キャロル

ケイト・ブランシェットとルーニー・マーラが揃ってアカデミー賞にノミネートされている映画、キャロルを観た。
さすが、ゲイの映画監督。なんという、せつない映画だろう。
時代は50年代、女性の地位が今よりもはるかに低く、まして、女性同士の恋愛など変態のように思われていた時代に、チェコ系移民の血を引く若きテレーズと裕福なマダムであるブロンドのキャロルは出会ってしまう。
お互いが激しく惹かれ合いながらも、胸に秘めた熱い感情を表現できぬままでいるふたりを、僕たちは固唾を飲みながら見守り続けた。
どのシーンを切り取っても美しい映画だ。美術も衣装もメイクもどれも素晴らしく完成されている。見ているうちにせつなくて苦しくなって、結末は一体どこに向かうのかとハラハラしてしまった。
この映画は、人間の情熱や欲望、誰かに恋い焦がれる気持ちを我々に見せてくれる。そしてそれは、異性愛であろうが同性愛であろうが、隠したり抑えたりすることなど出来ない、人間が生まれながらに持っている自然な感情なのだと気づかせてくれる。
⭐️キャロルhttp://carol-movie.com/sp/

THE プチレストランないとう

Aセット

カツカレー

お店にいる時も、ほんわりとした不思議な温かさに包まれて、お店を後にして尚、あの時の幸福感を思い出さずにはいられない店は、京都の洋食店『プチレストランないとう』だろう。
店内は、L字型のカウンター席と、お座敷、そして奥に半個室のような部屋がある。大将は、いかにも美味しいお料理を作りそうな体型と顔立ち。お料理を作る姿は真剣だけど、お客さんのことを一番に考え、細やかな気を配っているのがわかる。
大将と一緒にお料理を作っているかわいい女性がいるのだけど、この女性も、とても穏やかでやさしい笑顔とともにお料理を運んでくれる。主にサービスをする女性店員ふたりも、とてもやさしく、このお店を愛しているのが伝わってくる。
僕がヒレカツカレーのセットと、KがAセットという洋食のフライのセットにヒレカツを頼んだら、大将が気を効かせて、「ふたりでカツを召し上がるんなら、分けられるようにカレーの方はロースにしましょうか?」と聞いてくれて、ロースにしてもらう。カツカレーはロースに限る。ローズの脂身と柔らかさがカレーに絶妙に合うから。カレー自体は、タマネギがしっかりと入った後を引く美味しさだ。
サラダから、前菜があり、メインのお料理があり、ご飯と豚汁、そしてデザートに飲み物がついて2500円くらいというランチのお値段は、京都にしてはもしかしたらちょっと高いのかもしれない。それでも、ここで2500円を払って、あれだけの言葉にできない幸福感を味わうことが出来るのなら、決して高いとは思わない。
お料理を食べ終わって、Kとふたりでお店を後にしながら、またこのお店に帰ってきたいなあとつくづく思える、幸福な料理屋さんだった。
★THEプチレストランないとうhttp://petitrestaurant-naito.com/top.htm

河久

手羽先

鴨ロース

コロッケ

二日目の夜は、もう20年近く通っている木屋町の『河久』へ。
前にもここにあげた『河久』は、京都の割烹料理でありながら、洋食を取り入れたお料理を楽しめる。京都で数日過ごしていると、日本料理にも飽きて来て、無性に洋食が食べたくなるのだ。
『河久』はもともと仕出し屋さんなので、お茶屋さんなどに仕出しを届けたり、冷めても美味しいお料理は、お弁当もとても美味しい。
大将はもう77歳。とてもハンサムな人で、大のビール好き。昔は話しながら大笑いして、ビールをガバガバ飲んでいたのだけど、このごろは飲むビールの量もずいぶん少なくなったかもしれない。奥さんもとてもやさしい方だったのだけど、足を悪くされてからはあまり店に出てこないようになってしまった。今は息子さんが後を継いで、かわいい奥さんが昼間はお店に出て切り盛りしている。
ここで必ず食べるものは、『手羽先』。この手羽先で御殿が建ったと言って、大将は店のことを自ら『手羽先御殿』と言って笑っている。塩味のシンプルな手羽先は、当時、手羽先などスープを取る以外に使われなかった食材を、大将がオリンピックの手伝いで海外に行った時に、インド人の調理を見て思いついたそうだ。
胡麻和えも、鴨ロースも、グジの塩焼きも、何を頼んでも美味しい。
この店で、決まったコースではなく、気ままに食べたい物を思いつくままに頼みながら、お酒を飲んで大将や若大将と世間話をしていると、本当に幸福だなあ・・・としみじみ思う。
いつまで大将のビールを飲む姿が見られるかはわからないのだけど、年老いた大将を見ながら、またここで、一緒に楽しい酒を飲みたいなあ・・・と思ったのだった。
★河久http://www.kawahisa.com

