家で、焼肉。

焼肉プレートをガスコンロに乗せる。

忙しくて時間のない時、疲れていて料理をするのが面倒な時、僕の家では時々、焼肉にする。
家で七輪などで焼肉を焼くのは、準備が面倒なのと、ベランダであっても煙が出るのでなかなかすることはない。
でも、先日ここに書いたイワタニの『たこ焼き器』と同じくイワタニの『焼肉プレート』でテーブルコンロで焼けば、ほとんど煙が出ることもなく食卓で楽しく焼肉が食べられる。
このイワタニの『焼肉プレート』の良い点は、たこ焼き器と同じなのだけど電気でない点。
ガスで焼かれる焼肉は、やはり電気で焼くよりも美味しい。たこ焼きもしかり。
怠惰な僕は、帰りがけにスーパーで肉と野菜を買い、家に帰ってガスコンロを出しておくだけ。
Kが帰ってきたら、おもむろに腰を上げ、肉を皿に盛り付け、野菜を切って皿に並べ、冷蔵庫から焼肉のタレを出す。(ほんとにそれくらいしかやることはない!)
『焼肉』となると、自分がやらねば…と張り切るKにやらせておけば、Kが帰って15分もしないうちに肉が焼かれている。
先日Kが家に帰ってきて言うのだ。
「ただしくん、今日は手抜きだね…」
と…生意気に。

顔を見ればわかる。

朝起きて、Kが僕の顔を覗き込んだ。
K「ただしくん、顔色が悪いよ・・・」
僕「昨日眠れなくて、朝方やっと眠りに落ちたんだよね・・・」
K「じゃあ、パン買ってくる!」
Kはそう言って、家の下のコンビニにパンを買いに行った。
1年のうちに何度かこんな日があるのだ。何があったわけでもないけど、朝起きた時に身体が重く、頭がぼんやりとして具合が悪いような日が。猛暑から急に涼しくなって体調を崩したのか、隔週のように海に遊びに行っていたので身体が疲れたのかもしれない。
Kはお皿を取り出して、率先して食事の支度をしてくれる。いつもなら僕が朝ごはんを全て準備するのだけど、僕の体調を気にしてくれているのだろう。
お昼休みにKからLINEが入る。
K「疲れた?
今日はただしくんが心配だから、ジムにも行かないで帰るね」
晩ご飯をふたりで食べたあと、Kは楽しそうにテレビを見ている。
何気ない毎日の中で、自分を見守っていてくれる家族がいるということは、なんて幸福なことだろうか。

秋のソナタ

ベルイマンの作品を、今回7作品観た中で、一番好きだった作品が、『夏の遊び』と、イングリッド・バーグマンの遺作となった作品『秋のソナタ』だ。
1978年に公開された『秋のソナタ』は一番近い存在であるはずの母親と娘の話で、セリフで物語が語られてゆく演劇のような作品。
娘役のリヴ・ウルマンが抑えめの演技で話が進んでゆく中、バーグマンは自分のプライベートにも似た境遇の役柄のせいなのか、まるでその冷徹な母親そのもののように迫真の演技で燃え上がってゆく。この映画におけるイングリッド・バーグマンとリヴ・ウルマンの言い合いは、映画史に残るとも言われているようだ。
この映画を観ながら、ウディ・アレンがベルイマンの影響を色濃く受けているという話を思い出して、ウディ・アレンの映画の中で最も好きな『インテリア』を調べたら、この『秋のソナタ』と公開が同じ1978年で驚いた。というのも、この2つの作品は、どちらも冷徹な母親が主役だったから。
それにしてもベルイマン、映像だけで想像させる作品を沢山作りながら、こんなセリフの掛け合いで進んでゆく演劇的な作品も作っていたのか・・・恐るべし。
もしもベルイマンの映画を観てみようと思ったら、僕が観たベルイマンの中ではとてもわかりやすく、作品としても本当に素晴らしいので、この『秋のソナタ』をおすすめする。
⭐️秋のソナタhttp://www.magichour.co.jp/bergman/sonata/

