人形町今半。

昨年の9月以来久しぶりにKが東京にやって来た。
肉好きのKは、すき焼きを食べたいというので、『人形町今半有楽町店』へ。
新有楽町ビルにある『人形町今半』は、同じ『今半』でも『浅草今半』から暖簾分けした店。東京のすき焼き屋さんらしく、割り下を使って食べるすき焼き屋さんだ。
『人形町今半』のよいところは、日本でも五指に入ると言われている『肉の目利き』がいるところだろうか。その時その時で最上の肉を、産地にこだわらず取り入れている。
牛肉は、子どもを産む前の雌牛が美味しいとされていて、きちんとしたお店で柔らかくて美味しいと思う牛肉は、たいてい若い雌牛だそうだ。また、スーパーなどで安く売られているお肉は、雄牛や産後の雌牛が多いらしい。
ふわふわに卵を溶いてご飯にかける『人形町今半』特有のたまごご飯を、Kはうれしそうにパクパク食べていた。
★人形町今半http://www.imahan.com/guide/shop/ningyocho_shop.html

いま、僕たちの出来ることを。みんなの力で。

渋谷区が日本ではじめて声を上げた『同性パートナーシップ証明書』に関する決議が、いよいよ今月末に迫ってきた。
先日ここにも書いたように、この条例が通ることを願う我々の署名活動にまるで対抗するかのように、反対のビラが撒かれて、反対する人々の署名を集めはじめた。
僕たちの出来ることを、みんなで力を合わせてやってゆくしかないと思い、それぞれが様々な力を発揮してテレビや新聞やラジオなどのメデイアに取り上げられたり、SNSで発信したり、それはもう、ちょっとじーんとしてしまうような地道な努力を重ねてくれている。
僕は僕で、何か力になれたらと思い、今回写真のようなチラシをみんなで作成させていただいた。これは、
○同性パートナーシップ証明書って、いったいなんなの?
○どうして急に同性愛者が権利を主張し始めたの?
○そもそもLGBTってなんなの?
○少子化が心配なんだけど…
など、ほとんど知られていないLGBTのことから、どうしてこの証明書が必要なのかを、全く知識のないお母さんやお父さんにも、わかりやすく伝わるようにと考え出したもの。
日曜日にこのチラシが刷り上がり、有志による集いがあり、月曜日の朝から渋谷でみんなで配り始める。
もしかしたら、今回、この条例が通らないことも起こるかもしれない。
たとえそうであったとしても、僕たちみんなの思いが、次に繋がってゆくように。
★あと1週間!あと1500人!渋谷区応援!みんなにやさしい日本を目指して、『同性パートナーシップ証明書』を実現してください!
https://www.change.org/p/%E6%B8%8B%E8%B0%B7%E5%8C%BA-%E6%B8%8B%E8%B0%B7%E5%8C%BA%E5%BF%9C%E6%8F%B4-%E3%81%BF%E3%82%93%E3%81%AA%E3%81%AB%E3%82%84%E3%81%95%E3%81%97%E3%81%84%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%82%92%E7%9B%AE%E6%8C%87%E3%81%97%E3%81%A6-%E5%90%8C%E6%80%A7%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%83%E3%83%97%E8%A8%BC%E6%98%8E%E6%9B%B8-%E3%82%92%E5%AE%9F%E7%8F%BE%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%8F%E3%81%A0%E3%81%95%E3%81%84?recruiter=99149190&utm_source=share_petition&utm_medium=email&utm_campaign=share_email_responsive
★同性パートナー条例法http://jingumae.petit.cc/banana/2373066

感情。

賞を取るために進めていた広告が、様々な理由から製作出来なくなってしまった…。知恵を出し合い、数ヶ月をかけて準備をしてきたので、ついていないなあと落ち込んでいた。
それがここへきて、ずいぶん昔に知り合いに頼まれてデザインしたドイツの商品のパッケージデザインが採用されて、全世界でそのデザインを踏襲することが決まった。
ごく最近、渋谷区の同性パートナーシップ証明書に反対する署名運動が大きく立ち上がった…。
そして昨日、先月大きな競合プレゼンに参加していたのだけど、どうやら勝利したという連絡が入った。(暫く働かなくていいのでは?と思える巨額をかけたプレゼンだった)
一刻一刻と目の前に立ち現れる出来事は、現象にしか過ぎないのかもしれない。
それなのに人間は、目の前で起こる出来事に対して、いちいち落ち込んだり、舞い上がったりするものだ。
それは、人間に感情というものがあるから。
感情に左右されない強さが欲しいと思う。
晴れた日であれ、雨の降る日であれ、目の前でアクシデントが起ころうとも、物事の本質的なところは何も変わっていないのだから。