祇園 末友

筍と蕗と堀川牛蒡、白子の木の芽ソース

グジの刺身グジの卵まぶし

間人蟹の蟹みそ

Kが学会で京都に行くと言うので、僕も予定を合わせて急遽京都へ。
晩ご飯は、前から気になっていたお店、『祇園 末友』に。
7周年を迎える末友は、ミシュラン一つ星。いくつもの名店が並ぶ八坂通りに面した建仁寺の南門の前にある。大将は、『祇園 丸山』で修行をされたらしい。
このお店を作る時に、井戸を地下40メートル近く掘ったそうだ。蛇口から出る水はすべて井戸水とのこと。店内は、カウンター席と、奥にお座敷が一つある。
先付けは、筍、蕗、堀川牛蒡、白子の木の芽ソース。早い春の香りに満ちている。
八寸は、黒豆、自家製カラスミ、子持ち昆布、からし菜など、正月と春が同居したような品々で、お酒が進む。
お椀は、蕪蒸しに旬のカワハギを肝まで使った熱々。
カマクラのような氷に入ったグジの刺身は、グジの卵にまぶされており、ビンチョウマグロは、山芋の昆布締め、辛味大根といただく。
熱々の粕汁が出た後、いよいよ今日のメインである『間人蟹』へ。
炭火で焼かれた『間人蟹』は、京都の北部で捕れたもの。殻が薄く、身が透き通るようで柔らかい。蟹ミソは、日本酒泥棒な一品。
そこへ、スープか酒を選び、熱々のスープや酒が注がれた一品へ。
最後に猪と芹のしゃぶしゃぶが出され、鮎の稚魚の炊き込み御飯へ。
お料理は、全体的に凝りまくったものではなく、素材を生かしたストレートな料理だ。
僕が今まで行った中で、近い店を敢えてあげるとすると、祇園の阪川だろうか。阪川は、より魚料理で勝負している感じだが…。
一つ残念なことは、きりっとハンサムな大将が、あまり表に出てこないことだろうか。厨房で檄を飛ばしている感じで、時々表に出てきては、お客さんのペースを見計らって中に指示を出す。見送りも、ちょっと表に出てきて挨拶はするものの、あの京都特有の、表に出てお客さんが見えなくなるまで見送るようなことはない。
それでも、この素材を生かした、「美味しい…」と思えるお料理は、わざわざ予約をしてでも食べる価値があると思う。
⭐️祇園 末友
075-496-8799
京都府京都市東山区大和大路四条下ル小松町151-73
http://tabelog.com/kyoto/A2601/A260301/26009394/

バラの季節を迎えるために。

町を歩いていても、そろそろ桜の花芽が気になりはじめた。
家のベランダのバラの芽も、日ごとに大きくなってきた。
バラは落葉期に、ある程度力をかけても枝が折れずにしなりやすくなる。そこで、沢山の花をつけるためにそれぞれの枝を、地面に対して平行や、『つ』の字を描くように下に引っぱり、それぞれの芽から花がより多くつくように誘引するのが望ましい。
これが、葉っぱが出て来てから慌てて自分の思った方向に曲げようと思っても、バラ自体にエネルギーがみなぎっているからか、枝が折れやすく、棘も獣の牙のように腕や指に刺さってくるのだ。
これから来るバラの季節に、いったいどんな風に花を咲かせてくれるだろうかと想像しながら、一つ一つの枝を丁寧に誘引し続けた。
新しい家で迎える、バラの季節を心待ちにしている。

青いカーディガン。

イタリアの海を思わせる真っ青なカーディガンは、高校生の時に買ったもの。
このカーディガンを着て、今も使っているBRADYのバッグを肩からかけて、当時のPOPEYEという雑誌に載ったこともある。いわゆる、『町で見かけたお洒落な男の子』というような・・・。
寒い日と温かい日を繰り返すようにしながらも、ゆっくりと春の気配を感じはじめたこの季節になると、厚手のセーターはもはや着る気がしなくて、薄手の、しかも色鮮やかなセーターを着たくなる。
会社でこのカーディガンを着ていると、声をかけてくる人がいる。
「綺麗な色ですねー」
「高校の時から着てるんですよ」
「え?本当ですか???」
僕は、若い頃には洋服の道に進もうかと思ったほど洋服が好きで、様々な新しいものにもトライしたのだけど、結局年を重ねてくると、本当に好きなものだけを、ずっと長く着ていくことが好きなのだとわかった。
買う時は、ちょっとためらうほど高く感じたものも、30年着た後に、その価値は十分にあったと思えるのだ。

ペンペン草のひろしさん

ふと、ぺんぺん草のひろしさんに会いたくなって、行こうかな…と思ったのだ。
ひろしさんは、12月第1週の劇団ぺんぺんの芝居の後に旅行に出たのだけど、いくらなんでも、もう帰ってきてるだろうと思いながら、不在の間お店に入っているYに念のためLINEを打ってみた。
Y「そうなの。まだ帰ってきていません…」
僕「え? まだなの??? 」
Y「不思議なんだけど、ひろしさんのあのおバカな話とあの声を聞きたくなるわ。」
(以下:写真)
ひろしさんは、毎年恒例のように、芝居が終わるとバリ島などに長い旅行に出かけている。だいたい次の年の脚本を書くと言いながら、ちょっと悪さをしたりしながら、のんびりとリフレッシュしているのだろう。
それにしてもだ、2ヶ月以上、このままいくと3ヶ月も不在になる勢いではないか。
お客さんは様々な憶測をしているようだけど、僕はその後ぺんぺん草を覗いていないので知らなかったのだ。
普段はお客さんに向かって、「ブス!」だの、「死ね!」だの、「地獄に行け!」だの言っているのにも関わらず、こんなにみんなに会いたいと思われているなんて、なんて幸せな人だろうか。
もし何かの間違いで、ひろしさんが死んでしまったら…
僕との約束で、幽霊になって僕にはっきりとわかる形で出て来てくれると言っていたので、出て来たらここでみなさんにお伝えしますねー。

