シェイプ・オブ・ウオーター

アカデミー賞の発表がいよいよ今週末に迫る中、作品賞、監督賞、主演女優賞など、13部門という最もノミネート数の多い『シェイプ・オブ・ウォーター』を上映開始日に観に行った。
『シェイプ・オブ・ウォーター』は、ギレルモ・デル・トロというメキシコ出身の監督で、ブルージャスミンで助演女優賞にノミネートされた英国のサリー・ホーキンスが声の出せない主人公を演じている。
脇を固める俳優陣がものすごく強力で、助演男優賞にノミネートされているリチャード・ジェンキンスをはじめ、今年度もこの作品でノミネートされ、過去にもアカデミー助演女優賞を取っているオクタビア・スペンサーなど、個性派を揃えている。
「あんた、それで作品自体はどうだったのよ?」と聞かれると、
「泣いてしまった」と答える。
実際に、周りで泣いている人は皆無だった気がするけど、後半は涙が出て止まらなくて、観終わった後に胸の中にジーンとしたものが残った作品。これは、おとぎ話を映画という手法で蘇らせた作品であり、今のアメリカのトランプ政権に対する強烈な皮肉も込められた作品だった。
主人公は声の出ない中年の女性(サリー・ホーキンス)。一緒に掃除婦として働いている無二の親友オクタビア・スペンサーは黒人、主人公の隣部屋に暮らす老人リチャード・ジェンキンスは(扉をたたく人)ゲイの年寄りでやけにリアリティがある。この社会的弱者といえる3人がお互いに支え合いながら生きている姿になぜか共感してしまうのだ。
そしてその対局には、彼らを追い込んでゆくアメリカとアメリカン・ドリームを体現するかのようなマイケル・シャノン演じる護衛官が立ちふさがる。
昔から世界中で伝わるおとぎ話の世界が好きな人には、久しぶりにおとぎ話の中にどっぷりと浸かることの出来る作品。
作品賞の候補作品の半分くらいしか見ていないのだけど、僕はこの作品に、作品賞を受賞してもらいたいとせつに願う。
⭐️シェイプ・オブ・ウォーターhttp://www.foxmovies-jp.com/shapeofwater/