まる富。

八寸

鯛、サヨリ、みる貝のお造り

岩手牛のヒレカツ

シンガポールのL&Jカップルが、食事をしたいというので、予約をしておいた曙橋にある小さな懐石料理の店『まる富』へ。
靖国通りから一つ道を隔てた静かな通りは、僕の大好きな中華料理のお店『敦煌』がある。
店に入るとほぼ正方形でとても小さく、カウンターに6人から8人くらい座れるだろうか?4人がけのテーブルが一つあって、どうやら座席はそれだけのようだ。
大将が1人でお料理を作り、奥さんがサービスをすべてやっている。
奥さんは、とても自然に話しかけてくれる。日本酒のことや食材のこと、旦那さんが岩手出身なので牛肉料理をメインにしていることなど。
席には、丁寧にその日のメニューが手書きで添えてある。
八寸は、のれそれ(穴子の稚魚)、新じゃがいも、うるい、蛍烏賊、そら豆、白魚の天ぷら、車海老。どれも手が込んでいて美しい。
お椀は、若竹に人参が加わったものでとても美味しかった。
お造りは、鯛、サヨリ、みる貝、こごみ。
鯛のアラ炊き。そして、フグの免許を持っている店ならではのフグの出汁の茶碗蒸し。
岩手牛のヒレカツは、日本で作られたホースラディッシュで食べる。
最後に素晴らしい竹の子ご飯とアオサの味噌汁。
1万円を切る値段でこのパフォーマンスは、東京にしては珍しいと思う。
女子も喜ぶであろう、再訪必至の和食店。
⭐︎まる富
03-6273-1003
東京都新宿区住吉町2-18 ウィン四谷 1F
https://tabelog.com/tokyo/A1309/A130903/13158579/

塗り絵とデッサン。

先日、新宿二丁目の『ぺんぺん草』に行った時のこと、ぺんぺん草のマスターひろしさんが言うのだ。
ひろしさん「あたし、塗り絵をはじめたの・・・」
僕「え? 塗り絵? 面白そう! 見せてよ!」
ひろしさん「ダメよ。みんな同じように見せろって言うけどそれはダメ。あんたの塗り絵を見せたら、私のを見せてあげてもいいわっ」
そんなやり取りに笑ってしまったのだけど、70歳になるひろしさんは、このところ塗り絵の魅力にはまってしまったようなのだ。
ひろしさん「色をこうやって薄ーく塗ってね、そこにまた別の色を重ねたりするの・・・今では色鉛筆の色って、何百色もあって、欲しいのよね・・・全部の色が・・・」
そして、色鉛筆も随分上達したのではないかと久しぶりのぺんぺん草に行くと、今度は何やら『デッサン』にはまっていると言うのだ。
ひろしさん「デッサンって、難しいのよ・・・楕円を描くと、いっつもどっちかが上がってしまって上手く描けないのよ・・・でも、描けた時は、私って天才かもしれない!って思うの」
昔からあまりやらなかったこと、苦手で手をつけなかったことなんかを、年をとって新しくはじめてみるのって、すごいことだと思うのだ。なんというか、何十年間も勝手に思い込んでいた自分が、意外と新しく生まれ変われるような感じと言ったらいいだろうか。
今は、家のソファと、スパシフィラムという植物を描いているというひろしさんを、何だか羨ましく見つめてしまったのだった。

アマリリス。

アマリリスの花が好きで、真冬の寒い時期にアマリリスの球根を見かけると、ついつい買ってしまう。
いつもは丸裸のまま、ガラスの容器に入れて水栽培をして育てるのだけど、今年は下に土を入れたポットでそのまま育てたら、ようやく花が開き始めた。
白と赤の大輪の花は何本も蕾があり、長い間家の中に華やかさを演出してくれる。
球根はひとつで1200円くらいだっただろうか。球根が育って行く過程を楽しみながら、こんなに立派な花を咲かせるアマリリスを見ていると、なんとも安い買い物だったと思うのだ。
毎朝僕が、「きれいだね!きれいだね!」とアマリリスに向かって話しかける姿を横目で見ながら、Kはいつも笑っている。