オーシャンズ8

豪華なメットガラが映し出される。

サンドラブロックに、ケイト・ブランシェット、アン・ハサウェイ、ヘレナ ボナム=カーター、リアーナ・・・錚々たる顔ぶれが集まったオーシャンズ8を楽しみに観に行ったら、ゲラゲラ笑えてとても楽しい時間を過ごすことができた。
世界最大の美術館のひとつであるメトロポリタン美術館で行われるメットガラ。VOGUEの編集長でもあるアナ・ウィンターまで出る凝りように、物語の顛末よりも、美術館の中や周りの出演者、豪華な衣装に目が行ってしまった。
強盗ものの映画としては、ツッコミどころ満載なのだけど、エンタテインメントとして観ているだけで楽しく、たまにはこういう映画もいいものだなあと感じられた。
超高級店Bergdorf Goodmanで白昼のもと、万引きをする最初のシーンからして圧巻。友だちとも、デートにもおすすめ!
⭐️オーシャンズ8http://wwws.warnerbros.co.jp/oceans8/

いちじく。

熟した果実を家に飾っておく

家のベランダには、小さないちじくの木がふたつある。
いちじくは、本来ならばとても大きく育つ木なのだけど、僕の家では鉢植えにして、あまり大きくなりすぎないように時々剪定をしながら育てている。
いちじくの木の魅力は、その美しい葉っぱにあって、時々日を浴びた切れ込みの入った美しい葉っぱを見るだけで、豊かな時間の流れを感じられる。
小さないちじくの木には、毎年気づいた時に実がなって(というのも、いちじくはわかりやすい花は咲かないので、本当にふと気づいたら実がなっている感じなのだ。)今年も何度か熟しては、鳥に食べられたりしながらこの夏を過ごしてきた。
先日Kとふたり、「せっかくだからうちのいちじくを食べてみよう」と言って、小さないちじくの実を取って、包丁で割って食べてみた。
家で取れたいちじくは、小さいながらちゃんと味がして、当たり前なのだけど「ほんとうにいちじくの味がするね!」などと言ってふたりで食べたのだった。
家に果樹があるのは、とても楽しいものだ。小さな実が木になって、時間をかけて熟していく様をふたりで話しているのも楽しい時間になるから。
落ちた果実を家に飾っておくのもいい。
自然にできた果実は、昔から何度も何度も繰り返し人々が絵に描いてきた美しさをたたえている。

カメラを止めるな!

「とにかく、何も予備知識なしで観に行った方がいいから」
新宿2丁目『Bridge』のMに言われて、ずっと前から話題になり続けていた映画『カメラを止めるな!」を観に行った。東京のたった2館から始まった上映映画館は、口コミにより今や150館を超える大ヒットというのだから、一体何があったのだろう・・・?と思わずにいられない。
平日の夜のTOHOシネマズ新宿は満席で、観終わった後に拍手が起こるほどの熱狂ぶりだった。
この映画を僕は敢えて誰かに映画として観ることをすすめたいとは思わなかったのだけど、唯一ひとり、新宿2丁目の『ぺんぺん草』のマスターには、見て欲しいと思ってすすめたのだ。
「映画を作るのって、楽しそう!」
そんな風に思える映画づくりの可能性を感じる作品だった。
⭐️カメラを止めるな!http://kametome.net/index.html

イングマール・ベルイマン

夏の遊び(素晴らしい名作だった)

ベルイマンの映画は、大学の映画論という授業の時に観て以来、すっかり忘れていたところに、映画狂の友人BridgeのMが、ベルイマンの映画特集を恵比寿でやっていてすごくいいから観に行った方がいいよと教えてくれていた。
恵比寿が昔から好きでないためなんとなく行けずに過ごしていたのだけど、ベルイマンの特集が好評により延期されたというので集中して観てきた。
「夏の遊び」
「野いちご」
「鏡の中にある如く」
「沈黙」
「仮面/ペルソナ」
「叫びとささやき」
改めて6作品を観て思ったことは、ベルイマンというのは恐ろしい天才だったのだなということ。
ひとつひとつの作品を作る時に、毎回誰も今までにやったことがないような実験をしている。そして、どの作品でも、一言では言えないような、人生の深淵を描こうとしている。
僕が観た6作品は特に、人生において絶望の中にいる人が主人公となって出てきている。
そしてその絶望の暗闇の中から、まるで奇跡の一かけらを探し出すかの如く、美しい真実をつかもうとするのだ。
観終わった後にも、人生の折に触れて思い出すことになりそうな映画たち。この機会にあと3作品くらい観ておきたいと考えている。
⭐️ベルイマン生誕100年映画祭http://www.zaziefilms.com/bergman100/index.html

