ブルージャスミン

今年79歳になるウディ・アレン監督の映画『ブルージャスミン』は、最近のヨーロッパ三部作とは少し趣きの異なる映画だった。
主演のケイト・ブランシェットは、『エリザベス』で出て来た時に既に他を圧倒する演技力だったので、今回アカデミー主演女優賞を獲得したのも納得の結果だと思う。
映画は、ニューヨークのパークアベニューで豪邸を構え、買い物三昧、パーティー三昧の生活をしながら順風満帆に暮らしていたジャスミンが、ある日突然、家も財産も夫もすべてを失い、サンフランシスコに住む妹のアパートに身を寄せる話。
誰もが羨む豪華な暮らしから、身ぐるみ剥がされ、貧乏のどん底に突き落とされるという話は、アメリカの消費社会をとてもよく皮肉っているし、豊かだと思っていた生活の裏にある真実を浮かび上がらせる。
この映画、虚栄心の塊で、ショッピングクイーンで、嘘つきで、まるで『ゲイ映画そのもの』だと思えるのだけど、この気狂い女の生きざまを、ケイト・ブランシェットは顔の表情を引きつらせながら見事に演じきっている。
こんな映画を作り続けているウディ・アレンにも、まだまだこの先100歳くらいまでがんばってもらいたいものだ。

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