シンク・オア・スイム

シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢
セザール賞で10部門ノミネートされ、フランスで400万人の動員数を超えたという映画『シンク・オア・スイム』は、それだけヒットするのも頷けるゲラゲラ大声で笑ってしまうような映画だった。
この映画、人生の半分が過ぎ中年を迎えたおじさんたち8人が、なんと、男子シンクロナイズドスイミングの世界大会に挑戦したというスウェーデンの実話を元に作られた映画。
一人ひとりのキャラクターが面白すぎていちいち吹き出してしまうくらい可笑しいのだけど、それもそのはず役者たちは押しも押されもしないフランス映画界のトップスターたち。
どのおじさんも人生の挫折を味わっていたり、敗北者のような人たちで、腹は出てるし冴えないのだけど、映画が終わる頃には、そのダメダメなおじさんたちを愛さずにはいられないくらい好きになってしまっているという不思議な映画。
見た人が、きっとみんな幸福な気持ちになれる珍しい映画。
⭐️シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢http://sinkorswim.jp/

マレーシアの至宝、ヤスミン・アフマド。

ヤスミン・アフマドの映画が久しぶりに上映されるというので、楽しみに観に行った。
今回上映される作品は、全て過去に観ているものなのだけど、どうしてもKに彼女の映画作品を見せたいと思ったのだ。
ヤスミン・アフマドはマレーシア人。没後10年経った今でも日本でこうして映画が上映されるほどファンの多い珍しい監督。おばあさんが日本人だったようで、彼女自身日本にも愛着があったようで、日本での撮影を計画していた時に亡くなった。
僕の一番のおすすめ作品は、『細い目』なのだけど、今回は時間が合わず、まずは『タレンタイム』を観ることに。
高校生たちが卒業を前に『タレンタイム』という演奏や歌を競う催しがあり、そのタレンタイム本番までの数週間に、4人の生徒とその家族の人生が次々に重なっていく物語。
前に一度見た映画なのに、かなり多くの部分を忘れていて唖然とさせられた。
貧富の差、人種の差、宗教の差、障害を持つ子どもとの差…まるで小さな世界の縮図のように、様々な境遇に置かれた家族が登場する。
映画全体を間違いなく貫いているのは、ヤスミン・アフマドの『愛』なのだと、この映画を見て改めてわかった素晴らしい作品。
⭐️没後10周年記念ヤスミン・アフマド特集http://www.imageforum.co.jp/theatre/movies/2524/

ふたりで過ごす時間。

今週から、Kがあたらしい病院で仕事をはじめた。
毎朝出かける時間は前と同じ8時なのだけど、今度の仕事場は歩いて行ける距離のせいか不思議と安心感がある。
初日の火曜日に仕事場から帰ってきたKの様子を見ると、なんだかリラックスしている。
「Kちゃん、新しい職場はどうだった?」
「ん?まだわかんないけど、まずは夏休みの話だけしておいた。全然大丈夫だった」
「よかったね。お昼は社食で食べたの?」
「社食は美味しくないんだって。みんなローソンで食べてる」
そんな話をしながら、テレビを見ながら笑っているKの顔を見て安心したのだ。
今週はずっと20分くらいの道を歩いて通っていたKは、自転車を買うと言い出した。僕の自転車は乗りづらいから、自分の自転車が欲しいのだそうだ。
金曜日になって、ますます出かける時のKの顔が明るくなったのは、土曜日がお休みと思っているからだろう。帰りがけにふたりで映画を見て、「明日は土曜日で、二人ともお休みなんて嘘みたいだね・・・」と話していたのだ。
前の病院で働いている頃のKは、15分の昼休みしかなくご飯もろくに食べられずに働いていたし、土曜日は仕事があるため、ふたりで二泊の旅行に行くこともできなかった。
新しい仕事場になって、僕たちにはまた、ふたりで一緒に過ごす時間がぐっと増えた。
ふたりでいっしょに過ごす時間がなによりもたいせつなのだと、僕たちにはわかっているのだ。

