愛は、出汁巻玉子。

Kと一緒に暮らしはじめて、1週間に4回くらいは出汁巻玉子を作ってきた。
もともと僕が出汁巻玉子を好きだということもあるのだけど、Kも好きで、朝ごはんに作ることが多いのだ。
朝ごはんに、もう一品タンパク質が欲しい時に、卵と薄口醤油と100mlくらいの出汁さえあれば、5分くらいで出来てしまうから。
でも、Kが今は大分に帰っていて、自分だけの食事になってしまったら、出汁巻玉子を作ることなんてなくなってしまった。
Kがいた時はあんなに軽々と毎朝のように作っていたのに、自分だけの食事のために、どうしてもやろうとは思えないのだ。
銅の卵焼き器に油を塗り、卵を溶いて、出汁と薄口醤油を加え、フォークで静かに混ぜ合わせ、卵焼き器に油を半分半分に塗りながら3回に分けて丁寧に巻いていく…。
愛とはきっと、誰かと一緒に暮らし、忙しい毎日を送る中であっても、自分以外の誰かのために出汁巻玉子をせっせとつくることなのだ。

Kのいない部屋。

福岡の最終日の月曜日に、そのままKはお父さんお母さん、お姉さん一家とおちあい、一緒に長崎に旅行に出かけた。長崎旅行の後は、実家のある大分に8ヶ月ぶりに戻り、1週間くらい滞在して、来週の火曜日に東京に帰ってくることに。
僕は僕で、およそ8ヶ月ぶりにひとり身になる開放感を予想していたのだ。
「ひとりで2丁目に飲みにいこう!(若い子のいる店にもいっちゃおう!)」
「朝ご飯は作らないでゆっくり寝よう」
「食事も自分の食べたいものだけ作ろう」
「洗濯も時々やればいいや」
「掃除はKが帰ってくる直前でいいかな」
「シーツも最後に洗おう」
月曜日、福岡から会社へ直行して、ものすごい勢いで仕事をして、夜になって『プラダを着た悪魔』と食事をして、家に帰ってドアを開けたら、家はなんだか違っていた。
福岡に行く前に部屋に干してあった洋服をたたむ時に、Kの洋服をたたみながら、言いようのない寂しさが込み上げて来た。
ワインを開けて、飲みながら、その寂しさはどんど大きくなっていって、冷凍庫をしゃがんでKが見ている姿を思い出したりしながら、なんだか泣きたいような気持ちになっていた。
するとKからLINEが入った。
「寂しい?」
「うん。こんなに寂しいとは思わなかったよ」
Kは僕の寂しさを見透かしていたのか、Kも自分自身が寂しさを感じていたのかわからない。でも、ふたりは離れていても、同じ気持ちでいたようだった。
「あああ、早く帰ってこないかな・・・」

自分の会社でカミングアウト その5。

会社でカミングアウトをして、とても良かったことの一つは、
「もう、何も包み隠さず恐れることなく、
LGBTネタを仕事で提案することが出来る」ということ。
今までは、ゲイネタなんかのアイデアを思いついたとしても、企画にしてみんなに見せるのは、なんだか気が引けてあまりやったことはなかった。(それでも何回かやっていた自分にも驚くのだけど・・・笑)
でもこれからは、堂々とLGBTネタの企画を提案することができるのだ!
この1ヶ月半あまりの間、実は公共広告の提案にLGBTネタを忍び込ませていて、社内でなかなか通っていくのは難しそうなのだけど、そんなLGBTネタも、ある意味堂々とプレゼンできてしまうのだ。
たとえば、この言葉はLGBTにとってどう感じるか・・・なんかの微妙な話でも、
「僕自身当事者として思うことは、・・・・・・なんです」
みたいなことも、すらすら言えてしまうこの気持ちよさったら・・・。
これでいつか、この国のLGBTにとって、何かしら貢献できる仕事ができることが、今の僕のひとつの夢であり目標なのです。

