小さなハーブガーデン。

時計回りにバジル、パクチー、イタリアンパセリ

昔、仲のいい友人のTakuと一緒に、春に房総にドライブに行った時に、ハーブ園があったのでそこをのぞいて、ふたりでバジルの苗を買って帰ったことがある。
2週間くらいして何気なく、「あのバジル、大きくなった?」と聞くと、
「え?・・・あれ・・・食べちゃった・・・」と答えが返って来た。
僕はとっさに、「野蛮人!」とTakuに言ったのだけど・・・笑。
毎年、チューリップが終わった後に、大きなコンテナに残った盛りを過ぎた植物を抜き取り、小さなハーブの苗を植えて楽しんでいる。
いろいろなハーブをこれまで育てて来たけど、やはり出番の多いのはスイートバジル、イタリアンパセリ、そして、コリアンダー(パクチー)。
週末のランチをトマトソースのスパゲッティにした時なんかに、「あ!バジルがない!」なんてことありますよね?ボンゴレを作ったけど、「いま一つ何か足りない・・・」そんな時は、やっぱりイタリアンパセリだったりする。タイ料理にはパクチーがあって欲しい・・・。
ベランダにはローレルとローズマリーはたっぷりあるのだけど、バジルなどは日本で冬を越せず一年草扱いになってしまうため毎年種をまくか苗を植えないといけない。
それでもこの小さな苗は、東京の夏でもぐんぐん育ち、何気ない日常の食事を、ぐっと香り高い食事に変えてくれる魔法の食材だ。
今年は真ん中に、ルッコラを植えてみた。
でもTakuが僕の家に来たら、根こそぎ食べられちゃうかもしれないな・・・。

母の日に。

母の日か、もしくはその近辺で、毎年必ず母に会うようにしている。昨年は母の家に行ったのだけど、今年はいつも通り伊勢丹で待ち合わせてランチだった。
仕事は順調か?
歯医者にはきちんと定期的に通っているか?
健康診断の結果はどうか?…
もう45歳になる僕を、いつまでたっても子どものように心配して様々なことを聞いてくる。
僕が、「身体のどこかで癌が見つかったとしても、手術を繰り返したり、抗がん剤を飲んだりしたくないな…」と言うと、
「それでもいいけど、お母さんよりも先に死ぬことほど親不孝はないんだからね…」とたしなめる。
母も今年で73歳になる。今月末に行くクルーズを楽しみにしているのだけど、先日の韓国旅客船の沈没事故もあったことだし、いつ自分の身に何が起こるかはわからないと言う。
「例えば、夜寝たら、そのまま起きなくなってしまうかもしれないし、お風呂で亡くなることもありうるから…」
「それでも、今日はこうして、あなたの顔が見れたから、お母さんは安心したわ」と言ってケラケラ笑う。
日頃、本当に親不孝な僕は、母の誕生日と母の日くらいは…などと思って会うのだけど、今日も畑で取れた沢山の野菜と、僕の大好物の唐揚げを朝から揚げて紙袋いっぱいにして持って来た母のことを思うと胸が熱くなる。
「前のあなたの家で育てていたバラが見事に咲いたから切って持って来たわ。きれいでしょう…」
摘んで来たポールズ・ヒマラヤン・ムスクという美しい原種に近いピンク色のバラを僕に見せながら笑う母に、「母の日は、お母さんに感謝する日なんだけどな…」と思ったけど、口に出すことが出来なかった。

irodori 試食会。

随分前に一度、irodoriの試食会はあったのだけど、その時のシェフではなく新しいシェフが決まり、最初の試食会が開かれた。
仲のいい友人たちが集まり、内装を手がけてくれた人やスタッフが加わって賑やかな試食会になった。
13品あった料理は、普通のタイ料理とは一味違って独創性があり、ここで食べられることを思うとにんまりとしてしまうような料理ばかり。
みんな、真剣に食べながら素人のくせに、ああでもない。こうでもない。と持論を語る様は、それぞれこの店にかける思いや愛情が感じられて微笑ましくなる。
今日は建物内部の本格的なペンキ塗りが、有志を募って行われる。
今週末オープンに向けて、着々と彩られていきます♪
★irodori 渋谷区神宮前2-14-17

ブルージャスミン

今年79歳になるウディ・アレン監督の映画『ブルージャスミン』は、最近のヨーロッパ三部作とは少し趣きの異なる映画だった。
主演のケイト・ブランシェットは、『エリザベス』で出て来た時に既に他を圧倒する演技力だったので、今回アカデミー主演女優賞を獲得したのも納得の結果だと思う。
映画は、ニューヨークのパークアベニューで豪邸を構え、買い物三昧、パーティー三昧の生活をしながら順風満帆に暮らしていたジャスミンが、ある日突然、家も財産も夫もすべてを失い、サンフランシスコに住む妹のアパートに身を寄せる話。
誰もが羨む豪華な暮らしから、身ぐるみ剥がされ、貧乏のどん底に突き落とされるという話は、アメリカの消費社会をとてもよく皮肉っているし、豊かだと思っていた生活の裏にある真実を浮かび上がらせる。
この映画、虚栄心の塊で、ショッピングクイーンで、嘘つきで、まるで『ゲイ映画そのもの』だと思えるのだけど、この気狂い女の生きざまを、ケイト・ブランシェットは顔の表情を引きつらせながら見事に演じきっている。
こんな映画を作り続けているウディ・アレンにも、まだまだこの先100歳くらいまでがんばってもらいたいものだ。

