つかの間の、ひとりぼっち。

Kが東京に来てから、早くも2年10ヶ月が経とうとしている。
11月いっぱいで今まで務めたクリニックを辞めて、1月から新しい病院に勤めることになっているKは、ひと月の休業があり、久しぶりに大分に2週間近く帰省することにした。
本来ならば、羽田空港まで送っていくのだけど、平日ということもあり浜松町まで一緒に行くことにした。
しばらく家を空けるために、Kは家中を一生懸命掃除してくれていた。ご飯もなるべく自分で作るようにして、朝は僕にゆっくり起きるように言って頑張ってくれていた。
せっかくだから、目一杯ひとりの自由を満喫しよう!とも思ってみるのだけど、浜松町で手を振って見送ったその時から、ほんの2週間離れるだけで、こんなにも淋しい思いをするものかと思う。
「来週末までひとりでいったい何をして過ごせばいいのだろう…」
誰かとつきあうとは、こんなこと。僕の身体の一部を、Kは大分に持って行ってしまったようだ。

鶏の素揚げ hoshino

刺身盛り合わせ

鳥もも肉の半身揚げ

人気のもつ鍋

寒いので、Kともつ鍋でも食べようか?と、新宿三丁目の『hoshino』に電話を入れた。
この店は、『鶏の素揚げ』がメインのようだけど、姉妹店が新宿御苑前にあり魚居酒屋をやっている関係で刺身なんかも置いてある。
店の名物の鳥もも肉の半身揚げは、皮がカリッとしていて美味しい。
もつ鍋は、少し甘めでコチュジャンが効いている。東京の他の店と比べると、もつや野菜の量が入っていると思う。
寒い日は、家で鍋もいいけど、外出先で鍋もいいものだと改めて思った。
⭐️鶏の素揚げ hoshino
050-5868-2542
東京都新宿区新宿3-28-1 新宿コルネ坂詰ビル 4F
https://tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13095860/

劇団ぺんぺん さよなら公演『花吹雪狸御殿満月鏡山旧錦絵』

『劇団ぺんぺん』の芝居を観るのも、今年が最後。せっかくだからしっかりと堪能しておきたいと、金曜日と日曜日の千秋楽を観に行った。
『花吹雪狸御殿満月鏡山旧錦絵』は、今までにも劇団ぺんぺんの芝居で何度か上演されている演目。
意地悪なお局の岩藤と、お金持ちの娘である尾上、そして武家の出で賢い女中のお初の3人による古典的な和物のシナリオは、時を経ても色褪せない魅力に溢れている。
それにしても、公演を30年間続けたということは、確かに奇跡のような劇団だと思う。
なぜならば彼らはプロではないから。新宿二丁目のゲイバー『ぺんぺん草』の素人のお客さんたちが集まって、他に仕事を持ちながら毎週練習を重ねて一年に一度年末に芝居を披露していたのだ。
芝居に出演しない僕たちにとっても年末のとっておきの楽しみの1つだったし、毎年ぺんぺんの芝居を観ないと年を越せないような気持ちでいたのだ。
劇団ぺんぺんに関わったみなさまへ。
30年間、ここでは書ききれないほどの楽しい出来事が沢山ありました。本当にありがとうございました!

暁に祈れ

イギリス人の青年が、タイでやさぐれてボクサーになり、クスリで捕まり、タイの刑務所へ入れられ、孤軍奮闘する話。
何が凄いって、「これ、一体どうやって撮影したの?」とびっくりしてしまう刑務所内部の撮影。3000人以上の本物の囚人が撮影に協力しているというのだ。
汚職・レイプ・殺人が蔓延する『チェンマイ中央刑務所』『クロンブレム中央刑務所』に実際に服役し、やがてムエタイという光を見出し、見事に出所したイギリス人青年の実話を元に作られた映画なのだ。
映画を見ながら、「これが僕の人生で起こっていることではなくてよかった…」と思わずにはいられなかった。この地球上に、あれほどの地獄のような場所があるのかと思うと、驚きを隠せない。
巧妙な脚本と素晴らしい撮影で、圧倒的に強い作品に仕上がっている。
どうやったらこんな作品が作れるのだろう…と思ってしまう、まさに傑作。
⭐️暁に祈れhttp://www.transformer.co.jp/m/APBD/

Mr.TOKYO

久しぶりに会った友人と、劇団ぺんぺんの芝居を観た後に、新宿二丁目に飲みに行った。
今年50歳になった友人Sは、「ただしちゃん、Mr.TOKYOって店行きたいんだけど…」と言うので、Mr.TOKYOへ。
僕「Sがお店に入ろうとしても開けてもらえないだろうね…50歳とか、ドアが開かないよ。きっと」
S「そうだよね…なんだかドキドキする…」
恐る恐る久しぶりに中に入ると、案の定若い子がたっくさんいてなんだかキラキラしてる。
このお店が若い子に受けて流行っているのは、チャージを入れても金曜日は一杯1000円というリーズナブルな価格で飲めるからだろう。
思い切り若い子に焦点を絞った戦略は功を奏しているようで、20代を中心に10代後半から30代が集まっており、そんな若い子目当てに来るおじさんもいるけど、それも大抵40くらいまでで、我々のような50歳とかは見当たらない…汗
少しするとSもいたたまれなくなったようで、「ただしちゃん、もうわかった…出ようか?」と言って店をあとにした。
S「ああいう店はなんだか落ち着かないね…」
そう言って、我らが『Bridge』に駆け込んでホッとしたのだけど、若い子好きの僕は、もっとMr.TOKYOに居たかったと思っていたのだった。
⭐️Mr. TOKYOhttps://mobile.twitter.com/mrtokyo0309

ビーフン東

五目焼ビーフン

バーツァン(チマキ)

