濱田屋

夕方の便で撮影のため福岡へ。
空港について、その足で先日見つけた『骨筋けんこう整骨院』に駆け込んだ。このところの忙しさで背中がバキバキに凝っていたので、肩甲骨周りと腰をほぐしてもらう。
今回は格闘家のお兄ちゃんではなかったものの、前回やっていただいた精悍な青年が、僕がまた来たことでとても喜んでくれた。
ひとりの夕飯は、先週末の出張で気になっていた水炊きの店『濱田屋』へ。
『濱田屋』は、水炊きの有名店『水月』の料理長だった人がはじめたというお店。
小さなカウンターがありひとりでも水炊きを食べることができる。
博多の水炊きの典型的な白濁したスープではなくて、半透明だけどしっかりと鶏の出汁を感じられるスープ。
博多の水炊きは、しっかりと鶏を高温で煮込んで出汁を取るため、お肉がパサパサの店が多いのだけど、『濱田屋』は、お肉がしっとりと柔らかく驚いた。
コースにすると、鶏肉のスモークから唐揚げ、ハムなどがついても3500円という驚きのコスパは、こりゃあKを引き連れて再訪必至だと思ったのでした。
⭐︎濱田屋 店屋町店
050-5570-6520
福岡県福岡市博多区店屋町3-33
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400101/40033524/

Kのお母さんの干し椎茸。

Kが無事に帰って来た。
ご両親は久しぶりの末っ子の帰郷がうれしかったのか、チキン南蛮、とり天、魚の南蛮漬けなど、連日Kの好きな料理が並んだようだ。
お母さんは僕のことを特に何も尋ねることはしないようだけど、Kに、「ご飯はどうしてるの?」と聞いたらしい。
「ただしくんが作る」
そう答えると、「じゃあ、あなたは後片付けをするのね」
と聞いて、変に納得していたらしい。
はじめにKが大分の仕事を辞めて東京で暮らすとご両親に話した時に、お母さんは、「年上の東京人に騙されて、しまいにはひもじい思いでもするんじゃないかしら…」と心配をされていたらしい。
帰って来たKが持つ紙袋の中には、大きな干し椎茸がでっかい袋ふたつ分も入っていた。
この干し椎茸を全部使うには、毎日毎日干し椎茸の煮物を食べるような相当のお料理を作らなければなるまい…。まるで嫁姑ですね。汗
僕はKに、「お母さんに、干し椎茸のお礼を言っておいて」と伝えた。
そのうちいつか、お母さんにも会う時が来るのだろう…それもきっとそう遠くないに違いない。

小さな頃の、Kの写真。

僕の福岡出張と、Kの大分への帰郷が重なり、今日Kが東京に帰ってくる。
Kが大分の病院の仕事を辞めて東京に引っ越して来てから、早くも1年半以上たったことになる。
その間Kは、東京で働き始める前に今年の1月に大分に一度帰ったきりだったので、久しぶりの帰郷になった。
ご両親にしてみれば、三人兄弟の末っ子のKは、ゲイだということがわかった今も、出来れば近くに置いておきたい存在だと思う。
昨夜、実家に帰ったKから、Kの小さな頃の写真が何枚も送られて来た。
それは、3歳くらいのお姉さんと海で遊んでいる写真や。6歳くらいだろうか、芋掘りに行った写真、小学校の学芸会のような写真、少し大きくなって友達と遊びに行った集合写真。
一重の目を見ると、今でもその頃の面影が残っているようだ。
Kの子どもの頃の写真を眺めていると、なんとも言えず温かい気持ちになる。
こんなに小さくて、かわいかったKを、ご両親は健康に、また事故などに遭わないように守りながら、一生懸命育てたのだ。
そして今も、誰よりもKの幸福を願っているに違いない。
2日間会えなかっただけなのに、僕はなんだか淋しくて、今、羽田空港に迎えに来たところ。
1時間も前に着いてしまって、そんな子どもの頃のKの写真を、飽きることなく眺めている。

元祖ぴかいち

福岡の博多口近くに、『元祖ぴかいち』という皿うどんやちゃんぽんの有名な店があって、ずっと行きたいと思っていたので、東京に帰る前にランチを。
お店に入ると、大将の「いらっしゃい!」という元気な声が迎えてくれる。
入るやいなや、「カウンターの奥に」などと強制的に座席を指定される。
皿うどんの大盛りとワンタンを頼む。
カウンターの中では、大将が元気よく中華鍋を揺すっている。髪の毛はないけど肌はツヤツヤしていて、自分の仕事に自信と誇りを持っている感じが伝わる。毎朝スッポンでも飲んでいそうな笑顔は、正に『元祖ぴかいち』。
運ばれてきた『皿うどん』は、およそ普通に想像する皿うどんではなく、麺はちゃんぽんの麺のように太く、言うなれば福岡の屋台で食べることのできる『焼きラーメン』が近い感じだろうか。
一口食べて、「うまい」と思った。
次から次へ客が入ってくるけど、みんな一様に皿うどんかちゃんぽんを頼んでいる。
大盛りは多すぎて、途中で自分がギャル曽根にでも食べさせたいと思ったほどの量だったけど、なんとか完食。
ワンタンもこの店独特で、辛めのラー油がかかっていてとても美味しかった。
考えてみると、つくづく福岡って美味しいものの種類がたくさんあって、毎回旅行に来ても食べ尽くせないと思うのだ。
住みたいな。福岡。
⭐︎元祖ぴかいち
092-441-3611
福岡県福岡市博多区博多駅前3-9-5 チサンマンション 1F
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400101/40000492/