ホワイトバルサミコ。

突然ですが、ドレッシングはどうしてますか?
僕は、市販のその手のドレッシング、麺つゆ、出汁醤油などは一切買わない。(だって何が入っているのか怪しいし、甘くないですか?)
基本的にはオリーブオイルにレモンなどの柑橘系を絞って食べることが多いのと、定番のフレンチドレッシング(マスタードやクルミオイルを使っている)が、作るのは少し面倒くさい。
そしてそれ以外に、爽やかで程よい甘さがあり、様々な野菜に寄り添うように合う調味料が、ホワイトバルサミコだ。
ホワイトバルサミコは、普通のバルサミコに比べて熟成期間が短いバルサミコで、色が透き通っている。米酢やワインビネガーのようなツンと来る酸味はなく、仄かな酸味は野菜にも肉にも程よく合うのだ。
ボウルにオリーブオイルとその量の半分くらいのホワイトバルサミコを入れ(普通、オイル対ビネガーは3:1だけど、ホワイトバルサミコは酸味が強くないので)、塩と胡椒を振って、水菜や、茹でたアスパラガスや、茹でたさやえんどうなど、その時食べたい季節の野菜を上から入れる。両手かサラダサーバーでさっくりと持ち上げて落とし、全体にオイルとバルサミコを行き渡らせる。
食べたらきっと驚くに違いない。爽やかでいて程よい甘みが遠くに感じるだろう。
焼いた肉や魚の付け合わせにも、ピタッと嫌味なく寄り添う万能調味料と言える。

バラの日々。

ピエール・ド・ロンサール 白

ピエール・ド・ロンサール 赤

アイスバーグ

今年は少しバラの開花も遅れて、ゴールデンウィークに入る前に真っ先に開いたのはアイスバーグ。ほんのやや暖かみを帯びた白い花は軽やかで、蕾の数がとても多く風にたなびく。
その後、ゴールデンウィークに合わせるように、ピエール・ド・ロンサールの深紅の花がたわわに花びらを拡げだして、それに続くようにマダム・アルフレッド・カリエールがふくよかな香りをまき散らす。
水仙やチューリップの弦楽器が奏でる音楽のような球根たちの開花から始まった春のベランダは、様々なバラの競演によってクライマックスを迎える。
マンションの一つ隣のおばあさんが、すれ違い様に声をかけてくれる。「今年も見事にバラが咲いていらっしゃいますね〜」
ベランダに蔓状に這わした様々なバラの開花は、外から見るとバラ御殿のように見えるようだ。(バラは光に向かって咲くため内側からはその豪華な鈴なりのバラは見えない)
毎年、同じことを繰り返していて、植え替えなど手間がかかるし、虫もつくのでうんざりすることもあるけど、この季節を迎えるとやっぱり1年間育てて来てよかったと思うことが出来る。
小さな庭を、また1年間守れたことに感謝している。

irodori

『Tokyo Rainbow Week 2014』、今年は11日間の間に、50を越えるイベントが開催され、様々な交流がなされた。
やっと迎えた最終日、スタッフや関係者による打ち上げが、来週末オープン予定の店『irodori』で行われた。
『irodori』は、僕の周りの友人たちが協力して立ち上げようとしているアジアンレストラン。
LGBTなどのセクシャルマイノリティやその周りの人が自由に集い、遊び、交わり、楽しい空間になってゆくことを夢見ているお店。
ゲイやビアンはともかく、トランスの人たちは、社会で働く場所に恵まれず、今までは夜の商売か、自らのセクシャリティを偽って就職するという二者択一だった。
この『irodori』は、そんなトランスやLGBTなどの人たちが、その人のままで楽しく働ける場所になったらいいなあという願いが込められている。
このビルは二階建てになっていて、二階はNPOの『good aging yells』が、シェアオフィスをはじめようとしている。
この場所は元々、人のいいお爺さんが八百屋さんを一人でやっていた古い木造の建物で、奥はラーメン屋さんだったところを、一つに繋げて、補強して、新しい建物に蘇らせたのだ。
中に使われている木材はすべて古材で、塗装をしていない無垢の木材が使用されている。壁も床も、人が生活する中で出来る汚れや染みさえも味わいになって残っていくように、古い建物の良さをあえて生かした作りになった。
来週末の17日土曜日、18日日曜日がオープニング・パーティーで、19日からは通常営業がスタートする。
みなさん、応援よろしくお願いします。^o^