新橋や汐留に働いている食べることが好きな人ならば、新橋駅前のビルに入っている『ビーフン東』のことは絶対知っているだろう。
ランチでは焼きビーフンと汁ビーフンがメインのお店で、昼食時には近辺のサラリーマンが列をなして並んでいる。
何故だかわからないのだけど、ここのビーフンとバーツァン(チマキ)を時々無性に食べたくなるのだ。
12時から13時はなるべく外して久しぶりに『ビーフン東』に行き、五目の普通盛り焼きビーフンとチマキをいただいた。
焼きビーフンは、テーブルに載っているニンニク醤油をかけて食べるのだけど、これがなんともクセになる味だし、チマキはかなり大きめなので普通は二人で食べるくらいがちょうどいいのだけど、このチマキもとても美味しくて僕は一人でひとつ食べてしまう。
食べ終わる頃に「美味しかったな。また来たいな」と思う不思議な店。
⭐️ビーフン東
03-3571-6078
東京都港区新橋2-20-15 新橋駅前ビル1号館 2F
https://tabelog.com/tokyo/A1301/A130103/13002609/

10:1:1。

Kの作った煮浸し

和食の基本は、
8:1:1
出汁8 : 醤油1 : みりん(酒)1
煮物でもなんでも味付けに迷った時は、基本の8:1:1で味をつけて、味見をした後に調味料を足し引きすればよい。(甘い味が苦手な僕は、みりんを控えめにして酒で作ることが多い)
料理をしていると、この素材ならば濃いめの味付けの6:1:1でいいだろうとか、薄めにして12:1:1でもいいかもとか、蕎麦つゆなら4:1:1でいいなとわかってくるものだ。
そんな比率の中で、僕が一番多用するものが、
10:1:1
出汁10 : 薄口醤油1 : 酒1
の割合。
煮浸しなどの醤油の味よりも出汁の味でいただきたいと思うものは、この10:1:1で出汁に浸す。
冷やしたお浸しなどもスッキリと出汁の味を感じられる。
というような話を、Kに煮浸しを作らせながらしていたのだ。Kの作ってくれた壬生菜の煮浸しは、やっぱりとても美味しかった。

紅葉。

新宿御苑

鳩森神社

若い時にはそれほど気にも留めなかったのに、年を取ってから心に響くように好きになるものがある。
そのひとつが、『紅葉』。
桜の季節に心踊ったりせつなくなるのは若い頃から変わらないけど、秋が深まるにつれて色を変えてゆく紅葉や散ってゆく真っ黄色のイチョウの葉っぱのことが、これほど好きになるとは思わなかった。
それは、単純に自分と秋を重ねておセンチになっているようなことではなく、もっと大きな季節の移り変わりを感じていたり、自然の摂理を感じるからだと思う。
そして言葉にならない圧倒的な美しさ。
緑から黄色、オレンジ、鮮やかな赤まで、季節の進み具合に合わせて織り成される錦繍。
これほどの芸術作品が、ほんの2週間もしないうちに散りはじめ、気がつくと跡形もなくなってしまう。
神さまか宇宙のマジックとしか思えない。

Kが作る朝ごはん。

Kが仕事を11月で退職して、次の仕事が1月から始まるため、12月の間はのんびりするというので、この機会に料理を覚えてもらおうと、食事担当を任命した。
月曜日の朝ごはんは、根菜うどん。
前の日からいりこで出汁を仕込んでおいたものに、大根・人参・ごぼう・長ネギ・油揚げ・豚肉などを入れて煮込み、薄口醤油と塩で味を調える。
いりこを煮出して「何分?」、野菜をひとつひとつ切りながら、「順番は?」など僕に聞きながら、僕はそばでなるべく手を出さないように見守りながら出来上がった。
冷奴にちりめん山椒をかけて副菜にして、他には作り置きの昆布としいたけの煮物、メインは豚肉と根菜のうどん。
冬の始まりに、ふたりで「美味しいね。根菜が甘いね」などと言いながら、作ってもらった朝ごはんをいただくのは幸福な時間だった。
これからもずっと毎朝作って欲しい。
まるで子どもにご飯作りを教えている母親の気分。

ゴッズ・オウン・カントリー

東京では全4回だけの限定上映のためか、座席は満席、女性客が6割くらいだろうか。
この映画に関しては、ここでは何も触れることはしないでおこうと思う。
数々のゲイを扱った映画がある中でも、この映画が一番好きな映画だと言う人がきっとこの先出て来るだろうと思う素晴らしい作品だった。
それにしてもゲイである僕たちは、なんというせつない生き物なのだろう…
これは、悲しいということではなくて、ある種このせつなさを体験として味わうために、この世に生まれて来たのではないかとさえ最近思っている僕の今の考えなのだけど。
でもそれ故に、こんなに美しい映画が作られるのだ。
映像が美しく、多くを説明しない。これこそ正に映画らしい映画。お見逃しなく!
⭐️GOD’S OWN COUNTRY
ゴッズ・オウン・カントリーhttps://www.google.co.jp/amp/s/news.nifty.com/amp/entame/movie/12222-171089/
https://www.google.co.jp/amp/s/s.cinemacafe.net/article/2018/11/30/59263.amp.html
『ゴッズ・オウン・カントリー』 劇場公開 概要 ※全5回の限定上映
◎シネマート新宿(4回)
12/2(日)15:35~、12/7(金)18:50~、12/17(月)夜、12/19(水)夜※12/17と、12/19の上映時刻は調整中、トークイベントの開催予定あり
◎シネマート心斎橋(1回)
12/9(日)午後 ※上映時刻は調整中
☆上映時刻やトークイベントの詳細などは、確定次第、公式Twitter< https://twitter.com/filmott >でお知らせ