飛べ!ただし!飛べ!(ラン・ローラ・ラン)

ここから坂を走って飛び立つ

飛んでいるK

僕は実は、小さな頃から極度の高所恐怖症で、ジェットコースターも乗れないし、ビルから下を見るのも苦手だし、時々高いところから落ちそうになる夢を見て汗だくで目覚めたり、おそらく前世では高いところから落ちて死んだのだと本気で思っているくらいなのだ。
そんな僕が、兼ねてから挑戦したいと思っていたことが、パラグライダー。
山に行った時なんかに空を見上げてパラグライダーを見ると、いつか自分もあんな風に空を飛んでみたいとずっと思っていた。
でも、実際に極度の高所恐怖症の自分が本当にパラグライダーに乗れるかというと、自分でも無理ではないかと思っていた。もしもパラグライダーに僕が乗ったら…
◎小便を漏らしてズボンがずぶ濡れになる。
◎失神する。
◎恐怖のあまり心臓と肺が停止する。
今回、意を決して『白馬』でパラグライダーに乗る予約を入れて、時間よりも早めにスクールに着き用紙を記入し、靴の紐を縛り、スマホは落ちないように紐付きの入れ物に入れて首にかけた。
ゴンドラで雪の残る山上1600メートルのところにたどり着く。
パイロットの男性から説明を受けて、ハーネスを装着してパイロットの人と左右で繋ぐ。
「僕たち、これだけで繋がってるんですか?これで大丈夫ですかね?空の上で…」
僕は頭の中で、起こり得そうな最悪のシナリオを次々とかき消し、準備を整えて、後はふたりで後ろからの風が止むのを待つ。
後ろから風が吹いていると、どんなに走ってもパラグライダーが膨らまないようで出発出来ないらしい。この時期、後ろの雪山からの冷たい風が吹いていて、それが止んでくれる瞬間を狙って飛び立つことに。
Kは僕の後に続くので、まずは僕から。待つこと30分、奇跡的に風が治まり、パイロットが叫んだ。
「走ってください!」
僕は、先程練習したように、力強く雪の中を足を繰り出す。
「もっと早く!」
「え?これくらい?」
「もっと!もっと走って!」
「あ!あああああー!」
一度空に浮かんだ後、足がつくけど僕は叫びながら走り続けた。(お母さん、今日僕は空から落ちて死ぬかもしれません…)
すると、後ろの帆が綺麗に開いてパラグライダーは大空に舞い上がった。
恐ろしさのあまり、僕は下を見ることはできず、遠い山並みをずっと見ながら、両手は両脇の紐を決して離すまいと力一杯握りしめた。(パイロットと僕を繋いでいる両側の紐が取れたとしても、この手だけは絶対に離すまい!)
当然スマホで撮影など出来るわけもなく、縮こまる心臓をなんとか緩めようと呼吸を深くすることだけを心がけ、声に出して「ありがとう」を唱え続けた。
空に舞い上がり、自由に空に浮かびながら、風の音を聞き続けた。
パラグライダーは時々風向きによって揺れて、心臓が置き去りになりそうだったけど、心の中で「無事に地上に帰れますように」と祈り続けた。
約15分間の飛行を終えて、奇跡のように大地に足をつけた時に、安堵とともに、今まで絶対に無理だと思っていたことに挑戦し、自分はそれを克服したのだと思えたのだ。(幸い、小便も漏らしてなかった)
50歳になって、ダイビングのライセンスも取得したし、絶対に無理だと思っていたパラグライダーも出来た。
さて、次は何に挑戦しようかな?
⭐️八方尾根スカイブルーパラグライダースクールhttp://hakubapara.com/
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