骨筋けんこう整骨院

福岡の夜は遅いので飲みに出るには少し時間があったので散歩していたら、目の前にマッサージの旗を見つけてしばらく立ち止まってメニューを眺めた。
するとドアが開いて精悍なお兄さんが出てきて看板を片付けはじめた。
9時に閉店と書いてあったので立ち去ろうとすると、中から今度は格闘家のようなめちゃくちゃ可愛いお兄さんが声をかけてきたのだ。
「どうぞー、今からまだ出来ますよー!」
そのお兄ちゃんを見た瞬間に、ここに入ることを決めていた。(なぜか格闘家のような顔に弱いのだ…)
マッサージ20分と、眼精疲労に効くというコースをつけて、僕を施術してくれたのは目がキラキラした青年。
マッサージを受けながら話を聞くと、鍼灸も出来るし、柔道整復師の資格もある人がやっているお店とのこと。身体の骨格や筋肉の動きをきちんとわかっているからか、的確な場所をキチンと押さえてくれる。
「背中はバリバリに凝ってますねー。でも、広背筋がとても綺麗についてますね…」
力がしっかりと入ってあまりにも気持ちよいので、翌日も時間ができた時に迷わず駆け込んだ。するとなんと、格闘家のお兄ちゃんに骨盤矯正をやってもらうことに!
お兄ちゃんは鏡で僕の身体の状態を見せながら説明してくれる。
本当は、ゲイビデオのエロマッサージを妄想したいところだったけどそれは叶わぬ夢で終わり、実際には仰向けになったり、横になったりしながら、くっついた背骨や曲がった骨盤、身体の硬くなったところを矯正しほどいてくれた。
「東京にあったら、毎週通いたいくらいです」
帰りにお兄ちゃんに言うと、格闘家は眩しそうな笑顔で笑って、「ありがとうございます!」と言ったのだった。
⭐︎骨筋けんこう整骨院 博多住吉通り店https://m.facebook.com/kotukinkenkou/

福岡へ。

博多港

午前中バタバタと打ち合わせをこなし、病院にも行き、そのまま撮影のため福岡に飛んだ。
福岡は雨が降っていて、濡れながらロケハンをして、クライアントとスタッフと食事をした後、疲れていたけど『七男鳥』に飲みに行った。
『七男鳥』は木曜日のせいか、空いていたけど、ほどなくして7月の壱岐旅行の時に知り合ったY君が入って来た。
Y「こんにちは!お元気でしたか?
今回は相方さんは?」
僕「Kはちょうど大分に帰ってるんだ。僕の出張とKの帰郷が、不思議と一緒に重なったの」
その後も知っている人に出会い、皆同じことを聞いてきた。「あれ?相方さんは?」
大分に住むKと東京で暮らす僕は、三年以上遠距離を続けていたのだけど、福岡はちょうど二人にとって行きやすい場所だったので、一番多く過ごした町であり、もはや第二の故郷になりつつあるようだ。
人は気さくで温かく、人懐こい博多弁もなんとも心地いい。
焼酎を飲みながら、知り合いと話をしていると、忙しかった毎日の緊張が、少しずつ解けていった。

こころを開いて話せること。

ずっと近くの席にいたのに、一昨年から大阪勤務になってしまった後輩の女の子Yからメールが来た。Yは入社6年目くらいだろうか。6月に赤ちゃんを産み、実家に帰って育休をしている。
〈以下メール〉
◯◯さま
おはようございます!
◯◯さんは、元気にされているかなぁ。
と思っていたところでした。
おかげさまで、息子も元気に2ヶ月になり
体重が生まれた時の2倍になりました。
慣れない育児に必死で、
お腹が大きかった日々が、
思い出せなくなってしまいました。
(中略)
顔に力が入って、なんか
岡本太郎みたいな息子です。
〈以上〉
メールとともに2ヶ月過ぎた赤ちゃんの写真が添付されていたのだけど、そんな写真を周りの席の後輩や先輩に見せると、「こんなに大きくなったんだね〜」「まだまだこれから大変だろうね…お母さん手伝ってくれてるんだろうな…」など、思い思いの感想がもれた。
しばらくすると、入社12年目くらいの女の後輩Nが僕を呼び、「◯◯さん、ちょっとお話があるんです…」と言うのだ。Nに呼ばれて会議室に入ると、
N「あのー、私、11月から産休に入るんです。」
僕「おめでとう!よかったねー!!!」
N「◯◯さんだから言うんですけど…私、検査したら赤ちゃんができづらい体質なのがわかって、一時期とても大変だったんです…
すごく悩んで、毎日のように病院に行ったり、すごい頑張ったんです。なんとかならないかと思って…旦那にも病院に行ってもらったんだけど、旦那は大丈夫で…やっぱり私が原因で…」
僕「そうだったんだ…つらかっただろうね…」
N「でも、その甲斐あってこうして妊娠出来て、どうなるかまだわからないけど産休に入ることに決めたので、◯◯さんにはじめに言いたいと思って…」
他の男性の先輩たちからすると、なんで女子が僕に個人的な話をしたり、メールを送って来たりするのかよくわからないらしく、不思議に感じられるようだ。
こんな風に女の子の後輩から、心を開いて話をされることがたまにあるのは、おそらく僕がゲイであることを社内でオープンにしているからだろう。
ゲイであることをオープンにしていることは時に、この人なら話してもいいかもしれない、相談してもいいかもしれないと、個人的な話をしやすく感じるのかもしれない。
そして、そんな役回りであることも、僕は気に入っている。

