うれしかったこと。

久しぶりに新宿2丁目の、僕のホームバーである『Bridge』に飲みに出た。
エレベーターを降りると、帰ろうとしていたGが女性の僕もよく知っている友人と来ていたので引き留め、そのままバルコニーで白ワインを飲んでおしゃべりを楽しんだのだけど、実はこの日、とてもうれしかったことがあった。
『同性婚訴訟を応援する会』にお仕事なのか、いらっしゃっていたお客さんがいたので、そのお客さんに帰り際に挨拶に行くと、
「応援しています!がんばってください!
あのー、少額ですが、クラウドファンディングの募金もしました。
がんばってください!」
僕はこの訴訟がはじまってから、周りの僕を知っている人たちは大体知ってはいるのだろうけど、面と向かって「応援しています!」などと、励ましのお言葉をかけていただいたのは、今日の彼を入れてもたぶん3人くらいなのだ。
新宿2丁目に来るゲイの人たちは、反対意見や、そもそも同性婚になんか自分は関係ないし興味もないという人がほとんどなのだと思う。(実のところ、この僕でさえ、自分には全く関係ないと思っていたからだ)
でもこうして、今はどういうわけか国を相手に裁判を起こし、原告となって矢面に立ってみると、改めてこんな一言の励ましがとてもありがたく、うれく思えた。
この場を借りて、ありがとうございます!

信州から帰ってきて思うこと。

美しい水と明るい光に満ちた信州から新幹線に乗り、埼玉や東京のマンション群が見えて来ると、
「なんでこんな汚いところに人が集まって、汚い空気を毎日吸って、暮らしているのだろう?」
と素朴な疑問が頭に浮かぶ。これは、石垣島から帰ってきた時も同じように思うことだ。
僕は、東京生まれ東京育ち。ずっと東京で暮らしているのが当たり前に思っていたけど、50歳になった今、自らこの空気の汚い灰色の都市に、いつまでもこだわり住み続けている理由は見つからない。
「仕事がないから」「お金がないから」「今の給料がもらえないから」「老後が心配だから」…
色々と東京で暮らしている理由を自分で考えても、どれも納得のいくものには思えない。
白馬の町に移住者が多いのも、2泊しただけだが、行ってみるとわかる気がする。
白馬には、神の棲む山々が連なり、いつも自然が身近に感じられる。
美しい水が町中に流れ、それが身体に入り毎日身体の隅々まで満たしてくれる。
町の至る所に花々が植えられていて、住んでいる人々のやさしい気持ちが感じられる。
ここから先の僕たちの毎日を、真剣に考えなくてはいけない時が来たのだ。
Kは、田舎にいると、それだけでただただ幸せなようだ。笑

上條

天恵そば

まずは水そば

天ぷら

『蕎麦ふじおか』、『せきざわ』、『丸富』…
長野県の食べログ上の蕎麦のランキングの高いお店は、目星をつけて行ったことがある。
上田には二度訪れたことがあるのだけど、あまり美味しい蕎麦屋さんはなかったので、長野で入るもイマイチで、今回の旅の間で食べた中では、小川村の宿で食べた蕎麦好きが打った蕎麦が一番。
そして、その次に美味しかったのが、ここ安曇野にある『上條』だった。
お店は住宅地にあるイタリアンレストランといった面構えで、すでにお客さんが大挙して押しかけていた。
それでもお蕎麦を食べる時間はそれほどかからないので30分もしないうちに名前が呼ばれる。
オススメの『天恵そば』は、冷たい蕎麦の上にいくつもの具が載ったお蕎麦。そばつゆは甘すぎず、蕎麦自体にコシがありとても美味しい。
お蕎麦は、蕎麦粉とお水だと思う。お水が美味しい信州の蕎麦は、自ずと美味しいのだ。
美味しい蕎麦をすすっている時は、至福の時だ。
東京育ちの僕にとって、蕎麦はとても身近な食べ物だったけど、大分育ちのKは、ご両親もご家族も蕎麦をそれほど食べずに育ったようだ。
それでも僕と一緒になって蕎麦を食べ歩くうちに、Kも蕎麦をとても美味しいと感じるようになったようだ。
美味しい蕎麦を手繰りながら、今度はいつ、信州に来れるだろうかと、もう次の旅行を夢見ていた。
⭐️上條
0263-82-4411
長野県安曇野市穂高5256-1
https://tabelog.com/nagano/A2005/A200501/20001060/

