ほっと一息。

先日撮影したテレビCMの仮編集をして、クライアントに対する試写が行われた。

仮編試写というものは、オンエアまでの道のりの中でも最も重要なもので、これを通過しなければ数ヶ月間かけて来た取り組みが玉砕してしまう。

出来には自信があったものの、クライアントがどう思うかは、見ていただかないとわからないものだ。固唾を飲みながら、最後まで見守ると・・・

「いいんじゃない。細かい直しは必要だけど、よく出来てると思う」

という高評価をいただいた。
ここ数ヶ月この作業に没頭して来た僕としては、一瞬にして肩の荷が下りた気がした。

家に帰って、Kと二人、やっと本当の意味で一息つけることを祝ったのだ。

国産有機六条大麦茶。


リモートワークが続いていて家の中にほとんどいるので、暑くなって来たこともあり必然的に何かをしょっちゅう飲んでいる。

家には、ウォーターサーバーがあるけど、お水ばかりだと口が淋しくなるので、最近は麦茶ばかり飲むようになった。

麦茶は、京都の一保堂のものを好んで使っていたけど、近所で買うことのできるこの「六条大麦茶」に変えてみた。

すっきりとした飲み心地で、酸味もなく、渋みも適度にあって美味しい。

そして、石川県でくらすこの麦茶を作っている農家の人が顔出ししていて、年間の農家の仕事が書かれたイラストがかわいい。

食べるものや飲むものって、いつもは忙しくて何も考えずに過ごして来たけど、手にとる前にちょっと考えて、同じ値段でもほんの少し社会にいいものとか、自然にいいものを選ぶことだってできるのだと思う。

あまり神経質になるのも嫌だけど、ふと立ち止まることができたらいいかもしれない。

自分の口から身体の中に入るものなのだから。

テレビCMの撮影。

今日は、半年かけて進めて来たテレビCMの撮影が行われた。

僕が企画をして、尚且つ、クリエーティブの責任者でもあるプロジェクト。

テレビCMは、企画をして、プレゼンをして、クライアントからの戻しが何度かあって、またプレゼンを繰り返して、ようやく決まった企画を、実際に撮影して、編集して、納品して、世の中に送り出すのだけど、撮影の時にはとても多くのスタッフが関わっていることがよくわかる。

照明さん、美術さん、小道具、大道具、音響、撮影、スタイリスト、ヘアメイク、プロデューサー、アシスタント、監督、助監督、キャスト・・・
通常、スタジオでの撮影でいうと、大抵は100人近くのスタッフが関わっているものだ。

撮影の合間には、クライアントのチェックが入り、一瞬場が凍りつくこともあるし、思ったようにキャストの演技が上手くなくて焦ったり、様々なハプニングも起こる。

でも、こうして、撮影現場で一つのものをみんなといっしょに作っているという醍醐味は、他ではなかなか味わえないものだと思う。

そして、51歳になった僕は、この先あとどれくらいこういう現場で撮影ができるのだろうか?とも思うのだ。

若い頃は永遠に仕事は続くものと漠然と思っていたのだけど、仕事には終わりがあるということを、そしてそれが見えて来ていると、今日、思いながら幸せな現場を楽しんだのだった。

アゲハの幼虫。その5

土曜日、朝起きた時は大きな青虫が2匹いたのだ。

残念ながら3匹いたうちの1匹は、小さな青虫になった後、どこかへ旅立ってしまっていて、残る青虫は2匹になっていた。

今日もすごい勢いで葉っぱを食べてるなあ・・・と思ったのもつかの間、少ししてベランダに出ると、一番大きかった青虫が跡形もなく消えていた。跡形もなくというのは少し違っていて、レモンの葉っぱに深緑色の大量のフンが落ちていた。

どこ行ってしまったのだろう?とKと二人、ベランダ中をくまなく探すけど見つからない。散歩から帰って着てまた探すけれど見つからない。夕方、諦めかけて家に入ろうとすると、サンダルを脱ぐ窓際を青虫が歩いていた。

