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庭にはバナナが咲いて、実がなっていた。

マングローブの苗

その宿に着くと、部屋のリビングに迎え入れられた。
50歳くらいの夫婦で経営されている宿は、自分たちが暮らす一戸建ての周りの部屋3室を貸し出している。
旦那さんがテーブルに僕とKを座らせて、宮古島の地図を広げながら説明がはじまる。
「ここは綺麗な海だからシュノーケリングには最適です」
「ここはウミガメが見られるポイントです」
「ここは夕陽が綺麗なので日没時に行ってみてください」
「ここは離岸流がすごいから泳いではいけません」
そして、男性二人だったので、2つある寝室のベッドを一つ一つ別々にしたけどいいですか?と聞いてくる。
僕はすかさず、「僕たちカップルなんです」と答えると、「じゃああとでベッドは直しておきますね」と何も驚くことはなく話は終わった。
宿から宮古島の繁華街まではタクシーだと千円ちょっとかかる。レンタカーで行くと、お酒が飲めないのが難点で、代行をたのむ手もあるけど、なんと信じられないことに、宿の旦那さんか奥さんが500円でお店まで送って行ってくれるのだ。
それに、帰りも電話をかけると、10時までならば迎えにきてくれる。(これも500円)
僕たちの部屋には洗濯機も付いているし、キッチンだってそのまま使える。ホテルの感じとは違った、親戚のおじさんの部屋を借りながら、まるで宮古島で暮らすように過ごすことができる。
海に出かけるときは、車のシートが濡れないようなシートカバーや、シュノーケリングセット、保冷ボックスやお水を入れられるタンクまで借りることができる。
一番驚いたのは、海から帰ってくると、海で使ったサンダルやシュノーケルやライフジャケットなど何もかもを、旦那さんが出てきて水で洗ってくれたりするのだ。
出かける時に、「今日はどちらに行かれますか?」とさりげなく聞いてきて、無事に帰ってくるとご夫婦で出てきておかえりなさいとにこやかに迎えてくれる。
15年以上前に神奈川県から移住してきたおふたりは、宮古島のことにもとても詳しくて、聞けばどんなことでも教えてくれるのだ。
人によっては、もしかしたらこの距離感がちょっと鬱陶しいと思う人もいるかもしれないけど、彼らは決して必要以上に入ってこないし、こちらが彼らを必要とする時にはぐっと寄り添ってくれるような感じなのだ。
僕たちは前半をこの宿で過ごし、後半をシギラリゾート内の海の見える部屋で過ごしたのだけど、海なんて見えなくてもいいから、彼らの宿がとても居心地がよかった。
なんというか、ホスピタリティに溢れているのだ。
宮古島では1週間くらい連泊するのであれば、ゲストハウスのようなものが安くて便利だろう。
でも、3泊くらいで宮古島を思う存分楽しみたい人には、ホテルよりもこんな頼もしい親戚のおじさんおばさんのような人がいる宿は心強いと思う。
別れ際に、マングローブの苗を分けていただいた。
このマングローブを見るたびに、彼らの温かなやさしさを思い出すのだ。
楽天トラベルで、ほぼ全ての人が5点満点をつけているのも納得できる。
⭐️aruflathttps://www.aruflat.com/

Atelier和毛

ピッチャーとグラス

手前が和毛

『和毛』と書いて、「にこげ」。産毛などの柔らかい毛を意味する言葉。
宮古島の町中に、とても素敵な雑貨屋さん『Atelier和毛』はある。ちなみにその隣は『モジャ』という有名なパン屋さん。
はじめにお店に入ったら、店長の村田さんとなんとなく話が弾んでしまった。
「あ、このTシャツかわいいですね…」
「このガラスの器、沖縄のものですよね?」
女性の店長だけど、旦那さんなのかパートナーにのか、かわいい感じの男性もお店のお手伝いをしている感じ。
広いお店は、どこに何があるのかわからないので、何度か歩きながら面白いものを探してみる。
雑貨のセレクトも独特で、沖縄のガラスから、愛知のイラストレーターの方のTシャツなど、店長が気に入った作家さんのものを集めている感じ。
ガラスのピッチャーとグラスを買ってその日は帰ったのだけど、宮古島から明日帰るという日に、やっぱり気になってもう一度寄ってしまった。すると店長とお店の男性が言うのだ。
「あ!今朝、丸吉食堂にいらっしゃいましたよね!駐車場が隣だったんですよ!」と声をかけられた。
僕は気づかなかったようだけど、向こうは覚えていたみたい。
おっとりとしていてどんな話でもニコニコと笑いながら話せるおおらかさがこのお店にはある。
宮古島に行ったら、必ず立ち寄りたい雑貨屋さん。
⭐︎Atelier 和毛https://m.facebook.com/pages/category/Art-Gallery/Atelier-和毛-nicogeアトリエにこげ-862552267147348/?locale2=ja_JP

