彼の見つめる先に

ベルリン国際映画祭の国際批評家賞を受賞したというブラジルはサンパウロの映画『彼の見つめる先に』は、胸がきゅんと締め付けられるような甘酸っぱい青春ゲイ映画だった。
ゲイ映画と聞いて勢いづいて観に行ったのだけど、少し観てたらこの映画、先天的に目の見えないゲイの少年のお話だった。
主人公のレオと、レオにいつも寄り添っている女の子ジョヴァンナ、転校生のガブリエルが繰り広げる何気ない毎日の高校生活を見ていると、純粋に人を好きになることや高校生の頃の溢れるばかりの情熱を思い出した。
それにしても、日本の普通の映画館で、LGBT映画祭でもないのに、こんな風にゲイ映画やトランス映画、ビアン映画を観られるなんて、なんて素晴らしいことだろうと思うのだ。
昨日の『ナチュラルウーマン』も素晴らしいけど、甘酸っぱい青春映画がお好きな方は、こちらをおすすめする。
⭐️彼の見つめる先にhttp://www.mitsumeru-movie.com

ナチュラルウーマン

金曜日に『しあわせの絵の具』を見て幸せな気持ちになっていたのだけど、新宿2丁目のBridgeのママ(ブリママ)からは他にも観るべき映画をいくつも聞いていて、週末は映画三昧に。
土曜日は、アカデミー外国語映画賞受賞のチリの映画『ナチュラルウーマン』へ。(映画を観ていて疑問に思ったのは、邦題の『ナチュラルウーマン』。アレサの歌うキャロルキングの曲ナチュラルウーマンから来ているのだろうけど、原題をそのまま訳せばよかったのにと思う)
ヒロインは、トランスジェンダーの女性で自身も本当のトランスジェンダーの『ダニエラ・ヴァガ』。監督は『グロリアの青春』の監督で『セバスティアン・レリオ』。
ストーリーはもちろんここには書かないけど、ひとりのトランスジェンダーの女性が、シンプルに愛する人とともに生きてゆこうとするだけなのに、様々な場面において世の中の逆風が吹いてくる。
僕が改めてゲイであってよかったと感じられることのひとつが、社会の中で同じように生きづらさを抱えていたり、平等の権利を与えられていなかったり、弱みを持つ人々のことを思い、想像し、共感することが出来るということだ。
この映画は、見る人に、そんな視点を静かに持たせてくれる希有な作品。心から素晴らしい作品だと思う。
⭐️ナチュラルウーマンhttp://naturalwoman-movie.com

しあわせの絵の具

新宿二丁目の行きつけの店『Bridge』のMが、またしても素敵な映画を紹介してくれた。
アカデミー賞に次々とノミネートされている個性派女優サリー・ホーキンスと、大好きなイーサン・ホークが主演の映画『しあわせの絵の具』は、実際のカナダの画家の人生を描いた、しみじみと心に残る映画だった。
子どもの頃からリュウマチのため身体が不自由なモードと、孤児院で育ち、読み書きも苦手なエベレットが偶然出会い、やがて人生をともに歩んでゆく物語。
カナダの田舎町まで10キロもある町の外れ。小雪が積もり冷たい風が吹くさな一軒家の電気も水道もないような暮らし。男気が強くがさつなエベレットと、純真で無垢なモードは、人生における最もたいせつなものをふたりで見つけ出した。
映画を見ていたら、知らず知らず涙が頬をつたった。
印象的なセリフがいくつもあるのだけど、それは映画を見た人がそれぞれに感じ取れたらいいと思い、あえてここでは書くことはしない。
「完璧な人」とは、なんだろう?
それは、映画の中に描かれている。
(ゲイ的な目線で見れば、イーサン・ホークがやたらセクシーで困る)
⭐︎しあわせの絵の具http://shiawase-enogu.jp/

LGBT炎上問題トップ10!

