いつか、誰もが、平等の権利を。

知人が先週末に、くも膜下出血で亡くなった。
このたびは、誠にご愁傷さまでした。謹んでAさんのご冥福をお祈りいたします。
16年間つきあってきたふたりは一緒に住んでいて、昨年、日本で結婚式をあげたばかりだったのだけど、55歳のAさんの突然の訃報に僕も信じられない思いだった。
自宅で朝起きたら、Aさんは椅子に座ったまま天を仰いでいたそうだ。くも膜下出血は、脳の中で血管が破裂してしまう病気で、必ずしも高齢の人に起こる病気ではなくて、40代50代60代が多く前兆もさまざまあるらしい。
家で人が亡くなった場合には、警察が検視をして死因をくだすことになるのだけど、警察は同性愛者であるパートナーのKeiさんに、『タチですか?ネコですか?』と尋ねたそうだ。
それは、Aさんの職業がDJだったから様々な憶測を呼んだのかもしれないけど、同性愛者への明らかな偏見と差別があったように思われる。
たとえば、HIVが陽性かどうかなどを疑ったにせよ、人のセックスの仕方まで聞く必要があるのだろうか?最愛の人を喪って、悲しみに打ち拉がれている人に『タチかネコか?』など尋ねるとは、どんな神経をしているのだろうか?
そして、検視の間中も、家族ではないためか、なかなかそばにいることを許して貰えなかったという。2時間おきに遺体のそばに行くことを許可されて、そのたびに遺体に寄り添ったらしい。そんな話を聞きながら、僕は怒りが心頭していた。
ただ黙っていても、世界は変わらない。
いかなるセクシャリティであろうとも、誰もが平等に権利を与えられる日まで、僕たちの戦いは終わらない。

31歳とか32歳の友人たち。

31歳の友人Mと行きつけのイタリアン『EMILIAhttp://s.tabelog.com/tokyo/A1306/A130601/13099554/』で晩ご飯を食べた。
Mはずっと外資の金融で働いた後、会社をやめてフリーになった。
仕事の内容は、ネットを使った様々な分野に及んでいて、外国人向けの不動産から、生ハムやワインの販売まで一言では言えない幅の広さだ。
小さくても新しい企業を立ち上げるということは簡単なことではなくて、様々な横槍が入ることもあるし、いちゃもんをつけられることもあるようだった。
「今までは、会社に守られていたのに、今は僕個人の会社を潰そうとするかのような圧力さえかかることがあるんです・・・」などと、業界で生き残るためには熾烈な戦いが繰り広げられていることを語る。
それでも、大企業に所属している僕にとってみれば、Mの英断はかっこいいし、これからの日本は、こんな勇気のある若者が切り開いていくのだろうなあとうらやましく思える。
そして、ふと我に帰ってみたのだけど、僕の周りには、なぜだか急にこの31歳、32歳くらいの若者がたくさんいることに気づいた。
弟のように一緒に過ごしているFは32歳だったと思うし、irodoriのシェフのMOは31歳。irodoriを作ってくれたMIは32歳。その誰もが、僕がそばにいても尊敬してしまうような仕事ぶりを発揮していて、周りの人たちを明るく照らし輝き続けている。
「Tさんは、今の仕事はどうなんですか?これからどんなお仕事をされたいんですか?」
真っ正面から真剣にMに聞かれながら、「僕は、広告の仕事はもう一通りやったかなと思っていて、・・・会社にはこのまま居続けると思うんだけど、実は今後やっていきたいことがあって・・・」
まだ、誰にもはっきりと話していなかった将来のビジョンをほんの少し話してみる。
「31歳や32歳がこんなに夢に向かって生きているのだ。
僕ももう一度、自分の人生を新しく生きることができるだろうか・・・」

