夕暮れの時間。

7時半を過ぎる頃、辺りを散策に出かけると、川辺にはたくさんの人たちが押しかけていた。
ワインボトルを持って飲むカップル。ビールを片手にしゃべっている若者たち。ただ座って夕陽を見ているおじいさんとおばあさん…。
北欧の真夏の太陽を一瞬でも惜しむかのように、誰もが外へ繰り出し、1日のうちで最も美しい夕暮れの時間を思う存分楽しみ、慈しんでいるように見える。
「ああ、デンマークに来たんだ…」と、その時思った。
ふと住居のようなアパートメントを見上げると、同じようにバルコニーに出て、夕陽の中、のんびりと時間を過ごす人が見える。
はじめて来たデンマークで、自分の中で忘れていたヨーロッパを思い出した。
昔何度も行ったイタリアのプーリア州にある古い町では、夕方になると人々が広場に繰り出していた。若者たちは若者同士で、おじいちゃんはおじいちゃんの仲間たちと、おばあさんはお嫁さんと、お母さんと子どもと…。
はじめ、何か催し物があるのかもしれないと思っていたら、そんなことは何もなくて、彼らは毎日毎日、夕暮れの時間その広場に集まり、ただ行ったり来たり散歩(パッセジャータという)をしていたのだ。
日本だったらみんな、残業しているか、電車に揺られているか、家でテレビかネットでも見ているのかもしれない…。
「豊かさとは、なんだろう…」
ヨーロッパの人たちは僕たちに、シンプルな質問を投げかけてくるようです。
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