ここ数年のLGBTブームに伴い、インターネット上でことあるごとに炎上が起きていたと思う。
どっぷりとSNS上でもLGBTに囲まれていると、そんな炎上問題は日常茶飯事に思えるけど、実は一般社会においては、全く話題にも上がっていなかったりするんですよね。
マーガレットさんが『イロドリ』に来て、楽しいイベントを開いてくれるそうなので、興味のある方は是非聞きに来てください。
炎上問題に上がったテーマを見せてもらったら、僕の写真がいくつも出ていて笑ってしまった。
⭐︎LGBT炎上問題トップ10!
〜話題の炎上問題をマーガレットが再検証!〜
日時:3月17日(土)17時〜19時(16時半開場)
場所:irodori/カラフルステーション
料金:3000円(ドリンク+フード)
http://kokucheese.com/s/event/index/511558/

コールマンカリー

コールマンカリー

ボルシチ

昔はよく『新宿中村屋』に行くと、地下のレストランはカジュアルだけどいつでも混んでいたので、一番上の階のフレンチレストランに行って、時間をかけて食事を楽しんだものだった。
古い日本の有名な画家の油絵なんかがかけられていて、席と席の間がしっかりと空いていて、サービスも素晴らしくてゆっくりと食事が出来たから。
改装した後の上のレストラン『Granna』も広々としていてモダンで悪くないけど、僕は前の昭和の洋館ダイニングのようなレストランが好きだ。
『新宿中村屋』の『コールマンカリー』が好きで、時々無性に食べたくなる。気軽に食べるなら、地下の『Manna』へ。
『コールマンカリー』は、『中村屋純インド式カリー』と並ぶ昔からのこの店のカリー。骨つきの鶏肉を香辛料とヨーグルトであっさりと煮込んだタイプで、ヨーロッパのカレーを食べているような大人っぽい味わいだ。
ふたりで行って、『純インド式カリー』と、『コールマンカリー』を頼み分け合って食べるのが昔からの食べ方だったのだけど、今日はKが変化球で『ボルシチ』を食べたがった。
ボルシチも、本場のボルシチを食べたことはないが、あっさりとしていてトマト味のポトフのようで美味しかった。
⭐︎Mannahttps://www.nakamuraya.co.jp/manna/

イタリアの貴婦人

冬のはじめに植えたパンジー『イタリアの貴婦人』が、先週末の暖かさもあって、勢いよく咲き誇っている。
大きな鉢のコンテナは、冬の間ずっとパンジーやプリムラが咲き続けてくれていたところに、春の気配とともに鉢の下からムスカリやスイセンの芽が伸びて来て、あとを追うようにチューリップの芽も出始めた。
毎年春を迎える頃は、家のベランダは花々で溢れかえるのだけど、当たり前のことだけど昨年と同じ花はなく、この年になって再び迎える春に心踊るものだ。
水耕栽培のヒヤシンスが終わった部屋に、『イタリアの貴婦人』をいける。
外で摘んできた草花を、毎日いけることができることの、なんと幸福なことだろうか。

『辻留』季節の折詰お弁当。

手ぬぐいが入っている

鯛のきずしと様々な季節のおかず

京都からの帰り道、たまにJR京都伊勢丹の地下のお弁当売り場でお弁当を買う。
急いでいる時は、『はつだ』の和牛弁当1944円だけど、今日は奮発して『辻留』の季節の折詰5400円。
このお弁当店で有名なお店は、やはり『辻留』と『菱岩』。本当は『菱岩』にしたかったのだけど、『菱岩』は日曜日はお休みでお弁当が入ってこないのだ。
『辻留』のお弁当は、味はもちろんおいしいのだけど、失敗したというほどのものでもないけど、物足りないというのが正直なところ。でもこれも実際に食べてみないとわからないお弁当の醍醐味のひとつかもしれない。(これで3240円ならまだしょうがないかなとも思うのだけど、5400円ですよ)
僕の中では先日ここにも上げた『河久』のお弁当が一番上なので、どうしてもそれと比べてしまうのだ。
そうは言っても、京都の和食お弁当文化の高さは、明らかに東京や他県の和食店では追いつくことの出来ない高みに達していると言える。