「Kちゃん!いたよ!こんなところに!」

「こんなところ歩いてたらもう少しで踏んでたね」

僕は青虫を捕まえてレモンの木にもう一度戻してあげた。すると、青虫はもはやレモンには興味がないようで、すぐさまものすごい速さでレモンの木から隣のバラに写り、どんどん下に降りていき、鉢の縁で不安定に止まった。

レモンの木に戻したところ

下に降りてゆく青虫

鉢の縁に止まった

その後、晩ごはんを食べた後も何度も覗いて見たけど、鉢の縁が気に入ったのかそこから動こうとしなかった。でも翌朝起きた時には、青虫の姿はなくなってしまっていた。

僕は、落胆したまま日曜日なのに仕事で撮影に向かった。

すると夕方、KからLINEが入った。

「青虫、いたよ!蛹になりそう」

網戸にしがみついている青虫

僕は嬉しくて、スタジオで思わず声をあげた。どうやら青虫は、蛹になる時を知り、自らのお腹に溜まったものを全て排出し、蛹になって過ごせる安全な場所を探して旅に出たようだった。

それにしても、こんな網戸に捕まって、落ちないでいられるのだろうか?

蛹に変わってきた

僕たちはこの網戸を動かさないように、これから2週間くらい見守っていこうと確認したのだった。

久しぶりの新宿御苑。

コロナの影響で新宿御苑が閉園したまま、数ヶ月経った。

ようやく今週火曜日からリオープンした新宿御苑へ行こうと、曇り空の朝サンドイッチを買ってKと二人、9時の開園と同時に入園した。

ずっと人が立ち入っていなかったことがはっきりと分かるほど、芝生はこんもりと青く生い茂り、人に踏み潰された跡がほとんどない。

泰山木が大きく枝を広げ、象牙色の花を咲かせている。泰山木の花の香りを嗅いだことがあるだろうか?

芳しい泰山木の花

Kと二人、久しぶりにその爽やかで濃い泰山木の香りを吸い込んだ。

代々木公園と違って、ランニングする人やサイクリングをする人がいない分、新宿御苑は歩いていてものんびりとできるし、生い茂っている樹木も、より自然に近い状態で保全されているので、森の中を歩いているような気持ち良さも味わえる。

まだ人気の少ない久しぶりの新宿御苑を、心ゆくまで堪能した。

花菖蒲。

千駄ヶ谷にある鳩森神社にお参りにいくと、花菖蒲が咲いていた。

深い紫、赤い紫、淡い絞りのような紫、白、色とりどりのようで、紫から黄色を含む白に至る色は完璧な美しさがある。

紫陽花といい、花菖蒲といい、この時期、どうして紫色や白の花が多いのだろう?

本格的な夏の暑さの前に、花菖蒲はあたり一面に清々しさをもたらしている。

アイ・アム・マイケル


マイケル・グラッツェというアメリカのLGBTアクティビストの実話に基づいた映画ということで、Kと二人楽しみに観たのだけど、まず感想から言って、辛くなるばかりの酷い映画だった。

このブログでは、基本的に好きな映画のことしか書かないようにしているのだけど、今回に限り酷い映画であるが書き留めて置こうと思う。

ジェームズ・フランコ扮するマイケルは、その昔一世風靡したアメリカのゲイマガジンXYマガジンの編集に携わり、SNS上でも影響力のある存在になっている。

マイケルには年上で安定しているパートナーがいて、彼との関係を続けていくために3Pなどもやりながら暮らしている。

保守的な環境であったり、宗教上周りから拒絶されている若者や、いじめや差別、自傷行為や自殺問題などを考えているうちに、自らの育った環境や、亡くなった両親との関係が揺らぎはじめる。

パニック障害になり自分の死を意識しはじめた時に聖書に出会い、自分自身の性的指向をだんだんと拒絶しはじめ、キリスト教徒隣、異性愛者に改心しようとするという話。

今まで周りにいた全ての関係性を絶って、自分の性的指向を変えようともがく姿がとても可哀想に思えた。

この映画が教えてくれることは、性的指向は、やはり自分の意志では変えることができなかったのだということと、恐ろしいまでのホモ・フォビアだ。

これほどのアクティビストでさえも、自からの性的指向を受け入れることは難しいものなのだ。

⭐️アイ・アム・マイケルhttps://www.netflix.com/jp/title/80161640

野菜は生きている。

スナップエンドウ。インゲン。キヌサヤ。アスパラガス。ブロッコリー。

春からずっと、これらの野菜を毎日のように食べている。

野菜を茹でる時に、買ってきてそのまま茹でていないだろうか?野菜は収穫された後もまだ生きていて、実はお水を欲しがっている。

スナップエンドウもインゲンもキヌサヤも、茹でる前にしばらく水につけておくといい。少し元気が無くなったアスパラガスは、下のカットされたところをもう一度野菜の水切りのようにカットして、しばらくコップなどに挿しておく。

