デンマークの、地に足のついた暮らし。

歩行者天国は大きなキャンバス

何百メートルも続いている歩行者天国

市場の脇で踊る大人たち

日曜日の午後、ランチを食べた後、バスでNorrebroまで行こうと思いバス停に向かうと、バス停のある大きな道が歩行者天国になっていた。
仕方なく歩いて目的地に向かおうとすると、なんだか歩行者天国の様子がおかしい…
車道にたくさんの家族連れが座り込んでいて、みんなで落書きをしているようなのだ。中には、大人だけの人たちもいるし、大人の男の人一人で凝った絵を描いている人もいる。
その道は驚くことに、何百メートルも近く続いていただろうか…ところどころで笑い声や話し声が聞こえる。
またしばらく歩くと、有名なTorvehallerne市場に辿り着いた。ここは食品と植物などが分かれている市場で、サンドイッチやホットドッグなんかも売っている。
ここでは何やらサルサのような音楽がかかっていて、おじいさんおばあさん、おじさんおばさんたちが踊っているのだ。
それも、くるくると踊りながら相手も変わっていって、みんな楽しそうに笑っている。
日本では、日曜日の午後、どうやって過ごしているだろうか?
家族連れは、どこか大型ショッピングモールか、近くの大きなスーパーかデパートにでも遊びに行くだろうか・・・
デンマークという国が、僕に見せてくれる人々の暮らしは、驚かされることの連続だった。
火曜日の夕暮れの中、ビールやワインを買って、仲間同士でゆっくりとした語らいの時間を過ごしている…
日曜日の午後には、大きな道の上を、楽しそうに家族揃って落書きをしている…
市場の脇では、大人たちが笑いながら外でダンスを楽しんでいる…
そして、この国の驚くことは、ここから先にまだまだ繋がっているのです。
食料の自給率が300%。
風力を中心としたエネルギー自給率150%。余ったエネルギーを輸出している。
学校は無料。
受験勉強はない。
高校の卒業がそのまま大学へのパスポートになる。そのため、自分の学びたいものを掘り下げてゆくことが出来るし、高校を卒業したのち、2年でも四年でも好きに海外に行き、自由な経験を積んだあと、大学に入ることができる。
18歳から、国によりお金が毎月10万円支給される。
夏休みは1ヶ月近くある。
仕事をやめても、しばらく同じだけの給料が保証される。
病院は無料。手術も無料(難病であっても)。
老人施設は無料。
投票率は80%を切ることがない・・・
知れば知るほど、この国の驚くべきことがゴロゴロ出てくるのでした。

ヤコブセンの海。

監視塔

ビーチバレーまでデザインされてる

海のこちら側まで綺麗

クロンボー城からRe線でコペンハーゲンに戻る途中の駅(コペンハーゲン中央駅からは、10分くらい)の高級住宅街があるところに、ヤコブセンがデザインした『Bellevue Beach ベルビュービーチ』がある。
青と白の監視塔は、すっきりと美しく海に向かって映えている。
また、砂浜にあるシャワーさえもすっきりとデザインされている。
ビーチバレーを楽しむ人たちがいたり、日光浴をする人がいたり、海に入ってはしゃぐ人たちがいるのだけど、どこを切り取ってもヤコブセンの目立ちすぎないデザインのおかげで美しいのだ。
ビーチ全体を建築家がデザインするなんて、本当に素敵なことだと思う。
道路を挟んで向かいには、ヤコブセンデザインの『ベルビューシアター』があり、その隣は名前が変更してしまったのだけど、ヤコブセンがデザインしたレストラン『ビストロ・ベルビュー』があり、今でもヤコブセンしたスケッチや足跡を探すことが出来る。
町から電車で10分のところに、これほど綺麗な海や林があるなんて、本当に驚きだ。この海での景色を見ながら、何度か自分に問いかけた。
「もしかして、僕はもう、死んでしまったんではないだろうか・・・?」
そんな風に思うくらい、何もかもが美しかったのだ。
★Bellnue Beach ベルビュー・ビーチhttp://fika10.com/Denmark/trip_dk_14.html