マックイーン:モードの反逆児

新宿2丁目のBridgeのMから、ずーーーっと勧められていた映画『マックイーン:モードの反逆児』を、長野旅行から帰ってやっと見に行くことができた。
アレキサンダー・マックイーンは、言わずと知れたファッションデザイナー。2010年にファッション業界の頂点にいながら自殺をしてしまった。
去る2011年にはニューヨークのメトロポリタン美術館で回顧展があり、僕もMもニューヨークを訪れた際にメトロポリタンの素晴らしい展示を観ていたのだった。
これはドキュメンタリー映画で、マックイーンが、ロンドンのイーストエンド(労働者階級が多く暮らす町)で生まれ育ち、両親、お姉さんや従兄弟などが出てきて彼の幼少期を語っている。
やがて服飾の学校へ運良く進学し、それからは自分でぐいぐい道を切り開いていく様は、マックイーンが怖いもの知らずで自分の信じるものに向かって突き進む若者だったことがうかがえる。
彼がモード界でトップに上り詰めるまでの周りの友人たちやスタッフとのやりとりや苦労を見ていると、まるでマックイーンが自分の知っている友人のように思えてくる。
名声を勝ち得た後に、それを維持し続けていかねばならなかった尋常でないプレッシャーや、彼のうちに潜む、誰も心の底から信用していなかったような孤独感は、見ている我々の胸に寂しさとともに迫ってくる。
ただの天才ファッションデザイナーのバイオグラフィーではなく、ひとりの孤独なゲイの生きざまとしても、身につまされる珠玉のドキュメンタリー作品だった
M、ありがとう!
⭐️マックイーン:モードの反逆児http://mcqueen-movie.jp/

長野からのお土産。

葉わさびの醤油漬けとこごみの胡麻和え

信州に旅行に出かけると、帰りの日には決まって山菜や野菜をたくさん買い込むことになる。
わさびの葉、わらび、タラの芽、こごみ、アスパラ、ほうれん草、菜花・冬菜…
食べ方のわからない野菜は、お店の人に聞くととても親切に調理の仕方を教えてくれる。(ネギの頭は、天ぷらか油で炒めるといいらしい)
帰ってきた夜に、わらびは灰汁抜きをして、最後の連休の日、買ってきた山菜や野菜の下処理をした。
わらびは夜のうちに灰を入れた熱湯に浸しアク抜きさえすれば、翌日からお浸しなど何にでも使える。
わさびの葉や花は、実はとても重宝な常備菜になる。軽く茹でて醤油と酒とみりんを煮立てた汁に漬けて味を含ませる。
こごみは、アクがほとんどないので、普通の野菜のように茹でてそのままドレッシングでもいいし、今日は胡麻和えにした。
お土産らしきものはほとんど買わない僕たちは、こんな山菜や野菜を買ってくるだけでとても幸せな気分になる。
長野県はもう長いこと、男女ともに長寿県として知られているのだけど、昭和40年代の一時期には塩分の摂りすぎで脳卒中が多かったようだけど、その後減塩を県全体で目標にし、一気に長寿県に変わっていった。
高地にある村が多く、太陽が燦々と降り注ぎ、野菜や山菜を沢山食べ、味噌を日本一食べることがその長寿の原因だろうかと言われている。
山々から自然と湧き出てくる美しい水に恵まれた長野県は、これからもご長寿県を更新していくのだろうな。

山の魔王が棲む、白馬。

トンネルを抜けるとアルプスが見えた

HAKUBA MOUNTAIN HARBORからの眺め

大出の吊橋からの眺め

白馬はスキーで有名で、外国人を含めて移住者が増えていると聞く。そんな白馬の魅力を知りたいと思っていた。
僕は、スキー自体はほとんどやったことがないのだけど山が好きで、白馬からは3000メートル級の山々が臨めるというのでそれを一度見ておきたいとも思ったのだ。
日本一美しいと言われている小川村から白馬へ向かうトンネルを抜けると、突然目の前に日本アルプスの連なりがそびえ立った。
その山々は、まるで山の魔王が住んでいるような荘厳な美しさで、その景色は、その後数日白馬で過ごした景色の中でも、一番心に残っている。
白馬で2泊過ごして忘れられないことは、村のどこからでも高いアルプスの山々がいつでも見守ってくれているという感覚だ。
それは、いつでも我々に自然への畏敬の念を感じさせてくれるし、人間は自然の中で生かされているという当たり前の感覚を思い出させてくれた。
白馬滞在中に何度も見上げたアルプスの山々を、僕はこの先も忘れることはないと思う。
願わくば近いうちに、あの美しい山々の見える村に帰って来たいと思っている。
はじめて訪れた白馬に、僕は恋をしたようだ。
⭐️美しい山々を目の前で眺めることができる。HAKUBA MOUNTAIN HARBORhttps://iwatake-mountain-resort.com/hmh