長命草。

長命草のことを知ったのは、石垣島の辺銀食堂お訪れた時のこと。
苦味があって、でも草らしい味わいのあるこの長命草が、沖縄では『ぬちぐすい』として食べられている植物。『ぬちぐすい』とは『命の薬』という意味。抗酸化作用のある植物として有名な長命草は、沖縄では庭に植わっているくらい身近にある植物なのだそうだ。(50歳の僕は、『抗酸化』が人生のてーまになりつつある)
この長命草を、東京にどうにか持って帰りたいと思い、前回年末に石垣島に滞在した時に探したのだけど、苗は売っておらず諦めたのだった。(ネットで買えるのだけど、送料も馬鹿らしいのと、自分が沖縄から持ち帰ったというのが、その植物との思い出になると思うのだ)
今回の宮古島で、ふと入った市場の植物売り場で、「もしかしたらあるかもしれない・・・」と探してみたところ、隅の方に捨てるように二つの長命草の苗が置いてあったので百二十円で買ってきた。
前回書いたように沖縄から本州に持ちこむことのできない植物がいくつかあることを知っていたのでリスクを分散させようと、前の日に一つは小さな箱の中に隠して手荷物で持ち、もう一つは小さなダンボールに入れてトランクに入れて空港に向かった。
果たして空港では、荷物の検査など全くしないでそのまま通された。「なんだ、これだったらもっと他の野菜も買ってこれたのにな・・・」
家に帰って取り敢えず、空いている大鉢の中に移植したのだけど、これからどんどん茂って、どうか僕の抗酸化を食い止めて欲しいものだ。
⭐️長命草の働き
長命草は、ビタミン類、ポリフェノール、カロテン、ミネラル類を豊富に含み、ポリフェノールは、そばなどに含まれるルチンとコーヒーなどに含まれるクロロゲン酸を含み、高い抗酸化作用を発揮。
カロテンやビタミンEにも抗酸化作用があるため、強力に活性酸素を除去する効果が期待できる。抗酸化作用により、血流改善や動脈硬化の予防に効果的であるだけでなく、発がん性物質の抑制にも有効であるといわれている。
ビタミンCのメラニン生成を抑制する働きや潤いを保つ働きは、長命草の抗酸化作用との相乗効果によって、美肌効果やアンチエイジングにも有効。
貧血予防や骨粗しょう症予防に有効な鉄分やカルシウムなどのミネラル類も含まれている。長命草の特殊成分イソサミジンには、排尿機能の改善に効果を発揮する。高い血管拡張作用があるため、血流の改善、冷え性やむくみの改善、動脈硬化や高血圧の予防に有効である。

宮古島の野菜。

宮古島の最終日、島の駅みやこhttp://www.simanoeki.net/html/page2.htmlに行って宮古島ならではの野菜を買ってきた。
空心菜を買おうとしたら張り紙がしてあって、空心菜などいくつかの沖縄の野菜は県外への持ち出し禁止とのことだった。
どうやら野菜についているかもしれない虫が県外に運び出され、ほかの農作物に影響を与えるためなのだそう。
せっかく買った野菜が空港で没収されるのも嫌なので、持ち出せそうか野菜をいくつか選び、持ち帰ってきたのだ。
ミヤコゼンマイ
パルダマ
ササゲ
ニンジンもどき
四角豆
ひとつひとつ沖縄の野菜の情報を調べながら、どんな料理にしようかと考えることも楽しいものだ。
沖縄にはなぜか、苦味のある野菜が多いように思うのだけど、この苦味をうまく使って白和えにしたり、炒め物にしたりしながらおかずにしているようだ。
そしてこんな苦味のある野菜たちは、それぞれ珍しい栄養素も持ち合わせていて、昔からの沖縄の人たちはそんなことを知っていたのかわからないけど、古くからの彼らの智恵に感心させられる。

