irodori オープニングパーティー。

オープン前の店内

店のL字型カウンターの上にはスペースがあり、そこに植物を配置して下に向かって蔓を足らせたら綺麗だろう…などということで、FUGAにグリーンを調達しに行き、オープニングに備えた。
オープニングパーティーは大盛況で、何度も人の波が来ては、少しすると小休止して、また大勢になり食べるものを慌てて作ったりの繰り返しだった。
見たこともない大きな寸胴鍋や、巨大な平たい鍋にいっぱいの肉じゃがやグリーンカレーを見ながら、「まるで給食だね…」などとみんなで笑っていたのだけど、お料理を出すや否や、どのお皿も一瞬にしてなくなってしまう。結局、二日間分用意した料理は、一日ですべて綺麗になくなってしまった。
友人たちも何人か遊びに来てくれた。年配の友人夫妻は、「どうせ半分お遊びで作ったお店だろう…くらいの気持ちで遊びに来たら、本当に素敵な店で、料理も美味しくて驚いた」などと、うれしい感想を聞かせてくれた。
クタクタに疲れてやっと終われる…と1時半頃になって思った時に、歌舞伎町のプリンスが彼女を連れて入って来た…
そこでまたシャンパンを開けて、みんなで今日一日の疲れをねぎらい、満員御礼の喜びを分かち合った。

夜明け。

2階のスペース

新店irodori のオープニングパーティー前夜の準備はやることが多すぎて、弟のようなFと妹のようなGは、真夜中から二丁目のママなんかに挨拶に行き、他のスタッフたちはそれぞれの作業を進めながら、僕は店の足りないものを考えたりしていた。
irodoriの開店準備は、このところ連日3時のような日々が続いていたのだけど、体力的に疲労感はあるものの、まるでみんなで文化祭の出し物を作っているような一体感と高揚感がある。
F と Gが戻って来て、お店を出たのが6時だった。
散り散りに別れてそれぞれ家に帰り、それでも3時間後には会う仲間たちに「おつかれさま」と言って別れたのだけど、空には雲一つなく、すべてを照らすように美しい朝日が差し込んでいた。
愛すべき仲間たちの丸まった背中を見ながら、なんて幸せな毎日なんだろう…と思った。

空に、レインボーフラッグを。

アジアン食堂『irodori』のオープンに向けて準備が着々と進んでいる。
『irodori』は一軒家の1階で、2階はシェアオフィス『FLAT』になる予定。1階と2階の壁には、作品を飾ることが出来るようになっていて、『MoCA』という美術館ということに。これら3つをすべてひっくるめて『カラフルステーション』と名付けられている。(ちょっと名前が多くてややこしい・・・)
朝、作品を展示するためのレールを大工さんに着けてもらうため『irodori』に行き、オープン前の建物をのんびりと眺めていた。建物のコーナーには、白いポールが立っていてそれを眺めているうちに、そこに大きなレインボーフラッグが風にたなびいていたらいいだろうなあ・・・と思った。
レインボーフラッグといえば、昔、東京レズビアン&ゲイ映画祭を青山のスパイラルホールで開催されはじめた時に、青山通りにたなびくレインボーフラッグを見て胸が高鳴ったのを思い出す。
そして、今まで5回見ているニューヨークのPRIDEでは、多様なLGBTたちが胸を張ってレインボーフラッグを掲げて歩く姿を見ているうちに、いつも必ず涙が浮かんでくるものだ。
今回、友人たちと進めて来たこの小さな拠点に、この6色のレインボーフラッグが掲げられたらどんなにうれしいことだろうか。
いよいよ明日、僕たちのお店『irodori』そして、『カラフルステーション』がオープンします。
★人間のありようは多様で、それぞれの幸せの形もそれぞれ違う。誰でも自分なりの幸せを追求しながら、その生き方にプライドを持つべきだ。このメッセージがレインボウ・フラッグには込められている。 7色でなく6色で表現された虹を見たら、そのことをぜひ思い出して欲しい。(TAQさんによるレインボゥ・フラッグの解説:http://www.asahi-net.or.jp/~km5t-ootk/taqo_text/gfd2_rainbow.html)

