夜明け。

2階のスペース

新店irodori のオープニングパーティー前夜の準備はやることが多すぎて、弟のようなFと妹のようなGは、真夜中から二丁目のママなんかに挨拶に行き、他のスタッフたちはそれぞれの作業を進めながら、僕は店の足りないものを考えたりしていた。
irodoriの開店準備は、このところ連日3時のような日々が続いていたのだけど、体力的に疲労感はあるものの、まるでみんなで文化祭の出し物を作っているような一体感と高揚感がある。
F と Gが戻って来て、お店を出たのが6時だった。
散り散りに別れてそれぞれ家に帰り、それでも3時間後には会う仲間たちに「おつかれさま」と言って別れたのだけど、空には雲一つなく、すべてを照らすように美しい朝日が差し込んでいた。
愛すべき仲間たちの丸まった背中を見ながら、なんて幸せな毎日なんだろう…と思った。

空に、レインボーフラッグを。

アジアン食堂『irodori』のオープンに向けて準備が着々と進んでいる。
『irodori』は一軒家の1階で、2階はシェアオフィス『FLAT』になる予定。1階と2階の壁には、作品を飾ることが出来るようになっていて、『MoCA』という美術館ということに。これら3つをすべてひっくるめて『カラフルステーション』と名付けられている。(ちょっと名前が多くてややこしい・・・)
朝、作品を展示するためのレールを大工さんに着けてもらうため『irodori』に行き、オープン前の建物をのんびりと眺めていた。建物のコーナーには、白いポールが立っていてそれを眺めているうちに、そこに大きなレインボーフラッグが風にたなびいていたらいいだろうなあ・・・と思った。
レインボーフラッグといえば、昔、東京レズビアン&ゲイ映画祭を青山のスパイラルホールで開催されはじめた時に、青山通りにたなびくレインボーフラッグを見て胸が高鳴ったのを思い出す。
そして、今まで5回見ているニューヨークのPRIDEでは、多様なLGBTたちが胸を張ってレインボーフラッグを掲げて歩く姿を見ているうちに、いつも必ず涙が浮かんでくるものだ。
今回、友人たちと進めて来たこの小さな拠点に、この6色のレインボーフラッグが掲げられたらどんなにうれしいことだろうか。
いよいよ明日、僕たちのお店『irodori』そして、『カラフルステーション』がオープンします。
★人間のありようは多様で、それぞれの幸せの形もそれぞれ違う。誰でも自分なりの幸せを追求しながら、その生き方にプライドを持つべきだ。このメッセージがレインボウ・フラッグには込められている。 7色でなく6色で表現された虹を見たら、そのことをぜひ思い出して欲しい。(TAQさんによるレインボゥ・フラッグの解説:http://www.asahi-net.or.jp/~km5t-ootk/taqo_text/gfd2_rainbow.html)

irodori はじまります。

ここでも何度か取り上げて来ましたが、僕の愛する「神宮前2丁目」に、友人たちと共同で新しいお店『irodori』を立ち上げることになりました。今週末はオープニングパーティーで、来週月曜日から通常営業がはじまります。
LGBT老若男女問わず誰もが気軽に立ち寄れて、さまざまな個性に出会い、ところどころで楽しい化学反応が起こるような場所になることを願って。
 
築約50年の棟続きの二つの一軒家をつなぎリノベーションした『カラフルステーション』は、『irodori』を含めた3つのスペースを備えた複合施設として誕生します。
●ココロとカラダにおいしいアジアン食堂 『irodori』(1階)
●多様性を発信するアートギャラリー 『MoCA東京(THE MUSEUM OF COLORFUL ART, TOKYO)』(1階&2階)
●みんなにやさしい社会を応援するコミュニティ・シェアオフィス 『FLAT』(2階)
2020年を目指し、世界に誇れるカラフルでピースフルな街をめざして、「新宿2丁目」と並ぶ、オープンで心地よい「2丁目」を東京につくろう!というプロジェクトの発信地となります。
★オープニングパーティーについて
○日時:2014年5月17日(土) 15:00~24:00
2014年5月18日(日) 15:00~24:00
○場所:カラフルステーション「irodori」・「FLAT」・「MoCA東京」
東京都渋谷区神宮前2-14-17 03-6804-3736
○参加費:3,000円(立食食べ放題+ワンドリンク)
○内容:お好きな時間に気軽にお越しいただけるパーティーです。ココロとカラダにほっこり美味しい料理を提供する1階アジアン食堂「irodori」が、様々なメニューをご用意。「MoCA東京」では「New Family」をテーマとした作品を展示し、「FLAT」の内覧も可能となっています。
ぜひ友人やご家族といっしょに、年齢、セクシュアリティ、職業、国籍を越えて集うカラフルな人たちとの新しい出会いをお楽しみください!

