衣替えとカミングアウト。

毎年、10月の頭にやっていた気がする衣替えを、今頃重い腰を上げてやり始めた。やり始めたというのは、恥ずかしながらまだ完了していないのだ。
この頃の東京は、春が短く、すぐ梅雨から夏になり、夏が長く、秋が短く、急に冬がやってくる気がする。
つい最近まで暑かったのに、ここ数日、急に気温が下がり始め、やっとセーターやマフラーを出さねば…と思い至ったのだ。
うちの衣替えは、狭い収納の上下を入れ替える感じなのだけど、この衣替えがあるお陰で、その都度着なくなった洋服を見直す機会を得ている気がする。
そして、その度に、収納の一番奥にある袋や箱を一旦すべて表に出して、半年くらい目にしていなかったものは、いったい何が入っていたかと中を開けて曝け出してみるのだ。
そしてその時にいつも思うことは、「これがカミングアウトなのだな」ということ。
押入れの奥深くに誰にも見られないようにそっとしまっていたものを、白昼の元に曝け出すこと。
みんなにカミングアウトを勧めるつもりはさらさらない。人によってそれは、死ぬほど難しいことだったり、カミングアウトをした相手に抱えきれない困難や苦しみをもたらす場合もあるだらうから。
僕でさえ、知っていたにせよ、きちんと母に言葉で伝えたのは、Kとつきあいはじめて、昨年、同性婚訴訟に出ることを決めた時なのだ。
僕の場合は、振り返ってみると、カミングアウトをして、やっと本当の意味で、自分のことを心から赦し、受け入れることが出来たのだと思う。
それまではなんと言っても心のどこかで、自分のことを恥ずかしい存在であると卑下していたのだと思うのだ。
カテゴリーLGBT

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