フライパン。

はじめて買ったフライパンは、テフロン加工だった。
そのフライパンは、焦付かないのでオムレツも簡単に作ることが出来た。
でも、使っていくうちにテフロン加工のフライパンは、高温にしてはいけないとか、空焚きしてはいけないとか、時間が経ったら剥げてきて有害だと知り、おまけに、信頼出来るメーカーは実験の結果、人体に影響があるためテフロン加工の調理器を撤廃していることがわかった。
その後、すぐに鉄のフライパンに変えようと思っていたら、随分昔に料理好きな先輩に勧められたフライパンを思い出し、すぐに買ってみた。かれこれ10年前くらいだろうか?
そのフライパンは、独自の技術によりフライパンの厚みを通常の三分の一くらいにすることに成功、炭の粉が全体に入っているため遠赤外線を生み出し熱の伝導率がよく、ムラなく均一に熱を伝えることができるという三重県の会社のものだった。
使ってみてすぐにいいなあと思ったことは、お肉を焼く時にじっくりと火が入り、美味しく焼けたことだった。そして感動したのは、オムレツを作った時に、全然フライパンに焦付かず、綺麗に出来上がったこと。軽いため、手首の微妙な返しも簡単に出来るのもいい。
それ以来、使うたびにこのフライパンを買って良かったなあと感心しているのだけど、それから5年くらいしたら、テレビで評判になったようで、伊勢丹などでも品切れになってしまった。
先日、小さいフライパンが欲しいと思い調べると、なんと24ヶ月待ち!(しかも、アマゾンで出ているものは仲介業者が入り、販売価格よりも6千円くらい高めに売っているのだった)
フライパンは、鉄製に限る。手入れの仕方さえ間違えなければ、錆び付くことはないし、調理をするたびに、鉄分も補給されるのだ。
⭐︎錦見鋳造株式会http://www.nisikimi.co.jp

夜中にお腹が空いた時に。

晩御飯を食べた後に、さて、寝ようか…と思っても、なんだかお腹が空いて眠れないことはないだろうか?たとえば夜中の1時頃、何を食べたらいいだろう…(しかも、疲れていて面倒な料理はしたくない)
お腹が空いた時は、僕は出来るだけたんぱく質をメインに食べるようにしている。なぜなら、人間の身体は、お腹が空いた時に、脂肪からではなく筋肉から減らしはじめるから。
大抵家にありそうなたんぱく質は…
1.卵
2.納豆
3.豆腐
4.シーチキンなどの缶詰
(肉類も冷凍庫にあるのだけど、一手間かかるのと消化が悪そうなので夜中にはあまり食べない。)
僕の場合、ゆで卵を食べることが多いかもしれない。昔は、卵は1日1個と言われていたのに、今はその定説が変わって、1日3個食べてもなにも問題はないと言われている。
前にもここに書いたけど、ゆで卵は、沢山のお湯を沸かして茹でるよりも、蓋のできる鍋で少ない水で茹でる方が簡単で早く出来上がる。ストウブなどの厚手の鍋でもいいし、ステンレスの多重構造の鍋など保温性があればいい。
〈ゆで卵の作り方〉
鍋に深さ1センチくらいの水を入れたら卵を入れて、蓋をして中火をつける。沸騰したら、火を弱めて5分。火を消して4分蓋をしたまま保温(鍋の大きさと卵の量による)。
※そのまま熱々を剥いて食べると、とても美味しい。(不思議なのだけど、殻を剥きやすくするために水に浸けると、ゆで卵の味が一段落ちると思う)
ネットでゆで卵を作るゆで卵器を調べると、大抵このように蒸す構造のものが多いので、何か理由があるのかもしれない。

OUT IN JAPAN 平戸オランダ商館

今日から2月28日までの会期で、OUT IN JAPAN の展覧会が平戸オランダ商館で始まった。
オープニングのレセプションに行きたかったのだけど、名古屋での撮影と仕事も忙しく行くことが出来ずに残念だったが、実際にオープニングに出席したスタッフから写真が届いた。
総勢567人のセクシュアルマイノリティのポートレートを展示している今回の展覧会は、実際に現場で見ると、きっとなんとも言えない感動があるのだと思う。
出来れば会期中に行って、この一年を振り返り、一人一人の写真をじっくりと眺めながら感慨に浸ってみたいものだ。
⭐︎平戸オランダ商館http://hirado-shoukan.jp/modules/blog/?p=456