irodori 試食会。

随分前に一度、irodoriの試食会はあったのだけど、その時のシェフではなく新しいシェフが決まり、最初の試食会が開かれた。
仲のいい友人たちが集まり、内装を手がけてくれた人やスタッフが加わって賑やかな試食会になった。
13品あった料理は、普通のタイ料理とは一味違って独創性があり、ここで食べられることを思うとにんまりとしてしまうような料理ばかり。
みんな、真剣に食べながら素人のくせに、ああでもない。こうでもない。と持論を語る様は、それぞれこの店にかける思いや愛情が感じられて微笑ましくなる。
今日は建物内部の本格的なペンキ塗りが、有志を募って行われる。
今週末オープンに向けて、着々と彩られていきます♪
★irodori 渋谷区神宮前2-14-17

irodori

『Tokyo Rainbow Week 2014』、今年は11日間の間に、50を越えるイベントが開催され、様々な交流がなされた。
やっと迎えた最終日、スタッフや関係者による打ち上げが、来週末オープン予定の店『irodori』で行われた。
『irodori』は、僕の周りの友人たちが協力して立ち上げようとしているアジアンレストラン。
LGBTなどのセクシャルマイノリティやその周りの人が自由に集い、遊び、交わり、楽しい空間になってゆくことを夢見ているお店。
ゲイやビアンはともかく、トランスの人たちは、社会で働く場所に恵まれず、今までは夜の商売か、自らのセクシャリティを偽って就職するという二者択一だった。
この『irodori』は、そんなトランスやLGBTなどの人たちが、その人のままで楽しく働ける場所になったらいいなあという願いが込められている。
このビルは二階建てになっていて、二階はNPOの『good aging yells』が、シェアオフィスをはじめようとしている。
この場所は元々、人のいいお爺さんが八百屋さんを一人でやっていた古い木造の建物で、奥はラーメン屋さんだったところを、一つに繋げて、補強して、新しい建物に蘇らせたのだ。
中に使われている木材はすべて古材で、塗装をしていない無垢の木材が使用されている。壁も床も、人が生活する中で出来る汚れや染みさえも味わいになって残っていくように、古い建物の良さをあえて生かした作りになった。
来週末の17日土曜日、18日日曜日がオープニング・パーティーで、19日からは通常営業がスタートする。
みなさん、応援よろしくお願いします。^o^

僕の会社の社員たち。

会社の同じ局の同期と飲みに行った。
僕の会社の社員の中には、様々な会社の社長や政治家などのご子息がゴロゴロいる。そこで、1年目の研修の時に初任給のすべてをつぎ込んでルイ・ヴィトンのハードケースを買って持ち歩いていたKoのことを誰かが尋ねる。(Koにとってはお金は使いきれないほどあるのだろうし、僕の会社で働くことは、生活の手段ではないのだ)
「Ko、今頃どうしてるんだろう?」すると、「おばあさまが集めた美術品が凄い沢山あるらしくて、こないだ3月で会社を辞めて、今は芦屋で美術館を作ろうとしているみたい」
「あいつ、芦屋大学だから、半端ない大金持ちなんだよ。そもそも芦屋大学とは、他の大学になかなか入れないご子息のために、(それなら大学を作りましょう。と)芦屋に住む大金持ちたちが作った大学なんだから。停まってる車も、ポルシェとかベンツとかそんな車ばっかりなんだよ」
彼らのように大金持ちや、政治家や、著名人だったりする親の子どもと一緒に仕事をすることはよくあることなのだけど、時々僕たちとは違った感覚に驚かされることもある。
この日聞いた話では、後輩にF社の娘さんがいて、クリエーティブ局に配属されてプレゼン前に一緒に徹夜作業をしていたらしい。真夜中も過ぎた頃、ふいにその子がいなくなってしまいどうしたのかと思ったら、他の会議室に行っていたようで、なんと、ネグリジェに着替えて再び会議室に戻って来たという。
「会社で徹夜って、なんだか味気ないから着替えてきました」
僕の同期はそれを見て大笑いしたそうだけど、その場にいた先輩は火山が噴火したように怒って、そもそも会社とは何かという話を延々としたという。
僕はそんな彼女のような子がいるこの会社の、ちょっと読めないくらい多様で不思議な人材を、とても面白いと思っている。(会社の将来のことは、ちょっと心配にもなるけれども)

