手をつなぐこと。

夜中に寝ている時に、隣で寝ているKがふと手をつないでくることがある。
僕は最初、気を遣ってしまうので、手をつないで眠ることに抵抗があったのだけど、この頃は慣れてきたようで、Kのやりたいように任せておいて、Kが眠ってしまったあとで自分が心地いいようにしている。
先日、高知や福岡、天草の海でシュノーケリングをしている時に、隣で泳ぐKが、僕の手をつなごうとして何度も握ってくることに気づいた。
それは、綺麗な魚の群れを見つけた時とか、一緒にある岩場までめがけて泳いでいる最中とか、急に波が激しくなってきた時とか、知らないうちに流されてしまい、思いがけずすごく深い海底が見えなくなってしまったような時。
Kはまるで、この広い海の中から、僕の手をなんとか探し出したかのように手をつないでくる。
今までずっとひとりで生きてきて、寂しかったかのように。
たったひとつ、この宇宙において、確かなものを見つけたかのように。

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