飛べ!ただし!飛べ!(ラン・ローラ・ラン)

ここから坂を走って飛び立つ

飛んでいるK

僕は実は、小さな頃から極度の高所恐怖症で、ジェットコースターも乗れないし、ビルから下を見るのも苦手だし、時々高いところから落ちそうになる夢を見て汗だくで目覚めたり、おそらく前世では高いところから落ちて死んだのだと本気で思っているくらいなのだ。
そんな僕が、兼ねてから挑戦したいと思っていたことが、パラグライダー。
山に行った時なんかに空を見上げてパラグライダーを見ると、いつか自分もあんな風に空を飛んでみたいとずっと思っていた。
でも、実際に極度の高所恐怖症の自分が本当にパラグライダーに乗れるかというと、自分でも無理ではないかと思っていた。もしもパラグライダーに僕が乗ったら…
◎小便を漏らしてズボンがずぶ濡れになる。
◎失神する。
◎恐怖のあまり心臓と肺が停止する。
今回、意を決して『白馬』でパラグライダーに乗る予約を入れて、時間よりも早めにスクールに着き用紙を記入し、靴の紐を縛り、スマホは落ちないように紐付きの入れ物に入れて首にかけた。
ゴンドラで雪の残る山上1600メートルのところにたどり着く。
パイロットの男性から説明を受けて、ハーネスを装着してパイロットの人と左右で繋ぐ。
「僕たち、これだけで繋がってるんですか?これで大丈夫ですかね?空の上で…」
僕は頭の中で、起こり得そうな最悪のシナリオを次々とかき消し、準備を整えて、後はふたりで後ろからの風が止むのを待つ。
後ろから風が吹いていると、どんなに走ってもパラグライダーが膨らまないようで出発出来ないらしい。この時期、後ろの雪山からの冷たい風が吹いていて、それが止んでくれる瞬間を狙って飛び立つことに。
Kは僕の後に続くので、まずは僕から。待つこと30分、奇跡的に風が治まり、パイロットが叫んだ。
「走ってください!」
僕は、先程練習したように、力強く雪の中を足を繰り出す。
「もっと早く!」
「え?これくらい?」
「もっと!もっと走って!」
「あ!あああああー!」
一度空に浮かんだ後、足がつくけど僕は叫びながら走り続けた。(お母さん、今日僕は空から落ちて死ぬかもしれません…)
すると、後ろの帆が綺麗に開いてパラグライダーは大空に舞い上がった。
恐ろしさのあまり、僕は下を見ることはできず、遠い山並みをずっと見ながら、両手は両脇の紐を決して離すまいと力一杯握りしめた。(パイロットと僕を繋いでいる両側の紐が取れたとしても、この手だけは絶対に離すまい!)
当然スマホで撮影など出来るわけもなく、縮こまる心臓をなんとか緩めようと呼吸を深くすることだけを心がけ、声に出して「ありがとう」を唱え続けた。
空に舞い上がり、自由に空に浮かびながら、風の音を聞き続けた。
パラグライダーは時々風向きによって揺れて、心臓が置き去りになりそうだったけど、心の中で「無事に地上に帰れますように」と祈り続けた。
約15分間の飛行を終えて、奇跡のように大地に足をつけた時に、安堵とともに、今まで絶対に無理だと思っていたことに挑戦し、自分はそれを克服したのだと思えたのだ。(幸い、小便も漏らしてなかった)
50歳になって、ダイビングのライセンスも取得したし、絶対に無理だと思っていたパラグライダーも出来た。
さて、次は何に挑戦しようかな?
⭐️八方尾根スカイブルーパラグライダースクールhttp://hakubapara.com/

恐るべし、戸隠神社。

なぜか捻れている杉

渋滞で進まない

奥社

戸隠神社は、天岩戸が開けられた時に岩戸が飛んできて戸隠山になったという戸隠にあり、建立されて2000年余り、奥社・中社・宝光社などの5社からなる神社。
ガイドブックを見ると、滞在時間は3時間と書かれており、「なんで3時間も神社に?」と思っていたのだけど、行ってみたらその理由がわかったのだ。
まず、蕎麦で有名な戸隠まで行くのに、山道をくねくねと抜けていく。目指す奥社の駐車場はすでに満車で、中社も満車、しようがなくスキー場の駐車場に止めて、巡回バスで奥社へ。
バスの案内では入り口から奥社まで40分と聞いていたのだけど、これが混雑のため1時間半かかってしまった。
道の険しさというよりも人の多さで、奥社に入るまでの坂道を、ずっと並んで少しずつ進むのを待っていなければならず、奥社でお参りして入り口まで戻って来ただけでも2時間半くらいかかったのだった。
それでもこの神社が清々しい空気に満ちていたように感じるのは、杉の大木が捻れながら空に向かって伸びていて、道の傍には水芭蕉が咲いていて山からの湧き水が流れているから。
戸隠神社の周りには、『うずら家』など有名な蕎麦屋さんがいくつか点在しているが、あまりにも混むため、着いたら先に名前を書いて、それから参拝した方がいいかもしれない。
この神社と似たような神社は思いつかないけど、強いて言えば、熊野神社の古道を歩くような、厳かな雰囲気に満ちている。
⭐️戸隠神社https://www.togakushi-jinja.jp/index.php