桜の木の下のふき。

赤坂の駅を出て、行きつけの美容院に向かって歩きながら、ふと向かいの土手の大きな桜が目に入った。その桜の下には、ふきのとうが出て、やがてふきが生い茂る。
16年間ずっと僕の髪を切ってくれていた美容師さんは、毎年その桜の下にふきを摘みに行っては、きゃらぶきを作って僕におすそ分けをしてくれた。(そのきゃらぶきはとても味が濃くて、しょっぱかったのだけど…)
美容院に入ると、今は僕の髪を切ってくれる若い女の子が言った。
「T先生が亡くなられて、ちょうど一年経ちましたね…」
「それにしても、T先生、いったい何歳だったんでしょうね…?私たちには本当の年を教えてくれなかったから…」
僕たちよりも昔のゲイは、源氏名を使う人も多く、身元を明かさずに生きて来た人たちが多かったのだ。
ゲイの友人と知り合い仲良くなって、ふと暫く会わなくなって、会いたいと思っても、誰もその人の本名も住所もわからない…といったことはよくあることだった。
Tさんは亡くなった後、お兄さんや甥っ子さんが遺体を引き取りに来られて、ひっそりと葬儀も済ませられた。
一緒に暮らしていた若い恋人は、葬儀にも出られず、家を追われ、まるで存在しないかのように扱われた。
亡くなったことを聞いた僕たちは、お墓を聞いて、せめて御線香をあげに行きたいと思って親族に問い合わせたのだけど、どうか、そっとしておいてくださいという返事が返って来た。
Tさんのようなゲイは、この国でもたくさんいるのではないかと思う。親族には理解されないため、ゲイの友人などもまるでいなかったように扱われてしまう…。
友人たちが葬儀に来ることもなく、ひっそりと埋葬されたTさんのことを思いながら、桜の下のふきのとうに向かって、そっと手を合わせた。
「僕たち、みんな同じなのにな…」と。
★僕の美容師さんhttp://jingumae.petit.cc/banana/2169693
★もしもの時にhttp://jingumae.petit.cc/banana/2174483

母と過ごす時間。

ずっと長い間、忙しい忙しいと言いわけしつつ、正月、母の日、誕生日など、母とはそんな時にしか一緒に食事をしたりしていなかった。
いつもいつも自分のことばかりを優先させて生きていて、親孝行らしいことを何もしてあげられていなかったと思う。
人間の生きられる時間には限りがある。あと何回、いや、何時間母と一緒に居られるかも、きっと数えることが出来るくらいの時間なのだろう。
そんなことを思って、今年はなるべく母と過ごす時間を作るように決めた。毎月顔を見て、ご飯を食べて、たわいもない話をするように…。
いつものように伊勢丹で待ち合わせて、食事をする。僕に会うときはいつも、母は僕の好きな料理をいくつも作って持ってきてくれる。鶏の唐揚げや、秋刀魚を煮たものなど…。
話は、僕の仕事のことから、最近母の行った京都旅行のこと。甥っ子が大学に受かってよかったとか、母の兄弟姉妹のこと…。
そんななんでもない話をするだけでも、母はとてもうれしそうにしている。
特別贅沢なことなど何もしなくてもいい。
こんななんでもない時間を、もっともっと持てますように。

LとJ、シンガポールカップルがやってきた。

ふたりは、昨年の8月の終わりに一緒に九州旅行をしたシンガポール人のカップル。11年間つきあって今もアツアツでいる。先々週あたりは、しばらく北海道のニセコや札幌に来ていることは知っていた。なぜなら、
「ただし!札幌で一番美味しいお寿司屋さんを20:30から予約しておいてくれ」とか、
「ただし!小樽の美味しいお寿司屋さんを、金曜日12:30に予約しておいて!」とか、
様々な予約の電話を僕が代わりにしていたから…。僕の名前で予約してあるところに、日本語のまったくわからない二人がやってくるのは、お寿司屋さんにとっても???という感じかもしれない。
そして土曜日、「ただし!これから東京に着くから飲みに出ない?」との連絡が。
僕は彼らの旅程をまったく把握していなかったのだけど、この後は台北に5日間行った後、東京に一週間戻り、その後福岡に飛び数泊してから黒川温泉に行き、その後別府に行き、宮崎で数泊、鹿児島で数泊してから、名古屋に飛び、桜の咲く頃には京都に入り(ここで僕と合流)、東京に帰ってくるという6週間の旅行なのだ。
昨年3月くらいからずっと休暇で世界中を旅行しまくっている二人は、この6週間の旅が終わると、やっと仕事を始めるとのこと。ずっとLは、もうリタイアしようかな…と迷っていたみたいだけど復帰するようだ。
僕の毎日の暮らしと、彼らの旅行三昧の暮らしを今更比較してもしょうがないけど、6週間の旅行なんて聞くと、やっぱりため息が出るものだ。彼らはバリ島にコテージを持っていて、いつでも僕とKで遊びに来いと言ってくれるのだけど、僕たちにとっては、夏にまとまった休みを取って二人で旅行に行くことさえ、なかなかままならない。
ふたりは、「お土産だよ」と言って、エルメスのシャワージェルを僕とKにくれた。
「これでふたりでお風呂でエッチな時間を楽しんで!」
そんなことするわけないのだけど、エルメスの物なんてプレゼントされたのは生まれてはじめてかもしれない(Kはきっと、エルメスが何かも知らないと思う)
また、来週!と言って去って行ったふたりは、桜の咲く京都を楽しみにしている。

