ふたりで暮らすこと。

今まで、同棲などしたことのない僕は、本当のことを言うと、Kが東京に来てふたりで暮らすことに、不安がある。
それは随分昔に、占い師に言われた言葉を思い出すからかもしれない。
「あなたは何よりも自由が好きな人だから、誰かとふたりで一緒に暮らすのには向いていません…」
僕の人生においてもはや、何かを失うことを恐れる気持ちは、ほとんどない。
でもKはまだ31歳。安定した大きな病院を辞めて東京に来ることは、Kのキャリアにとってはとても大きなリスクを負うことだ。
そして、もし一緒に暮らし始めて、ふたりがうまくいかなかった時に、Kにはもう帰る家はないのだ。
そんなことを時々考えて、僕たち、こんな思い切ったことをして本当に大丈夫だろうか…と思う。
Kのお母さんが言っていた、「東京で、路頭に迷うんじゃないかと思って…」という言葉も時々気になる。
でも本当のところ、ふたりの先のことなんて誰にもわからないのだ。僕たちが今のまま幸福でいられるのか、5年先だってわからないではないか…。
わからないなりに今は、この不思議な流れに流されてみようと思う。
ただひとつ願うことは、この先どんなことがあっても、Kに憎しみを抱かせないようにということ。
今の幸福な気持ちを、いつまでも憶えていられるように、たいせつに暮らしていきたい。

OUT IN JAPAN 名古屋

OUT IN JAPANは、4月までに1000人のセクシュアルマイノリティの撮影を目指しており、今回は名古屋で撮影会が行われ、1日がかり総勢124名の撮影をすることが出来た。短い時間の中で、これだけ多人数の撮影が実現できたのは、名古屋のボランティアスタッフの方々が25名も休日を返上して手伝ってくださったから。本当にありがたいことだと思う。
毎回グループショットの撮影をするのだけど、今回は、様々な年齢層のMtFの人たちに集まっていただき、撮影することが出来た。
毎回このOUT IN JAPANの撮影会でいいなあと思うことは、今まではまったく想像することさえなかった、自分とは違うセクシュアリティの人たちとの出会いだろう。
今回、特に感心したのは、MtF(Male to Female)とレズビアンというカップルが2組いたということ。そしてそのカップルがとても仲睦まじく、愛し合っているのが伝わってきたことだろうか。
男性の身体を持って生まれてきたけど、性自認は女性であり、そのためにきっと小さな頃から僕たちの想像出来ないような苦労をしてきたであろうMtFの人は、好きになる対象はきっと男性が多いのだろうと勝手に思っていたのだけど、実はそれも様々だったのだ。
※因みに、
身体(男性)心(女性)好きになる対象(男性)→MtFストレート
身体(男性)心(女性)好きになる対象(女性)→MtFレズビアン
と言うそうだ。
そんなMtFビアンとビアンのカップルということなのだけど、そんな僕の混乱を見透かすように彼らは微笑み合い、やさしそうにお互いを気遣いながら、とても幸福そうに見えたのだった。
長崎の平戸にて、OUT IN JAPAN総勢567名の写真の展覧会が、明日からはじまります。
⭐︎OUT IN JAPAN 平戸オランダ商館http://hirado-shoukan.jp/modules/events/?p=515

フィカス・アルテシマ

斑入りのゴムの木(フィカス・アルテシマ)を見つけて、その明るいグリーンと深いグリーンの美しい斑入りの葉を見て思わず衝動買いしたのが数ヶ月前。
その後、家の中でも比較的日当りのいい窓際に置いていたのだけど、しばらくすると斑の明暗がどんどんなくなって来てしまい、この場所が合わないのかと考えた。きっと日照時間が足らないのだろうと、今度は一番日当りのいい窓際に置き、数日の間様子を見ていたのだけど、最後にはほとんど濃い緑一色の普通の葉っぱになってしまった。
そこで、今度は家の中でもほとんど日の当たらない廊下のコーナーに置いてみた。すると、驚いたことに、美しい明るい緑色が出始めたのだった。
もともと斑入りの葉というのは直射日光を好まないのだけど、鮮やかな緑色にするためには、ある程度強い日差しが必要なのだと勝手に思っていたのだ。でも、実際にはその逆だったのだ。
植物を育てるのは、難しい。
一番たいせつなことは単純な知識ではなく、一つ一つの植物の声に耳を傾けることなのだ。これは、多くの人が枯らしてしまう原因となる植物の水やりにも当てはまる。
子どもの頃から、お年玉を植物にすべて注ぎ込んで来たような園芸オタクの僕でさえ、時々それを忘れて、頭の中でわかってるような錯覚を起こしてしまう。
美しく斑入りに変わりはじめた葉を見ながら、何年経っても、園芸とは奥の深いものだと改めて思ったのだ。

