ワイルドライフ

数週間前に試写会を観た『Bridge』のMが、
「ジェイク・ギレンホールが素晴らしい。久しぶりに映画を見て泣いたよ」
とすすめてくれていた映画『ワイルドライフ』を、宮古島から帰った翌日に観に行った。
監督は、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のポール・ダノ。原作は、ピューリッァー賞作家リチャード・フォード。
カナダに近いモンタナ州まで、仕事を変え、家を何度も引越しながら移住してきた30代夫婦と、14歳の息子の家族の物語。
この作品が素晴らしいと思ったのは、殺人事件があったり、戦争があるわけでない、どこにでもいそうなごく平凡な家族の生活を子どもの視点で描写していること。
一人ひとりの感情の機微に迫り、それに人間の力を超えた山火事が音となり臭いとなって重なっていく演出だ。
映画を見ながら考えていたことは、まだ子どもだった僕が見ていた我が家の家庭のこと。
プライドが高く仕事の浮き沈みを繰り返した父のことやその不器用な愛情。父とは全く違う育ちや性格の母の苦労。そんなふたりが関係を続けていかなければならない難しさだった。
ジェイク・ギレンホールも、キャリー・マリガンも素晴らしいけど、子役の演技に目が離せなかった。
僕は泣くことはなかったのだけど、長く美しい小説を読み終えたような読後感に酔いしれた。
今年観た映画の中で、間違いなく最も素晴らしい作品のひとつ。
⭐︎ワイルドライフhttp://wildlife-movie.jp/sp/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です