いろとりどりの親子

2018年も世界各国の様々な映画を見ることができたのだけれども、この12月になって、いい意味で鈍器で頭を殴られるような衝撃を受けるほどの作品に出会った。
『いろとりどりの親子』は、作家アンドリュー・ソロモンが10年をかけて300以上の親子を取材したのちに書いたベストセラー『FAR FROM THE TREE』が原作になっている。この言葉は、『the apple doesn’t fall far from the tree.』(りんごは木から遠いところへは落ちない)ということわざから来ており、映画のタイトルは、『子どもは親に似るもの』という意味の反語ということだろう。
この題名が暗示するようにこの映画の主題は、『親と、親とはまったく違った形や性質で生まれて来た子ども』もしくは、『親と親の予期しなかった子ども』という親子の関係の話だ。
原作にある家族からではなく、新たに6家族を選び直し密着取材した中から紡ぎ出されるストーリーは、先が読めない。それぞれの家族が抱えている問題は全く別々なのだけど、6家族を見ているうちに、私たちはそこに脈々と流れ続けているある共通の大きなものを感じ取ることができる。それは、この特殊に感じる親子だけにあるものではなく、この世界において存在する普遍的なものかもしれない。
それにしても、この原作者アンドリュー・ソロモンの鋼のような勇気と叡智はなんだろう。
今年観た映画の中で、最も強く美しい作品。
⭐️いろとりどりの親子http://longride.jp/irotoridori/