手をつなぐこと。

夜中に寝ている時に、隣で寝ているKがふと手をつないでくることがある。
僕は最初、気を遣ってしまうので、手をつないで眠ることに抵抗があったのだけど、この頃は慣れてきたようで、Kのやりたいように任せておいて、Kが眠ってしまったあとで自分が心地いいようにしている。
先日、高知や福岡、天草の海でシュノーケリングをしている時に、隣で泳ぐKが、僕の手をつなごうとして何度も握ってくることに気づいた。
それは、綺麗な魚の群れを見つけた時とか、一緒にある岩場までめがけて泳いでいる最中とか、急に波が激しくなってきた時とか、知らないうちに流されてしまい、思いがけずすごく深い海底が見えなくなってしまったような時。
Kはまるで、この広い海の中から、僕の手をなんとか探し出したかのように手をつないでくる。
今までずっとひとりで生きてきて、寂しかったかのように。
たったひとつ、この宇宙において、確かなものを見つけたかのように。

熊本・天草の麺。

熊本ラーメン

天草ちゃんぽん

太平燕

人生と同じく旅の楽しみの半分、いやほとんどは食べること。その地方ならではの食べ物はいくら東京に住んでいても味わえないものが多い。
熊本には、馬肉以外にも辛子蓮根など変わった食べ物があり(辛子蓮根って、シュールな食べ物だと思いませんか?)、麺類に限っていうと、『熊本ラーメン』『天草ちゃんぽん』『太平燕(タイピーエン)』が有名。
熊本ラーメンは、博多の豚骨ラーメンとも久留米のラーメンとも違っている。
にんにくを揚げた油や揚げニンニクが入っていて豚骨特有の臭みが抑えられているため食べやすく、福岡のラーメンと比べて麺が少し太く、スープ全体のコクがある。熊本に来るといつも『天外天』でいただくのだけど、いつもと変わらず美味しかった。
⭐️天外天 本店
096-354-8458
熊本県熊本市中央区安政町2-15
https://tabelog.com/kumamoto/A4301/A430101/43000399/
『天草ちゃんぽん』は、天草自体が長崎と近かったからだろうか、長崎で味わうちゃんぽんの、少しあっさりしたようなちゃんぽんが食べられる。
『明月』という店が有名だったけど、とてもストイックな店でマスコミの取材を受け付けないことでも有名だったのに、先日マツコの番組に出ていたのでガッカリした。噂によると、その後閉店したようだ。
今回は、『みよし』という天草ちゃんぽんで有名な店でいただいたが、なかなか具がなくならないと思うほど、沢山の具材が入っていて美味しかった。
⭐️みよし食堂 亀川店
0969-22-6139
熊本県天草市亀場町亀川1603-1
https://tabelog.com/kumamoto/A4305/A430501/43001195/
『太平燕(たいぴーえん)』は、ちゃんぽんのスープに春雨が入っていて、魚介類の具と一緒に揚げた卵が乗っている。今回は時間がなく空港のお店で食べたけど、とても美味しかった。
また行きたいな。天草。

茂串海水浴場。

天草市の町のセンターからクルマでおよそ1時間下って行ったところに、『茂串海水浴場』がある。
一車線の道を降りて行き、500円の有料駐車場でクルマを止めて、そこから海に向かって左側に岩場を海に浸かりながら歩いて行くと、真っ青な海と白い砂浜が広がっている。
ここは、5月や6月には海亀が産卵に訪れることでも知られている綺麗な砂浜で、九州の中でも抜群の透明度を誇る海水だと言われている。
ところどころ青く輝く海は、まるで海外の海のように澄んでいて、潜ると魚があちこちにいる。波も穏やかで、遠浅のため、子どもたちも楽しそうに海水浴をしている。家族連れよりも若者に人気のようで、テントを持って来てバーベキューをしている人たちで賑わっていた。
真っ青な海にぽっかりと浮かびながら、「ああ、夏休みって感じ・・・」と、青い空を眺めたのだった。
⭐️茂串海水浴場https://www.t-island.jp/p/spot/detail/14