僕のトレーナー その2。

僕のパーソナルトレーナー(レスラー)は、先ずはじめに僕の体調を尋ね、睡眠時間を尋ねる。いつもレスラー(元日本代表選手)は、僕の顔を見ながら、眠そうだとか、二日酔いですか?などと聞いてくる。僕の体調を考慮しながらウエイトを増減してくれるのだ。
このところの『irodori』のオープンで疲れが溜まっていたのか、レスラーは会うなり、「大丈夫ですか?Tさん?」と聞いて来た。僕は、「なんか、眠たいんだよね。」と答える。
僕があまりにも疲れて見えたのか、レスラーは急に、「あのーTさん、ペットとか、飼われたらいいんじゃないですか?」と言う。
僕は、「え?なんで???」と聞くと、自分のスマホから、自分が飼っている亀の写真を見せてくれる。
レスラーは、「ハラガケ カメ
とサルビンオオニオイカメ
です^_^ 大きくなっていくのが楽しいんです」と言う。
色々な他のカットも見せながら、「太っていてかわいいんです…」と言う。それは、まるで子どもの写真を見ている人のよう…
トレーニングを終えて家に帰った夜に、レスラーからLINEで亀の写真が届いた。
★生きているという実感。http://jingumae.petit.cc/banana/2142502
★僕のトレーナー その1。http://jingumae.petit.cc/banana/2166948

メニューできました。

いよいよ『irodori』は、通常営業がはじまりました。
当分の間、18時から24時(23時ラストオーダー)という営業時間になります。
メニューは沢山考案された中から厳選された25品。どの品も『irodori』ならではの独創的なお料理になっているのは、『irodori』のメニュー構成を考えてくれているもっちゃんが元々フレンチの出身ということもあり、味の骨格を作ってゆく時に熟考され何度も何度も試食を重ねて今までになかった一品になるから。料理の開発を手伝ってくれているさのちゃんも、センスのいい不思議なアジアンを提案してくれます。
その中でも絶対に食べて欲しい一品が、『フレッシュハーブのグリーンカレー』。東京のタイ料理屋さんで食べるグリーンカレーって、どれもおんなじ味がしませんか?それはおそらく、どこの店も業務用のグリーンカレーペーストを使っているから。簡単だし、コストのことも考えてのこと。
『irodori』のグリーンカレーは、新鮮なバイマックルーやレモングラスやカーを、乳鉢でたたき、潰し、ハーブそのもののチカラを使ってペーストを作っているのです。
僕も以前にバンコクへ旅行に行った時にタイ料理教室に通ったのですが、レッドカレーペーストを作る際に、当たり前のように新鮮なハーブ類を乳鉢でたたき潰すことから始まります。『irodori』のグリーンカレーも手作りのペーストのため、食べる時に香りが立ち上がり、すっきりとした辛みの中にほのかな甘みが感じられます。この甘みはパーム・シュガーを使っているから。食べた後にすっきりとしていて口の中に嫌な雑味が残らないのは、科学調味料にたよっていないためかもしれません。
この『フレッシュハーブのグリーンカレー』を、オープニングパーティーの時にスタッフが大量に作ったのですが、大量のハーブを乳鉢でたたき潰す作業は、おそらく、自分が奴隷になったように感じられるくらい大変な作業だったと思われます。
オープン初日、友人が連れて来られた方に、ほんの一口と思いこのグリーンカレーをオーダーしたのですが、「おいしい!おいしい!」と言って全部平らげていただけました。