台湾から、プラダを着た悪魔がやってきた。

素晴らしいお造り

のど黒の塩焼き

出汁巻玉子

台湾パレードの時にも一緒に食事をしたのだけど、福岡から帰って来たその日の夜に、『プラダを着た悪魔』のような友人と食事をした。
なぜ、『プラダ・・・』なのかというと、台湾のファッション雑誌『MENS UNO』の編集長だか副編集長をやっているアナ・ウインターのようなおばさんゲイだから・・・。
僕が予約をした新宿の店に向かう途中、スマホに連絡が入った。
「30分遅れるみたい・・・」
これも台湾人と食事をしたことがあればわかるだろうけど、待ち合わせの時間に30分遅れるなんてことは、当たり前のことのようなのだ。むしろ、みんながきちんと決めた時間に来ることはないと言ってもいいくらい。
それはともかく、僕の恋人の話や、周りの友人たちの話、様々な話を包み隠さずできるのは、かれこれ8年くらいになる長いつきあいだからだろう。帰り際に、もう一度乾杯をしながら、プラダが言った。
「ただしは、疲れているから、しばらくはとにかくゆっくり寝ることよ」
僕が何も言わなくても、プラダを着た悪魔は、僕の体調をすっかり見抜いていたのだった。
手頃な値段で、美味しいお魚が食べられる!
★原始焼・二代目・魚々子
03-3367-0775
東京都新宿区西新宿7-19-22 ダイカンプラザシティ 1F横
https://tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13041434/

九州レインボープライド

福岡の冷泉公園からスタートしたパレードは、明治通りを通り、国体道路を通り、川端商店街を抜けておよそ45分くらいかけて冷泉公園に戻って来た。
パレード自体で歩いた人たちは、およそ400人だったという。
通りを歩く人たち、信号で止まるバスの中の人たちは、「この集団はいったいなんなんだろう・・・」と思って見ているように見えた。
福岡でのパレードは、これで3回目。昨年に比べて少し人数が増えたとはいえ、やはり虹色の旗や布を振り回すだけでは、いったいなんのためのパレードなのか、市民には残念ながら伝わらなかったと思う。
これがもし、ニューヨークや台北のパレードであったなら。そこを歩いて大勢の中の一員になるだけで、誰もがそれが『LGBTパレードだ』とわかっているのでよかったのだけど、日本におけるパレードは、レインボーフラッグの意味さえも認識されていない中、伝わるわけなどないのだ。
そうではあるけれども、この勇気ある400人のパレードは、意味がなかったのかというと、全くそんなことはなくて、とても意味のあるパレードだったと思う。
僕も、以前ここであげた、アメリカ人のプロデューサーの言葉を胸に刻みながら、Kとふたり歩いたのだhttp://www.huffingtonpost.jp/2016/09/14/gay-pride_n_12003900.html?utm_hp_ref=japan-lgbt
『自分のために参加しているのではないのです。
行きたくても行けない人のために参加しているのです。
家族に同性愛を認めてもらえない人たちや、
同性婚を認めてもらえない州の法律によって
苦労を強いられている人たちのために、
何百・何千ものサポーターがいることを見せたいのです。』

金蔦

鹿児島の黒豚とリブロース

前菜

二種類のソース

『博多炊き肉鍋』というものを、僕は知らなかったのだけど、今回、その『博多肉炊き鍋』で有名な『金蔦』に行くことが出来た。
春吉の小さな路地にひっそりとある洋館。ドアを開けると広い待合室があり、暖炉に薪がくべてあり、ウエルカムドリンクが振舞われる。
客席は広く余裕があり、ピアノの生演奏がある。
ワインの品揃えも安価で美味しいイタリアワインが揃えてあり、『博多肉炊き鍋』のコースでは、鍋に入るまでの間イタリアンの前菜が出される。
さて、肉鍋。『博多炊き肉鍋』とは、牛のテールスープで牛肉や豚肉を味わうもので、『金蔦』特製の真ん中に窪みがある鍋に、円を描く形で野菜とお肉が盛られている。真ん中のテールスープに、野菜と肉を入れながら、2つのソースをつけて食べるとのこと。
これが、ポン酢のように味が強くなく、さっぱりとしていてお肉の味をうまく引き立てている。
酸味が欲しければカボスを絞り、辛味が欲しければ特製の梅酢を添える。
お肉は、鹿児島の黒豚かアグー豚を選び、牛肉もその日の仕入れによって、リブロースなんかもある。
お肉を食べたら、リゾットが麺か選ぶことが出来るのだけど、麺は半透明でコシがあり、とても美味しかった。
友達というよりは、恋人同士で行くと、とても豊かな時間が過ごせると思う。福岡の豊かさを感じた素晴らしいお店。
★金蔦
092-716-2990
福岡県福岡市中央区春吉3-16-5
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400103/40006459/

