ふたりで暮らすこと。

今まで、同棲などしたことのない僕は、本当のことを言うと、Kが東京に来てふたりで暮らすことに、不安がある。
それは随分昔に、占い師に言われた言葉を思い出すからかもしれない。
「あなたは何よりも自由が好きな人だから、誰かとふたりで一緒に暮らすのには向いていません…」
僕の人生においてもはや、何かを失うことを恐れる気持ちは、ほとんどない。
でもKはまだ31歳。安定した大きな病院を辞めて東京に来ることは、Kのキャリアにとってはとても大きなリスクを負うことだ。
そして、もし一緒に暮らし始めて、ふたりがうまくいかなかった時に、Kにはもう帰る家はないのだ。
そんなことを時々考えて、僕たち、こんな思い切ったことをして本当に大丈夫だろうか…と思う。
Kのお母さんが言っていた、「東京で、路頭に迷うんじゃないかと思って…」という言葉も時々気になる。
でも本当のところ、ふたりの先のことなんて誰にもわからないのだ。僕たちが今のまま幸福でいられるのか、5年先だってわからないではないか…。
わからないなりに今は、この不思議な流れに流されてみようと思う。
ただひとつ願うことは、この先どんなことがあっても、Kに憎しみを抱かせないようにということ。
今の幸福な気持ちを、いつまでも憶えていられるように、たいせつに暮らしていきたい。
カテゴリーgay

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