ハムレットの城。

クロンボー城

シェイクスピア

ホルターダンスク♡

澄み切った晴天が続いているので、1日だけ郊外に行きたいと思い、コペンハーゲン中央駅からRe路線で50分くらいにある世界遺産『Kronborg Slot クロンボー城』に行くことにした。
クロンボー城は、スウェーデンとの国境に近く、歴史上何度も何度もスウェーデンとの戦争をくぐり抜けてきたお城。
シェイクスピアのハムレットの舞台になったお城で、入り口の左側にシェイクスピアのレリーフがある。
お城自体はそんなに大きくないのだけど、あのハムレットのおどろおどろしいストーリーを重ねながら観るととても見応えがある。
真っ暗な地下牢にある『デンマークの英雄ホルターダンスク』の像が見応えがある。
なんというか、ホルターダンスクって、Hunkyなのだ…イケる♡
★Kronborg Slot クロンボー城http://www.kronborg.dk

ちゃんと、コペンハーゲン観光。

人魚姫

Nyhavn ニーハン

Rundetarn ラウンド・タワーからの眺め

コペンハーゲンは平坦な町なので、自転車が世界一走りやすい町だと言われている。実際に道には、歩道と車道の間に、わざわざ自転車専用道路かあるし、びっくりするようなおじいさんおばあさんも自転車に乗ってすいすい走っている。
『一度の食事たりとも、決して無駄にしたくない』
そんな気持ちでランチと観光スポットの兼ね合いを探す。
幸いコペンハーゲンは大きすぎず、主要な名所はコペンハーゲン市庁舎からアンデルセンの『人魚姫』の像まで、基軸のように横にほぼ真っ直ぐに並んでいる。そしてその前後に様々なお城や美術館、展望台を備えた塔などがある。
特におすすめなのが、水上バス。ブラックタイヤモンドと呼ばれる『Det Kongelige Bibliotek 王立図書館』のそばから、一番の観光名所であるおもちゃのような町『Nyhavn ニューハン』に立ち寄り、オペラ座を眺めつつ、アンデルセンの『人魚姫』像のそばまで連れて行ってくれる。
人魚姫は、世界三大がっかり名所とも言われているけど、ブリュッセルのしょんべん小僧よりはマシな気がするし、何よりも『人魚姫』の話を思い出しただけで、今でもせつなくなってしまうくらい好きなので、見に行ってよかった。
『人魚姫』のそばには、今回とても楽しみにしていた『Designmuseum Danmark デザインミュージアム』があり、ヤコブセンやハンス・J・ウェグナーなどの作品をゆっくりと見ることが出来る。
『デザインミュージアム』からは、国王が住む『アメリエンボー宮殿』の周りを散策するのもいいし、北に上がって『ローゼンボー離宮』へ立ち寄って王冠などを見てもいい。
最も有名な『Stroget ストロイエ』という観光客で賑わう歩行者天国の周りにある様々なショップを覗きながら歩いたり、『Rundetarn ラウンド・タワー』の上からコペンハーゲンならではの美しい町を眺めてもいいし、『Magasin du Nord マガシン』や『Illums Bolighus イルムス・ボーリフス』などのお洒落デパートをのんびりと見るのもいい。
ストロイエを抜けて『コペンハーゲン市庁舎』まで出たら、ウォルトディズニーが着想を得たという有名な『Tivoli チボリ公園』はすぐ隣。チボリ公園から斜め向かいを見ると、ヤコブセンが建物からインテリア、シルバーに至るまですべてデザインしたホテル『Radisson Blue Royal Hotel』がある。
これでほぼ、一通りコペンハーゲンの主要な場所は見たことになるし、町の構造がわかる。
それにしても、「なんでもっと早くコペンハーゲンに来なかったんだろう…」と思ってしまうくらい、美しい町並みに驚いている。
また、イタリアやフランスやスペインの町にいるような、スリやひったくりに気を許してはいけない、ピリピリとした油断ならない感じもないので、つきあいはじめてから初のヨーロッパ旅行なんかや新婚旅行にもいいかもしれない。

