マース煮

沖縄の煮魚は、東京などと違って甘くない。

それは、マースと呼ばれる塩を使って煮るのが一般的だから。塩に泡盛を入れて、人によっては昆布も入れて魚を煮る。昔は海水で煮ていたのかもしれない。

このマース煮、自分でも簡単に作れて、しかも美味しい。

僕はどちらかというと甘い煮魚が苦手な方なので、このマース煮の方が好きなくらいだ。

マース煮に必要なのは、新鮮な魚と塩。

これがあれば、失敗なくおいしいマース煮が出来る。

マース煮は、身がふっくらしてホックホクで魚本来の美味しさを堪能できる。

小肥羊

小肥羊は、新宿や赤坂で時々行っていた麻辣鍋のお店せなのだけど、なんとなんと、宮古島にも小肥羊があり、このお客様が一段落したタイミングで自分たちへのねぎらいを込めて食事に出かけた。

場所は上野のシギラなので、家から車で10分程度。

久しぶりに食べる火鍋は本当に美味しく、普段全く外食をしない二人は泣きそうになるくらい「おいしいね」「おいしいね」と言って食べたのだ。


人の作ってくれる料理のなんておいしいこと。ありがたいこと。

また明日から頑張って、こんな風においしい外食をしたいものだ。

夏休みの終わり。

7月からずーっと予約が続いていた宿も、今日で一旦お客様の予約が途切れた。

お客様2組がチェックアウトを済ませると、僕たちはホッとして全身から力が抜けていくような気持ちのいい脱力感に包まれた。

お部屋の清掃をそこそこにして早めの夕方からビールを開ける。

7月8月と、台風でキャンセルになった1週間はあったものの、初めて立ち上げた宿にしてはお客様にご宿泊いただいたと思う。

何もかも初めてのことだったので、至らないことも多々あったり、気付かされることもたくさんあった。

子どものお客様にどう下らよいのか、Kと二人で頭を悩ませたことや、朝ご飯の用意に思ったより時間がかかることや、下準備をできるだけしておくことなど、やりながら改良していったこともたくさんある。

Kと口論になったこともあった。お互いにやり方が違うから、どうしても同じことをしようとすると衝突してしまうこともあるのだ。

でも、そんな全てを通り越して、この8月のお盆時期を乗り越えて、二人でやり切ったという充足感に満たされた。

お客様の笑顔や優しいお言葉を思い出し、宿をはじめて本当によかったと思えたのだった。

シーザーサラダの朝食。

昨日、AZZURRAの朝食をここに書いたのだけど、洋食は、生野菜を中心にした宮古風サラダか、ベーコンと目玉焼きに野菜をグリルしたグリルの朝食。

それでも6泊するお客様もいて、3回目の洋食の朝食を思い悩んだ末に、シーザーサラダの朝食にした。

シーザーサラダは、家庭で作るのは意外と難しく、外で美味しいシーザーサラダを食べると「なんでこんな風に作れないんだろう・・・?」と思うものの一つだ。

今回、改良を重ねてやっと自信の持てるシーザーサラダが出来上がった。

隠し味はバルサミコなのだけど、これが本当に美味しくて、アメリカ人のお客様にも大変喜ばれてとても嬉しかったのだ。

グリルの朝食。

宿の朝ご飯は、連泊のお客さんには和食と洋食を交互にお出ししている。

はじめは選べるように設定していたのだけど、和食と朝食が入り混じる朝ご飯をいくつもご用意することはとても大変なことが途中からわかったからだ。

和食の定番は、西京漬か鮭を焼いた定食か、マグロやカツオの丼もの。洋食の定番は、宮古島の生野菜をふんだんに使ったニース風サラダならぬ宮古風サラダ。そしてもう一つが、ベーコンや目玉焼きにグリル野菜を中心にした洋食。

グリルの朝食はまだまだ改良の余地があるものの、少しずついい感じに出来上がってきていてお客様にも喜んでもらえるレベルにまでなってきた。

二部屋分の朝食をつくる。

おかげさまで、7月8月はお客さんの予約も入り、連日忙しい毎日を送っている。

そんな中でもこのお盆時期はお子様連れのお客様で満室になり(満室といってもたった2室しかない宿なのだけど)、一気に5人家族と3人家族で両室埋まった。

毎朝、この8名のお客様の朝食を作るのだけど、これも大人がすべてなら均一で良いものの、子どもが混じっていて中には幼児もいるのでメニューも頭を悩ませることになる。

小学生以上のお子様は大人とほぼ同じにして少し苦い野菜を少なくするか入れずに代わりの野菜に変更する。幼児には基本的に朝ごはんの提供はしないという方針だったのだけど、幼児のお子様だけ朝ご飯がない状態を想像するといてもたってもいられなくて、小さな子どもでも食べられそうな甘いパンを用意したり、ご飯をほんの少しと食べられそうなだし巻き卵を添えたりする。