大根餅。

これを焼いて食べる

先日ここに書いた、台湾人のKEからLINEが入った。
KE「ただしさん、大根餅、どうやって手渡しましょうか?」
KEは僕の家の近くに住んでいるので、irodoriでいただくように伝えて向かい、しばらくするとKEがニコニコしながら入って来た。
KEが袋からビニールパックを取り出すと、大きなカブラ寿司のようなものが放射状のように切られて入っていた。中からはなんだか美味しそうな大根の匂いがしている。
KE「この表面は、餃子の皮なんです」
KE「たくさん作り過ぎちゃったので、今は毎日大根餅を食べてます」
僕「これは、僕が作ったボロネーゼ。Hちゃんと食べてくださいね」
そう言って僕たちは、お互いに作ったお料理を、irodoriで交換したのだった。
スープの冷めない距離とは言うけど、近所に料理好きな友人が住んでいると、こんな風に作り立ての食べ物をいただくこともあるし渡すことも出来るのだ。
なんだか、おばさんみたいだけど・・・。

Whitney Houston

『レディガガが魅せた! スーパーボウルでの国歌斉唱に、歴代No.1の呼び声高しhttp://grapee.jp/139767』という記事を見て、改めて思ったのだ…
ホイットニーヒューストンの、圧倒的な歌のことを。
なんというDIVAを若くして亡くしてしまったのだろう。
彼女が生きているうちに、コンサートに行きたかったな。
⭐︎whitney houstonhttp://youtu.be/N_lCmBvYMRs

かわいいふたり。

家の近所に、とてもかわいいゲイのカップルがいる。
今年40歳になるHは、ジムに通い語学堪能な絵に描いたような『THE GAY』。KEは、30歳の台湾人。自撮りが大好きで、いつもいつも自撮りをしてはfacebookに投稿し続けている。ふたりはつきあい始めて1年くらいになるのだろうか。
数年前のHは、仕事の悩みや孤独、セクシュアリティに関する親との隔絶から逃れるようにお酒を飲み、荒れている毎日だった。
そんなHはある日、禁酒をはじめて、生活はガラッと好転しはじめた。
新しい仕事を見つけ無事に転職を成功させて、親へのカミングアウトも少しずついい方向に向かい始め、10歳近く若い恋人KEができたのだ。
週末を見ていても、ふたりはいつも一緒に行動をしている。昨年神二ファミリーでみんなで台湾に行った時も、ふたりはとても楽しそうに過ごしていた。
先日、Hが深夜仕事を終えて2時過ぎに部屋に帰ると、電気も暖房もつけずに、ソファに毛布でグルグル巻きになったKEが寝ていたそうだ。
「どうしたの?」と聞くHに、「電気代高かったから…」とKEはポツリとつぶやいた。
その朝Hは、冬で暖房を結構使って高くなった光熱費の請求書をKEに見せたようなのだった。Hにしてみれば、「あああ、今月の電気代高いなあ…」くらいの気持ちだったのだろうけど、KEのけなげな姿を想像して僕までうるっとしてしまった。
春節を迎えるにあたり、ふたりは台湾の電気釜を持ち出して、お正月の台湾のお料理を作り始めた。その中に、大根餅もあって、「大根餅いいなあ…」と僕がラインを入れると、KEから返信が来た。「ただしさんのために、大根餅を取っておきます」
ふたりの先のことは誰にもわからない。
でも、確かなことは、今のふたりがとても幸福そうだということ。
毎日の小さなことにも愛が溢れていて、そんなふたりのやりとりを見ているだけで、僕まで幸福な気持ちに包まれるのだ。

やさい村大地

15種類以上の野菜

友人たちと、赤坂にある韓国焼肉店『やさい村大地』に行った。
この店恐るべしと思ったのが、『さんぱセット3600円』というものを頼むと、なんと、豚のバラ肉や肩ロースがガッツリと出てきて、おまけに15種類以上の様々な野菜がおかわり自由の食べ放題なのだ。その後、スンドゥブチゲや冷麺などもあるのだけど、このお野菜たっぷり感といったら半端なくて、ちょっと感動してしまった。
サムギョプサルって、いちいち包んで食べるのが僕なんかはちょっと面倒と思ってしまうのだけど、お肉もお店の人が焼いてくれるし、野菜をガンガン食べられるのが気持ちいい。
⭐︎やさい村大地 本店http://tabelog.com/tokyo/A1308/A130801/13041252/