10分もすれば生き生きとみずみずしさを取り戻すのがわかるだろう。

お水を吸って、ぷりっぷりになったスナップエンドウを茹でると、とても綺麗な緑色に茹で上がる。それだけで野菜の格が一段上がるのだ。

お水に塩を少量入れて茹でた野菜は、キッチンペーパーの敷かれた琺瑯などの容器に入れて、この時期なら3日を目安に食べた方が良い。生きのいい野菜は、茹でた後も長持ちするし、くたびれた野菜は茹でた後も日持ちが悪い。

スナップエンドウは、そのまま食べるのも美味しいけど、二つに割って食べると口の中での触感もよく美味しいいものだ。

この時期、スナップエンドウばかり見ると買ってしまうので、「また買ってきたの?」と、Kに言われてばかりいる。

コロナ禍における行動。

東京でも、続々とショップやレストランや映画館が営業をはじめている。

新宿2丁目のバーも、6月1日からはじまったお店が多いと思う。

僕も、できるだけ早く友人たちの集まるバーに駆けつけたいとは思うものの、今現在、僕が働いている会社では、未だにリモートワークが原則という仕事のスタイルであり、それゆえに、自分がどこか人が集まるとところに行くことはできずにいる。

これは、会社に縛られているというよりも、自分の考える行動規範に基づいた行動。

それに加えて、今現在5本のTVCMの撮影を控えていて、このプロジェクトがきちんと終わるまでは、どんなことがあっても人混みや人との接触を避けなければならないと、それは自分に課された責任だと思っている。

編集が終わって無事に納品を迎えたら、久しぶりに友人たちの集まるお店に顔を出そう。

それまではもう少し、ガマン。ガマン。

アゲハの幼虫。その4

青虫が苦手な人には申し訳ない・・・。

前回、北側の青虫が12匹くらいいたのに、朝、ほんの30分後くらい経って見に行くと、1匹残らず消えてしまったのはここに書いた。

あまりにも寂しくて、Kは一生懸命黒い幼虫を、北側から南側のベランダの斑入りのレモンの木に2匹持ってきた。

黒い幼虫はまだ鳥に食べられていなかったけど、緑色の青虫になった途端に、忽然と姿を消してしまったから、時間の問題だと思い用心して持ってきたのだ。

しかし、2匹持ってきたうちの1匹は、朝になると消えていた。これはどうしてだろう?とKが調べると、生まれた時に食べた葉っぱと違う葉っぱだと、食べないこともあると書いてあった。

確かに、残った1匹は、もともとレモンの葉っぱにいたもので、いなくなった1匹は、ライムの葉っぱについていた幼虫だった。自分の好きな葉っぱを探してどこかへ旅立ったのかもしれないし、また鳥に食べられてしまったのかもしれない。

僕はそれでも、鳥に食べられるよりはましかと思い、また2匹、ライムの木から幼虫を南側の斑入りのレモンの木に移植した。

すると、数字経ったある日、いきなり最初に移植した黒い幼虫が緑色に変化していた。

そして、僕が移植した2匹は、新しい葉っぱを食べないようにじっとしていたけど、数日後に1匹が緑色になり、生まれ変わったようにレモンの葉っぱを食べだした。



もともと僕も青虫なんて、気持ち悪い以外の何物でもないのだけど、こうして世話をしていると不思議に愛情が湧いてきて、絶対に蛹にして、いつかは蝶々にしてやるぞ!という気持ちで、毎日青虫を見守っている。

そして僕以上に、Kは青虫を気にかけていて、仕事から帰ってくるなり毎日青虫が無事かどうか見に行っている。