夕暮れの時間。

7時半を過ぎる頃、辺りを散策に出かけると、川辺にはたくさんの人たちが押しかけていた。
ワインボトルを持って飲むカップル。ビールを片手にしゃべっている若者たち。ただ座って夕陽を見ているおじいさんとおばあさん…。
北欧の真夏の太陽を一瞬でも惜しむかのように、誰もが外へ繰り出し、1日のうちで最も美しい夕暮れの時間を思う存分楽しみ、慈しんでいるように見える。
「ああ、デンマークに来たんだ…」と、その時思った。
ふと住居のようなアパートメントを見上げると、同じようにバルコニーに出て、夕陽の中、のんびりと時間を過ごす人が見える。
はじめて来たデンマークで、自分の中で忘れていたヨーロッパを思い出した。
昔何度も行ったイタリアのプーリア州にある古い町では、夕方になると人々が広場に繰り出していた。若者たちは若者同士で、おじいちゃんはおじいちゃんの仲間たちと、おばあさんはお嫁さんと、お母さんと子どもと…。
はじめ、何か催し物があるのかもしれないと思っていたら、そんなことは何もなくて、彼らは毎日毎日、夕暮れの時間その広場に集まり、ただ行ったり来たり散歩(パッセジャータという)をしていたのだ。
日本だったらみんな、残業しているか、電車に揺られているか、家でテレビかネットでも見ているのかもしれない…。
「豊かさとは、なんだろう…」
ヨーロッパの人たちは僕たちに、シンプルな質問を投げかけてくるようです。

船のホテルへ。

夕方、コペンハーゲンに到着して、指定されたホテルへタクシーで向かう。タクシーを降りると、目の前には川に浮かんだ船があった。
「もしかして、ここ?」
レセプションのドアを開けようとすると、開かない。ご用の方は、ここに電話するようにとの書き置きこみがある…。
そういえば、ホテルからメールを貰っていた。到着が遅い場合は、箱を開けてカードを取り出すようにと秘密のナンバーが(でもまだ夕方なのに…)。
無事にカードを取り出し、一枚の注意書きとともに7の部屋へ。
ワンルームの部屋からは、川面が見えて、カヌーを漕ぐ人たちが目の前をゆっくり通り過ぎてゆく。
シャワーを浴びてまた部屋へ戻ると、ボートの上でワインを飲みながら過ごす人たちが見える。
僕は素っ裸なのだけど、あっちからも見えるのだろうか…?
今夜は川を見ながら、裸で眠ろう。
ようこそ、船のホテルへ。
★HOTEL CPH LIVINGhttp://www.cphliving.com

新しい旅へ。

先週末の沖縄で、車に乗っている時に、後部座席でXがメールを見て言った。
X「ただしちゃん。デンマーク、調整ついたみたい。行ける?」
僕「デンマーク?え?その話、まだ生きてたの???」
思えば、1ヶ月以上前だろうか…Xが、「デンマークにいけるかもしれないけど、いく?」と聞いてきた。仕事中だった僕は「いいよ」と適当に 返事をしていたのだけど、どうやらその話が水面下で動いていたようなのだ。
僕「それで、いつなんだっけ?」
X「それが・・・1週間後なの・・・」
僕「へ?1週間後?デンマーク???」
そして、急に決まったデンマーク行きで、デンマーク大使館を訪れることに。
僕「ねえ、X…デンマークの王様に、僕を妃にしたいとか言われたらどうしよう…」
X「大丈夫、ただしちゃん。心配いらないわ…デンマークの王様は、今は女性なの…」
そんなこんなで、世界一幸福な国とも言われるデンマークのコペンハーゲンに急に行くことになったのだけど、僕たちがこの先生きていく上で、より豊かな社会、幸福な社会になるためのヒントが、デンマークにはあるのだろうか。
ワクワク

斎場御嶽→首里城。

斎場御嶽。鍾乳洞から聖水が落ちる。

首里城

沖縄本島は、『沖縄美ら海水族館』などがある北部と、中部、そして南部に大きくは分かれている。
今回は行けなかったのだけど、『ひめゆりの塔』など、戦争の傷跡の多くは南部に今も残っている。
南部観光の目玉でもある『斎場御嶽』と『首里城』(ともに世界遺産)に行った。
『斎場御嶽(セーファウタキ)』は、琉球王国最高の聖地。琉球王国が興味深いのは、神事を司る者はすべて女性に限られていたということ。日本では、神事は男性のみということが多いので、まったく反対だと言える。
鬱蒼と生い茂る山の中にある御嶽は、驚くほど蒸し暑く、汗が滝のように流れた。
『首里城』は、沖縄本島を見渡せる小高い山の上にあり、城の中を見学することが出来る。
城の装飾、衣装、王冠、どれもエキゾチックで、日本とは明らかに違う、華やかな琉球王朝を想像することが出来る。
王族の末裔は、今頃どんな風に暮らしているのだろうか?