自己重要感。

人間には『自己重要感』と言うのがあって、
『その場において、自分が重要だと周りに思われたい』
『他人よりも優れていたい』
『人から敬われたい』
という本能的な強い欲求がある。
先日読んだ本に書かれていたことだけど、上司と部下、クライアントとの関係、友人同士、家族の間、もしかしたら国と国の関係でさえ、もめたり、喧嘩になったりトラブルになったりした時には、この『自己重要感』が関わっているケースが多いような気がする。
人間が根源的に持っていると言われているこの『自己重要感』は、本能のように強い欲求だと言われている。それゆえに一度この『自己重要感』を傷つけてしまった時には、繊細な心臓を紙ヤスリで擦ってしまったように相手は傷つき、怒り、許すことの出来ないほど感情的になってしまうようだ。
人は誰しも、自分が価値のある人間だということを周りに認められたいのだろう。そしてその欲求は、年齢を増すごとに強くなるという。
人間とはなんと、弱く、せつなく、愛おしい生きものだろうか。

irodori はじまります。

ここでも何度か取り上げて来ましたが、僕の愛する「神宮前2丁目」に、友人たちと共同で新しいお店『irodori』を立ち上げることになりました。今週末はオープニングパーティーで、来週月曜日から通常営業がはじまります。
LGBT老若男女問わず誰もが気軽に立ち寄れて、さまざまな個性に出会い、ところどころで楽しい化学反応が起こるような場所になることを願って。
 
築約50年の棟続きの二つの一軒家をつなぎリノベーションした『カラフルステーション』は、『irodori』を含めた3つのスペースを備えた複合施設として誕生します。
●ココロとカラダにおいしいアジアン食堂 『irodori』(1階)
●多様性を発信するアートギャラリー 『MoCA東京(THE MUSEUM OF COLORFUL ART, TOKYO)』(1階&2階)
●みんなにやさしい社会を応援するコミュニティ・シェアオフィス 『FLAT』(2階)
2020年を目指し、世界に誇れるカラフルでピースフルな街をめざして、「新宿2丁目」と並ぶ、オープンで心地よい「2丁目」を東京につくろう!というプロジェクトの発信地となります。
★オープニングパーティーについて
○日時:2014年5月17日(土) 15:00~24:00
2014年5月18日(日) 15:00~24:00
○場所:カラフルステーション「irodori」・「FLAT」・「MoCA東京」
東京都渋谷区神宮前2-14-17 03-6804-3736
○参加費:3,000円(立食食べ放題+ワンドリンク)
○内容:お好きな時間に気軽にお越しいただけるパーティーです。ココロとカラダにほっこり美味しい料理を提供する1階アジアン食堂「irodori」が、様々なメニューをご用意。「MoCA東京」では「New Family」をテーマとした作品を展示し、「FLAT」の内覧も可能となっています。
ぜひ友人やご家族といっしょに、年齢、セクシュアリティ、職業、国籍を越えて集うカラフルな人たちとの新しい出会いをお楽しみください!

小さなハーブガーデン。

時計回りにバジル、パクチー、イタリアンパセリ

昔、仲のいい友人のTakuと一緒に、春に房総にドライブに行った時に、ハーブ園があったのでそこをのぞいて、ふたりでバジルの苗を買って帰ったことがある。
2週間くらいして何気なく、「あのバジル、大きくなった?」と聞くと、
「え?・・・あれ・・・食べちゃった・・・」と答えが返って来た。
僕はとっさに、「野蛮人!」とTakuに言ったのだけど・・・笑。
毎年、チューリップが終わった後に、大きなコンテナに残った盛りを過ぎた植物を抜き取り、小さなハーブの苗を植えて楽しんでいる。
いろいろなハーブをこれまで育てて来たけど、やはり出番の多いのはスイートバジル、イタリアンパセリ、そして、コリアンダー(パクチー)。
週末のランチをトマトソースのスパゲッティにした時なんかに、「あ!バジルがない!」なんてことありますよね?ボンゴレを作ったけど、「いま一つ何か足りない・・・」そんな時は、やっぱりイタリアンパセリだったりする。タイ料理にはパクチーがあって欲しい・・・。
ベランダにはローレルとローズマリーはたっぷりあるのだけど、バジルなどは日本で冬を越せず一年草扱いになってしまうため毎年種をまくか苗を植えないといけない。
それでもこの小さな苗は、東京の夏でもぐんぐん育ち、何気ない日常の食事を、ぐっと香り高い食事に変えてくれる魔法の食材だ。
今年は真ん中に、ルッコラを植えてみた。
でもTakuが僕の家に来たら、根こそぎ食べられちゃうかもしれないな・・・。