ワイルドライフ

数週間前に試写会を観た『Bridge』のMが、
「ジェイク・ギレンホールが素晴らしい。久しぶりに映画を見て泣いたよ」
とすすめてくれていた映画『ワイルドライフ』を、宮古島から帰った翌日に観に行った。
監督は、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のポール・ダノ。原作は、ピューリッァー賞作家リチャード・フォード。
カナダに近いモンタナ州まで、仕事を変え、家を何度も引越しながら移住してきた30代夫婦と、14歳の息子の家族の物語。
この作品が素晴らしいと思ったのは、殺人事件があったり、戦争があるわけでない、どこにでもいそうなごく平凡な家族の生活を子どもの視点で描写していること。
一人ひとりの感情の機微に迫り、それに人間の力を超えた山火事が音となり臭いとなって重なっていく演出だ。
映画を見ながら考えていたことは、まだ子どもだった僕が見ていた我が家の家庭のこと。
プライドが高く仕事の浮き沈みを繰り返した父のことやその不器用な愛情。父とは全く違う育ちや性格の母の苦労。そんなふたりが関係を続けていかなければならない難しさだった。
ジェイク・ギレンホールも、キャリー・マリガンも素晴らしいけど、子役の演技に目が離せなかった。
僕は泣くことはなかったのだけど、長く美しい小説を読み終えたような読後感に酔いしれた。
今年観た映画の中で、間違いなく最も素晴らしい作品のひとつ。
⭐︎ワイルドライフhttp://wildlife-movie.jp/sp/

宮古島からの帰りに、思うこと。

梅雨が明けた宮古島は、一言で言うとパラダイスだった。
太陽は容赦なく照りつけ、さとうきび畑は風にたなびいていて、海はどこまでも青く澄んでいる。
町の至るところで売られているマンゴーを買ってきて部屋に置いておくと、部屋の中にマンゴーの芳しい香りが充満する。
艶が出てきて熟れたマンゴーを切り分けて、Kとふたりで口に運ぶ。太陽をまるごと頬張ったような甘さが身体中に広がる。
宮古島を去る時、また早くここに戻ってきたいなあと思う。
行きたいところややりたいことはたくさんあったけど、またここに帰ってくることができるのだと思えると、不思議と寂しさも感じることはなかった。
真っ青な海を眺めながら、心の中で思っていたのは、
「宮古島がこの世界にあって、よかった」
ということだった。
こんなに美しい沖縄という宝物がこの世界にあるなんて、僕たちはなんて幸福なのだろうか。

福木カフェ・商店

なぜか甘いものが食べたくなる

宮古島には、素敵な雑貨屋さんやカフェがいくつかあって、そのほとんどが島に移住してきた人たちがはじめたお店のようだ。
暑い日差しを浴びているからか、喉は乾くしなぜだか甘いものが食べたくなり、近くのカフェを探すと、たいていお洒落なカフェがあるものだ。
真っ白い砂で有名な『砂山ビーチ』の手前にある『福木カフェ・商店』は、そんななかでもとびきり素敵なお店だった。
建物の周りには大きな福木が風に揺れていて、外にはハンモックがある。
お店の中には、このカフェのオーナーであるふたりのアーティストのイラストや雑貨がたくさんあるのだけど、このオーナーのAYAさんという方のイラストが力強い生命力に溢れていて、お土産をたくさん買い込んでしまった。
外は日差しが強くて、普段は食べないコーヒーフロートを食べながらのんびりする午後は、宮古島で過ごすなによりも贅沢な時間だった。
⭐︎福木カフェ・商店https://www.miyakojima-fukugi.com/