とり田

博多座の裏に、『とり田』が出来て、ゆっくり落ち着いて水炊きが食べられる場所がまた1つ増えた。
しばらく忙しくゆっくり一緒に食事をする時間さえなかった妹のGと、Kの三人で家族のようなランチを。
店内はとてもモダンで、水炊き屋さんとは思えない作り。予めコースを選んでおき、後から肉の量やサイドディッシュも追加することが出来る。
前菜の半熟たまごの出汁浸しは、ここでいつも出される味わい深い一品。
水炊きのスープは博多らしく濃く白濁しているけれども、鶏肉自体は火を通しすぎておらず他店のようにパサつきがなくあくまでもしっとりとした柔らかさを保っている。
また、適度にお店の方が取り分けてくださるので、落ち着いて食事をしながら話が出来るのもうれしいところ。
温かい鍋で、ゆっくりとあわわ飲みながら、のんびりとしたひと時を過ごすことが出来た。
★とり田 博多本店
092-272-0920
福岡県福岡市博多区下川端町10-5 博多麹屋番ビル 1F
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400102/40037654/

OUT IN JAPAN in 博多マルイ。

駅前の大画面に、レインボーフラッグ

館内の至る所にレインボーフラッグが。

先日もここで書いたように、博多丸井で、『OUT IN JAPAN』が展示されている。
博多駅の博多口を出ると、左側にマルイがあって、そこの映像でいきなり『OUT IN JAPAN』のメイキングビデオが流れていて、6色のレインボーカラーが画面一杯に映っていた様は圧巻だった。
博多丸井は、九州レインボープライドと連動する形で、今月初めから13日までの間、全館をあげてレインボーのバッジを店員さんがつけていて、それぞれのカウンターにもレインボーフラッグが飾ってある。
店員さんは、レインボーフラッグに込められた意味もきちんと理解した上でつけているというから驚いてしまった。
11時から始まったトークショーは、和やかな雰囲気の中進められ、清貴の歌を聴きながら、なんだか感動して涙ぐむお客さんまでいた。
僕も、この『OUT IN JAPAN』に関わったことで、今まで全然分からなかった自分とは違うセクシュアリティの人たちのことを知れた素晴らしさ。それがまたセクシュアリティに限らず、他の自分とは違う人たちのことを想像することが出来るやさしさにつながっているというようなことをお話することが出来た。
丸井のカウンターに置かれたレインボーフラッグを見ながら、僕まで勇気づけられたのだった。

太郎源

胡麻鯖

刺身の盛り合わせ

赤ムツ(のど黒)

福岡で、手頃な値段で魚料理を食べようと思ったらどこに行くか?
どこの居酒屋さんに行っても、東京よりはずっとお魚が美味しいのだけど、今回は博多駅からも歩いていける『太郎源』に。
『太郎源』は、冬場の天然のフグを安く食べられることでも有名だけど、五島の鯖や赤ムツ(のど黒)なんかでも人気のお魚料理屋さん。
刺身の盛り合わせは、鯛焼や鯖、ヒラマサなど、地元の魚をふんだんに使ったもので、一人前から2人前、3人前と、程よい量で食べることが出来る。
福岡名物の『胡麻鯖』は、コクのある胡麻醤油と五島の鯖の濃い味がするうまく絡んでいる。
赤ムツ(のど黒)を半身塩焼きにしてもらい、その美味しさに友人も大喜びだったのだけど、何よりも喜んでいたのはKだった。
久しぶりに九州に帰って来て、こっちの魚を食べると一言、
「伊勢丹の刺身よりも、美味しいね」
伊勢丹の刺身だって、東京にしてはいい魚が集まっていると思うのだけど(しかも高い)、Kには通用しなかったみたい。
九州の魚を美味しそうに食べるKの顔を見ながら、僕までとてもうれしかったのだ。
★太郎源
092-481-8522
福岡県福岡市博多区博多駅前3-27-24 タナカビル B1F
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400101/40004636/

博多マルイで、逢いましょう。

昨日から、OUT IN JAPANの写真が、博多の丸井で展示されている。これは、福岡で今週末行われる『九州レインボープライド』へ参加する丸井のプロジェクトの1つ。
※『丸井グループでは、年代や性別に関係なく、ご高齢の方、障がいのある方、外国人やLGBT(性的マイノリティ)の方など、すべてのお客さまにご利用いただける店づくりをめざしております。』
という素晴らしい企業姿勢を表すために、丸井は今年の東京レインボープライドでも、新宿丸井でOUT IN JAPANの展示を行ってくださったり、コースとなっている公園通りの丸井に、沢山のレインボーフラッグをかけてくれたり、映像でレインボーフラッグを映してくれたりして東京レインボープライドをサポートしてくれた。
そして今度は、今週末に福岡で行われる『九州レインボープライド』のために、博多駅をレインボーで染めて、応援してくれているのだ。
★『OUT IN JAPAN』の展示は、来週の日曜日まで。http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000986.000003860.html
(こんなことを書いていいものかどうか迷うのだけど、明日11時からはトークショーが行われ、僕もほんの少しお話をさせてもらうことに。ああ、今から緊張している…)