子どもを育てたことのない僕たちにちとって、子どものいるご家族のご苦労や注意点などわからないことだらけだけど、なんとか手探りで今日も朝ご飯の用意をしたのだった。

Hくん。

3人でお泊まりのお客様には小学3年生の男の子Hくんがいて、その子が天使のように素直でいい子であることに気づいた。

Hくんはとても動物好きで、すぐに僕たちの暮らす母屋にやってきては上がり込み、海や太陽と遊び始めた。

朝ごはんの後は食器を下げにやってきてくれてそのまま部屋に戻ろうとしないでずっと遊んでいる。

その後、お母さんが呼びにきてやっと海に遊び二いくといった感じ。

朝は6時前にはドアの前で待っていて、海の散歩に一緒についてくるのだ。

何よりも、会話をしていると本当に素直で人の話をよく聞くし、犬や猫の強引さやわがままにも怒らずに対応している。

Hくんを見ながら、僕は子どもを育てることができなかったけど、こんな子どもだったら一緒に暮らしたいなあ・・・と思ったのだ。

子どもの成長をそばで見ながら毎日生きてゆくことって楽しいだろうなあ・・・と改めて思ったのだった。

レンタカーとレストランの予約に追われる。

今日お見えになったお客様は宿にタクシーでやって来られた。

女性「予約は子どもと2人でしたが3人になりました」

予約は大人1人子ども1人だったのに、彼女と子どもの横には荷物を持った外国人の男性が立っていた。

慌てて一人追加分のタオルやグラスなどをご用意していると矢継ぎ早に言われた。

「この島はどこか行くのにバスはありますか?近くにレストランはありますか?」

「公共交通機関はほとんどないのでバスはあてになりません。移動は基本的に車ですが、急にレンタカーも借りられなければ今日は行きたい場所へ私がお連れします」

「それではレンタカーを手配してください。それと、晩ご飯のお店もお願いします」

文章にするとキツイ印象のやり取りだけど、お客様は外国人であまり宮古島の下調べをされてこなかったもよう。

運よくレンタカーが手配できて、あとは行きつけのイタリアンを予約することができた。

これから5泊するご家族の滞在に、初日からどうなるんだろう?と少し心配になった。

2部屋、2家族と子どもたち。

僕たちの宿は2室しかないのだけど、その両室をご予約していただいたご家族がKのご家族とは入れ替わりで到着された。

ひとつの部屋はご両親と小学生の娘さん2人、幼児の女の子が1人。もう一つの部屋は、ご両親と幼児の男の子一人。合計で8人の大所帯で朝食付きなので準備に色々と苦労した。

というのは、ここ数組のお客さんの傾向ではじめて分かってきたことなのだけど、大人と子ども(小学生)の食べるものが基本的に違うこと。それから幼児にお出しする食事は用意しないという条件なのだけど、幼児もやはり同じ時間に同じ食卓を囲むことになるということ。

色々考えた挙句、小学生には苦手そうな食材は少なめにしたり、ご飯を減らしたりした。幼児には食べられそうな甘いパンをお出ししたり、ご飯とだし巻き玉子なんかは大人と同じように用意したり。

そうやって工夫して朝ごはんをご用意したことで、ご家族にとても喜んでもらうことができた。

家族揃って夕日をみに行かれたり、満点の星空をみに散歩に出かけたり、思い出に残る夏休みになったようで、僕たちもとてもうれしかったのだ。

Kの家族。その3

Kの家族が帰る日、チェックアウトの前にやっとお父さんお母さんに挨拶することができた。

僕「いつもお世話になっております。ただしです。今後ともどうぞ、よろしくお願いします」

僕は、いつものお礼と、Kがとてもやさしいということをお話しするとご両親もとても喜んでいた。

甥っ子屋姪っ子がいたから僕はあまりご家族の前には出なかったのだけど、精一杯朝食を作ることで喜んでもらえたらと考えていた。

晩ご飯も一緒に食べることはできなかったけど、それはまた次の機会があったらで良いのだ。

少しずつご家族にも認めてもらえるようにとこれからも努めていこうと思う。