Schott。

昔は、革ジャンの重たさや、革特有の臭いがあまり好きになれず、高校生の頃から周りで流行っていたのだけど、僕は革ジャンを持っていなかった。
革ジャンやライダースというと黒いものが主流だったのもあるだろう…タキシードや礼服以外、僕は黒い服があまり好きではないのだ。
それでも、いつだったかこの茶色いライダースジャケットを見つけて、なんとなく試着してみると、「あ、意外といいかも…」と、即買いしてしまった。
太陽は出ているけど風が吹いていて冷たい…そんな時は、下はたとえシャツ一枚であっても、風を通さない革ジャンはとても暖かいものだ。
3月になったら、僕はコートなどのほとんどの冬服もしまってしまうのだけど、革ジャンだけは年間を通してずっとタンスに出ていて、かなり長く愛用している。
今度は黒いライダースを手に入れて、タキシードの上なんかに着て出かけたいと思う。
そんな様が僕に決まるのかどうかは置いておいて…

WOODY ALLEN’S MOVIES

なにかにつけ、ふと聴きたくなるアルバムがある。
ウディ・アレンの映画の音楽を修めたこのアルバムを、かれこれ27年くらい聴いているだろうか?
映画『インテリア』『マンハッタン』『ハンナとその姉妹』などから抜粋された音楽は、百回以上聴いても飽きることがない。
僕はそんなに保守的な人間ではないと思っているけど、特に音楽に関しては、これから先にどんどん新しいヒット曲を追いかけようという意識が薄いのかもしれない。
家で赤ワインを開けて、料理を作りながら、ウディ・アレンの映画音楽が流れている・・・
こんなに心地いい時間が他にあるだろうか。
★I’ve heard that song beforehttps://www.youtube.com/watch?v=tX5S9iXmMek

今までにない3月。

渋谷区議会議員の長谷部健さんと、岡田マリさんと、仲間たちとirodoriで食事をした。
長谷部さんは、今回の渋谷区における『同性パートナーシップ条例』の口火を切ってくれた方で、岡田さんは、それを後押ししてくださった方だ。長谷部さんは自ら『同性パートナーシップ条例』なるものを上げた時に、周りから、
「長谷部、実はお前・・・そうだったのか・・・」と疑われたことがあったと言う。
奥さんからも・・・「あなた・・・まさか・・・」
岡田さんも周りにそれとなく聞かれたことがあるのだけど、それを躍起になって否定すると思わぬ方向に行くと思い、それとなくかわしたというので笑ってしまった。
さて、なんでこんな風にみんなが集まり、懇親も含めて話しているかというと、この3月に可決されるかどうかがかかっている条例に、様々な角度から横槍が入っているから。
渋谷区役所の周りには条例に反対する右翼の街宣車が周り、差別的なチラシがバラまかれはじめた。そんな中で、間もなく渋谷区長も変わろうとしているタイミングもあり、もしこの条例が3月を越えて持ち越されたら、区長も変わり、まるでそんな条例の提案などなかったことのように押し流されてしまいかねない・・・。
僕の周りの仲間たちは、ぎゅっと寄り添って今まで体験したことのない3月を迎えている。

OUT IN JAPAN 2

カミングアウトをすることほど、セクシャルマイノリティーである僕らにとって難しい問題はないだろう。
でももしかしたら自分だけではなく、次から次へとものすごくたくさんの人たちがカミングアウトしていったら、この国も少しずつ変わるかもしれない。
この国のLGBTをはじめとするセクシャルマイノリティーの可視化をきっかけに、正しい知識や理解を呼びかける企画。数日前にここで取り上げた、『OUT IN AMERICA』ならぬ、『OUT IN JAPAN』がついにはじまった。
ここのところ色々なご縁が繋がって、急に現実化をしはじめた『OUT IN JAPAN』。ここ数日、様々なトラブルに見舞われたりしながらも、なんとかプレスリリースまでこぎつけた。
撮影されたポートレイトは、次々とウェブ上にアップしていき、やがてどこかで展示が出来たら…と考えている。
応募告知のために、一昨日ここにも取り上げたIVANがトップを切って登場してくれた。
輝くような瞳からは、自分を信じる気持ちと、そのままでいいんだ…というメッセージが伝わってくる。
★OUT IN JAPANhttp://goodagingyells.net/join/#join-1004
(※GAP、RENT、Alfa Romeo のサポートのもと、第一回撮影会にはカメラマンにLeslie Kee を迎え、good aging yells が運営、3月末に撮影会をする予定です)