JとLの来日。

1年の間に6回くらいだろうか?シンガポールの友人カップルJとLがやって来る。
今回も2月の終わり頃、急に連絡があった。
「ミシュランの星付きの寿司屋さんの予約を取ってくれないかな?
3月8日と10日なんだけど」
笑ってしまうのだけど、ふたりはこういうことを突然言ってきたりする。そこで2つのお店を予約をしておいたのだけど、その予約の2日前になってJから連絡が入り、
「Lの仕事の都合で一人行けなくなってしまったから、キャンセルできるだろうか?」
面倒くさいおかまだなあ・・・と思いながらキャンセルをして、結局一人で食事は寂しいだろうということで、Kと一緒に3人で焼き鳥を食べることに。
Kは、日頃勉強している英語が少し上達してきたみたいで、一生懸命Jと会話をしている。その会話の内容は、どうやら、今後Kのお父さんお母さんが状況してきた時に、どうやって僕に会わせて、どうやって僕たちの生活をふたりに受け入れてもらえるだろう・・・という話だった。
Jもその昔、超保守的なJの家族に、Lのことを受け入れてもらうのにとても苦労したらしい。お父さん3年間絶縁状態になり、その後、ふたりのクラスシンガポールへやってきて、一緒の生活をつぶさに見せることで、少しずつ変わっていったそうだ。
そんなことを話してKに聞かせているやりとりを見ていると、英語であっても、聞きたいことや必要になったら、なんとかいっていることを聞き取ろうとするものなんだなあと思う。英会話教室ではなかなか学べない実際の会話は、Kにとってもとても有意義な時間に違いないと思えたのだ。

キラキラテープ。

これ、なーんだ?
実はこれ、鳥除けの、テープなのです。
せっかく植えたベランダの草花を、お腹を空かせたヒヨドリが食べに来るので、どうにかならないものかと思っていたのだ。
最初は、「鳥もこの寒い時期にお腹を空かせてかわいそうに…」くらいにのんきに構えていたのだけど、やっと姿が見えてきた小さなプリムラジュリアンの蕾を楽しみにしていたら、翌日家に帰ったら丸裸にされていたから。
テープは光に当たるとキラキラ光って、鳥はそんな光るものが苦手だと書いてある。
テープを少しずつ、いくつかのバラの幹に巻きつけておいたら効果があったのか、それ以降鳥が食べに来た様子はなく、プリムラの花がぐんぐん大きくなって来た。
ある日、家に帰ってベランダに出ると、風が強かったのか、巻きつけたテープが1本だけどこかへ飛んで行ってしまっていて、そこのプリムラだけが見事に丸裸にされていた。
「キイ〜ッ!」

せり。

『せり鍋』をご存知ですだろうか?
肉と一緒に、せりがメインの鍋物なのだけど、せりが有名な仙台では、結構せりなべは普通のお店でも置いてある。
今回、週末1泊だけの仙台だったので、せり鍋をいただくことは叶わなかったのだけど、その代わり、美味しそうなせりを100円で買ってきた。
昔、はじて根付きのせりを見たときに、根っこはどうしたものかと思っていたのだけど、根っここそ、せりの甘みがぎゅっと詰まっていることを知った。
お浸しにして朝ごはんに食べたら、早春の香りが口いっぱいに広がった。

御釜神社(おかまじんじゃ)。

松島

鹽竈神社

御釜神社

Kが行ったことはなかったので、日本三景のひとつである松島を訪れ遊覧船に乗り、その後、瑞巌寺を見学し、塩竈へ移動して東北一の参拝者数を誇ると言われる鹽竈神社を訪れた。
鹽竈神社は平安時代にはすでにあった古い神社で、山の中を二百二段急階段を登ったところにある。
正面は左右宮と2つの神様が祀られてあるのだけど、実は、その右手の別宮と書いてあるところに、主祭神である塩の神様、鹽土老翁神が祀ってある。
今回鹽竈神社が目的だったのだけど、もうひとつ『御釜神社(おかまじんじゃ)』に来たいと思っていた。
仙台のゲイバー『TANK DUMP』で、『御釜神社』の名前を聞いた時に、これは絶対に行かないと!と思ったのだった。
御釜神社には、神釜という御釜があって、昔から日本で大きな災害などが起こる時に、その神釜の水の色が急に変化すると言われていたそうだ。
東日本大震災の3月11日の朝、普段は濁っている水が急に澄んでいるのを発見されていたそうだ。
御釜神社、おそるべし。