サガリバナ。

今回、素晴らしい宿に泊まることができたのだけど(宿の話はまた改めてここに書きますね)、宿のご夫婦にずーっとずーっと「サガリバナの時期ですから、ぜひ見に行かれるといいですよ」とすすめられていた。
サガリバナとは、南西諸島のマングローブのそばなどで自生する植物で、沖縄ではこの梅雨明けの時期に1日しか咲かない香り高い花を夜に咲かせるのだそうだ。
そんな話を聞きながら、ぜひ見に行ってみたいと思いつつ、宮古島にはほかにもたくさん魅力的な場所があって、サガリバナは後回しになっていたある日、ご主人が急に言い出した。
「あのー、今晩、サガリバナを見に車でお連れします。その後に晩ご飯のお店まで送っていきますね」
堪りかねたご主人が連れて行ってくれた場所は、地元の人しか絶対にたどり着けないような場所で、車をとめて近づくと、サガリバナの甘い香りが辺り一帯に溢れていた。
宮古島ではこの時期1週間くらいサガリバナを見るためのライトアップをしていて、地元の人たちがサンダルで見に来ていた。
この花が強く甘い香りを放って夜中咲いているのは、たった1日しか咲かない花に虫を寄せ付け実をつけるためのようで、すべては生存するためなのだと思うと生命の不思議を感じたのだった。

半年ぶりにダイビングへ。

海の中は魚がたくさん

ダイビングの記録

無事に帰ってくることができた

今回、宮古島に行くのだから、せっかくとったダイビングのライセンスを忘れないように、2日間ダイビングの予定を入れていた。
ダイビングは半年以上空けない方がいいようなのは、きっとダイビングに必要な基礎知識とダイビング特有の動物的な感覚を忘れないようにするためだと思う。
今回、宮古島にたくさんあるダイビングスクールの中から、僕たちが選択したのは、少人数制の『エミナマリン』。
松浦さんという男性のインストラクターがやさしく、また生物に関する知識が豊富だったので、一緒に潜っていても絶大な安心感があった。
今回のダイビングでは30メートル近くまで潜ったのだけど、『エンリッチドエア』という酸素量の多いボンベをつけて潜ることができた。今回のダイビングの目的の一つは、ダイビング時に身体に溜まってしまう窒素量を軽減するエンリッチドエアを使用するライセンスを取ることだったのだ。
最初に潜る時はとても怖いけど、いざ潜ってしまうと半年前のことを思い出して、なんとか事故もなく楽しいダイビングをすることができた。
⭐️エミナマリンhttps://eminamarine-diving.net/

与那覇前浜・東平安名崎・とぅんからや

与那覇前浜

東平安名崎からの眺め

とぅんからや

宮古島は、石垣島と変わらない大きさで、同じように観光名所も島の四方に散らばっている。そんな中で最も有名なスポットといえば、誰もが知っている『東洋一の美しいビーチ』と称される『与那覇前浜』。
美しい橋がかかっていることが景観に変化を与えていて、サンゴが砕けたパウダー状の真っ白い砂浜がどこまでも広がり、海は日本のものとは思えない青さをたたえている。新婚旅行なのか、カップルで正装して記念写真を撮影している人たちがいくつも見える。
少し沖の方は青さが深くなり流れも急になっているようなので、泳ぐ時には注意が必要とのこと。
そこから東へ行くと、有名な『東平安名崎』の灯台がある。車の宣伝に使われそうな美しい一本道の先にある灯台には登ることが出来て、島を臨む雄大な景色を眺めることができる。
宮古島にはお洒落なカフェがいたるところにあるので、近くのカフェ『とぅんからや』に入る。シギラリゾートに隣接するようなカフェは高台にあり眺めがよく、人もひっきりなしに訪れる。
軽食をとりながらハンモックなどで遊び、また次の目的地へと繰り出していく。宮古島には行きたい場所はいくらでもあって、一日中走り回ってもまだまだ足りないのだった。
⭐️とぅんからや
0980-76-2674
沖縄県宮古島市上野字新里1214
https://tabelog.com/okinawa/A4705/A470503/47001484/