流れ星。

美しい小川村

日本アルプスに落ちてゆく夕陽

桜が満開

流れ星を見たことはあるだろうか?
東京生まれ東京育ちの僕は、星や宇宙に興味があり夜空を見上げることはあっても、東京の夜空は明るく星もほとんど見えることはなく、50歳の今まで、自分の目で流れ星というものを見たことはなかった。
そのせいか、流れ星とは、映画や本の中のものであって、自分が見るリアルなものだとは、どこか思っていなかったのだ。
『日本の美しい村100選』に選ばれ、その中でも最も美しい村と言われている長野県の小川村には、天体望遠鏡がある丘があって、夜に天体観測が行われている。
その丘の上からは、遠く日本アルプスの3000メートル近い山々を臨むことが出来る。
丘の上で見る夕陽は、ワインを片手に恋人とのんびりと眺めていたいような景色で、できれば誰にも教えずに秘密にしておきたいような場所なのだ。
その丘で、今日は星空を見上げながら、流れ星を2つ見ることが出来た。流れ星は1秒足らずで消えてしまうため、3回願い事を唱えるなんて無理だった。
スピカ、こぐま座、獅子座、北極星、3つの銀河などを望遠鏡を覗き込んで説明を聞いたのだけど、頭上に広がる肉眼で見る星空はまるで人口のプラネタリウムのようでまさに満天の星だった。
50歳になっても、はじめて経験することが人生にはある。
たとえ死ぬ間際になったとしても、人生においてほとんどのことを知らずにいるのだろうと思うと、改めて、生きているうちに体験するすべてに貪欲になろうと思えたのだ。

一生に一度は、善光寺詣り。

参道の両側にお店がたくさん

Rogerで買った雑貨

連休の後半に信州に旅行に行くことを決めたのは、旅行の1週間前くらい。新幹線の指定席はギリギリおさえたけど、希望の宿はなかなか取れず、あってもあまりにも高いので他にした。(GWだからとやたら値段をあげる宿泊施設ってなんなんですかね?)
GWの突然の旅行で困るのは、毎回レンタカーがないこと。計画的には長野でレンタカーを借りて白馬に行く予定だったが、松本か長野のレンタカー屋さんを毎日ネットで覗くも、空車は現れず、結局長野の手前の上田で一台空きが出て取ることができた。
大宮から上田まではなんと1時間。そこから車で長野へ入り、まずは『善光寺』へ。
善光寺は1400年以上前に建てられたお寺であり、日本最古と伝わる一光三尊阿弥陀如来を本尊とし、江戸時代末には、「一生に一度は善光寺詣り」という言葉が伝えられているように、善光寺にお詣りすれば、一生無病息災でいられると信じられていたお寺。日本全国から今も観光客が押し寄せている。
僕にとってもはじめての善光寺。GWの中日だからか駐車場がどこもいっぱいで、探して探してやっとのことで、善光寺から少し下がった場所で見つけられた。
広く長い参道は善光寺に向かって真っ直ぐに伸びていて、参道の両脇には古くからの土産物屋が連なり、お寺自体も堂々とした佇まいだった。
お詣りが終わって善光寺から下がって右にちょっと入ったところに『Roger』というとってもすてきな雑貨屋さんがあって、世界から集められたかわいい雑貨を見ながらお土産をいくつか買うことが出来た。
参道沿いにある「THE FUJIYA GOHONJIN」は、伊藤博文や福沢諭吉が贔屓にしていた宿「御本陳藤屋」が現代ににリューアルした建物で、美味しいお菓子も売っている。長い歴史と現代の空気感が融合された気持ちのいい空間だった。
これで一生、無病息災でいられるだろうか。
⭐️Rogerhttp://www.zakka-roger.biz/html/company.html
⭐️THE FUJIYA GOHONJINhttps://www.fujiyaheigoro.com/