ゴールデン・リバー

ウエスタン映画のテーマには、復讐劇が多いように思うのだけど、これは日本のサムライ映画や昨年アカデミー主演女優賞を取った『スリー・ビルボード』も復讐劇だったように、世界中の人々が共通で好きなテーマなのだろう。
ずっと新宿2丁目の『Bridge』のMにすすめられていた映画『ゴールデン・リバー』も、復讐劇なのだろう…くらいに思って観に行ったのだけど、これが見事に期待が裏切られる作品だったのだ。
見ているうちにだいたいこうなるだろう…と思う展開を次々に外してくる先が全然読めないサスペンス。
ホアキン・フェニックス、ジョン・C・ライリー、ジェイクギレンホール、リズ・アーメッドという4人の役者の演技がそれぞれ全く違っていて素晴らしい。
やれやれ、やっとこれで終わるか…と思ったストーリーの先に、また次の展開が待っている巧妙な構成。
『ゴールド』をめぐる人間の飽くなき欲望と不思議な兄弟愛を描いた魅力的な作品。
⭐️ゴールデン・リバーhttps://gaga.ne.jp/goldenriver/

福木カフェのポストカード。

宮古島の砂山ビーチに向かう途中にある素敵なカフェ『福木カフェ・商店』のことは、ここに前に書いた。http://jingumae.petit.cc/banana/2875974
その『福木カフェ・商店』には、オーナーのひとりであるAYAさんのイラストが店の様々な雑貨になっており、彼女のイラストが気に入っていくつかポストカードを買って帰ったのだった。
イラストはどれも、宮古島の植物や果物、動物たちを描いたもので、力強いカタチとダイナミックな色彩が宮古島のはち切れんばかりの生命力を感じさせる。
宮古島から帰って、すぐに玄関にポストカードを並べると、しとしとと雨の降り続く東京にいながらも、宮古島の照りつける太陽や真っ青な海のことを思い出していた。
旅は、行き先を決めた時からはじまり、旅から帰ってきてからも心は何度も訪れた場所を思い出す。
そして、次はいつ宮古島に行けるのだろうか…と、カレンダーを何度も何度も眺めている。

眞吉

刺身の5種盛り

かますの塩焼き

カニクリームコロッケ

家の近所にあって、一度大勢で入ったことはあったのだけど、今回、予定していた店が激混みだったので、すぐそばの『眞吉』にはじめてふたりで入ってみたら、近所のくせにお魚が美味しくてびっくりしたのだ。
東京で美味しい魚を食べられる店はなかなかなくて、ある程度お金を使わないと難しいことだと思っている。
でも、神宮前2丁目で、ここならまた来てもいいなと思える魚が出てきたからびっくりしたのだ。
炙った黒ムツが美味しく、下田の金目鯛も申し分ない。カニクリームコロッケはグラタンのような懐かしい味がして、居酒屋的なメニューもあるのが嬉しいところ。
かますの塩焼きは甘みがあり、久しぶりに焼酎を飲みながら楽しい居酒屋での一夜だった。
⭐️

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RAINBOW REEL TOKYO vol.3

花咲く季節が来るまで

アスリート 俺が彼に溺れた日々

⭐️花咲く季節が来るまで
ビアン映画だと思いながら観に行ったのだけど、驚いたことにトランス✖️ビアン映画だった。ただ、細かなシーンのリアリティがなく、頭の中だけで描かれたどこか薄っぺらなお話に思えてしまった。監督がストレートだからなのか、トランスやビアンの掘り下げ方がいまいち納得がいかなかった。出ている役者は素敵だった。
⚫️アスリート 俺が彼に溺れた日
この映画、いったい何が作りたかったのだろうか???この1年、いや、5年くらいの間に観た全ての映画の中で、最も酷い映画作品だった。日本のゲイ映画祭において、日本の作品が一番酷いなんて、ちょっとあってはいけない気がした。この監督に会うことがあったら、何のために、どんな気持ちで映画を作っているのか、お話を伺いたいものだ。