ありがとうございました。

二日間続いたオープニングパーティーを、無事に終えることが出来ました。
お忙しい中ご来店いただき、誠にありがとうございました。この場を借りて、厚く御礼申し上げます。
初日のパーティーの後、僕は3時頃に帰ったのだけど、スタッフたちはその後もミーティングを朝までしたらしく、背中を丸めて帰る姿が、Facebookに上がっていた。
みんなから『お母さん』と呼ばれて親しまれている『もっちゃん』。もっちゃんがいなかったら、イロドリの美味しくて身体に優しい料理は無かったし、イロドリは無かったです。
店長という重荷を背負って、泣きながらがんばってくれた『いけちゃん』。純粋な心がイロドリの心です。
一番面倒くさいお金のことを一手に引き受けてくれているカズマ。連日の睡眠不足で顔を真っ白にしながらがんばってくれました。
新しい料理の開発や、大量の料理を一生懸命作ってくれたサノちゃん。
おびただしい数の食器やグラスを運び、下げて、洗ってくれたゆうこちゃん。
スタッフではないのに、洗い場をもくもくとこなしてくれたノンちゃん。
もっちゃんを影で支えながら、イロドリ全体をやさしく支え続けてくれているカタラオちゃん。
ストレートだけどこの企画に加わり、力強い応援をしてくれているモガ。
みんなに愛想を振りまきながら走り回っているチロル。
そして、今回のイロドリをともに作った、毎日のように一緒に過ごしている妹のようなGと一番男らしい弟のようなF。希望を抱くこと。夢を語ること。思いつきや意思がどんどん形になっていく過程を家族のように一緒に経験して、忘れられない日々を過ごすことが出来ました。
学園祭の準備をしているようにワクワクして、全然寝てないけど、みんなに会うと楽しくて…そんな毎日をありがとう。
みんなの思いが重なり合って、僕たちの店『irodori』が出来たことに感謝します。

irodori オープニングパーティー。

オープン前の店内

店のL字型カウンターの上にはスペースがあり、そこに植物を配置して下に向かって蔓を足らせたら綺麗だろう…などということで、FUGAにグリーンを調達しに行き、オープニングに備えた。
オープニングパーティーは大盛況で、何度も人の波が来ては、少しすると小休止して、また大勢になり食べるものを慌てて作ったりの繰り返しだった。
見たこともない大きな寸胴鍋や、巨大な平たい鍋にいっぱいの肉じゃがやグリーンカレーを見ながら、「まるで給食だね…」などとみんなで笑っていたのだけど、お料理を出すや否や、どのお皿も一瞬にしてなくなってしまう。結局、二日間分用意した料理は、一日ですべて綺麗になくなってしまった。
友人たちも何人か遊びに来てくれた。年配の友人夫妻は、「どうせ半分お遊びで作ったお店だろう…くらいの気持ちで遊びに来たら、本当に素敵な店で、料理も美味しくて驚いた」などと、うれしい感想を聞かせてくれた。
クタクタに疲れてやっと終われる…と1時半頃になって思った時に、歌舞伎町のプリンスが彼女を連れて入って来た…
そこでまたシャンパンを開けて、みんなで今日一日の疲れをねぎらい、満員御礼の喜びを分かち合った。

夜明け。

2階のスペース

新店irodori のオープニングパーティー前夜の準備はやることが多すぎて、弟のようなFと妹のようなGは、真夜中から二丁目のママなんかに挨拶に行き、他のスタッフたちはそれぞれの作業を進めながら、僕は店の足りないものを考えたりしていた。
irodoriの開店準備は、このところ連日3時のような日々が続いていたのだけど、体力的に疲労感はあるものの、まるでみんなで文化祭の出し物を作っているような一体感と高揚感がある。
F と Gが戻って来て、お店を出たのが6時だった。
散り散りに別れてそれぞれ家に帰り、それでも3時間後には会う仲間たちに「おつかれさま」と言って別れたのだけど、空には雲一つなく、すべてを照らすように美しい朝日が差し込んでいた。
愛すべき仲間たちの丸まった背中を見ながら、なんて幸せな毎日なんだろう…と思った。