外国人客。

二丁目でたまに行く、とある店で飲んでいたら、アメリカ人らしき人が入って来た。
お店のママはすかさず店員に、「日本語しゃべれるか聞いて、しゃべれなかったらいつものように…」と言い、店員が片言の英語で聞くとやはりNOと答えた。そこで店員は、「member only…」と言って客を追い出した。
アメリカ人は怒って、「こんなこと、日本人がアメリカに来てもされないぞ!なんてhorribleなんだ!」と、何度か叫んでドアを閉めた。
僕は、店で一部始終を見ていて、困ったものだと思いながら、ママに聞いてみた。「なんで日本語話せないとダメなの?」
ママは、「日本のチャージというシステムがわからないから、勘定の時にもめたことがあって、それ以来入れないようにしているの…」ということだった。
僕は、「もし僕が海外に行って、同じことをされたら、間違いなく人種差別だと感じるし、とても悲しく嫌な思いをすることになると思う。チャージというシステムをわからせるような英文を用意して、見せるのはどうかな?」と提案してみた。
お通しというものは、日本の独特の文化であって、お菓子やつまみを勝手に出して、お金を取られるということはなかなか外国人には理解され難いのだろう。でもそれを、わからないからと言って入店拒否をするのは、人種差別だと思われても仕方がないように思う。
こんな余計なことを、ママに意見する僕のありようを見ていて、Kは、「人の店のことなんだから、放っておきなよ!」と言うのだけど、これからオリンピックを控えて海外からお客さんも増えて来るのに、人種差別をする店がたくさんあるととられては、そのうちに問題になるような気がする。
言葉が通じないことはお客さんとしても扱いにくいのはわかる。でも、こちらの商売のルールをきちんと伝えてわかってもらう努力をしてみてもいいのではないだろうか?
せっかく日本に来た観光客が、楽しかった思い出とともに帰国することが出来たら、次の観光客にも繋がっていくだろう。

アメイジング・スパイダーマン2

もし、まだ今回のスパイダーマン2を観ていなかったら、友達とでも恋人とでもすぐに観に行くことをすすめる。
普段はこの手のアメコミ映画を観ることのない僕が観に行きたいと思ったのは、監督が、『(500)日のサマー』のマーク・ウェブだと聞いたから。
そして今作は、僕の予想を遥かに上回る素晴らしい恋愛映画に仕上がったいた。
いゃあ、中味には触れないけど、泣かされてしまった…_| ̄|○
今回、コレド室町2の上に最新式のシネコンが出来たので、観に行ってみたのだけど、音響も素晴らしいし、映画館もどんどん進化しているなあと感心させられた。
コレド日本橋が東急百貨店の跡地に出来て以来、日本橋の再開発はゆっくりと進んでいて、三井不動産を中心に、かつて世界一進んだ文化を誇ったと言われている江戸を、もう一度花開かせようとしている。
コレドは、coreと、江戸edoを掛け合わせた造語なのだけど、このロゴは日本橋、室町も含めて僕が作ったもの。
日頃広告を作ってもすぐに世の中から消えてしまう中で、珍しく息の長い仕事になっている。
江戸時代から栄えた職人の仕事や老舗を、都市の再開発によって失われることのないように、巨大化したビルの中に老舗が入り、もう一度若い人にも受け入れられるような形で蘇ろうとしている。
にんべんの出汁を飲ませるお店や、昆布、和菓子屋、民芸品、様々な日本文化が今一度注目されているのは、外国人だけでなく我々にとってもうれしいことだ。
映画が終わった9時頃になっても、人々がのんびりと歩いてる日本橋なんて昔は想像出来なかったけど、銀座と並ぶ大人の街として今後も発展していったらうれしい限りだ。
★アメイジング・スパイダーマン2http://www.amazing-spiderman.jp/site/#home

フウセンカズラ。

かわいい包み紙

ハート型の白い部分がある種子

ご自身で作られた植物の記録

昨夜Bridge で飲んでいたら、お客さんが『フウセンカズラ』の種を持って来たので差し上げますと言われて、いただいて帰って来た。
フウセンカズラも朝顔と同様、桜が終わったくらいの時期に、一晩浅めに水に漬けて吸水させてから土の中に植えてあげるとよい。
フウセンカズラは、葉も涼しげで美しいのだけど、何よりも魅力は、まるで『金玉』を思わせる風船のような実の風情だろう。
そのお客さんは、仕事で様々な植物を育てているそうだけど、こんな風に植物の種を配っているなんて、なんて素敵な人だろうか。
種を蒔いて、やがて芽が出て、葉が生い茂り、花が咲き、美しい実がなる。
そのゆっくりとして生命の神秘を感じる愛しい時間さえもいただいたのだ。