母の日に。

母の日か、もしくはその近辺で、毎年必ず母に会うようにしている。昨年は母の家に行ったのだけど、今年はいつも通り伊勢丹で待ち合わせてランチだった。
仕事は順調か?
歯医者にはきちんと定期的に通っているか?
健康診断の結果はどうか?…
もう45歳になる僕を、いつまでたっても子どものように心配して様々なことを聞いてくる。
僕が、「身体のどこかで癌が見つかったとしても、手術を繰り返したり、抗がん剤を飲んだりしたくないな…」と言うと、
「それでもいいけど、お母さんよりも先に死ぬことほど親不孝はないんだからね…」とたしなめる。
母も今年で73歳になる。今月末に行くクルーズを楽しみにしているのだけど、先日の韓国旅客船の沈没事故もあったことだし、いつ自分の身に何が起こるかはわからないと言う。
「例えば、夜寝たら、そのまま起きなくなってしまうかもしれないし、お風呂で亡くなることもありうるから…」
「それでも、今日はこうして、あなたの顔が見れたから、お母さんは安心したわ」と言ってケラケラ笑う。
日頃、本当に親不孝な僕は、母の誕生日と母の日くらいは…などと思って会うのだけど、今日も畑で取れた沢山の野菜と、僕の大好物の唐揚げを朝から揚げて紙袋いっぱいにして持って来た母のことを思うと胸が熱くなる。
「前のあなたの家で育てていたバラが見事に咲いたから切って持って来たわ。きれいでしょう…」
摘んで来たポールズ・ヒマラヤン・ムスクという美しい原種に近いピンク色のバラを僕に見せながら笑う母に、「母の日は、お母さんに感謝する日なんだけどな…」と思ったけど、口に出すことが出来なかった。

irodori 試食会。

随分前に一度、irodoriの試食会はあったのだけど、その時のシェフではなく新しいシェフが決まり、最初の試食会が開かれた。
仲のいい友人たちが集まり、内装を手がけてくれた人やスタッフが加わって賑やかな試食会になった。
13品あった料理は、普通のタイ料理とは一味違って独創性があり、ここで食べられることを思うとにんまりとしてしまうような料理ばかり。
みんな、真剣に食べながら素人のくせに、ああでもない。こうでもない。と持論を語る様は、それぞれこの店にかける思いや愛情が感じられて微笑ましくなる。
今日は建物内部の本格的なペンキ塗りが、有志を募って行われる。
今週末オープンに向けて、着々と彩られていきます♪
★irodori 渋谷区神宮前2-14-17

ブルージャスミン

今年79歳になるウディ・アレン監督の映画『ブルージャスミン』は、最近のヨーロッパ三部作とは少し趣きの異なる映画だった。
主演のケイト・ブランシェットは、『エリザベス』で出て来た時に既に他を圧倒する演技力だったので、今回アカデミー主演女優賞を獲得したのも納得の結果だと思う。
映画は、ニューヨークのパークアベニューで豪邸を構え、買い物三昧、パーティー三昧の生活をしながら順風満帆に暮らしていたジャスミンが、ある日突然、家も財産も夫もすべてを失い、サンフランシスコに住む妹のアパートに身を寄せる話。
誰もが羨む豪華な暮らしから、身ぐるみ剥がされ、貧乏のどん底に突き落とされるという話は、アメリカの消費社会をとてもよく皮肉っているし、豊かだと思っていた生活の裏にある真実を浮かび上がらせる。
この映画、虚栄心の塊で、ショッピングクイーンで、嘘つきで、まるで『ゲイ映画そのもの』だと思えるのだけど、この気狂い女の生きざまを、ケイト・ブランシェットは顔の表情を引きつらせながら見事に演じきっている。
こんな映画を作り続けているウディ・アレンにも、まだまだこの先100歳くらいまでがんばってもらいたいものだ。

ホワイトバルサミコ。

突然ですが、ドレッシングはどうしてますか?
僕は、市販のその手のドレッシング、麺つゆ、出汁醤油などは一切買わない。(だって何が入っているのか怪しいし、甘くないですか?)
基本的にはオリーブオイルにレモンなどの柑橘系を絞って食べることが多いのと、定番のフレンチドレッシング(マスタードやクルミオイルを使っている)が、作るのは少し面倒くさい。
そしてそれ以外に、爽やかで程よい甘さがあり、様々な野菜に寄り添うように合う調味料が、ホワイトバルサミコだ。
ホワイトバルサミコは、普通のバルサミコに比べて熟成期間が短いバルサミコで、色が透き通っている。米酢やワインビネガーのようなツンと来る酸味はなく、仄かな酸味は野菜にも肉にも程よく合うのだ。
ボウルにオリーブオイルとその量の半分くらいのホワイトバルサミコを入れ(普通、オイル対ビネガーは3:1だけど、ホワイトバルサミコは酸味が強くないので)、塩と胡椒を振って、水菜や、茹でたアスパラガスや、茹でたさやえんどうなど、その時食べたい季節の野菜を上から入れる。両手かサラダサーバーでさっくりと持ち上げて落とし、全体にオイルとバルサミコを行き渡らせる。
食べたらきっと驚くに違いない。爽やかでいて程よい甘みが遠くに感じるだろう。
焼いた肉や魚の付け合わせにも、ピタッと嫌味なく寄り添う万能調味料と言える。