空に、レインボーフラッグを。

アジアン食堂『irodori』のオープンに向けて準備が着々と進んでいる。
『irodori』は一軒家の1階で、2階はシェアオフィス『FLAT』になる予定。1階と2階の壁には、作品を飾ることが出来るようになっていて、『MoCA』という美術館ということに。これら3つをすべてひっくるめて『カラフルステーション』と名付けられている。(ちょっと名前が多くてややこしい・・・)
朝、作品を展示するためのレールを大工さんに着けてもらうため『irodori』に行き、オープン前の建物をのんびりと眺めていた。建物のコーナーには、白いポールが立っていてそれを眺めているうちに、そこに大きなレインボーフラッグが風にたなびいていたらいいだろうなあ・・・と思った。
レインボーフラッグといえば、昔、東京レズビアン&ゲイ映画祭を青山のスパイラルホールで開催されはじめた時に、青山通りにたなびくレインボーフラッグを見て胸が高鳴ったのを思い出す。
そして、今まで5回見ているニューヨークのPRIDEでは、多様なLGBTたちが胸を張ってレインボーフラッグを掲げて歩く姿を見ているうちに、いつも必ず涙が浮かんでくるものだ。
今回、友人たちと進めて来たこの小さな拠点に、この6色のレインボーフラッグが掲げられたらどんなにうれしいことだろうか。
いよいよ明日、僕たちのお店『irodori』そして、『カラフルステーション』がオープンします。
★人間のありようは多様で、それぞれの幸せの形もそれぞれ違う。誰でも自分なりの幸せを追求しながら、その生き方にプライドを持つべきだ。このメッセージがレインボウ・フラッグには込められている。 7色でなく6色で表現された虹を見たら、そのことをぜひ思い出して欲しい。(TAQさんによるレインボゥ・フラッグの解説:http://www.asahi-net.or.jp/~km5t-ootk/taqo_text/gfd2_rainbow.html)

自己重要感。

人間には『自己重要感』と言うのがあって、
『その場において、自分が重要だと周りに思われたい』
『他人よりも優れていたい』
『人から敬われたい』
という本能的な強い欲求がある。
先日読んだ本に書かれていたことだけど、上司と部下、クライアントとの関係、友人同士、家族の間、もしかしたら国と国の関係でさえ、もめたり、喧嘩になったりトラブルになったりした時には、この『自己重要感』が関わっているケースが多いような気がする。
人間が根源的に持っていると言われているこの『自己重要感』は、本能のように強い欲求だと言われている。それゆえに一度この『自己重要感』を傷つけてしまった時には、繊細な心臓を紙ヤスリで擦ってしまったように相手は傷つき、怒り、許すことの出来ないほど感情的になってしまうようだ。
人は誰しも、自分が価値のある人間だということを周りに認められたいのだろう。そしてその欲求は、年齢を増すごとに強くなるという。
人間とはなんと、弱く、せつなく、愛おしい生きものだろうか。

irodori はじまります。

ここでも何度か取り上げて来ましたが、僕の愛する「神宮前2丁目」に、友人たちと共同で新しいお店『irodori』を立ち上げることになりました。今週末はオープニングパーティーで、来週月曜日から通常営業がはじまります。
LGBT老若男女問わず誰もが気軽に立ち寄れて、さまざまな個性に出会い、ところどころで楽しい化学反応が起こるような場所になることを願って。
 
築約50年の棟続きの二つの一軒家をつなぎリノベーションした『カラフルステーション』は、『irodori』を含めた3つのスペースを備えた複合施設として誕生します。
●ココロとカラダにおいしいアジアン食堂 『irodori』(1階)
●多様性を発信するアートギャラリー 『MoCA東京(THE MUSEUM OF COLORFUL ART, TOKYO)』(1階&2階)
●みんなにやさしい社会を応援するコミュニティ・シェアオフィス 『FLAT』(2階)
2020年を目指し、世界に誇れるカラフルでピースフルな街をめざして、「新宿2丁目」と並ぶ、オープンで心地よい「2丁目」を東京につくろう!というプロジェクトの発信地となります。
★オープニングパーティーについて
○日時:2014年5月17日(土) 15:00~24:00
2014年5月18日(日) 15:00~24:00
○場所:カラフルステーション「irodori」・「FLAT」・「MoCA東京」
東京都渋谷区神宮前2-14-17 03-6804-3736
○参加費:3,000円(立食食べ放題+ワンドリンク)
○内容:お好きな時間に気軽にお越しいただけるパーティーです。ココロとカラダにほっこり美味しい料理を提供する1階アジアン食堂「irodori」が、様々なメニューをご用意。「MoCA東京」では「New Family」をテーマとした作品を展示し、「FLAT」の内覧も可能となっています。
ぜひ友人やご家族といっしょに、年齢、セクシュアリティ、職業、国籍を越えて集うカラフルな人たちとの新しい出会いをお楽しみください!