのだろうなあと分析してみたりするのだが…)
親子丼にせよ牛丼にせよ、あまり甘くない方がさっぱりとして食が進むと僕は思っていて、自分で作る時はもっぱら、七五三出汁(京都の菊乃井の大将、村田吉弘さんのレシピで、出汁対味醂対濃口醤油が七五三の配分)にしている。僕はこれでも甘いと思うので、味醂を引いてお酒で調整する。
今日は、牛肉の切り落としに、ネギ、豆腐、春菊、白滝、椎茸など、あり合わせの具材を適当に煮てすき焼き風にした。
この七五三出汁を使えば、疲れて帰って来た時なんかでも、肉さえあれば一瞬で丼ものが出来上がるから素晴らしい。
★七五三出汁
出汁70 味醂50 濃口醤油30ml に、肉と野菜を入れて火が通ったら出来上がり。(二人分のすき焼き風にする場合は、出汁140 味醂100 濃口醤油60ml)

12月がやってきた!

イギリスの置物。なぜか重い…

10月に飲んでいた席で、占いに詳しい友人に誕生日を尋ねられて答えたら、その後その友人からメールが送られてきた。
“Tさんは、毎年10月と11月、そして戌年と亥年も天中殺なので要注意です。この時は運気の流れが無いので、積極策が裏目に出たり邪魔が入ったりします。 無理せず、焦らず、受け身の姿勢を忘れないことが大事です”
“東洋の占いの多くは、12年、12カ月、12日など、12を1つのサイクルとして運勢が回るのが基本です。 その中で一番目と二番目に運勢が弱まっている時が、 六星占術の大殺界、四柱推命の空亡、算命術の天中殺、0学占いの0地点です”
実は、昔から、春から夏がとても好きで、夏の終わりから秋になると、苦手な季節が来たと思ってしまっていた。
樹々の葉が落ちるのを見るのも嫌だし、高い空もそこはかとなくせつなさを感じてしまう。
それがなぜだか、クリスマスの音楽が聞こえて来る頃には、冬が待ち遠しくなって再び元気になれるような気がするから不思議だ。
人間も生きているのだし、いつも真夏のように元気とは限らない。もしかしたらバイオリズムのようなものはあるのかもしれないと思う。
四柱推命や紫微斗数などの統計学など気にしないというのも生き方だけど、僕はあえて、ちょっと気にして、10月11月には、あまり無理をしないようにしている。
さて、待ちに待った12月がやって来た!12月の中には、実は春のエネルギーが潜んでいるように思える。
クリスマスや正月の過ごし方を話すのも楽しいし、友人を呼んで、いったいどんなものを作って食べようかと考える時間も幸せに感じる。
12月だ!

週末のパスタ。

ボッタルガとミモレットのスパゲティ

ポルチーニとパンチェッタのファルファッレ

東京は天気に恵まれて、美しい青空が広がっている。
昨日も今日も、珍しく家で過ごして、押入れや雑誌や本の整理に明け暮れている。特に散らかっていないのだけど、不思議なことに、突然収納の中が気になりだすと夜も眠れないようで、整理をしなければ!と思うようなことがある。
週末に向けて、特に買い物もしていなかったので、赤ワインを飲みながら、ありものでパスタを作って食べた。
ボッタルガ(カラスミ)や、ミモレット(チーズ)や、パンチェッタ(豚肉)は、家に常備しておくと重宝すると思う。ポルチーニは秋に買って食べきれず冷凍庫に入れて置いたものだけど、キノコ類も冷凍出来るのでマッシュルームや椎茸など、食べられない分は即冷凍庫に入れると無駄がない。
★ボッタルガとミモレットのスパゲティ
1.ボッタルガを用意して、ミモレットは摩り下ろしておく。
2.塩を入れたお湯にパスタ(一人分80から100g)を入れて茹で始める。(水3lに対して大さじ2の塩を)
3.大さじ2のオリーブオイルに、微塵切りしたニンニク1粒を弱火で香りが出たら、細かく切った鷹の爪一本を入れて、大さじ2のパスタのゆで汁を加えたら火を止める。
4.標準茹で時間の2分前にパスタを上げて、弱火をつけたニンニク入りのフライパンに入れて、すかさずボッタルガ大さじ2くらいを入れて、全体を和える。
5.皿に盛り付け、ミモレットをふりかけて、上からオリーブオイルを回しかけて、イタリアンパセリか、クレソンを天盛りに。(ボッタルガの臭みが気になるようならば、レモン汁をかける)
※ミモレットは、チーズのくせに魚介類に合うと言われている。ボッタルガのコクと、ミモレットのコクが2重になって広がる旨味は白ワインが進む。
★ポルチーニとパンチエッタのファルファッレ
1.ポルチーニは食べやすい大きさに切る。(乾燥ポルチーニは、ぬるま湯につけて戻す)
2.パスタを茹でる。ショートパスタなら、標準茹で時間プラス30秒で試食をしてみること。(硬いショートパスタはマズい)
3.ニンニク1/2かけを潰してオリーブオイル大さじ1で香りを出しながら、食べやすく切ったパンチェッタ60gを炒める。
4.パンチェッタが炒まったらポルチーニを入れて、全体を炒める。
5.白ワインかシェリー酒大さじ2をふり入れ、軽くアルコールを飛ばしたら生クリーム75mlを入れる。全体を混ぜたら、しばらく弱火で煮込む。
6.味を見て、足りなければ塩をひとつまみ入れて、胡椒をふって火を止める。(水分が足りなければゆで汁かポルチーニの戻し汁を加える)
7.茹で上がったパスタを加えて、全体を和えて、皿に盛り付け、イタリアンパセリを散らす。パルミジャーノを削りかける。