京都御所

紫宸殿

清涼殿

桜にはまだ早い京都の町はポカポカ天気で、のんびりと寺町通りを歩いていたら、『京都御所、一般公開しています』という看板を見つけた。
寺町通りから京都御所はすぐ見えるので、Kとふたり、「行ってみようか?」と、軽い気持ちで入り口である西の『清所門』を目指した。
京都御所は、平城京から長岡京を経て794年に都が移され、その後1331年からから1869年に明治天皇が東京に移り住むまでおよそ500年間天皇がお住まいになった場所。(意外と短いですね)
京都の町は、この京都御所がすべての基準となり、碁盤の目のように作られている。
『紫宸殿』
最も格式の高い正殿。慶応4年(1868年)『五箇条の御誓文』発布の舞台であり、明治大正昭和の三代の天皇の即位礼はこの建物内で執り行われた。紫宸殿から見て左側に『左近の桜』、右側に『右近の橘』。
『清涼殿』
平安中期から1590年まで天皇の日常のお住まい。中央の畳を敷いた部分が『昼御座』といい天皇の日常の御座。
敷地内は皇居ほど広くはないので、ゆっくり見ても30分とかからない。
何度か火事で焼失したが、その度に平安時代中期の建築様式を再現したそうだ。
実際にお住まいになっていた建物や庭を見ていると、日本の住居の雛形が感じられ興味深い。
京都に来たらお寺も面白いけど、御所の見学も思いのほか楽しむことができる。

竹屋町 三多

福井のカニ

焼いたふぐの白子と白味噌

ふぐと卵丼

京都の和食店『竹屋町三多(たけやまちみた)』に電話をかけて予約を入れたのは、かれこれ一年半くらい前になるだろうか?
その時に言われたことは、「ご予約は、2年後になりますがそれでもよろしいでしょうか?」
今や、『未在』以上に最も予約が取りづらいお店と言われている『三多』は、それだけ食通の間の口コミで美味しいという評判が広がっているお店。
そしてそんな予約の電話も忘れた頃、急に『三多』から電話が入った。
「お席にキャンセルが出ましたので、お電話かけさせていただきました。ひな祭りの日はどうでしょうか?」
その電話をいただいたのが去年の秋頃。3月はまだ半年先だったけど、一年以上待ったお店に行けるのかと思い喜んだ。
お店は、老舗や名店の集まる『寺町通り』に面している。席数は6席で6時スタートの1回転。大将と女将さんのご夫婦だけでやってらっしゃる。
大将は、『菊乃井』で修行され、その後長く『旬席 鈴江』にいらっしゃったという。
但馬牛のコンソメ
筍と大根の山椒和え
福井のカニ
鯛の昆布締めと赤貝
焼いたふぐの白子と白味噌の味噌汁
焼いた金目鯛
煮鮑と長芋
ウニとアオリイカ、カラスミと空豆、白魚と大根
菜の花の煮物
ふぐ雑炊
伊予柑とみかんのゼリー
お料理は、奇をてらうものではなく、ひとつひとつの最高の素材を二手間かけて生かしたお料理で、派手さはないが、しみじみと美味しいと思えるお料理だった。
器は、江戸時代のものや外国のアンティークなどを組み合わせた器。
今この店を予約すると、2020年から予約が出来るそうだが、それをしてでも行く価値のある素晴らしいお店。
⭐︎竹屋町 三多
075-231-3556
京都府京都市中京区寺町通竹屋町下ル西側久遠院前町667-1
https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260302/26016620/

一華

焼きふぐ

蕪蒸し

釜飯

昨年京都を訪れた時に、『なる屋』という素晴らしい割烹料理屋さんに行ったのだけど、そこの大将にすすめてもらった釜飯のお店『一華』へ。
ランチに行く人が多いようで、夜は僕たちの貸し切りになっていた。大将はとても話しやすく、京都出身で京都のことにとても詳しい。
たとえば、京都の水は超軟水なので、昆布だしには向くけど、煮干やいりこ、アゴ出汁には向かず生臭くなるなど。
確かに言われてみると、京都でいりこ出汁を食べたことはないかもしれない。
6000円弱のコース料理だったけど、2時間以上楽しいお話を沢山して、美味しい釜飯をいただいた。
⭐︎一華
075-754-8827
京都府京都市中京区油小路通二条下ル二条油小路町264-1
https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260203/26025178/