古宇利島と美ら海水族館。

那覇のゲイバーで飲んでいる時に、沖縄の人がポツリと言った。
A「東京に行っていた時、友達に連れられて湘南に遊びに行ったんですよ。
こんなこと言ってはいけないと思うんですが…あの海の色を見たら、正直、泳ぐのはもちろん、足をつけられなかったんです…」
B「あ、俺も、神奈川よりも千葉の海がきれいだからと言って、九十九里に行ったんですけど、これできれいって…
我々からしたら、驚いてしまって…」
そんな話を聞きながら、そんなものなのか…と思っていた。ホテルのある那覇市から車でおよそ1時間半、古宇利島を目指して車を走らせ、海が見えて来た頃には、彼らの言っていた意味がわかり始めたのだ。
「何これ?日本じゃないみたい!」
エメラルドグリーンの水が見え隠れして、やがて一本の美しい橋が見えて、その向こうに古宇利島が見えて来て、我々は車の中から絶叫していた。
「おおお!すげー海が青い!タイなんか行く必要ないじゃん!」
2年前に出来たという古宇利大橋を渡り、オーシャンタワーへ。およそ日本とは思えない美しい眺めを見たあとは、近くのビーチへ。
砂浜は白く、波は穏やかで、水温は暖かい。ビーチパラソルを借りて、時々海にぽっかり浮かんだりしながら、オリオンビールを飲み、『The 夏』を堪能した。
海でひとしきり遊んだ後は、アジア一、世界一とも言われる『沖縄美ら海水族館』へ。
海の上から、ゆっくりと館内を周りながら下へ降りてゆく設計といい、珊瑚の部屋、サメの部屋…などと、沖縄の海をテーマごとにわかりやすく展示している構成といい、この水族館を作った人たちの考えを知り、圧倒された。
「まるで、海の中に魚たちと一緒にいるみたい…」
沖縄本島に行くことがあれば、絶対に行くべき素晴らしい水族館だった。
★沖縄美ら海水族館http://oki-churaumi.jp

POWELL’S BOOKS

左側1ブロックすべてパウエルズ

ポートランドの川にかかる橋を集めたデザイン

オオカミと本。インディペンデント…

いまや、ポートランドの象徴ともなっている本屋さんが、『POWELL’S』だ。100人を越える従業人がいて、100万冊を越える蔵書があるというこの本屋さんは、新刊と新古本と古本が一緒になって並べられている。中にはカフェもあって、会計前の本を持ち込んで長居しているお客さんがいる。
店内は、赤やブルーや紫などに色分けされていて(英語で人文科学とか書いてあるよりわかりやすい)、所々にインフォメーションがある。僕が本を探していた時に、店員さんに聞くと、「あ、それなら、赤い所のA200番にあるわ」と即答された。そして、どっちに行こうか一瞬見回していたら、その店員さんが売り場まで案内してくれた。「ここは、本当に巨大だからね・・・」
紙の本屋さんが、今後時代の流れの中でどのように変わってゆくのか、はたまた消えていってしまうのか、僕にはわからない。けれども、今のこの時代において、ポートランダーたちは一人で、または友達や家族なんかと集まり、長い時間をこの本屋さんの中で過ごしているなんてとても素敵なことだと思う。
およそ、漫画しか読まないとぼけたKのために、『POWELL’S』のTシャツをお土産に買って来た。
LINEで写真を送ると、「橋のがかわいい」と言ってきたので、橋のTシャツをお土産にしようと思っていたら、その後、「オオカミのもかわいい」などと言い出して、どうしようかと考えあぐねている・・・。
それはそうと、こんなTシャツでさえ、『ポートランドにある世界一のインディペンデント系の本屋さん』って感じが出ていると思いませんか。