家族がいるということ。

早めに帰って来たのでバターチキンカレーを作り、Kの帰りを待って食事をしたあと、寝ようと思ってベッドに入ると、何を思ったのかKが突然言うのだ。
K「ただしくん、もしかしたら熱があるんじゃない?」
僕「え?ほんと?」
Kはすかさず僕の額を触って、「熱いから熱あるよ」そう言って、体温計と葛根湯とお水を持ってきてくれた。
僕は、夏休み前なのに仕事がどんどん入って忙しくなって来てしまってどうしようか…と、頭をぐるぐる回していたのに、自分の身体のことは全然気にかけていなかったみたい。
熱を測ってみると、Kの言う通り、37.5度の熱があって、それを見た途端に、どこかしら身体が重かったのは熱があったからか…と思った。
Kは、僕以上に僕のことに気がつくことがある。
家族がいるということは、こんな風に誰かが僕をいつも思いやってくれているということ。
これほどありがたいことがあるだろうか?

朝顔。

毎朝起きた時に、
「今日は朝顔は咲いているだろうか・・・」と思う。
ベランダの薔薇や寄せ植えの鉢の空き地に、朝顔をいくつか植えたことは先日ここにも書いた。その朝顔が、毎日毎日ベランダのカーテンを開けるのが楽しみなくらい、ポツリポツリと咲き続けているのだ。
Kも朝顔が咲いていると、うれしそうに僕に教えてくれる。あまりにも毎日咲いてくれるものだからか、
K「ほんとうに一日だけで花は咲かなくなってしまうの?」と聞いてきた。
僕「不思議でしょうがなくて僕も観察してるんだけど、一回咲いた朝顔は、夕方にはもう役目を終えたようにほとんど枯れてしまっているんだよね。朝、咲いている朝顔のそばを注意深く見ると、もう翌朝の蕾が小さいけど出来ているの」
晴れていると、午前中ですっかりしぼんでしまうのだけど、雨だったり暗かったりすると、お昼を過ぎても朝だと思っているのか、そのまま咲いていることがあるのを最近気づいたのだ。
写真の朝顔は、『残月』。
『残る月』なんて、なんと日本らしく想像する奥行きがあり、美しい名前なのだろうか。

鮨 福元

大間のマグロとヒラメ

ウニと山芋これがめちゃくちゃ美味しかった。

姫島の車海老

『鮨 福元』は、シンガポール人の友人カップルが、
「ただし、日曜日にアメリカから来るCEOの接待で寿司屋を使いたいから、ミシュランの星付きのお店をどこか予約してくれ!4人だから!」
というので、探し抜いて予約したお寿司屋さん。東京の有名なお寿司屋さんはほとんどと言っていいほど、日曜日がお休みなのだ。
それなのにあろうことか・・・前日にシンガポールカップルから連絡が入ったのだ。
「ただし、申し訳ないんだけど、CEOは何かあっさりしたものが食べたいとと言うので、取ってもらったお寿司屋さん、キャンセルしてもらえない?」とのこと。
僕「お寿司屋さんは、予約状況によってネタを仕入れているから、4人もキャンセルが出るなんて前日に言えないよ・・・」と思ったけど、まあこれは今更断れないから、僕とKが食べに行けばいいかな・・・二人はキャンセルにして・・・と思い直して電話をかけた。
すると大将が出て、一瞬キャンセルかと思って声色が変わったのだけど、二人は行きますと言うと、電話の向こうで安堵の声が漏れた。
『鮨 福元』は、下北沢南口を下って行って右に曲がった住宅地にひっそりとあった。大将は鹿児島出身でとても温和で話し好きな人。お寿司のこと、魚のこと、料理のこと、聞けばうれしそうになんでも教えてくれる。
ミシュランの星付きお寿司屋さんなんて、なんだか怖い店ばかりのような気がするけど、このお店はコスパに優れているし、その日の魚がどこから来たのか親切に書いてあるし、話しやすい人柄にどこかホッとするようなお店だったのだ。
シャリが他店に比べてほんの少し固めではあるけど、それもこのお店の特徴のようで、どこか福岡のお寿司屋さんを思わせるお寿司だった。
⭐︎鮨 福元
http://www.sushifukumoto.jp/