またバラの話かと思われるかもしれないが、今回で家のバラのシーズンも終わるので最後だと思う。
今までにバラを、おそらく30種類以上は育てて来たと思う。
途中、夏の暑さや病気やこがね虫の幼虫に枯らされたり、2回引越しもして前よりも小さなベランダになり、母の家に送ったこともあり、今は9種類のバラしか残っていない。
様々なバラを育てて思うことは、僕はやはりオールドローズと呼ばれる古くからあるバラの原種の形や色を留めたバラが好きなのだ。
たとえそのバラが、春の1回きりしか咲かなかったとしても。
代々木公園のバラが先週くらいからやっと見頃を迎えていて、色とりどりの高島屋の包装紙のようなバラが並んでいる。
でもそんなバラを見て、やっと花が咲いたという気持ちはあるものの、「きれいだな」とか、「好きだな」という気持ちは湧いてこない。
そのほとんどのバラは、人間が自分の都合のいいように改良した姿形であり、なんだか造花のような不気味さを秘めている感じがするのだ。
オールドローズの中でも特に僕が好きなものは、一言で言うと、「小学校の学芸会で作ったティッシュのバラ」のような形をしているバラたち。
葉っぱの色が青みがかっていたり、マットだったり、花は奔放で野趣に富み、他のクレマチスやビオラなどの花と一緒にあってもきちんと調和する色と形。
それに比べると現代の改良を重ねたバラは、「あたし、ひとりだけで綺麗でしょ?」といった佇まいなのだ。
そして、何よりも好きなのは、香りのいいバラたち。
その香りは、甘く華やかだけど、どこまでも自然ですっきりとしていて何度嗅いでも飽きることはない。
この時期、朝起きてバラの香りを嗅ぎ、水をあげながら嗅ぎ、夕方また様子を見ながら咲き始めたバラの香りを嗅ぐ。
なんという贅沢な時間だろうか。