一心

春のホヤ

穴子の白焼ハーフサイズ

たこ三昧

仙台で、とても美味しい居酒屋さんを見つけた。その名も『一心』。
海のものがメインのメニューはかなり絞られており、穴子や、タコ、アワビ、キンキ、牡蠣、ホヤ、マグロなど、地元特有の海産品が並ぶ。
最初に有無を言わさずお通しが出てくるのだけど、白ボタンエビ、ホタテ、マグロ、どれも素晴らしくこの店のレベルの高さがうかがえる。
注文してから捌かれ、焼かれる穴子の白焼きは、臭みがなく、柔らかで美味しい。
たこ三昧と名付けられたタコは、刺身と炙り焼きと、ウニを絡めた天ぷらで、この店の看板商品だというのも頷ける。
仙台名物のセリの天ぷらは甘く、セリを交えたお浸しも出汁がしみて美味しい。
東京では決して頼むことのない『ホヤ』だけど、『春のホヤ』と書かれてあったので大分育ちのKに食べさせたいと思い頼んでみた。
昔僕がつきあっていた人が、東北の旅館でホヤを食べた時に驚いていると、旅館の人に言われたそうだ。
「涼しかろ?」
ホヤの味わいを『涼しい』という言葉で表したことに感動していたけど、今回仙台でホヤをいただいて、『涼しい』という言葉を思い出した。
『春のホヤ』は、口の中で強烈な味わいを伴い、喉元をスーッと通っていった。食べた後には口の中に、なんとも言えない複雑な味わいの余韻が残った。
「涼しいね」
新鮮な春のホヤをKと味わいながら、昔の恋人の話をしたのだ。
⭐️一心
022-261-9888
宮城県仙台市青葉区国分町3-3-1 定弾寺ヒルズ B1F
https://tabelog.com/miyagi/A0401/A040101/4000085/

花粉症との戦い。

花粉の季節が盛りを迎えたようだ。
僕は、『酷い花粉症』とまではいかないものの、この季節になると目が痒くなり、鼻水が出る。
今年は意外と軽いかもしれないと思って過ごしていたものの、ここへ来て花粉が爆発的に東京の町を覆っているように感じる。
昨年、ネットのニュースで見たのだけど、花粉症の時期の鼻水対策として、綿棒でワセリンを鼻の穴に塗るとよいと書かれていて、花粉症の薬が苦手な僕は早速ワセリンを買って来て試してみた。
これが、思いのほか快適で、朝塗って、しばらく経ってまたトイレでワセリンを塗るくらいで、家に帰るまで鼻はスッキリとしていた。
ワセリンが鼻の内側を覆うことで、花粉が直接鼻の粘膜に触れずにすむためなのだろう。
僕のように、花粉症の薬が苦手な人は、ぜひワセリン綿棒をおすすめする。

不安は、現実化する。

僕の上司に、不安症の人がいる。
四六時中身の回りのこれから起こりうる色々な不安を想像しているのだ。
たとえば、
原稿を入稿したら、掲載された時に何かの手違いがあって逆さまに掲載されるのではないか…。
探している稀少な映像はあまり残っていない上に、あったとしてもなかなか許可が取りづらいから、このまま見つからないかもしれないので今のうちに別の案を考えた方がいいのではないか…。
その選手は協会が許可を出さないかもしれないから、別の種目を考えた方がいいのではないか…。
彼の頭の中では、常にこれから先の未来に起こるかもしれない事故に備えて様々なシミュレーションが行われ、土曜日や日曜日であっても、不安が爆発するとたくさんのメールと酷い時は電話が来たりする。
生真面目で神経質だったり、完璧主義の人に多いようだけど、あれほど日常的に様々な心配をして生きているのも、きっとつらいに違いないと思う。
僕だったら、
掲載した時に万が一反対に載ってしまったら(そんなことは今までの人生で聞いたことのない話だが)、それは何かの事故であって、僕にはどうすることもできないと思う。
想定していた映像や写真が散々探した挙句なかったとしたら、そこからどうするか次の手を考える。
選手の許可がおりなかった場合は、その時に別の選手なり種目を考える。
彼の不安は波動となり、やがてこの世界に現実化されることになる。
はじめは、なんだかはた迷惑な人だと思って見ていたのだけど、今となっては、彼の不安具合を横目で見ながら、今度はいったい何が現実化してくるかと思えるほどになって来た。
彼の不安の現実化を目の当たりにしていると、人間の意識は、こんなにもハッキリと現実化するものなのかと感心してしまうのだ。