ニューヨーク眺めのいい部屋売ります

ダイアン・キートンが出ているニューヨークの映画と聞いたら、何を差し置いても観に行きたくなるのは、やはり、ウディアレンの名作『アニーホール』を思い出すからだろうか。
舞台はブルックリン。モーガン・フリーマンと長い間連れ添い暮らすアパートは5階にあり、エレベーターがついていないため、毎日歩いて上がり下りをしていた。
老齢期に差し掛かったふたりは、エレベーターのついている、より暮らしやすい場所を求めて、ブルックリンの家を手放すことを決めて、売りに出そうとするが…
映画自体は、ほとんどふたりの会話だけで進められる。派手な事件は起こらないし、どちらかというととても地味な映画だ。
それでも、現在の暮らしを180度変えることを決めた年老いたふたりは、自分たちの今までの何十年と寄り添ってきた暮らしを振り返り、もう一度見つめることになる。
かつて、ふたりが愛に溢れていたであろう様々なシーンが色鮮やかに蘇る。
この映画は、長年連れ添った者のみが抱くことのできる他者を愛し愛される幸福を、想像させてくれる。そして、今そばにある愛を、たいせつにすることを教えてくれる。
ニューヨークがギュッと詰まった愛おしい映画。
⭐︎ニューヨーク眺めのいい部屋売りますhttp://www.nagamenoiiheya.net/sp/index.html

SATOブリアン

ビフカツサンド

ヒレのすき焼き風

ブリ飯

SATOブリアンは、ずっと昔から話題だった阿佐ヶ谷にある焼肉店。肉のうまさは食通の間でも評判だが、予約の取りづらさも話題だった。
今回、弟のようなFが誘ってくれて、Fのご両親とお姉さん、そしてMちゃんと6人で食事をすることができた。
最初に、キムチとビーフシチューが出てきた。前菜にビーフシチュー???と思ったけど、このビーフシチューは思った以上に軽く、肉が程よく柔らかいのでさくさくと食べられる。
その後、肉の饗宴が続くことになるのだけど、切られたお肉がいちいちとても綺麗なのだ。九州の和牛にこだわったお肉は、どれも厳選されていてサシの入り方が芸術的だ。
タン、ハラミ、シンシン、ともさんかく、ビフカツサンド、ヒレのすき焼き風卵がけ、シャトーブリアンのブリ飯(にんにくバター醤油炒め)。。。
お肉が驚くほど柔らかく、口に入れるたびに驚きがある。肉自体の味わいがあるので、調味料はいたってシンプル。品数も多いし、とても食べ応えのあえる厚切りなので最後までいきつけるかと思ったけど、するすると解けるように入っていった。
お店の料理の構成は、焼肉店というよりも、肉割烹に近いかもしれない。一番近いお店を挙げるとすると、京都の『三芳』だろうか。
人生で最高のお肉を味わいたいと思ったら、訪れてみるといいかもしれない。肉好きも、あまり肉が得意でない人も、最後まで飽きずに食べることができるように、一品一品よく考えられて味付けされている。
本当に美味しいものを食べると、寿命が延びる気がするのはなぜだろう。
Fありがとう!
今度は、誰よりも肉好きなうちのKを連れて行ってあげたいな。
⭐️SATOブリアンhttp://tabelog.com/tokyo/A1319/A131905/13127046/

一陽来復。

昨年の冬至の日に穴八幡宮でいただいた『一陽来復』のお札を家に飾るべき日は、12月23日の午前0時、大晦日の午前0時、そして、立春の午前0時の3回だけ。
しかも、その0時丁度に、その年の吉方位に向けてお札をピタリとつけなければご利益がないということから、今年もお札を貼ることが出来るだろうか…と少し心配していた。
お札を貼る最後の前日となった節分の夜、Xと焼肉を食べ、ブリッジでワインをいただき、ガブでアキラさんと話した後、気づくと11時半になってしまった。慌ててタクシーで家に帰り、お札を貼るべき場所を確かめ、両面テープも用意して、方位をもう一度確かめ準備を整えた。
スマホの時報を鳴らしながら、椅子を置いて椅子の上に立ち上がり、両面テープを剥がし、11時59分を回った頃、今か今かと近づいてくるアナウンスを聞きながら、12時丁度を逃してなるものか…と鼻息荒くなっていたその時…
「ピ…ピ…ピ…ピ…11時59分50秒をお知らせします…」
僕「今だ!」
「ピ…ピ…ピ…ピ…12時をお知らせします…」
僕「え?ええ?」
どうやら時報の声に引きづられて、11時59分50秒丁度に合わせて貼ってしまったようなのだ…
時報と言うのは、来るべき時間をほんの少し先に叫ぶのを、すっかり忘れてしまっていたのだった。
神様は、10秒くらい早めに貼られたお札を、赦してくれるだろうか?
それとも、今年はお札の効果はなく、貧困に悩まされる一年となるのだろうか…
そんなことを悶々と考えながら、なんだ眠れない夜だったのだ。あああ。