RAINBOW REEL TOKYO vol.2

最高のプレゼント

帰り道

ジェイクみたいな子

<QUEER✖️APAC2019 アジア・太平洋短編集>
毎年このアジア・太平洋の短編映画集が一番楽しみなのだけど、今回も心に残る作品がいくつかあった。
⭐️⭐️ブラックリップ
アワビの官能と、主役の役者の肌のきめ細やかさ、セクシーさしかない映画。挑戦的だけど、いやらしく、胸の奥にモヤモヤと若い頃の欲望を思い出すような作品。
⭐️ヒジュラーの恋
これは、セクシュアルマイノリティの映画というよりも、ヒジュラーという特殊なカーストの人々の性を描いた作品。LGBTQ映画ではないのではないかと思った。
⭐️⭐️⭐️ジェントルマン・スパ
台湾のゲイのエッチなスパで清掃員として働くぽっちゃりくんのお話なのだけど、彼の苦悩や恋心を、ゲイマッサージという絶妙な場所で描き出した秀作。
⭐️⭐️⭐️⭐️最高のプレゼント
インドネシアで男の子に混じって男の子の格好で学校生活を送るイスフィは、本当は女の子。親友の大好きな女の子の誕生日に、かわいいプレゼントを贈ろうとするのだけど、その親友の少女との仲むつまじさを丁寧に描くことによって、イスフィの毎日の暮らしが浮かび上がる素晴らしい作品。
⭐️⭐️⭐️⭐️帰り道
韓国の女子高生ムニョンとウンジェは親友で、毎日の登下校も一緒、帰って宿題をするのも一緒。そんなある日ムニョンが痴漢に会い、自らのセクシュアリティに気づいてゆくお話。最初から最後まで計算されたリアリティは、韓国映画界のレベルの高さを教えてくれる。
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ジェイクみたいな子
この映画が、今回見た作品の中でずば抜けて素晴らしかった。ニューヨークで暮らす30台の夫婦には最愛のジェイクがいて、ジェイクはやんちゃな遊びよりもお姫様やおとぎ話を愛する男の子。小学校にゅうがくを控えてなんとか私立の学校へ入れようとするが、夫婦は次第に息子の性自認に向き合わざるをえなくなる。トランスジェンダーとその周りの人々を描いた素晴らしい作品。
⭐️⭐️⭐️ソヴァージュ
22歳の青年レオは、パリで男娼として通りに立ち、客を捕まえては性行為をしながら暮らしている。その生々しい生き様をそのまま描いたような作品。臭くて臭ってきそうな洋服y田、何日もお風呂に入っていないような紙や肌まで見事に再現されていて、役者の演技にも驚かされた。

RAINBOW REEL TOKYO vol.1

マリオ

エミリー愛の詩

カナリア

昔は、『東京国際レズビアン&ゲイ映画祭』だった映画祭が、『RAINBOW REEL TOKYO』になってから何年たっただろうか。僕は未だに、レズビアン&ゲイ映画祭の方がわかりやすかったなあと思っている。
この映画祭が始まった28年前から参加しているのだけど、今年も素晴らしい作品をいくつか見ることができた。
⭐️⭐️⭐️マリオ
スイスのサッカーチームでプロサッカー選手として更なる飛躍をはかりたいと考えているマリオ。そのサッカーチームにドイツからイケメンマッチョのレオンが移籍してくる。
サッカー界にいるマリオの、息を殺して生きるような苦しみが伝わってくる作品。同性愛者であるというだけで、これほどの苦悩を毎日抱えながら生きなければいけないのか・・・と改めて考えさせられた作品。
⭐️エミリー 愛の詩
僕の敬愛する詩人であるエミリーディッキンソンの自伝的なお話なので、楽しみに観に行ったのだけど、構成が複雑でもったいなかった作品。エミリーが結婚もせず詩を書き続けた原動力は、彼女の側で暮らしていた義理の姉への愛情だったのかと思い、改めて驚かされた。
⭐️⭐️⭐️⭐️カナリア
アパルトヘイト下の南アフリカで、ボーイジョージに憧れる18歳のヨハンは、徴兵制で聖歌隊に配属される。超マッチョなアーミー部隊の中で、自らのアイデンティティを受け入れることの難しさをひたすらに描いた佳作。

懐石 大原

八寸

泳いでいるような鮎

前にも何度かここに書いたが、四谷三丁目には、美味しくて比較的リーズナブルな和食店やレストランが集まっている。
今回、海外から友人が訪れたので、未だに行ったことがなかった和食店『懐石 大原』にお邪魔した。
お店は、杉大門通りの真ん中辺りのビルの2階。店内はカウンターに3人くらい。後ろに4人がけテーブルが2つある。大将が一人でお料理を作り、2人の女性がさーびすをしているこじんまりとしたお店だ。
お料理は奇をてらうことはなく、お刺身もきちんと美味しいし、お吸い物も塩分もお出汁もぴったりの味わい。
車海老も甘く、鱧もふんわりとしている。
八寸ではメヒカリが出てくるし、鮎はまるで泳いでいるかのように立たせて美しく盛り付けられていた
見た目の華やかさや派手さはないが、しっかりとした実力を感じる和食店。
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