新しいお店をはじめます。

アサリの香草蒸し

仲のいい三姉妹と、仲間たちで、神宮前でLGBTレストランをやることになった。
ロゴは今、作っているところで、まずは第一回目の試食会があった。
この店のシェフになるHは、和食とイタリアンで修行を積んだFTMの子で、背丈も175センチあることから、ずっと男として社会で働いて来た。保険証なども叔父さんの保険証を借りて、コピーして貼り付けたり、店でも男で通すために涙ぐましい努力をして来たのだ。
今回、コース仕立てでいくつかの料理を作ってくれて、それに対して、みんなが思ったことを言う感じに。みんな、色々と食べ歩いているからかなり辛口で、明らかにHがへこんだのがわかったけど、人からお金をもらうということは、家で友人に出す料理とは違うのだ。なんとかオープンまでにいい感じに持っていけたらと思う。
一口にタイ料理と言っても、それぞれタイ料理でイメージするものは違っていて、Hもなんとかタイ料理の枠にはめようと苦戦した後がうかがえた。
僕は、あまりタイ料理縛りにならずに、Hの得意なイタリアンや和食を生かした料理を作ったらいいのではないかと提案した。普通のタイ料理の店など、チェーン店でたくさんあるのだから…。
みんなでわいわいと物件を見に行って、これをどう改築するかなど話を聞いて、なんだかみんなワクワクしているのが伝わってくる。
それはまるで、学生の頃に、文化祭の出し物をみんなで作った時のワクワクする感じに似ている。
この店を一つの場所として、LGBTが働いたり集うことの出来る店が、もっともっと増えて行ったらいいなあと、子どものように夢を見ているところ。

ありふれた週末。

晩秋の朝顔。

ソファで僕は読書。Kは昼寝。

花園神社の酉の市。

土曜日の午後に成田に到着したKは、朝まで仕事仲間と飲んでいたようで、朝から何も食べていなくて小さなリュックで特攻隊のように渋谷に乗り込んで来た。家でおでんを食べてゆっくりした後、夜は花園神社の酉の市に。
はじめて見る熊手と、沢山の人出に驚いていた。明治の頃に始まった酉の市は、意外と地方の人には知られていないけど、晩秋を感じさせる東京の風物詩だ。
この日は『Tack’s Knot』で軽く飲んだ後、『Bridge』で遅くまで飲んでいたのだけど、友人たちが入れ替わり立ち替わり現れKも驚いていたけど、楽しいひとときを過ごすことが出来た。
大分には、二つゲイバーがあるけど、来る人も知れていて、東京のゲイバーの人の多さとは比べものにならない。
地方で暮らすゲイたちは、インターネットのおかげで出会いは容易になったと思うけど、やはり、リアルに人に出会えるバーのような存在が少ない生活は、セックスする人は見つかったとしても、友達は出来にくくきっと寂しいに違いない。
翌日は天気に恵まれて、朝は軽めに牛肉うどんを作り、家の周りから表参道、骨董通りを散歩して、昼は家に戻りイタリアンを作って、ワインを飲みながらのんびりと過ごした。
夜は『Bridge』と『GAB』でほんの少しだけ飲み、早めに家に帰りゆっくりと過ごした。
もしも、Kが東京に住んでいたら、毎週のようにこんなありふれた週末を二人で過ごすのだろうと思う。
特別な豪華な食事などはせず、僕のささやかな手料理と、近所を散歩したり、2丁目にふたりで飲みに行ったりしながら…
それでも、ひとりではなく、恋人と過ごすさもない週末は、ほのかな幸せを感じさせてくれる。

一粒3000円の梅干し。

会社の飲み会でビンゴをやったら、思いがけず、一粒3000円の梅干しが当たった。
甲申年の2004年に漬けられたこの梅干し、平安時代から「申年にとれた梅は縁起が良く薬になる」という風習が伝えられており、南高梅に天然塩と梅塩、赤穂の塩、さるのこしかけ(霊芝)を加えて漬け込んであり、なんと60年間保存が出来るという。
食べるのはなんだかもったいないので、本当に60年保存が効くか試してみようかと思っている。僕が亡くなった後に、甥っ子が食べるだろうか?
宇宙には、プラスとマイナスが常に共存している。良いと思われることも、悪いと思われることも、それだけが永遠に続くことなどないのだろう。
今までまったくクジ運のない人生を送ってきたけど、3000円の梅干しが当たるとは・・・。どうせなら、サマージャンボでも当たって欲しいところだ・・・。